定番記事

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

先日、SBクリエイティブの編集長さんに「年賀状返ってきちゃったじゃないですかー!」と怒られちゃった出版プロデューサー西浦です。(Yさん、ごめんなさい!)

その際「弊社、只今、書籍編集者を募集しておりまして、西浦さんのおすすめの方などいらっしゃいますでしょうか?どなたかいましたら、ご教示頂ければ幸いです。」とご相談いただきました。

「公開募集されてるなら、出版TIMESで告知させていただきましょうか?」とお尋ねしたところOKいただき、さらにその直後に「採用サイトには載っていない」とっても熱い思いが書かれていたので、ぜひこの場でご紹介させていただきます。

編集長が求めている人物像

以下が、その「採用サイトには載っていない」思い(一部抜粋)です。

大切で難しいのは、作り手である編集者が、自分自身で「これを人々に届けたい!」と心から思える本を作ることではないだろうか。
当然、その本を企画している本人だから、良かれと思って作っているのだろうけれど、あなた本当にそれを人様にオススメしますか? 親に、兄妹に、子供に、友人に、どこかで悩み苦しんでいる誰かに、その本を「絶対、買って読んだほうがいい!」とススメられますか? 5年前、10年前の抜き差しならない問題を抱えていた自分自身に「読んでおけ」と手渡せますか? そもそも自分でその本を買いますか? ベストセラーを狙いながら自分では買わないのですか? たとえ誰も応援してくれなくても、リュックに本を詰め込んで、あるいはリヤカーを引っ張ってでも日本中を売り歩く覚悟はありますか?
そう問われた時、心はなんと答えるのだろうか?
それはすなわちその編集者の生き方が問われてくるだろうし、小手先のテクニックもマーケティングも広告も一切効かない世界だ。

「『売れる本を作る』っていうだけなら、できなくはないよね」という流れを受けての文章です。この言葉からあなたは何を感じましたか?僕はこの投稿を読んで、編集者としての技術以上に「生き方」を求められているのだと感じました。

そして「これは採用サイトに載せてくれよ」と思ったのです。

採用情報に「直属の上司のホンネ」をもっと載せては

社員の募集に際して、働いている人の声やインタビューを掲載している会社は多いと思います。でもそういったインタビューはどこか嘘くさい、作られた感がありませんか?

もっとはっきり本音で語ってくれないと意味がないと思うし、そうでないと受験者側も「こういう考えの持ち主が上司になるのかいいな(あるいは嫌だな)」と事前にイメージを持つことができない。

こう書くと「でも、この投稿のようなメッセージがすべて本音だとは限らないのでは?」と思う方もいるでしょう。それはごもっともです。

だから僕が思うに面接の場は、貴方が見定められるばかりでなく、入社後上司になる人物の言葉が、本当かウソかを見極める場にもすればいいと思うのです。

「では、質問なのですが、あなたが過去に編集して売れなかった本の中で、実際にリュックに本を詰め込んで、あるいはリヤカーを引っ張ってでも日本中を売り歩いた本はなんですか?」と。

その場で言葉を濁すような人なら、あなたの方から面接を切り上げて退席すればいいと思います。

逆に「リヤカーは引っ張ってないけど、この本はどうしても売れて欲しかったから友達250人に電話して130人に買ってもらった。SNSでつながってる1500人全員にメッセージして400人が買うって言ってくれた。あと著者に講演会の仕事を3件とって来て、その参加者に合計120冊買ってもらった。個別に連絡した500人以上に無視されて、辛い思いをして、それでも増刷まで至らなかった。」そう言って悔しそうにしてる人なら僕は信じて良いと思います。

上に立つ人間のリアルをちゃんと採用サイトに載せられるのか?そこにウソはないのか?

そういったことにちゃんと向き合える上司の元には、優秀な人材が応募してきてくれるように思います。

人として憧れる編集者とやっぱり仕事したい

僕としては業界内知名度やその人の肩書には、そこまで興味がなく(全くないわけではないけど)、本人の実績(実力の判断基準)と企画(考え方の判断基準)の両方で「この編集者さんと仕事させてもらいたい!」と思うことが多いです。

実績は分かりやすいし、僕自身が出版マーケティング出身なのでやはり重要視しているのですが、どういった本を作ってきたかがやっぱり無視できない要素です。作ってきた本や企画の考え方を聞いていて「こういうテーマの本を作って、これだけ売ってきたのか。かっこいいなぁ」「このテーマでこんな本にできるのか!すごいなこの人」というクリエイティブの部分に、憧れを感じる人がやっぱり好みです。

僕はクリエイティブの人間ではないので、逆にそこに強く惹かれるのでしょうね。

「売れる本を作れる」と「やられた~!と思える本を作れる」の両面を兼ね備えている人に強く憧れます。

もちろんまだ仕事をさせてもらえてない編集さんもいらっしゃるのですが、憧れてる人こそ「これだ!」という企画が自分の中でできてこないと提案できないので、まだまだ仕事に至ってない方がいらっしゃいます。一応、保身的フォロー(笑)

これから編集者を目指される方には、やはり売れるだけでなく「これ、私の作ってきた本です」と胸をはって言える方であってほしいです。

そして売れなかったときにちゃんと悔しがってる人、良い本作ってるのに売れないなんて、なんて自分はダメなんだと思っていて欲しいです。

 

著者もまたスキル以上に生き方を問われている

編集者に限ったことではなく、どんな職種でもスキルや実績以外の、スピリットや生き方が重要なんだと思います。

著者もまったく同じで、どんなノウハウがあって、どんな実績があるかも大事だけど、著者として「読者をどこに連れて行きたいのか」が見えない人は不十分だと思うのです。

著者は煽動者ではなく、先導者であってほしいので、明確に「こうなると良いな」という世界を描いていてほしい。

 

「あなたが本を書く意味が分からない」

「この本の著者が貴方である理由が見えてこない」

と編集者に言われたことのある方は、自分が「読者をどこへ連れて行きたいのか」「なぜそうしたいのか」という原点の部分をもう一度振り返ってみてください。

 

それに、「そこ」を気にしてくれる編集者はきっと良い編集者だから、企画にダメ出しされても一緒に歩んでいく方がいいですよ。

 

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
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出版社に転職を考えている人へ、そして彼らを面接する人へ

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ダイエットのコンセプトは「ムリなく痩せる」の出版プロデューサー西浦です。いや、それはムリなのでは…という賢者の盲点を突いてやります。

本の出版を目指してまずやることとはなんでしょうか?

著者の体験談を探す?ネットで質問してみる?出版セミナーに通う?

いろいろありますし、どれもある程度有効です。

そのうえでちゃんとスタートラインに立つにはやはり「出版企画書」を書きましょう。

出版の企画書で、一番最初に考えるべきこと

ネットで検索すれば、これまた企画書の書き方やら、構成についていろいろ書かれているでしょう。でも実は一番最初にやるべきなのが「コンセプト」を立てることです。

ネットなどで掲載されている企画書の項目に「コンセプト」がないケースもあるでしょうが、このコンセプトをしっかり作れたかそうでないかで、出版後の売れ行きが大きく変わります。

コンセプトは企画の軸であり「結局どういう本なんだっけ?」というすべての原点で、編集者が本のタイトルをつけるときに出発点となる「この本の一番面白い所ってなんだっけ?」の答えなのです。

 

僕が運営している会員制出版塾ベストセラーキャンプでも最初に取り組むのはコンセプト作りです。もっと言うと、著者との面談の時に僕の中でだいたいのコンセプトが見えるかどいうかがカギです。

 

このコンセプト作りは本当に口を酸っぱくして、何回も言いますし、実際に何度も練り直しますので、ベストセラ―キャンプの参加者アンケートでも「コンセプトができてよかった!」「コンセプトを固めなければ・・・」と著者もコンセプトに関してすごく力を入れてくれているのがわかります。

 

中には本のコンセプト固めを進めるうちに「自分のビジネスの本当の強みがわかった」「BSCに参加する前に考えていたことを、違う角度から引き出してもらえました」とおっしゃる方も多く、本業へのフィードバックも多いようです。

むしろ、それくらい深く考えないとコンセプト作りとしては不十分です。

 

コンセプトが面白くない本は、絶対面白くありません。

コンセプトにわくわくしない企画は、誰もわくわくしません。

 

それくらい大事です。

まずは、あなたの企画の「何が面白いのか?」をしっかり言葉にしましょう

コンセプトとは「一日一個のリンゴが医者を遠ざける」ようなもの

先週、健康書企画のコンサル中に、コンセプトについてアドバイスをしました。

「『一日一個のリンゴが医者を遠ざける』っていうじゃないですか。ああいうのがコンセプトです。」とクライアントに説明したところ、彼以上に僕が「すごくうまい例えだな!」と感心してしまう事態になりました(笑)

我褒めはそこそこにして、もう少し補足しますね。

 

リンゴに含まれる食物繊維、クエン酸、リンゴ酸、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が

便秘改善、腸内環境改善、血糖値の上昇をゆるやかにする、疲労回復歯を白くする効果、免疫力アップ、美肌効果、血圧を下げる、活性酸素除去、動脈硬化予防などに効果がある。

 

・・・らしいです。

 

つまり、リンゴを毎日1個食べるだけで、以上のような効果を見込めることから、健康書の企画を作ったとします。

 

これを本当に本のコンセプトにする場合は

「一日一個リンゴを食べるだけで、美容と健康に絶大な効果があり、医者いらず!」

~便秘改善、腸内環境改善、血糖値の上昇をゆるやかにする、疲労回復、歯を白くする、免疫力アップ、美肌効果、血圧を下げる、活性酸素除去、動脈硬化予防など~

 

といったところでしょうか。~で続けた部分はその企画で得られる「読者のメリット」の列挙です。

特に健康書ではたくさん効果を書ける方がいいですね。「これさえやっておけば、オールOK!」というくらいの万能感が欲しいです。

 

この企画コンセプトのポイントは「一日一個」という誰でもできる、ハードルの低い提言であること、「リンゴ」は日本中どこのスーパーでも簡単に、しかも安価に手に入るという「誰でも再現可能」であること、美容と健康への効果が多岐に渡り、50代以上の女性を中心に(この層はクチコミ効果も大きい)、オーガニック志向の若い女性や、男性でも高齢な方など広く読者を設定できることです。

 

