出版社に転職を考えている人へ、そして彼らを面接する人へ

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先日、SBクリエイティブの編集長さんに「年賀状返ってきちゃったじゃないですかー!」と怒られちゃった出版プロデューサー西浦です。(Yさん、ごめんなさい!)

その際「弊社、只今、書籍編集者を募集しておりまして、西浦さんのおすすめの方などいらっしゃいますでしょうか?どなたかいましたら、ご教示頂ければ幸いです。」とご相談いただきました。

「公開募集されてるなら、出版TIMESで告知させていただきましょうか?」とお尋ねしたところOKいただき、さらにその直後に「採用サイトには載っていない」とっても熱い思いが書かれていたので、ぜひこの場でご紹介させていただきます。

編集長が求めている人物像

以下が、その「採用サイトには載っていない」思い(一部抜粋)です。

大切で難しいのは、作り手である編集者が、自分自身で「これを人々に届けたい!」と心から思える本を作ることではないだろうか。
当然、その本を企画している本人だから、良かれと思って作っているのだろうけれど、あなた本当にそれを人様にオススメしますか? 親に、兄妹に、子供に、友人に、どこかで悩み苦しんでいる誰かに、その本を「絶対、買って読んだほうがいい!」とススメられますか? 5年前、10年前の抜き差しならない問題を抱えていた自分自身に「読んでおけ」と手渡せますか? そもそも自分でその本を買いますか? ベストセラーを狙いながら自分では買わないのですか? たとえ誰も応援してくれなくても、リュックに本を詰め込んで、あるいはリヤカーを引っ張ってでも日本中を売り歩く覚悟はありますか?
そう問われた時、心はなんと答えるのだろうか?
それはすなわちその編集者の生き方が問われてくるだろうし、小手先のテクニックもマーケティングも広告も一切効かない世界だ。

「『売れる本を作る』っていうだけなら、できなくはないよね」という流れを受けての文章です。この言葉からあなたは何を感じましたか?僕はこの投稿を読んで、編集者としての技術以上に「生き方」を求められているのだと感じました。

そして「これは採用サイトに載せてくれよ」と思ったのです。

採用情報に「直属の上司のホンネ」をもっと載せては

社員の募集に際して、働いている人の声やインタビューを掲載している会社は多いと思います。でもそういったインタビューはどこか嘘くさい、作られた感がありませんか?

もっとはっきり本音で語ってくれないと意味がないと思うし、そうでないと受験者側も「こういう考えの持ち主が上司になるのかいいな(あるいは嫌だな)」と事前にイメージを持つことができない。

こう書くと「でも、この投稿のようなメッセージがすべて本音だとは限らないのでは?」と思う方もいるでしょう。それはごもっともです。

だから僕が思うに面接の場は、貴方が見定められるばかりでなく、入社後上司になる人物の言葉が、本当かウソかを見極める場にもすればいいと思うのです。

「では、質問なのですが、あなたが過去に編集して売れなかった本の中で、実際にリュックに本を詰め込んで、あるいはリヤカーを引っ張ってでも日本中を売り歩いた本はなんですか?」と。

その場で言葉を濁すような人なら、あなたの方から面接を切り上げて退席すればいいと思います。

逆に「リヤカーは引っ張ってないけど、この本はどうしても売れて欲しかったから友達250人に電話して130人に買ってもらった。SNSでつながってる1500人全員にメッセージして400人が買うって言ってくれた。あと著者に講演会の仕事を3件とって来て、その参加者に合計120冊買ってもらった。個別に連絡した500人以上に無視されて、辛い思いをして、それでも増刷まで至らなかった。」そう言って悔しそうにしてる人なら僕は信じて良いと思います。

上に立つ人間のリアルをちゃんと採用サイトに載せられるのか?そこにウソはないのか?

そういったことにちゃんと向き合える上司の元には、優秀な人材が応募してきてくれるように思います。

人として憧れる編集者とやっぱり仕事したい

僕としては業界内知名度やその人の肩書には、そこまで興味がなく(全くないわけではないけど)、本人の実績(実力の判断基準)と企画(考え方の判断基準)の両方で「この編集者さんと仕事させてもらいたい!」と思うことが多いです。

実績は分かりやすいし、僕自身が出版マーケティング出身なのでやはり重要視しているのですが、どういった本を作ってきたかがやっぱり無視できない要素です。作ってきた本や企画の考え方を聞いていて「こういうテーマの本を作って、これだけ売ってきたのか。かっこいいなぁ」「このテーマでこんな本にできるのか!すごいなこの人」というクリエイティブの部分に、憧れを感じる人がやっぱり好みです。

僕はクリエイティブの人間ではないので、逆にそこに強く惹かれるのでしょうね。

「売れる本を作れる」と「やられた~!と思える本を作れる」の両面を兼ね備えている人に強く憧れます。

もちろんまだ仕事をさせてもらえてない編集さんもいらっしゃるのですが、憧れてる人こそ「これだ!」という企画が自分の中でできてこないと提案できないので、まだまだ仕事に至ってない方がいらっしゃいます。一応、保身的フォロー(笑)

これから編集者を目指される方には、やはり売れるだけでなく「これ、私の作ってきた本です」と胸をはって言える方であってほしいです。

そして売れなかったときにちゃんと悔しがってる人、良い本作ってるのに売れないなんて、なんて自分はダメなんだと思っていて欲しいです。

 

著者もまたスキル以上に生き方を問われている

編集者に限ったことではなく、どんな職種でもスキルや実績以外の、スピリットや生き方が重要なんだと思います。

著者もまったく同じで、どんなノウハウがあって、どんな実績があるかも大事だけど、著者として「読者をどこに連れて行きたいのか」が見えない人は不十分だと思うのです。

著者は煽動者ではなく、先導者であってほしいので、明確に「こうなると良いな」という世界を描いていてほしい。

 

「あなたが本を書く意味が分からない」

「この本の著者が貴方である理由が見えてこない」

と編集者に言われたことのある方は、自分が「読者をどこへ連れて行きたいのか」「なぜそうしたいのか」という原点の部分をもう一度振り返ってみてください。

 

それに、「そこ」を気にしてくれる編集者はきっと良い編集者だから、企画にダメ出しされても一緒に歩んでいく方がいいですよ。

 

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

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Written by

西浦 孝次

増刷率90%。平均部数44,000部。 「血流がすべて解決する」(18万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をベストセラーにプロデュースするのが得意。 おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。好きな食べ物は炒飯。