2年連続前年割れ…どうなる出版業界!出版のプロがデータを基にガチ分析【紙と電子は一蓮托生】

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どうも出版プロデューサーの西浦孝次です。

 

今回のテーマは
「出版業界に警鐘!2年連続前年割れ、書籍がやばい」です!

 

2024年1月25日に出版科学研究所さんが発表したリリースによると

2023年の出版市場(推定販売金額)は前年比2.1%減の1兆5963億円。

2年連続の前年割れとなりました。

さらに紙だけでなく、ここ最近調子のよかった電子書籍の売上も2年連続で前年割れとなっています。

週刊朝日の休刊など、厳しいニュースの続く最近の出版業界の実態をデータで見ていきましょう。

書籍の未来がぼんやりとですが見えてくるかもしれません。

▼動画でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

目次

今年の3月末発売は避けた方がいいかも

今回のニュース出版科学研究所さんが一発で分かる表にしてくださっているのでこちらをご覧ください

要点は

①紙+電子の合計が2年連続で前年割れ
②電子コミックだけがあいかわらず順調で、他は全部落ちてます。
③電子のシェアがとうとう1/3、紙が2/3になった

の3点です。

2022年は1兆6305億で昨年対比97.4%
2023年が1兆5963億で昨年対比97.9%

なので2年連続前年割れですね。

ただこれが年度か事業年度、どっちで見るかっていう計測期間の違いや計測範囲に違いがあるという話をしました。

日版のデータでは2022年度も成長しています。

なのでここは計測範囲と計測期間によって何とも言えないんです。
どっちも過ちではないから。

あえて言えば出版社は3月末〆の会社が多くて、4月から12月までの9か月分の売上が厳しかったら、1,2,3月、特に期末の搬入を増やしがちっていう悪しき習慣があります。

だからどっちかと言えばですが、事業年度で見る方が実態に近い気はします。

逆に、この1年の数字が悪いということは2024年3月の搬入が増える傾向にあるかもしれません。

3月末発売の予定がある場合、4月に発売をずらしてもらった方がいいかもしれません。

3月の売上を上げるために搬入を増やすと店頭がパンクして、返品されるリスクが上がるんです。

電子書籍に赤信号

先ほどの表を見て気になるところと言えばまずは雑誌。

紙も電子もおよそ92%と大きく落ちています。

内訳として月刊誌が7.2%減、週刊誌が11.3%減、コミックスが10%減。

とのことで週刊朝日など、有名な雑誌がどんどん休刊したり、刊行本数を減らしています。

週刊誌は調子いい印象だったんですが、主にwebの話ですね。

紙はやはり厳しい。

 

雑誌は今30代前半の雑誌編集者が『自分も雑誌でずっとやっていけると自信を持って言えない」って言ってたので、その感覚は数字を反映しているように思います。

で、もう一つ書籍の人間として気になるのが、電子書籍ですね。

いわゆる「文字もの」の電子です。

こっちも2022年が前年比99.3%、2023年が98.7%と「2年連続前年割れ」してるんですよ。

ただ以前紹介したインプレスさんの「電子書籍ビジネス調査報告書2023」では

2021年度597億→2022年度601億と 一応増えているんですね。

ただ、インプレスさんの方で見ても成長が鈍化しているのは間違いなくて。

出版科学研究所さんだと2022年から続けて2023年と「マイナス」になってますが、このままだと2023年度の実績では日版さんのデータでもマイナス成長になる可能性が高そうです。

電子コミックは各ストアの広告出稿やプロモーション施策も活発で成長し続けているんですが、それ以外、特に文芸・ビジネス・実用などの文字ものが不振です。

書籍は5年で約12%減

今後文字もの電子が不調になる可能性は大いにあって、というのも「文字もの電子」は「紙の書籍」と売上連動しやすいからなんですよね。

文字もの電子独自の販促方法等も電子コミックほど活発とはいいがたく、やはり「紙で人気のある本が電子でも売れる」という従来の売れ方になっています。

じゃあその紙の書籍はどうなんだ?ということで今回の出版科学研究所さんのリリースをあらためて見ると

 

2018年に6991億だったものが2023年は6194億。

5年間で88.599%に。

およそ88.6%に落ちています。

だから電子書籍が伸びていたとしても、紙の書籍が落ちているとさすがに電子の方も成長を続けるのが厳しいという状況ですね。

結局のところコミックだけが「電子コミック」独自のビジネスモデル構築に成功していて、脱紙・脱書店のビジネス形態へと移行しつつあります。

電子コミックは特別ということで、じゃあ書籍はどうかというと「紙と電子は一蓮托生」なんですよ。

紙を売らないと電子も売れない。

紙を売るには書店でのマーケティングが重要になる。

結局従来の書店さんと協力して、棚からヒット作を生み出していくという手法が有効だと言えます。

電子コミックみたいに「電子で稼ぐ」モデルにならない限り、リアル書店が最重要であることは今後も構造的に変わらないんです。

それを踏まえて、棚から逆算で企画を立てていきましょう。

参考リンク
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