リンゴはたくさん種類もありますから、どのリンゴが特に何に効果があるのかとか、実際にスーパーでリンゴを選ぶ際に気を付けたほうが良いこと、あとは毎日リンゴを食べるために、スムージーにするとかジャムにしてみるとか、いろんな実践方法とそれぞれの効果、朝昼晩どのタイミングでリンゴを食べるといいのかなど解説してあげれば本として十分に成立します。

 

一つだけ欠点があるとしたら「一日一個のリンゴが医者を遠ざける」ということわざが、すでに日本中で知られており「まあ、そうだろうね」くらいのリアクションしかとれず、インパクトが皆無という点です(笑)

 

こう考えるとコンセプトに一番大切なのは「インパクト」ですね。

もし日本に、このことわざが入ってきてなかったら、かなり売れる可能性のある企画だと思います。

 

コンセプトは36文字で作る

コンセプトの作り方ですが、「こうやればいいコンセプトが浮かぶよ!」というフレームワークなどはありません。あえて言えば何度も何度も練り直して、もっと良い表現があるのでは?もっと違う視点で見たほうが面白いのでは?と繰り返し時間をかけるしかありません。

 

僕がプロデュースしているメンバーに対しても、このコンセプトは最初にある程度固めつつ、プロフィールを作ったり、構成案を考えたりして情報が増えるたびに微調整します。

この要素足せるじゃないですか!とか、こっち方面は(この著者だと)言えなそう、など具体化するごとに微修正が加わるものでもあるし、ある日稲妻に打たれたように「これだ!」ということが思いつくこともあります。僕の場合、だいたい朝のシャワータイムに思いつくことが多いので、降りてきたら最後、風呂場から出るまで呪文のように繰り返すことになります(笑)

 

実は売れる企画書は、このコンセプトを固めるのにすごく時間をかけるのです。すぐ企画書にしてしまうと著者のノウハウをすべて引き出せてなかったり、自分の中にある「型」に当てはめてしまってていて、新しさが無かったりするからです。

売れる編集者も企画書にするまでの期間が長い方が非常に多いです。雑談を通していろんな質問を投げては、著者のコンテンツと市場を繋ぐ強力なコンセプトが降りてくるまで時間をかけるのです。

 

ここまで「確実に良いコンセプトを立てる方法はない」と言って来ましたが、何も解説しないとあなたの参考にならないのでいくつか僕のマイルールをご紹介します。

コンセプトを立てるときのマイルール

  1. 「誰による」、「誰が」、「何をしたら」、「どうなる」本なのかの、4要素からつくる
  2. そのうえで「誰による」を取っても大丈夫なくらい、「何をしたらどうなる」を磨く
  3. 「誰が」も、説明不要なくらい残りの部分を磨く、理想は「本を読める人全員」対象くらい
  4. 最終的に36文字以内にする

 

まず結論の36文字ですが、これは目安程度ではあるものの、かなり重要な数字です。

なぜかと言うと、長すぎるコンセプトは練り切れていないからです。

 

あるマンガ編集部では、新連載を立てるときに30文字前後で面白さが言えなかったら没だと聞きました。なんとなく描いているうちに面白くなってくるかも??と期待するものだけど、ほぼありえないそうです。

僕が36文字としたのはこのコミック連載の話と、18字×2行くらいまでなら人は「読む」のではなく「見る」タイプの認識ができる、とコピーライターに聞いたからです。

 

どちらにせよ、短い言葉には人に深く浸透する、一瞬で理解できる「明快さ」があります。

ですので、36文字を最大として考えます。

 

そうなると、無駄な部分を削っていく必要が出てきます。

その場合、「誰による」という著者情報と、「誰が」という読者情報を削るのがもっとうまくいきます。

 

「誰による」の部分が削れないくらい大きいと、著者の知名度や実績に頼った企画となり本として売れるかもしれませんが、企画としては弱いわけです。

例えば「増刷率90%の出版プロデューサーによる」本だとしても「何を」したら「ベストセラーになる」のかが曖昧だったら、企画としては練りきれていないと言わざるを得ません。

 

次は「誰が」という読者情報ですが、これも出版というビジネスであれば、最終的に「みんな」をターゲットにできるくあらいの広がりがないと10万部、20万部にしていくのは難しいので、「誰が」を限定しないでも成立するくらいのコンセプトにしていきたいです。

 

TV番組の『奇跡体験アンビリバボー』って「たけしの」って頭につかなくても強いですし、視聴者をわざわざ限定しなくても「奇跡的なストーリーに興味のある人=ほぼ全員」と成立しています。

長寿番組はやっぱりコンセプトがしっかりしているなと思うものが多いです。

 

そのうえで強い著者の冠がつけばより売れますし、明確な読者像は共感を産んでよりシェアされる企画となるでしょう。

 

企画書を書くにはまず、コンセプトを明確にして「何をすれば」「どうなる」企画なのかを36文字で表現できるくらい磨き続けましょう。

 

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「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

出版企画書のコンセプトは36文字で作る

ダイエットのコンセプトは「ムリなく痩せる」の出版プロデューサー西浦です。いや、それはムリなのでは…という賢者の...

出版プロデューサーの西浦です。2010年から今(2017年9月)までプロデュースしてきた本の平均部数約47,000部、増刷率は約90%と、非常に安定的にヒット作を世に出し続けることができました。また、今までも5万部越えは何冊かありましたが、2016年に出た『血流がすべて解決する』が20万部を突破し、各種ランキングトップ10に入るなど、ベストセラーと呼べるものも手掛けることができました。(すべて素晴らしい著者や出版業界関係者の皆様のお力のおかげです)

特に僕がプロデュースした本の9割以上が「処女作」だったこともあり、初めて本を書く人の素朴な疑問とか、抱く不安をたくさん聞いてきました。

この記事では、今まで「はじめて本を書く人たち」をプロデュースしてきた経験を活かして、「本を書く方法」について「はじめての出版」用になるべく専門用語など使わずにまとめました。

特に一作目からちゃんとベストセラーを狙うための方法という視点で書いています。

 

本を書くとは

「出版社から紙の本を出版する」ことを指します(特に、この記事では)。また、電子書籍を出したい人もいるようですが、紙の本を出版できれば、今はほぼ間違いなく電子書籍にもなります。

本を書くというと「自分のPR」「自分のすごさを伝えること」のように思う人もいますが、それは自費出版の話です。※自費出版、商業出版などの用語については下記リンクが参考になります。

商業出版・企業出版・自費出版の違いとは

この記事では「商業出版=本を書くこと」として解説します。

よって、本を書くとは「読者の悩みや、疑問、好奇心を満たすために、自分の知識や経験、恥を公開すること」です。つまりボランティア活動に近いものと捉えてください。代わりに多くの読者から指示された本には印税が支払われます。

「読者のために本を書く」という意識をもって、本を書きましょう。

 

<書いた本が、発売されて売れるまで>

著者であるあなたは「原稿」を書いて出版社に提出することが仕事です。その原稿を「本」にして販売するための「編集」「デザイン」「印刷・加工」「流通」「在庫管理」「売り上げ回収」などをすべて出版社が行ってくれます。その本を販売するため出版社が広告費を出したり、本屋さんで使うPOPなどを製作してくれます。(著者には原稿以外に、自著の宣伝という重要な仕事が存在しますが、後述します)

 

出版社から本を出すと、新刊配本といって、発売直後に全国の本屋さんへ本が送られ、返品されるまで店頭で並べてもらうことができます。

配本された本が売れれば本屋さんから追加注文が入り、出版社の在庫から出荷されていきます。順調に出版社の在庫が出荷されて、本屋さんで売れていくと「増刷(ぞうさつ)」「重版(じゅうはん)」がかかります(どちらも同じ意味です)。「刷を増やす、版を重ねる」というのはつまり、「売れ行き好調につき、再生産」ということで、著者には増刷分の印税が支払われます。

 

本を書く手順

本は

  1. 企画書を書く
  2. 企画書を編集者に見せて「担当」になってもらう
  3. 編集者が企画会議等で、出版の合否を決定
  4. 原稿を執筆
  5. 編集者からのフィードバックに合わせて修正(しばらく、4→5をくり返す)
  6. 脱稿(全部書いて、編集者に渡す)
  7. ゲラチェック
  8. 出版

という手順で書いていき、出版されます。

「企画書を書く」から「原稿を執筆」まではこの記事をご覧ください。

本を出版しようと思ったら、何をどういった手順ですれば良いのか【無料で超シンプルな4ステップ】

 

7の「ゲラ」というのは「原稿が、本番のデザインなどを反映された状態で印刷された紙」のことです。原稿をワードで横書きで書いていても、ゲラでは縦書きになっています。ここで「固有名詞が変わってないか」とか「事実関係が間違ってないか」などのチェックを行います。赤ペンで修正指示をすることが多く「赤入れ」などとも言います。

ちなみにゲラの段階で大きく内容を変更したり、表現方法を変更するのは嫌がられることもあります。「だったら原稿の段階で直しとけ」という話です。たしかに。

ゲラの赤入れ前後で、印刷業者さんとのやりとりや、カバーのデザイン決め等ありますが、編集者の仕事なので割愛します。

本を書く期間

本を書くのにかかる期間は、短い人で半年、普通は1年~1年半、あるいは2年以上ということもよくあります。

具体的な流れを説明します。

編集者さんに企画書を提出して、修正に対応して、企画会議通過の連絡をもらうまでにおよそ1ヶ月。

企画通過後、週に3日間、1日につき3000字ずつ原稿を書き進めたとして1週間で9000字です。10万字の本だとすると約12週、つまり3ヶ月かかります。

当然ダメ出しなどのフィードバック対応や「今週はどうしても書けない」という時もありますので、1ヶ月はバッファが欲しいですね。

そうして原稿をすべて書き終えてから、本が印刷されて世に出るまで1ヶ月くらいだと思ってください。

これを足し算すると

  • 企画会議1か月+原稿3か月+バッファー1か月+印刷加工1か月=6か月

になります。それも、かなり順調なペースの場合です。

 

実際は編集者が忙しすぎてパンクして、まる1か月放置されることもありますし、原稿に思ったより時間がかかったり、調べ物も必要だったり、発売後のイベント準備もしなきゃだしで、1年くらいかかってもおかしくありません。それに、そもそも編集者に提出できる企画書を作るのに、半年か、たいてい1年くらいはかかります。

