【単行本とは】サイズや価格、刊行までの流れは?気になる「文庫本」との違いも整理しました

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単行本とは「単独で刊行される本」のこと

単行本とは単独で刊行される本のことです。叢書(そうしょ)や全集といった「シリーズ」ものと区別して呼ばれます。

 

単行本というと、小説やコミックを思い浮かべる人が多いですよね。

でも実は「シリーズもの以外は全部、単行本」なので、一般書、実用書、ビジネス書などなど、すべてのジャンルに単行本があります。

厳密な見分け方としては、カバーの裏側にあるCコードの2ケタ目が「0」のものは全て単行本です。

いっそ逆に「文庫、新書、全集、双書、ムック、事・辞典、図鑑、コミック」以外、全部と言った方がはやいかもしれません。

 

Cコードについては下記の記事にわかりやすく解説してあります。
あわせてご覧ください。

本のジャンル・種類はいくつあるの?

単行本はどのような流れで刊行されるの?

単行本は主に2パターンの流れで刊行されます。

 

一つ目は連載をまとめて刊行するパターン。

新聞や雑誌に連載して、連載の終了後に単行本として刊行します。

もちろん連載の原稿料と、単行本の「印税」と両方とも支払われます。

連載が自社web媒体だと、プロモーションの一環ということで、原稿料がないパターンもありますね。

作家さんのネームバリュー次第でしょうか。

 

二つ目は連載をせずに、1冊分の原稿を書いて刊行するパターン。

こちらは「書き下ろし」と呼ばれ、発売時に帯に『書き下ろし!』と目立つようアピールすることが多いです。

連載で世に出ていないぶん、「この本でしか読めない」というお得感がありますね。

 

連載まとめと書下ろしの2パターンあることがわかりましたが、多いのは書き下ろしです。

連載は、名前だけで雑誌や新聞の読者を増やせるような、ネームバリューのある作家でないと、本誌側にメリットがありません。

そういう作家さんは一部の人気作家に限られますから、圧倒的に「書き下ろし」の方が世の中に多いのです。

「コミックスも『単行本』と呼ばれるが、厳密には叢書に分類」は間違い

漫画雑誌での連載から、ひとつの作品だけをまとめて刊行したものを「コミックス」といい、読者の中には漫画雑誌と区別して「単行本」とも呼ぶ人もいますね。

 

しかしコミックスは同じ作品を定期的に刊行する「シリーズ」ですよね。

同じ体裁・デザインで定期的に刊行される一連のシリーズのことを「叢書(そうしょ)」と呼びます。

よってコミックスは厳密には「叢書」である…と書いているサイトが多いです。

 

しかし、本の「発行形態」を示すCコードでは「双書(叢書)・全集」が「3」、「コミック」は「9」と別のものとして扱われています。

また、専門誌等が業界全体の売上をカウントする時も「雑誌」「書籍」「コミックス」と分類し、書籍とコミックスは分けて計算されます。

よって、コミックスは「叢書」ではなく、書籍とはまったく別のモノだと考える方が、現場的にも自然です。

 

でないと、雑誌も「同じ体裁で定期的に刊行するシリーズ」ということで叢書になってしまいますしね。

とは言え、出版社によっては「書籍扱い」でコミックを刊行するところもあり、そうなるとその会社のコミックだけは「叢書」ということになったりして…

やはり厳密に考えると矛盾が大きくなるので「コミックスはコミックス」「単行本はあくまで書籍のこと」とした方が良いでしょう。

単行本には「ハードカバー(上製本)」「ソフトカバー(並製本)」の二種類がある

ハードカバーとソフトカバーの違い・メリット・デメリット

 

単行本には二種類あります。

  • お値段高め(1,800円くらいから)で装丁も豪華な「ハードカバー(上製本)」
  • お値段控えめ(1200円前後)で標準的な「ソフトカバー(並製本)」

です。

ハードカバーとソフトカバーの特徴を比較しますね。

【単行本の種類1】ハードカバーの特徴メリット・デメリット

ハードカバーは上製本(じょうせいぼん)とも呼ばれるデラックス版。

表紙が厚く、硬く、カバーも箔押しされていたりと、お金のかかった豪華な作りの本です。

<メリット>

  • 豪華で本そのものがインテリアとして映える(デザイン性)
  • 長期保存しても、ボロボロになりにくい(保存性)
  • カバーを外して表紙だけを持った時の手触りが良い(個人差アリ)

<デメリット>

  • 大きく、本棚で場所をとる(収納力)
  • 重たいので持ち運びには向かない(携帯性)
  • 高い(コスト)

【単行本の種類2】ソフトカバーの特徴、メリット・デメリット

ソフトカバーは並製本(なみせいほん)とも呼ばれる、一般的な本。

<メリット>

  • 本自体が柔らかく、片手でも折り曲げて読める(読みやすさ)
  • 軽く、持ち運びに便利(携帯性)
  • 比較的収納スペースを取らない(収納力)
  • 安い(コスト)

<デメリット>

  • 柔らかい分、型崩れしやすい(保存性)
  • インテリアとしての魅力は上製本に劣る(デザイン性)

