どうも出版プロデューサーの西浦孝次です。
今回のテーマは
「本が売れる瞬間3つ」です!
せっかく出版するなら、重版かけたいし、ベストセラーを狙いたい!
そう思いますよね?
わかります、僕も重版大好きだし、毎回毎回ベストセラーを目指しております。
さて本ですが、実は売れる瞬間というのがあるんですよ。
その瞬間にしっかり売り伸ばすことが、重版やベストセラーを達成する鍵になります。
言い換えれば、この3つのタイミングを逃すと、その本はもう売れないと言っても過言ではないのです。
今回はこの3つのタイミングと、それぞれに有効なスイッチについて解説します。
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目次
苛烈な椅子取りゲーム
まずは結論から言います。
本が売れる瞬間とは
- 1週間
- 半年以内
- 露出拡大期
の3選です。
この3回しかないんですね。
本って、まっすぐな成長線を描いて、ずっと同じように売れていくように思う人もいるかもしれません。
実はそれは間違いで、ほとんどは曲線を描きます。
最初に売れて、ピークを迎えて、ゆっくり動きがなくなっていく…
こういう形が基本形なんですね。
斜めに伸び続けていくとしたらそれはもう化け物でして。
超スーパーヒット作ですね。
書籍は毎日200冊以上新刊が搬入される業界で、かつ古参のロングセラーも健在というライバルが多い世界です。
その上書店の数は減っていくので、苛烈な椅子取りゲームが行われているのです。
だからもし新刊が少なくて供給不足だったり、書店の数が増え続けているような時代なら、本の売れ行きも斜めに伸びていくかもしれません。
しかし現実は「返品されずに生き残れるか?」という椅子取りサバイバルなので、最初は新刊ということで勢いが良いが、徐々に後から発売される新刊に場所を奪われて、売れ行きが落ち、気付けば返品されて店頭から消える。
結果、返品された後は売れない、曲線のグラフになります。
ということは本は「売れる瞬間」にしっかり売っていかないと生き残れないわけです。
むしろベストセラーを目指すなら、申し訳ないけど他の本や後続の新刊の場所を奪って拡大していかなくていけません。
ほとんど戦国武将状態です。
ということで逃してはいけない本が売れる瞬間3選を解説します。
本が売れる瞬間①1週間
まずは1週間。
こちらは本の発売から1週間のことで、僕らの間では「初速」と呼ばれるものです。
実際は気になるから発売1日、3日、5日と細かくチェックしてたりするんですけど、特に初速と呼ばれる発売1週間を重視することが多いです。
やっぱり発売直後は鮮度がいいから、売れやすい、売り時なんですよね。
その本を「もう持ってる」という人はいないんで、読者全員が購入の可能性あるわけです。
この初速の動きを見て、販売部の方で「めちゃくちゃ売れてる」「売れてる」「まあまあ」「売れてない」「終わった…」みたいな振り分けをします。
実際は1週間から3週間あたりまでで各本の「ラベリング」がなされるので、とにかく「売れてる」側に入りましょう。
書店に売れてると思われたら返品リストに入れられないし、追加注文ももらえます。
版元の販売部に「売れる」認定されたら、重版もかかるし、受注強化します。
要は椅子取りゲームのディフェンスではなくてオフェンス、場所取りにいくぞっていう風に潮目が変わっていくんですね。
だからすごく大事です。
発売1か月くらいまでに増刷が1回かかるくらいが最低ラインかなと思ってます。
はやいと発売日に増刷決定したりしますよ。
だから、著者としては発売と同時にSNSの告知やイベントをガンガンやってとにかく売る努力をするのが効果的ですね。
発売直後に「ふー、書くの大変だったなぁ。溜まってる仕事片付けよ」とかやってる場合じゃありません!
有効なスイッチは発売キャンペーンやイベント、友人に買ってくださいLINEを送るなどです。こういうお願いは個別の方が反応いいですよ。
本が売れる瞬間②半年
2つ目は半年。
これはその本のピークです。
正確には「長く見て半年」で、実際は3か月から半年くらいかなと思います。
これはもちろん体感的にそういう本が多いというのもあるんだけど、根拠もありまして。
というのは本の委託期間って半年なんですね。
半年経つと、まだ売れてない在庫の本も、書店さんに請求が経ちます。
それも正確には発売から4か月くらいのタイミングの在庫状況で請求が経つと昔経理の方に聞いたので、3か月~半年くらいの間に多くの本に「返品のタイミング」が来てしまうんです。
逆に言うと、そこを超えて店頭で置かれ続けてる本たちは、椅子取りデスゲームのシーズン1に生き残った本ということなんですよ。
すごいことです、本当に。
売れた本のデータを見せてもらうと、何年も売れてはいるものの、よく見るとピークはやっぱり発売半年くらいで迎えているものが多いです。
本のライフサイクルとして初速の次に、半年が大きい節目なんですね。
半年までの間に、一番大事なのは実は「営業スイッチを押す」ことだと思ってます。
出版社の営業さんのスイッチですね。
これって、出版の、販売の現場を見たことないと実感わかないと思うんですけど、ヒット作を生み出すのに、この版元の営業を口説き落とすのがめちゃくちゃ大事なんですよ。
この間、82会という、同い年の出版関係者の会に呼んでもらったんですが、年が同じという事以上に営業系のメンバーが多かったのがすごく楽しくて。
顔なじみや初めての方もいたんですが「やっぱり自分が気持ち込めて、売ったって言える本じゃないと面白くないよね」っていう話をしてたんですよ。
会社はシステマチックに「お前じゃなくて、だれでもできるような体制をつくれ」っていうものなんですけど、実際はその人じゃないとできない仕事をする営業がめちゃくちゃ大事なんですよ。
そういう人は10万部とかミリオンとか、本の持ってる以上のパワーを引き出してくれます。
なので本が順調に伸びているなら、どっかのタイミングでお礼を兼ねて営業のキーマンを口説きにいく。口説き落とすのが有効です。
本が売れる瞬間③露出拡大期
本が売れる瞬間3つ目は「露出拡大期」で、これはいつかというと本によるんですよ。
だから半年とか1年みたいには言えません。
例えば発売2ヶ月でその出版社がJR広告打つことになり、1枠分使ってもらえたとか。
発売から1年経って第二弾を出すことになり、そのタイミングで一緒に受注して重版もかかったとか。
時期に関わらず、その本の露出や展開を拡大させるタイミングというがあります。
これはもう、運なんですね。
売れる瞬間①と②でしっかり「売れる本」認識を重ねている本だと、あとはタイミング次第でこういう露出拡大期がやってくることがあります。
これはその本の努力だけじゃなくて、例えば
- その出版社の中に他に売れてる本がないタイミングだった
- TVでタレントさんが取り上げてくださった
- 海外で賞をとった
などのタイミングはまたとないチャンスなので、逃すことなく売り伸ばしに尽力してください。
間違ってもTV取材決まったのに出版社に連絡するの忘れてたとか、ダメですよ!
本の寿命を自分で縮めてるのと同じですからね(笑)