ですので企画書が出来てからだと半年~1年企画書を作るところからなら、1年半~2年くらいが本を書く期間になります。

<発売日について>

「誕生日に本を出したい」「会社の設立記念日に合わせて出版したい」といった希望を出される方もいますが、基本的に発売日を著者側がコントロールすることはできません。

ダイエット本のように、季節性のあるものはその時期に合わせて発売日を設定しますし、3月末などどうしても各社新刊が多い時期は(返品されやすいので)避けたい、など販促に関するいろいろな思惑によって決まります。

ただし、視聴率のよいTV番組での特集などが決まっていたら、他の書籍を後回しにしてでもあなたの本の発売を早めてくれることもあります。すべては「いつ発売すると売れるか」という販売計画によって決まります。

本を書くのに必要な資格

特に著者になるのに資格はいりません。しかし誰でも出せるわけではないので、その意味でやはり資格は必要です。

つまり「あなたがその本を書いても良い、納得感のある理由」が必要だということです。どういうことかと言うと「太ってる人のダイエット本は説得力がないよね?」ということです。

その本のジャンル・テーマに精通していること、実際に成果を出していることを証明しましょう。こういった実績や成果は企画書のプロフィール欄に盛り込みます。

 

原稿を書くときの注意

原稿を書くときの注意ですが、下記リンク先の記事が非常に参考になります。

初めて本を書く人にお願いしている事

●自分の事は書かない 

●時事ネタを書かない 

●企画は他言してはならない

など、まさに初心者がやってしまいそうな実例てんこ盛りです。特にこの3つはリンク先でも最初に書かれているくらい、よくあるうえに、すべてのジャンルの本で共通する重要なルールです。

ただ、この記事を書かれたハマザキカクさんは25万字以上するような、大全系の書籍を多く手がけてらっしゃるようで、そういった編集スタイル用のお願いだなと思われる事も書かれています。ですので、そのまま踏襲すると一般的でないかも?と思う部分もあるのでそれについては下記に補足します。

【補足】

●メールの返事はお互い急がない 

●打ち合わせはしない

10万字前後の一般的な本を書く場合、やはりレスは早い方が良いです。

でも編集さんがすぐに返事できないことが多いのは事実なので「自分はすぐレスする、編集者からの返事はちょっと余裕を持つ」くらいのスタンスでいましょう。

打ち合わせも頻繁ではないにせよ「初回の顔合わせの後、次に会うのは完成祝い」というのは稀なケースです。忙しい編集者と毎月打ち合わせする必要はありませんが、それでも顔合わせから発売まで4回くらいは会うことが多いです。(販促の相談とかしなくてはいけませんし)

 

●毎月送る

こちらは下記の意図があってのことです。

その人が1ヶ月で無理なく書ける文字数が大体算出できます。そのスピードを計測した後、毎月、構成案に沿って各章なり各節を必ず定期的に送って貰う事にしています。毎月、締め切りがあるお陰でペースが遅れる事もなく、常に進捗状況を把握できます。

まったくもってその通りですが、これが10万字くらいの本ですと1ヶ月本気で書いたら、人によっては原稿の半分以上を書きあげてしまう人もいるでしょう。そうなると

また執筆作業は孤独な戦いですが、毎月、私が第一の読者となって感想を寄せることによって著者にとっては励みにもなり、大幅に脱線する事も避けられます。またその間、私の方で読んだ関連書を指摘したり、何か新たな提案をする事によって刺激を与え、モーティべーションを維持する事が可能になります。

が実行できません。ですので、一般書の場合、毎週かもしくは隔週で原稿を送り「大幅な脱線」をしないよう、「新たな提案」でモチベーションを維持できるようにしましょう。実際、僕がプロデュースした中でも特に売れたものは、原稿執筆時のやりとりが多かった企画ばかりです。

「原稿を見てもらって、フィードバックを活かす」というのは、特に処女作でベストセラーを生み出すための重要ファクターなのです。

本を書くメリット・デメリット

<ブランディング・告知効果>

人によっては「本を書くことは、個人にとってのIPOと同じ」などと、ブランディング効果があるような言い方をします。でもそれは「売れた場合に、結果論としてブランディング・告知効果がある」という認識が正確で、売れなければなんのブランディングにもなりません。

なぜかというと、本は年間に70,000冊以上が刊行されており、「本を書いただけ」「出版しただけ」では、7万分の1でしかないからです。ちなみにこの7万という数字は全国にあるコンビニエンスストアの合計数55,090店舗よりも多い数です。

(参考:【2017冬】コンビニ店舗数を調べてみた! セブン・ローソン・ファミマなど都道府県別の勢力図は?

どこかのコンビニチェーン店に加盟して、1店舗出店しただけで、その他のコンビニに比べてブランディングになるでしょうか?

しかもコンビニより多い7万点というのは毎年新規で発行される本の数です。つまり、新刊以外の「過去のヒット作」とも比較され、勝負していかなくてはならないのです。

その状況では、むしろ本を書いているのに自分の本が売れなかったら「この人本当に大丈夫?」と思われる危険があると思いますがいかがでしょうか?

<誰に読んでもらえるのか>

紙の本は「読んでもらえる人」がwebや他のメディアと違うというのが、メリットだと言えます。

webは検索ワードで上位化することで、検索してきてもらったり、バズらせることで爆発的に世に広める可能性があります。しかし、検索はその「キーワード」を認識している人に限られます。例えば「糖質制限」を検索する人は「糖質制限」のことを知っている人だけですね。しかし本屋さんでは「美容・ダイエット」の棚に来てる人に告知することになるので「糖質制限」という言葉を知らない「ダイエット超初心者」にも届けることができます。

またバズるワードというのはどうしても若い世代向けになりがちです。しかし、今の本は(ジャンルごとに偏りがあるとはいえ)年齢層が高く、特に医療健康ジャンルやお金(蓄財系)などは、webで情報を集めるより、TVや新聞広告に反応する世代にリーチできます。

 

もちろんそもそもの話として、地域に根差したビジネスやサービスを提供されている著者の場合、全国主要都市に自分の本を並べてもらえることは、遠方の読者に知ってもらうことができるという意味でメリットがあります。

 

本を書くための準備

本を書く準備としてやっておいた方が良いことをまとめます。

<企画書を書く>

本を書く手順でも紹介しましたが、本のすべては企画書から始まります。ですので企画書を書きましょう。

企画書の要素ですが、特に「すべての出版社に共通のフォーマット」というものはありません。

なので、僕がいつも使っている企画書の要素をご紹介します。

【企画書の7要素】

  • タイトル案(あればサブタイトルや帯の案も)
  • 著者プロフィール
  • 体裁(本体価格と本の形状)
  • コンセプト(16文字×2行まで)
  • コンセプトの解説
  • 企画概要と企画意図
  • 構成案

タイトル案(とサブタイトル、帯案)とプロフィールでA4用紙1枚使い切るくらいの分量を使います。

体裁はとりあえず「文庫」か「新書」か「四六判」(普通のサイズの本のこと)かから選びます。四六判の場合、ソフトカバーかハードカバーかも書いておくと良いでしょう。どういうサイズの本かで、企画書の意図が変わってきますので地味に重要です。本体価格は文庫は500円強、新書は1000円前後で、ソフトカバーは1200円前後で、ハードカバーは1800~2400円くらいいまででしょうか?ただ価格を決めるのは出版社ですし、何なら書かなくても大丈夫かもしれません。僕は昔からの癖で書いてますが。

コンセプトはその企画の何が面白いかを伝えます。タイトル案がけっこう攻めてて「インパクトあるけど、ちょっと説明がいる」っていう時などに特に重宝します。コンセプトは「ヒトコトで言うと、こういう本だよ」という話なので、それを解説します。

そして実際の企画概要と、その意図を書き、最後に具体的な構成案になります。つまりよりインパクト重視・コンセプト的な部分から、徐々に具体的な企画の中身に移っていくのです。

ちなみに構成案は5章構成で、各章の見出しが8つずつくらいでしょうか。多くても問題はないですが、これより少ないとあんまりネタがないとか掘り下げが足りないという印象を与えます。また、例えば見出し100個のようにあんまり多すぎると絞り切れてない、散漫な印象も与えます。

 

具体的に企画書を書き始める方法は、この記事が参考になるかもしれません。

売れる本を書きたいと思ったら3つの視点を持つ【出版社に採用される企画】

<長文の文章力を身につける>

本の原稿はだいたい8万字~12万字と言われています。これはかなりの分量で、日々SNSなどで文章を書きなれている人でも、書けないことがあります。

書けない原因の一つはネタ不足です。原則として同じ本の中で同じ内容は書かないので、基本的に見出しの数だけネタが必要です。日々SNSなどに投稿している文章だとネタが被ってても気にしませんし「表現は違うけど、結局は同じことを言っているだけ」という状況でも、あんまりツッコミが入ったりはしません。

この対策としてはネタ帳を作る、もしくはブログ等をはじめて50回以上、違う内容で連載することです。

5章編成で各章8つの見出しの本なら、5×8で40個のネタが必要になります。最低40以上の「書けるネタ」のあるテーマなら、ネタ不足で書けなくなることはありません。

 

また、ネタとは別に長い文章そのものが書けない人もいます。短い文章と違い、長い文章は「構成」を意識しないといけません。例えば全体を5分割して「導入」「問題提起」「背景説明」「解決策提示」「具体案」のように構成を組み、自分が今、どこを書いているのか?どこを削って、どこを厚くすべきかなど書きながら鳥の目で見なくてはいけません。つまり短い文章を書いている人がよくやる「勢いのまま書く」というやり方だけではダメなのです。

ではどうやって解決すればよいでしょうか?一番有効なのは、やはりブログやオウンドメディアで2000字以上の記事を作成することですね。

特に記事として書く場合「何を伝えたいか」から逆算して<見出し>を作ることになります。この見出しを作成して、見出しに合わせた内容を書くというのは非常に良い訓練になります。

「書けない」のは地味に効いてきます、企画書を書く前に準備しておきましょう。

<見出し・構成案を作る>

企画書の要素としてすでに紹介しましたが、見出し・構成案づくりには準備が必要になります。見出しというのはネタそのものであり「PCの前で、今すぐ思いつくもの」だけだとありきたりになってしまうことも多いので、思いついたときにストックしておくのが重要です。