【単行本と文庫本の違い】サイズや価格、ジャンルで比較しました

同じ小説が「単行本」と「文庫本」でそれぞれ刊行されることがありますよね。

どちらで買うべきか迷う人も多いですし、単行本と文庫本の違いを比較してみます。

<サイズ>

  • 単行本 四六判(127mm×188mm)※B6判に近い
  • 文庫  A6判(105mm×148mm)

<価格>

  • 単行本 平均1,401円(一般文芸の場合) 
  • 文庫 平均670円

※参考『書店実務手帳 2018』

<ジャンル>

  • 単行本 一般文芸、実用書、ビジネス書など 多岐にわたる
  • 文庫本 一般文芸か実用・雑学系文庫に大別される
  サイズ 価格(平均) ジャンル
単行本

四六判(127mm×188mm)

1,401円 一般文芸、実用書、ビジネス書 など
文庫本 A6判(105mm×148mm) 670円

一般文芸 か 実用雑学の二種類

※一般文芸…本のジャンル分けのひとつ。一般書や文芸作品のことで、エッセイから小説まで幅広い。専門書や古典など小難しいものではない「一般向け」の本や「文芸」の本。ただ、狭義の意味では「ライトノベルじゃない文芸」とすることもある。

単行本が文庫化されるには?【文庫の出版時期】

原則として「単行本の発刊から、3年以上を経て文庫化」という方針のところが多いですが、どこも有名無実化していると言います。(某文庫版元の編集部長さん談)

実態は「単行本の売れゆきが鈍ってきたタイミングで、文庫化」という個別対応です。

そのため、発売から1年くらいでも文庫化される本はあります。

 

単行本が文芸編集部や実用書編集部から出版されるのに対し、文庫は文庫編集部から刊行します。

当然ですが、文庫の売上は文庫編集部のものになります。

だから単行本の編集部からすると売れ行き好調の本を文庫化したくはないのです。

売れ行きが鈍ってきたタイミングで「これ以上の増売は見込めないし、文庫化することで、再度売れ行きの波をつくろう」と文庫化の流れになるのですね。

逆に、良いタイミングで本屋大賞の受賞や映像化などが続き、3年経っても売れ行き好調であれば、「まだ文庫編集部に売上を渡すわけはいかない!」ということで、ブームが去るまで文庫化は難しいでしょう。

 

※映画化の場合は、あえてこのタイミングで「ふだん本を読まない層に買ってもらう」という目的で、手に取りやすい文庫版を出版することもあり得ます。

単行本と文庫本に内容の違いは?

基本的には同じ本ですが、単行本の文庫化だと、加筆修正が行われていることも多いです。

誤字脱字の修正レベルではなく内容が変わっていたり、何かが追加されるケースもあるんですね。

例えば『ぼくは勉強ができない』(山田詠美 著)

の文春文庫版では、著者が、大人になった主人公にインタビューするという書き下ろしが入っています。

これは別の本の宣伝として入れられたものでしたが、本作のファンである自分として「これは読みたい!」と思わせてくれるものだったので新潮文庫も持っていますが、文春文庫も買いました。

最初から文庫として出版することもある

ちなみに「文庫はすべて単行本だったもの」だと思っておられる方もたくさんいますが、最初から文庫として出版される本もたくさんあります。

また、文庫化されるから良い本、という単純な見方もできません。

文庫化されていないけれど売れている本や、名著と呼ばれるものもたくさんあります。(単行本で売れ続けるなら、文庫化しないほうが嬉しいという出版社のホンネ)

だから「文庫で読んでいれば安心」や、逆に「文庫はしょせん単行本を小さくしただけ」という思い込みはNGです。

まとめ〜単行本と文庫本、あなたはどちら派?

単行本について、そして、みんなが気になる「単行本」と「文庫本」の違いを見てきました。

「単行本派」と「文庫本派」がいますから、どちらを買うべきかの参考になれば幸いです。

 

一般的には単行本(特に上製本)が豪華で、デザイン性も良く、保存用にピッタリです。

文庫は安く、持ち運びにも便利なので「スキマ時間に気楽に読みたい」「好きな作家でもないけど、ちょっと気になる」というときは文庫が良いでしょう。

 

その上で個人的に「本が好きで、本を生業としている者」として「常に最新のものを買う」ことをお勧めします。

というのも、最新の文庫に何か書き下ろしが入っているケースや、大幅な加筆修正が入っていることもあるからです。

過去の名作だからこそ、「今、また世に出るのだから、より良いものにしたい」という熱意や愛情をもって手を加える方も多いのです。

 

また単行本の場合、やはり「時代の空気」を受けて、「今」刊行される理由があります。

テーマや登場人物の口調、現実とリンクした事件。

ノンフィクションでもノウハウやエピソードといった部分。

カバーデザインやタイトル、帯のコピーなども、今という「時代の空気」を考え抜いて選ばれています。

 

そういう「時代の空気」は同じ「今」を生きる我々でないと感じ得ないものだったりします。

映画もそうですが、話題になっているモノゴトには「今、この時代に味わうべき何か」があると思うのです。

あの時に読んでおきたかったな、と後悔することのないよう

「読みたいな」と思った時に最新のものを買う(単行本でも文庫本でも)をお勧めします!

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増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


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