なので、見出しについては、仮に5章×8つずつ=40個で足りるとしても「これはまとめて一つにした方が伝わる」とか「もっと良いエピソードがあったな!」など日々の仕事などで思いつくたびにブラッシュアップしていきましょう。

時間をかければかけるほど面白い見出しになります。(時間をただ過ごすだけではだめですよ、ちゃんとネタ探しをして「時間をかけて」ください)

<編集者の知り合いを作る>

企画書ができて文章の練習をしても、編集者にその企画書を見てもらえなければ、その後の「企画会議」で検討してもらえません。

なんの人脈もなければ、出版社に直接持ち込みとなるのでしょうが、郵送しても見てもらえるか分かりませんし、見てもらえても企画が採用される確率はとても低いようです。某出版社は「すべての持ち込み企画に目を通す」そうですが、企画書1000通のうち、2~3冊が本になるイメージだと言っていました。

この現実を考えると、持ち込みはハードルが高いので編集者と知り合って、関係性を作る努力をする。もしくは、出版セミナーに参加して、紹介してもらうかしましょう。

自分で知り合いを作る場合は、編集者が集まってる飲み会に呼んでもらうのが一番早いです。ただ、売り込み目的の人が飲み会に呼ばれるかというと、やっぱり呼ばれにくいので、気に入った本の出版記念パーティなどに参加してみましょう。その本の担当編集さんが来ている確率は高いです。

プロが教える「本を出版するためにやっておくべき具体的な行動15」

<情報・知識のウラ取り>

けっこう時間もかかるし、大変なので事前にやっておくと良いのが「情報のウラ取り」です。自分が体験したことを書くだけなら、そんなに大変ではないですが、一般論について言及したり、他者の話を書く場合は必須となります。

例えばこの記事では『某出版社は「すべての持ち込み企画に目を通す」そうですが、企画書1000通のうち、2~3冊が本になる』と書いきました。これはもちろん、ちゃんとウラを取った情報です。ある出版社の編集さんに「御社で持ち込み企画が実際に本になることってあるんですか?」と聞いて、ちゃんと教えてもらいました。

また、一般論について、例えば「納豆は健康に良い」ということを言う場合も「根拠はあるのか?」とちゃんと調べましょう。特に「医療健康」ジャンルと「節税」などお金に関するジャンルは「エビデンス」が非常に重要です。

参考文献を調べに図書館に行ったり、ネットで確認できる記事でもちゃんとURLを記録してキャプチャも取っておくなど、時間のあるうちに準備をしておきましょう。

 

<オウンドメディアを持つ>

オウンドメディアとは、自分で管理運営するメディアのことです。これは本を書く「だけ」であれば必須ではありません。しかし、その本をちゃんと世に広めること、その後のことも考えるなら必須と言えるでしょう。

 

オウンドメディアのあり方は、画像・動画コンテンツ配信、ECサイトなどいろいろありますが、本の出版を考えている人であれば、文章を中心としたコンテンツになるでしょう。これは原稿をを書く練習になるし、シェアされる記事が書けるようになると、本になったとき線を引いてもらえるような文章が書けるようになります

また、編集者がネットで調べて、本の出版依頼が来るというのは良くある話です。「笑える スピリチュアル」で検索して、さとうみつろうさんのブログを発見し、後に「神様とのおしゃべり」が出版されたという話を、担当編集者の岸田さんがwebラジオで話してくださってましたね(リンク先の音声ファイル18:30ごろから)。

 

オウンドメディアで読者を増やしておくと、出版後にまずその読者に告知することができます。最初に買ってくれるのは「自分のことを知っている人」がほとんどなので、発売前からお客さんを作っておくと有効です。「出版は発売までに積み上げた結果がすべて」というのは西浦の持論ですがまず間違いありません。

 

また本が売れた後のことを考えてもオウンドメディアを作っておくべきです。本が売れればファンができます。そのファンの受け皿として講演会やサロン、セミナーの案内をしたり、物販することも可能です。読者を迷子にしてはいけません

 

本の出版後、ネット連載など依頼されることもあります。外部サイトでの連載は読者の目に留まったり、シェアされることも多いのですが、永遠に連載が続くわけではありません。どれだけあなたの記事に人気があっても、編集長が交代すると一新されたりとか。外部連載であなたのことを知った人を、連載が続いている内にオウンドメディアに誘導しておきましょう。

 

本の出版をお考えの方へ

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

本を書く方法【はじめての出版用】

出版プロデューサーの西浦です。2010年から今(2017年9月)までプロデュースしてきた本の平均部数約47,0...

本を書くことで著者は儲かるのか?

「出版 儲かる」「本 利益」などでちょっと検索すればわかりますが「儲からない!」「大赤字だ!」と阿鼻叫喚の地獄絵図です。

中には「現状の印税制度では、著者はビジネスとして成立しない。このままでは衰退するぞ!」というようなご意見もあり、それを真正面から否定できないのがさらにつらいところです。

西浦としては「本を書く目的=印税を得るため」という考え方にはあまり馴染みません。「本は読者のために書くもの」という考えが根底にあるからです。

それで今までは「印税で儲けようなんて思う方が間違っている」「出版は社会貢献、ボランティアだ!」という意見に賛同してきましたが、著者自身にも経済的報酬がないと「制度として」存続できなくなるのはその通りだ、と思い直すようになりました。

「人はパンのみにて生きるにあらず」ですが、パンがなかったらお腹が空きます。

僕は「出版は人と人とが助け合う仕組み」だと思っていますが、助ける側の負担ばかりが増えすぎると、仕組み自体が破たんしてしまいます。

「仕組みとしての出版」を維持していくために、著者が出版を通じて利益を得る方法を僕なりにお伝えします。

 

赤字だ!と騒ぐのは仕組みを用意していない人

さきほども紹介しましたが「出版 儲かる」「本 利益」などで検索してヒットする「儲からない!」「大赤字だ!」という方の主張を読むと、皆さん「印税だけ」で利益を得ようとされています。それでは確かに儲からないだろうと思います。まるで、キャッシュポイントを用意しないで、SNSでブランディングしまくるようなものだからです。

ビジネスは準備したことの結果が現実に表れます。それは出版も同じことです。印税については「かかった費用を回収するためのもの」程度に考えた方が良いです。(印税で投資額を回収する方法についてはこちら

 

印税だけで儲ける」という考えを捨てましょう。出版から利益を生み出す「仕組みを構築する」のです。

 

出版は「あなたの考えに共感する仲間を募ること」

「仕組みづくり」と言うと、なんだか冷たい、血の通わない印象を持たれるかもしれませんが、そんなことはありません。

SEOと真剣に取り組めば取り組むほど、結果的にユーザーとよりいっそう真剣に向き合っていくのと同じように、出版も仕組みを考えることは、より自分の読者と真剣に向き合っていくことになります。
ここで言う仕組みとは、読者の求めるものを提供する仕組みを指すからです。

僕が著者として成功されているなと感じる方々は、仕組みづくりもしっかりしていますが、皆さん真剣に読者と向き合い、大事にされています。

だからこそ、仕組みを通して読者に貢献し、お金が入ってくるのではないでしょうか。

そんな彼らに共通している考え方は、出版を「印税を得るためのもの、ブランディングするためのもの」ではなく、「ある価値観に共感する仲間を募ること」だと考えていることです。

 

一度、読者の身になって考えてみましょう。ある読者が、あなたの書いた本を読んで感動し、何かが救われたと感じています。あるいはあなたのようになりたいと憧れを抱きました。もっとあなたの考え方に触れたい、もっと知りたいことがある、読むだけじゃなくて実践したいと感じれば、あなたの講演会やイベントはないかとネットで検索してみます。まずはGoogleやSNSであなたの名前を検索するでしょう。

 

実は、最後まで本を読み、著者のメルマガやブログなどを検索する読者は、全体のおよそ10%と言われています。

さらに、その10%が実際にアクションを起こし、何かに参加したり、ネットで商品を買うと言われています。(つまり読者全体の1%)

実際にアクションする人のパーセンテージは訪問したサイトのコンバージョン率などによって左右されるものですが、通常の訪問者よりはかなり高確率でアクションする傾向にあります。
なぜなら彼らは「本を読み、考え方に共感して訪問している」読者だからです。

つまり10万部のベストセラーであれば、1万人が名前を調べ、1000人が講演会に参加したり商品を買ったりするのです。

10万人のうちの1000人というと少なく感じるかもしれません。しかしこの1000人は「共感し、さらに行動した」1000人です。この1000人は普通のユーザーとは質が違います。

彼らが1万円のイベントに参加してくれたらそれだけで1000万円の売り上げです。さらにそこからカウンセリングやコンサルなど、より高額なサービスを求める読者もいますから、売り上げは伸びて行きます。そして10万人の読者の中から、1万人の共感者、1000人の実践者、100人の仲間と増えていくのです。

あくまで「どうやって情報商材を売りつけてやろうか」と考えていたら「以前の講演内容をDVDにして売ろう」といった、楽して稼ぐ思考になってしまいます。

しかし彼らを「一緒に理想に向かう仲間」だと考えれば提供するモノも、反響も違ってくるのは当然です。

成功している著者が行っているしくみづくり

このように読者の求める声に応じる仕組みが用意されていなくては、読者が迷子になってしまいます。迷子の受け皿になる仕組みを作ってあげなければなりません。つまりは読者に貢献する「コミュニティ」づくりと運営が重要になります。

コミュニティの形はコミュニティデザイナーであるあなた次第ですが、ここでは具体的に著者として成功されている方々が、取り入れられている仕組みについてご紹介します。

  • 毎年本を書き続け、累計100冊。年50万部伸び続ける状況

この数字を出すと対象者は限られてきますが、デビューから今日まで本を出し続け、新刊既刊合わせて50万部/年 売れる環境を作っている著者さんがいます。50万部ですから、毎年5000人の共感者がコミュニティに加わっている計算になります(重複がいるでしょうけど)。また、50万部を維持できるよう、既存のコミュニティメンバーが本を買ってくれます。これはもうコミュニティと本の共生関係が完全に成立している状態です。コミュニティを成長させるにはある程度の新陳代謝が不可欠です。新たに人が流れてくる仕組みをつくりましょう。この域に達するためにはベストセラーが当然必要です。自分の名前の棚もできるでしょう。

  • 読者のために作ったオリジナル商品を毎月お届け

ネットで何十万円もする情報商材のDVDを販売して、それがまた飛ぶように売れた時期もありました。今は1万円が限界と聞きます。それと比べると低額ですが、2千円、3千円の商品を毎月継続販売している著者さんがいらっしゃいます。直接のコンサル、カウンセリングをするにはマンパワー的な限界がある場合などに用意されます。クラウドファウンディングなどでもそうですが、今はいいモノなら強い共感を理由に継続購入するユーザーが増えています。割安感はあるか?(直接行くより安い、コンサルよりお得など)継続する理由はあるか?など諸条件をクリアできれば喜ばれるでしょう。「正直、印税いらない」くらいの収入になることも多いようです。

  • 関連したコミュニティとコラボして拡大

積極的に「コミュニティのコラボ」を行い、交流と拡大を図っていきます。ジャンルやアプローチ法は違っても考え方に共感できる人とコラボしてイベントを仕掛けます。そうすることでまだ見ぬ共感者を増やしていくこともできます。例えば「血流がすべて解決する」の堀江さんは、自身で集客する講演会だけでなく「ヨガ×血流」のコラボコミュニティも運営しています。ご自身もヨガをされていて、「血流の話を、ヨガをしてから聴くと体感できるから理解しやすい」という実体験をもとに広がっているコミュニティです。ただ本を売りたいだけのコミュニティではなく、ちゃんと読者に貢献できる仕組みになっていますし、ヨガは好きだけど本を読んだことがない方との出会いもあり、良い循環が生まれています。
全国のヨガインストラクターさんから「一緒にやりたいです!」というお声がけがあるのですが、ちゃんと共感できる方々とやるのがコツだとおっしゃっていました。

他にも「作家として生き残るためにすべき6つのこと」読者の役に立つコミュニティや仕組みをつくるでコミュニティについて紹介しているので合わせてご覧ください。

 

これらのことを意識すれば、著者が出版を通じて利益を得られるようになり、少なくとも「印税だけ」で利益を得ようとするよりは、「仕組みとしての出版」を維持していけるのではないでしょうか。

それでも「利益のための出版」は相変わらず反対です。「公益」として出版し、「利益」【も】生み出す視点を持っていきたいと思います。

 

もっと突っ込んだ話を聞きたい方はぜひイベントや、懇親会で・・・

本の出版をお考えの方へ

 

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

著者は出版でちゃんと利益を出せるのか【出版とお金の話】vol.3

本を書くことで著者は儲かるのか? 「出版 儲かる」「本 利益」などでちょっと検索すればわかりますが「儲からない...

前回、出版にいくらかかるの?というテーマで「出版セミナー」と、「出版プロデュース」の費用面から解説しました。

今回は、本の印税の話です。「いくら印税もらえるの?」など、印税について、全部書きました。

たとえば10万部売れたら1400万円強の印税が支払われます。でも、すべて印税契約の内容次第です。

出版でちゃんと利益を出すには、何に注意すればよいのでしょうか?

印税はいくらもらえるのか

もらえる人は結構な額をもらえます。でもほとんどの人はリアルな額になります。

「夢の印税生活」などと言いますが、そんな幻想は捨てて下さい。たまに本を書いて、あとは晴耕雨読の日々を過ごせるなんていうのは完全なるファンタジーです。

よほどの天才作家さん以外、印税は「本業で頑張ったほうがよっぽどまし」「儲かりもしないし、大変だけど、読者のためにボランティアのつもりで書いてたら、思ったよりもらえた」くらいの金額です。
イメージしやすいよう、具体的に印税の計算方法を紹介します。

 

印税の計算式

 

印税額=本体価格×部数×印税率×消費税

 

これが、印税の計算式です。

本体価格とは本の価格、部数は発行した本の冊数のことです。
※部数は、契約によって「発行部数」もしくは「実売部数」と2パターンあるのですが、まるっきり条件が違ってくるので、詳しくは後述します。

印税率とは、出版社と著者との間で取り決める条件です。一般的に5~10%で設定されます。

仮に1,300円の本が10万部売れて、印税率が10%。消費税が8%だったら

・1,300円×100,000部×10%×1.08=14,040,000

あなたに支払われる印税は1,400万円強になります。

 

この印税計算式の項目はすべて「かけ算」なので、本体価格、印税率、部数が各10%上昇すると1.1×1.1×1.1=1.331、33%も上昇するということです。(印税は最大10%なので、印税率には上限がある)
部数にばかり気を取られがちですが、印税率や本体価格の影響も大きいので、諸条件もちゃんと検討しましょう。

印税の条件や違い

<本体価格>

本体価格は本ごとに設定されますが、一般的な書籍の場合1,200~1,400円くらいが多いです。新書だと1,000円前後、文庫だと500円前後です。ちょっと難しいハードカバーの本で1,800~2,300円くらいが多いでしょうか。もちろん1万円以上するような専門書もあります。ピケティの『21世紀の資本』は5,940円でした。1200円の本と比べると約5倍違います。つまり5,940円の本が2万部売れると、1,200円の本で10万部売れたくらいの印税になります。(一時期ピケティ算と言って、ピケティだったらいくらという冗談が業界内で流行ってました(笑))

ということは「本体価格は高いほうがいいのでは?」と思いがちですが、高すぎる本は手に取りにくいというジレンマがあります。
それに文庫や新書は、一般書と比べて、価格が低く買いやすいというだけでなく、棚も違うし、購読層や売れるお店も変わってきます。つまり高い安いだけでなく、本の内容や読者層などによって総合的に判断するものです。
価格が高くても売れるもの、安くしたほうが売れるものと、商品の特性ごとに最適な金額を設定しましょう。

※余談ですが、本体価格は再販制によって「定価」が守られています(本屋さんで値引きができない)。もし再販制を撤廃するなどして、販売価格が自由に変更できるようになったら、印税が今までより下がる可能性もありえます。

<部数(発行部数か実売部数か)>

部数が増えると印税額も増えるため、増刷するたびに印税が支払われることになります。だからみんな増刷を喜んでいるのですね。ちなみに増刷は「重版」と同義です。以前放送された「重版出来」というドラマで、みんなが増刷を祝って手を打つシーンを観た人もいるでしょうが、実際にはあそこまで大げさにはやりません。でも10万部突破したりすると大台に乗ったということで、お祝いしてもらえたりします。

さて、この部数ですが契約条件に「発行部数」か「実売部数」かの違いがあります。
「発行部数」条件の場合は、製作した部数全部が印税の支払い対象となります。
これに対し「実売部数」条件では「実売=実際に売れた冊数」のみを印税の支払い対象とします。

この実売部数についても「出荷数」でカウントするところと「出荷数−返品数」でカウントするところなど、厳密には出版社ごとに違うので、「実売部数」と言われた場合は詳しく「何をもって実売とするか」確認しましょう。

ちなみに「実売部数」による印税契約を「実売印税」と呼び、通常の「発行部数」による契約とは区別しています。
もちろんどちらが著者にとってうれしい条件かというと、「発行部数」による契約ですね。

<印税率>

本ごとに設定される条件で、売り上げの何%が著者に支払われるかという割合です。実質的には「同じ著者で同じ出版社から本を出す場合は同じ印税率」になることがほとんどなので、本の質や期待度よりも著者のブランド力や実績で測られると思って良いでしょう。つまり新人は最も不利な条件となる傾向にあります。

なお、どんな大御所でも印税は最大で10%です。これは小説でも、コミックでも変わりません。一度だけ12%というのを聞いたことがあるのですが、真偽は不明です確かに超有名な著者でしたが、何よりも政治的な何かがごにょごにょ

印税は著者のブランド力に依存しますが、実際はそれ以上に、出版社の体制で決まることが多いです。新人は一律5%とか、10万部出したことない著者は全員実売印税など、「出版社側の方針」で決まっているのだと思ってください。

 

ちなみに前の記事で、出版プロデューサーに支払う印税は3%が一般的ということを書きました。

もし、新人で印税が5%しかないと、著者は2%しかもらえないのか?という疑問が湧きますよね?確かに、もしそうなら厳しい話です。

 

現実的には出版プロデューサーが企画を持ち込ませていただいたケースだと、印税が8%以上になることが多いです。出版社サイドもお気遣いいただいているのだと思います。(確認済み、皆さん本当にありがとうございます。この場を借りて感謝申し上げます。)

ちなみに僕の場合、初刷8~9%、増刷後9%~10%というケースがほとんどでして、著者の印税率は初刷5%~6%、増刷時6%~7%となります。

プロデューサーが付いていない場合、新人だと初刷5%ということも多く「増刷時に上げてください」とも言いづらいでしょうから、その意味でも最初はプロデューサーについてもらったほうがお得だと思います。(そもそも増刷以降の条件を変更するという発想がないかも。)

もちろん新人でも、最初から9%、10%くれるところもあるかもしれません。やはりキャッシュフローが安定している会社は条件の良いところが多いので、一人でデビュー作から高い印税率を狙うなら、いわゆる大手さんが良いと思います。ただし大手=売れるという図式が必ずしも成り立たないことは覚えておいてください、いくら印税率が高くても、増刷できなければ印税は増えません。

出版の費用対効果(短期視点)

vol.1の記事で出版のプロデュース料は300万円くらいが一番多いと書きました。僕らは250万円いただいています。
僕らが250万円に設定しているのは、自費出版(200万円くらい)や企業出版(800万円くらい)とのバランスもありますが、ちゃんと経済合理的な理由があって、著者の印税をベースに算出しているのです。

 

僕らのプロデュース実績は平均46,000部です。
これを仮に1,300円の本、印税率7%(3%がプロデューサーに入る)で印税額を計算すると

1,300円×46,000部×7%×1.08=4,520,880円となります。

1,200円で印税率6%だったとしても3,576,960円です。

つまり250万円のプロデュース料に対して平均して、350万円~450万円の印税を得ることができているので、その他に出版セミナー代や販促費をお支払いいただいても、投資としてちゃんと回収できる金額に設計されているのです。

僕は出版プロデューサーは、世の中の役に立つ本をつくり、一人でも多くの読者の人生に役立たせるという「公益」視点と、クライアントと出版社、取次、書店に全方位に経済的報酬をもたらす「利益」視点の二つが重要だと思っています。

このようにプロデュース料というのは、経済合理性からも判断する必要があると思います。その際に最も参考になるのは、前回の記事で紹介した5つの指標のうち、特に重要な「平均部数」です。出版プロデューサーに依頼するときは「平均部数」を確認されるとよいでしょう。

あなたも著者として出版に取り組まれるときは「公益」と「利益」の両方の視点で考えてくださいね!
どちらかだけだとダメですよ!

 

つづきはこちら

本の出版をお考えの方へ

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
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【本の印税】ベストセラーで1400万円?出版印税と契約について【出版とお金の話】vol.2

前回、出版にいくらかかるの?というテーマで「出版セミナー」と、「出版プロデュース」の費用面から解説しました。 ...

本を出版しよう!と思ったときにやはり気になるのが「費用」の問題です。基本的な部分ですが、お金の話は大事なので書きました。

出版費用はいくらぐらい?

出版にはいったい、いくらぐらいかかるのでしょうか?
初めての出版を目指す人は、主に

  • 出版セミナー・出版塾
  • 出版プロデュース

のどちらか、あるいは両方を利用して本を出すことが多いです。

 

出版セミナー・出版塾の費用や違い

<費用と概要>

まずは出版セミナー・出版塾ですが「30~60万円」くらいが相場のようです。

期間も3か月くらいのものから、半年以上のものまでいろいろあります。

たいてい、出版プロデューサー(肩書は著者のこともあるけど)が主催しており、複数の出版社から編集者をゲストに招いて、企画のプレゼンを行い、出版実現を目指すのが一般的です。

 

講座ではプレゼンのための企画書づくりを、講師(出版プロデューサー)が教えてくれます。価格の違いは、主に期間によることが多いですが、詳細は主催者の判断です。

 

<出版社主催の出版セミナー>

また、サンマーク出版さんやダイヤモンド社さんをはじめとした、出版社主催の出版セミナーが開催されたこともあります。

こちらは当然その会社の編集者が講師であり、グランプリ等に輝けばそのまま出版が可能というものです。

実際にベストセラーになった著者もいたようで、一定上の効果はあったと思うのですが、その後も力を入れて開催しているという話は今のところ(2017年8月)あまり聞きません。準備等大変ですし、常時20本以上の企画を抱えている編集者に「本になるかどうか不明の企画を複数本担当させるのはしんどい」というのがリアルなところでしょうか。

<出版社主催、出版プロデューサー主催のメリットの違い>

出版セミナーには、出版プロデューサーの主催のものと、出版社主催のものとがありますが、それぞれのメリットを整理します。

 

出版プロデューサー主催のメリットは「複数の出版社の編集者と会える」ことです。

保険でいうと、特定の会社の保険だけでなく、複数の会社の保険からあなたに合う保険をセレクトしてもらえるようなものです。出版社ごとに企画の考え方は違うので、複数の出版社の中から、自分に合った出版社に企画を提案できるのは嬉しいですね。

 

出版社主催の最大のメリットは「確実にその出版社から本を出版できる」ことです。

絶対にこの出版社から本を出したい!という強い希望がある場合、その出版社主催のセミナーがおすすめです。

出版プロデューサーのセミナーに、お目当ての出版社がきてくれるかどうかは不明です。出版社主催でしたら絶対にその会社に企画を見てもらえるので安心ですね。

それに、出版はできなくても、その会社のベースとなる企画の考え方を学べるのも大きいのではないでしょうか。

「ここの本が好きなんだ!絶対この出版社から出すぞ!」という会社があれば、そのセミナーへの参加が絶対おすすめです!

出版プロデュースの費用や違い

<費用と概算>

次に出版プロデュースですが、だいたい「60~400万円」くらいで、かつ印税報酬が3%(全部で10%のうち)というケースが一般的です。出版セミナーと違い、1対1で著者の相談に乗り、企画作成など、出版のプロデュースをしていきます。

価格の幅が大きいですが、基本的には「サービス内容」と「実績」の違いです。

具体的には「企画書を一緒に作って、編集者とつないで終わり(制作にタッチしない)」か、「出版まで(制作含む)」、「出版後の販促まで」プロデュースしてくれるかの違いです。

「編集者を紹介して終わり」系だと100万円くらいまでという印象で、「制作も含めたプロデュース」は200万円~という感じでしょうか。

ちなみに初心者には後者のタイプをおすすめします。

例えば、編集者を紹介されたものの、企画会議を通過できない、会議は通過したけど執筆がダメ出しばかりで進まない(そもそも書けない)ということもあるし、出版後「がんばって売る告知などお願いしますね!」と編集者から言われて「どうすればいいの?」と慌てることも多いです。

ですので、最初の出版の時はプロデューサーでも「制作、販促まで」やってくれる人をお勧めします。「編集者を紹介して終わり」だと、結局出版が実現しなくて、かえってお金がもったいないです。

すでに出版経験があり、そこそこヒット作を出せた人なら「自分がまったく関わりのない出版社を紹介してほしい」という場合、紹介のみのプロデュースがお勧めです。

ちなみにプロデュース料で一番多い、ボリュームゾーンは300万円くらいです。その理由は自費出版が1000部で200万円、企業出版が2000部で800万円だったりするので「自費出版並みの価格で、商業出版ができて、部数も5000部くらいだからコスパいいよね」という理屈だと思います。

 

<プロデューサー選びの参考にしたい指標>

価格の違いとして重要な部分ですし、実績は人によって違うので、下記のような指標をよく調べましょう。

  • 企画通過率(プロデュースした企画の何%が編集者に採用されたか)
  • 出版実現率(出版社の企画会議を通過、原稿執筆を経て、実際に本が出版される率)
  • 増刷率(出版された本の何パーセントが増刷されてたか、つまりヒット率)
  • 平均部数(プロデュースした本の最終部数を平均した数値。プロデューサーとしての総合実力)
  • 最大部数(プロデュースした本の最大ヒット部数記録)

特に注目したいのが増刷率、平均部数、最大部数の3つです。

増刷率は「どれだけ外さないか」がわかる指標です。大ヒットに恵まれれば、平均値や最大部数は上がりますが、増刷率が低いと「たまたま」の可能性があります。運ではない、確かな実力や、再現性のある理論があるかはここを見ます。

 

平均部数は「最も実力を判断できる」指標です。1回だけの増刷で終わるのでは無く「何部まで売れたかの平均値」ですので、自分の本がどれだけ売れるか?の目安にもなります。著者のプロフィールからベストな企画を提案し、企画ごとにベストな編集者とのマッチング、最も効果的な出版社とのマッチングをできているかがわかります。

 

最大部数は「どれだけ大きい企画を描けるか」の指標です。プロデュースした作品の中で、最も売れた本の部数から判断します。シリーズ累計部数ではなく、1冊での最大部数を確認しないと意味がないのでご注意を。

やはり最大10万部のプロデューサーと、100万部のプロデューサーでは見てきた世界が違います。10万部の10倍がんばったら100万部になるのか、それともならないのかは、100万部と10万部両方経験していないと判断できません。

ひょっとしたら「運」なのかもしれませんが、「運」をもっているというだけでも巨大な才能です。

ご自身の本をより多くの方に読んでもらいたい!と思う方は、プロデュース料の高い安いよりも、費用と実力のバランスでベストな方を選ぶのが良いでしょう。

 

結論:出版にはいくらかかるのか

出版セミナーだけなら60万円、出版プロデュースを受けるなら300万円くらいするのが一般的です。

また、本の出版後は告知用に、SNSで広告を出したり販促費がかかったりもします。

それでは、印税やその他の収益はいくらぐらいになるのでしょうか?
それはVol.2で!

本の出版をお考えの方へ

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

出版にはいくらかかるの?費用は?【出版とお金の話】vol.1

本を出版しよう!と思ったときにやはり気になるのが「費用」の問題です。基本的な部分ですが、お金の話は大事なので書...

事前にしっかり雨の準備をした日に限って、ギリギリ晴れがちな出版プロデューサーの西浦です。長靴はいて、折り畳みじゃないカサ持って出たら「いっそ降ってくれ!」って思いますよね(笑)

 

ところで自分の本はわが子同然!という著者にとって、本が売れるかどうかは死活問題ですよね。

売れるためには何をすればいいの?というのが気になるところ。

 

というわけで今回も、出版業界の勉強会「出版右肩上がりの会」のメンバーに協力してもらい、事前プロモーションに関する集合知をこっそりまとめてみました。

常に「どうすればより良い本を出せるか、1冊でも多く読者に届けられるか」に苦心しているメンバーだけに、今回も超リアルな手法と事例が集まりました!
施策の他に、最後に注意点も3つまとめてありますので、合わせてご覧ください!

※出版業界のプロに聞く!「出版右肩上がりの会」の以前の記事はこちら
成功する著者2パターンと、失敗する著者の16条件【編集者、書店員のホンネ】

仕掛け販売

通常の展開よりもかなり力を入れて、店頭で積んで読者へPRする施策。大型の広告やプロモーションと連動させることが多い。

「売れなかったときのガッカリ感も大きい」というリスクがある。

書店では、どんな本かという「本そのものの情報」より販促情報が重要視される傾向がある。

  • 何に取り上げられるか?(メディア露出)
  • 広告の予定は?
  • 非Amazonキャンペーンでのリアルな予約数の上がり方

など。
文芸の場合はプルーフ(試し刷)を作って、書店員に渡し、内容をPRすることが多いが(そして文芸そればっかりじゃん!という批判の声もあるが)、一般書・実用書ではあまり見ない。それは上記のように、より販促情報を重視する傾向ゆえか。

また、Amazonでのリアルな予約数が影響するのは、Amazonキャンペーンと違って、ネットの記事など露出効果によるものだと予測できるから。これらはリアル書店にも波及することが多い。

 

テスト販売(先行販売)

正式な発売前にテスト的に一部の書店さんで展開してもらい、売れ行きをチェックする手法。だいたい発売の1週間前に実施されることが多い。

これにはいったいどんな効果があるのか?

  • 成功事例)
    「●代でやっておきたいこと」系の本で、テスト販売の実績が悪すぎてカバーを変えた(すっごいシンプルにした)ら、数十万部のヒットになったことがある。

つまりカバーを変えられるくらい時間に余裕のある「先行」販売の場合有効である(この事例では1か月前)

逆に

  • 失敗事例)

先行販売の動きが悪くて営業のテンションが下がる

という「数店舗だけのテスト結果で期待値を下げてしまう」リスクもあり、仕掛け販売と同じく諸刃の刃と言える。

 

また、通常よく行われる「主力店で1週間の先行販売」は

  • 先行販売であることを店頭でPRして読者の目を引いたり
  • 搬入時(正式な発売時)に追加注文をしておいたり(売り損じ減・拡販効果)
  • 「発売前増刷」を検討したり

ということが可能で、1週間前ではカバーは変えられないまでも、やはり販売面で有効な施策であると言える。

 

つまりはテスト販売(先行販売)は実施後に「そこから発売までに何をするか」次第の施策ともいえる。なんとなくでやっても、二の手を繰り出さねば意味がないのだろう。

著者のSNSでPR

取材の様子など、発売前から書籍の情報を発信して、ファンの期待感を高めておくこと。発売直後の初速に好影響をあり。ブログやSNSなど、著者のオウンドメディアPV数やファンのコア度に依存する。

 

また、著名な担当著者同士を紹介して、互いのSNSでシェアしてもらうというやり方もある。
(急に「あれ?なんでこの人たち急に仲良く・・・?」と思ってたら1か月後に本出たり。その担当編集者が同じだったりする)

編集者やプロデューサーの関係構築力によるが、何より本人たち次第なので注意(合わない人は合わない)。

読者や関係者を巻き込む

ある意味、最も古典的で最も有効な方法。読者や書店員さんなど、実売に特に大きい影響を与える人に対し「特別な思い入れ」を持ってもらうためのいろいろ。

  • カバーどっちがいいですか?のように製作にも携わってもらうことで巻き込んだり
  • オンラインサロンで本を売るための方法について意見集めたり(バクマン的な)
  • ユーザーに本に掲載する「コンテンツ」を募集したり(実際に1800件集まったケースも)
  • 極端な例として書店の社長にタイトルを決めてもらったこともある※

※「売り方に関する本」で、「タイトルを書店さんが決める」ことが本の特性上おかしくない場合のケースです。著者も納得のうえ。

「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」も取次の若手や書店員さんを巻き込んで販促していったと聞きました。キングコングの西野さんもこのやり方だと思います。

献本

見本や完成直後の本を献本し、メディアでの紹介を狙う。

  • 封筒ではなく、透明なビニールの封筒で中身を見せる(開封率アップ)
  • 直接渡しに行く(文芸は有効)

文芸では、書評担当者へ直接渡しに行くのは効果的だとされる。ただ実用系の本だと、ものすごく薄い反応のことが多いようです。

 

地方色の強いプロモーション

地方色の強い本は、地方紙(地元新聞)広告の反応が良い。広告に「地元本屋さんのコメントを載せる」と非常に有効だとの声。

地元本屋さんのランキングを載せることまではよくあるが、コメントまで載せるのは珍しい。地元読者へのPRももちろん、地元本屋さんでの展開も強化してもらいやすい。

また、東京でのイベントでも、ちゃんと地元新聞に連絡しておくと取材に来てくれたりすることもある(東京支部があるので)。なので東京でも何ができるか考えるのはアリかもしれない。

 

なお、地方色というのは、例えばUSJの本が関西で売れる?といった単純な結びつきだけでなく、

  • お金の本は関西で売れやすい(関西の番組では政治の話でも、議員の年収のように、お金に結び付けた方が視聴率が良かったりする)
  • 「心を上手に透視する方法」のような本も関西から売れ始めた(そういうけっこう腹黒いテーマも好きな気がする。知らんけど)

といった県民性や、その地域に「仕掛け販売の得意な本屋さんがあるかどうか」といった、いろんな要素が絡んでくる。

 

また地方色だけでなく「ニッチなニーズ」のある本も、地方色の強い本と同じように、ターゲットが「自分事にしやすい本」である。

同じ理由で事前プロモーションは効果的。

 

放送作家さんに手伝ってもらう

リリース作成時に、放送作家さんにアイデアを出してもらうという手法。

某アイドルの写真集発売のリリースについて、放送作家さんに考えてもらったところ、切り口として(昔「スイカップ」という言葉が流行ったことを前提に)「メロンヒップ」というキャッチでPR。すると予想以上の反響で、メディアに取り上げてもらえた。という事例がある。

なお、メロンヒップはその後、勉強会の場でも一時騒然となり、各自がいじりた倒していたことから、強いワードなんだなと実感しました。

 

試し読み、サキ読み

Amazonなどでも行っている、内容の一部を購入前に読者に見せる方法。サンマークさんのように自社で取り組んでいる出版社も。

後者の場合、販促効果以上に、「先に感想を集められる」というメリットが大きい。発売直後から「読者の声」を販促物、広告のコピーとして使用可能になる。

 

リリース配信は3か月前に

出版では通常、早くて1か月前くらいにプレスリリースを配信する。しかしCDやDVDは本に比べ、プレスリリースのタイミングが早いようで、タイトルや曲目など徐々に情報解禁していく。
ある本でレコード会社と一緒に企画を進めた時、本も3か月前にリリースを打つことになった。

 

(3か月前だと)本ができる前に取材が始まっていくので、タイトルやカバーもその時点で決める必要があった。

結果的には発売前にいくつかのメディアで掲載が決まったので効果があったのかもしれない。

 

別の事例では、「礼儀作法」の企画について、正月に合わせて夏からパブリシティを仕込んでいったケースもある。

構成⇒タイトル⇒書影と徐々に情報を流して、年末には某局の番組で取り上げが決まった。

反応が良ければ相手(メディア)の興味を促進するためにもドンドン情報を流せるよう、出版も「3か月前リリース配信」を念頭に動いた方が良いかもしれない。

 

3つの注意点

プロモーションと配本がズレると逆効果

プロモーションをどれだけ行っても、店頭に在庫がなくては全く意味がない。部門間の連携の問題か、会社の体制や仕組みによるものか、などケースによると思うが互いに販売機会は無駄にしたくないもの。

店によっては2ヶ月後に売れることもある

事前プロモーションについてアイデアや事例を紹介してきたが、その結果検証は発売直後に、初速の実績をベースに判断されることが多い。

しかし店によっては発売直後ではなく2か月後3か月後に売れることもある。そういった視点は忘れずにいたい。

売れないものの広告を打っても売れない

殊更に言うことでもないが、やはりそういうものかと。「売れない」理由が中身なのか、著者なのか、帯周りか、展開なのかにもよるので、そこは考えて対策をしたい。(中身と著者だったら発売後には対策できないけれど)

 

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

本の事前プロモーション9選と3つの注意点【編集者、書店員に聞いてみた!】

事前にしっかり雨の準備をした日に限って、ギリギリ晴れがちな出版プロデューサーの西浦です。長靴はいて、折り畳みじ...

たけのこの里が好きで「まずチョコレート部分を歯で削ってから、タルトの部分を食べる」などいろんな食べ方を試してきたのですが、普通に食べるのが一番ウマいと最近結論づけた出版プロデューサーの西浦です。

先日、印鑑証明書が必要だったので、ちょっと法務局へ行って来ました。

法人の印鑑証明書は原則として代表者しか取得できないものです。もちろん実際は代理人でも取得できるんですが「代理」人ということは、つまり本来は代表者の仕事ということでしょうか。

 

代表者≒社長の仕事ってたくさんありますよね。会社の経営が社長の仕事ですが、実際は経理も営業も企画も全部社長がやってたりします。

でも、できる社長になりたければ、どんなに忙しい状況でも、一人で経営について考える時間を作るのが秘訣だと昔教わりました。

 

『未来を創るための準備』をする

例えば、カフェで一人会議をすると、それがたとえ週に2時間でも、仕事の進まない時間を余分に作ることになります。これはコストです。

しかし、追われる日常から離れて、立ち止まって未来を考えることが、会社の進路を見直すために大切なことだったりします。

 

あるいは、人を雇うと、あらゆるお金がかかります。給料はもちろん、社会保険料も支払わないといけないし、必要な備品やそもそも採用活動自体にコストが発生しています。

そこからさらに人材育成にかかる時間や手間を考えれば「雇わない方が全然ラクじゃい!」って感じでしょうが、雇った人が自分以上に活躍する日が来れば、自分だけでは到達できない領域に進めます。

そう考えると、カフェで一人会議をして思考を整理するのも、人を雇って育てるのも『未来を創るための準備』で、まさに社長の仕事だと思います。

 

僕が思うに、この『未来を創るための準備』こそが社長の仕事で、実際に未来を作っていくのは、社長も含め多くの人と手を取り合って進めていくものなのでしょう。

本を書くのは誰の仕事なのか

であれば、本を書くのは社長=代表者の仕事なのでしょうか、それとも誰かに任せるべき仕事なのでしょうか?

それはその本が『未来を創るための本』なのかそうでないのかで変わると思います。

 

PRやブランディング、集客目的の本であれば、スタッフに任せるべきでしょう。それぞれの目的に合わせて、本で書くべきことは変わるし、それぞれの分野ごとに専門のスタッフに任せて、あなたは経営に集中する方が良いです。

でもあなたの本が誰かの『未来を創るための本』であれば、それはあなた(代表者)自身が書くべきです。

なぜなら社長=代表者の仕事は『未来を創るための準備』だからです。

 

この世にはいろんな本がありますが、読者のために書かれた本は、読者の未来を創るきっかけになれます。読者の未来をつくるのはもちろん読者自身ですが、その準備の一つになるのです。

特に『悩みとその解決法』を書くような、一般書や実用書ならなおさらですね。

 

しつこいですが、あなたの仕事は『未来を創るための準備』です。

それはあなたや、あなたの会社の未来だけでなく、業界の未来や、日本や世界といった『見知らぬ誰かの未来』も含めたものではないでしょうか。

『ここにいない誰か』のことを考えたい

売上のことを考えたら本なんて書かない方が良い

あなたが、本を書くことで誰かの未来に役立てられるような『すごい人』ならば、逆説的ですが本なんて書かないで、仕事に集中した方が儲かります。絶対に。

本は売上とかブランディングを目的とするには効率が悪いのです。

僕が思うに、本を書くということは、世の中をより良くするための事業です。感覚的には社会起業家に近いと思います。

『利益の追求』を目的として選ぶには、出版は効率のよくない事業だと思います。出版不況ですしね。

 

だから『本は書きたいけど忙しいから取材でパパっと作ってよ』といった考え方なら、出版という選択肢はいったん捨てて、本業に集中なさった方がいいと思います。

でないと中途半端に新規事業に手を出して撤退するように、ハンパな結果に終わります。本腰入れてやらないとケガします。

 

僕が今までプロデュースしてきた人は個人事業主から、上場企業の創業者まで、会社の規模としてはかなり広がりがありますが、みんなそれぞれ「超多忙」の中でちゃんと、本と読者と向き合ってくれました。

例えば、ある上場企業の社長は、すでに入っている会議をズラしてまで、出版のための時間を取ってくれました。

そのときに「きっとこの人の会議を一つずらしたら、多くの方のスケジュールに影響が出るのだろうなぁ」とは気づいたのですが、当然のようにスケジュールを開けてくれる著者に「そこまでしなくても・・・」と言ってしまったら、逆にこっちが失礼になると思うのです。

全部分かったうえで読者のために時間を割いてくれているわけですから、こっちもしっかり仕事して応えなくてはと思いました。

 

本を書くときは遠くを見る

ちなみに僕は著者への要求もけっこう厳しいのです。(しかも真顔か笑顔で言う・笑)

しかし、うちのクライアントたちは、はたから見ると『ドMなんじゃないか』というくらい喜んで(?)応えてくれます。

十二分に優秀な方々が、かなり多忙な状況で全力で自分の仕事に取り組んでいるうえに、さらに追加で出版のために時間を作ってくれているわけです。

 

たまに冷静になると『みんな立派な人だな・・・』と思います。本なんて書かないでも十分、売り上げも、業界内でのポジションも確立しているのに、さらに時間とエネルギーを割いて、本を書いているのです。

僕なら絶対イヤです(笑)

 

実はこの大変さを乗り切るコツのようなものが一つあります。それは、自分の周りだけでなく、『見知らぬ誰か』、『自分が死んだ後の世代』のことまで考えて出版に取り組むということです。

そうすることで、本というプロジェクトにかけるエネルギーが湧いてきます。本を書くときは遠くを見ましょう。『未来を創るための準備』と考えて出版に取り組んでくれると嬉しいです。

 

 

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

出版とは誰の仕事なのか【本は『誰かの未来を創るための準備』】

たけのこの里が好きで「まずチョコレート部分を歯で削ってから、タルトの部分を食べる」などいろんな食べ方を試してき...

本来、アイキャッチ画像は「記事を読みたくなる画像」のはずが、字が汚すぎて「何書いてあるか気になる・・・!」っていう知的好奇心の強い方しかキャッチできていない出版プロデューサーの西浦です。ようこそ知の探究者たち。

本を書くなら、やっぱり著者として成功したいですよね。でも、著者としての成功って何でしょう?

僕は出版業界に12年ほどおりますが、たくさんの著者を見てきて本当にいろんなタイプの方がいるなと感じます。そしてうっすらと「成功する著者と失敗する著者の違い」というものが見えてきた気もします。

せっかくだからこの「成功する著者の条件、失敗する著者の条件」について一度、業界の勉強会「出版右肩上がりの会」のメンバーにも協力してもらい、集合知としてまとめてみました。

 

この記事は

  • 著者として成功したい
  • 著者にはどんな成功パターンがあるのか知りたい
  • 本を書く時に、著者として注意しなくてはならないことを知りたい

といった方のお役立てると思います。

 

参加者

  • 出版社の書籍編集者9名(若手~編集長・局長まで)
  • 出版社の販売担当1名
  • 書店員3名
  • 西浦(出版プロデューサー)

の14名です。

※「出版右肩上がりの会」が書籍の会のため、書籍のメンバーばかりになっております。

 

2つの成功パターン

  1. 一発屋で終わらない「長く生き残れる著者」
  2. 大ベストセラー作家「仕事のステージがあがった著者」

の2つに分かれるようです。

・長く生き残れる著者

  • 伝えたいことが伝わって、かつ黒字の著者
  • 伝えたいことはそんなに変わらないが、本に応じて伝え方・アプローチを変えられる著者
  • 伝えたい時に伝えたい内容の本を出せる著者
  • ヒットのあと、いろんな出版社から本を乱発して寿命を縮めない著者
  • ヒットしたものの半年後に消える本ではなく、3年後も棚に残り、年に2~3冊各店で回転し続ける本を出した著者

・仕事のステージが上がった著者

  • ベストセラーになったことで、本業でのステージが上がった著者(コンサルになったり)
  • 大ベストセラーを出したことで、社会の価値観を変えた著者
  • 他の本やメディアに引用され、専門外の方にも言葉や考え方が認知されていった著者。

面白かったのが売れた部数よりも活躍できる期間の長い著者について、先にたくさんの意見が出たことです。てっきり成功って何万部から?10万部?みたいな話になるかと思いきや、著者として活躍できる期間や自由度を重視しているようです。

みんな長くこの業界で仕事をしているだけあって、一発屋のような売れ方はたくさん見てきたのでしょう。1回売れても調子に乗るのはやめましょう。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざのように、売れたからこそ謙虚に行きたいものです。

それとは別に、やはり「ベストセラーのインパクト」は存在するようで、売れたことで著者のステージが上がるパターンが分かりやすい例ですね。ただ、次も同じように売れるかどうかは分からないので、見切り発車で独立等はお勧めしません。

何よりベストセラー最大の魅力は、社会に変化をもたらし得るという点でしょうか。婚活や断捨離など、ベストセラーにより人の行動や社会の仕組みを、少しでも変えられた本はやはり成功だと認められているようです。また特定のクラスターでのみ有効だった言葉が、ベストセラーにより一般化することもあるようです。特にベストセラーからロングセラーになった場合に引用が増えるようです。

・メディア適正

また、成功の一要因として「メディアに出られるかどうか」を気にしている人たちが多かったです。

つまり

  • オーラがある
  • ちゃんとしゃべれる
  • 言葉にオリジナリティがある
  • イケメン・美人(ただしジャンルによるので詳しくは後述)

など、ちゃんと人前に出せるということですね。やはり著者自身が最高のPR担当ですから、これらは重要になってきます。

その意味でペンネームはNGだったり、たとえペンネームでも副業証明をもらうなどちゃんと会社や周りに配慮して出版するのが必須条件となります。ペンネームだと、SNSでも友達0の状態からスタートですからね、影響力の面でも厳しいでしょう。

・押しの強い人が売れる?

ずる賢い、押しが強い、など強かな印象の著者が、結果的に売れているという面もあるようです。先に「謙虚でいこう」と書いた手前、矛盾しているのは重々承知しているのですが、おそらくはどちらも真実なのだと思います。「言葉にオリジナリティがある」というキーワードもあがったように、著者には「オリジナリティ」がなくては成功できません。

オリジナリティが強くなればなるほど、他人に合わせようとか、空気を読むようなことはしなくなります。する必要もないでしょうし。

長く生き残っていくには謙虚な姿勢が必要だとは思いますが、それ以上に強かさと謙虚さとを両立させた人が「長く、売れ続けていく」のではないでしょうか。この相反する2つの要素は1人の中で両立させることが可能です。そういう人が著者としてこの世界で大きなことを成し遂げるのでしょう。

失敗する著者

今度はこれはないなー、という意見の出た「失敗する著者」の条件を紹介します。

・累計部数は多いものの売れてないハリボテ著者

著者累計部数を本の帯や講演会、ブログなどいろんなところで謳う著者がいますが、悪い習慣かもしれません。本を多く出せば累計部数が増えていくのは当たり前のこと。1本だけ大ヒットで他が一切売れてなかったりしても、ベストセラー作家のように感じます。それならまだましで、ほとんど売れてない人も累計100万部で150冊出してるなんてことがありえます。

・他の有名編集者のインタビューURLや動画などを送ってくる著者

『この編集さんはこう言ってますけど・・・?』というような文脈で自分の担当編集者に送り付けてくるケース。たいていは編集者の方が著者より早くそのインタビューを読んでたりするし、なんなら当事者から直接聞いていたりする。そのうえで今作はそういうやり方をしない方が良いという判断をしていたりします。

にもかかわらずそういうことをされると編集者も人の子ですから「じゃあ、その編集さんに作ってもらえばいいんじゃないですかね?」と感じてしまうのも無理はない。止めておきましょう。

・TVに出て炎上する著者

TVに出るなどして知名度は上がったものの、発言や態度が原因で炎上してしまい、逆に売上が落ちてしまうパターンもあります。TV等の露出はたしかにありがたいですし、瞬間風速的に売れることもありますが、その効果は通常1週間ももたないものです。短期間に3回以上出演するなどしないと爆発的なヒットにはつながりにくいので、変に炎上させて売上ダウンにつながるようなことはせず、謙虚に行きましょう。

・有名だが、それが逆に足を引っ張る著者

超有名人になるとファンもいる代わりにアンチがいて、ある程度のステージから上に上がるのに大変苦労したりします。ですが今回はそういう話ではなく、「出版業界内で名前が知られている」くらいの人です。他社から出ている本の売れ行きが悪かったりすると、新刊についても「どうせ売れないでしょ?入荷少なくていいよ」と書店さんから注文を貰えなかったりします。その結果その新刊がヒットしても、書店さんに在庫がなくて売り損じてしまいます。有名になると売れなかったときの印象も強く残り、他の本に影響がでますから気を付けましょう。

・別視点:そもそもビジネス書の場合、著者名の要因は小さい

著者個人の名前より、会社名の方がネームバリューがあるケースが多いです。ただ、会社が大きすぎると読者も実感が沸かないようで、会社の大きさよりも話題になってる感を重視している書店さんが多かったです。人となりなどはその次の要因として、面白かったりいい人だったりすると良いようです。

・人気はあるが馬鹿にされている著者

人気のある著者でも大きく分けて2種類います。つまり「馬鹿にされて人気の著者」と「憧れられて人気の著者」です。どちらも人気があることには変わりないのですが、本が売れるのは圧倒的に後者です。人気の種類もよく考えましょう。

・美人だが、軽そうな印象の著者

本の内容と本来は関係ないはずですが、特に健康書などイケメンや美人の本は売れやすい傾向にあるようです。イケメンの先生は問題なく良い影響が出ますが、美人の女医さんの場合「清潔感」がないとマイナスに働くこともあるそうです。非常に微妙なニュアンスで、判断は難しいです。

とりあえず茶髪の女性著者は気を付けた方が良さそうです(でもショートなら大丈夫だとか)。

・天狗になる著者

1冊ベストセラーを出しただけで天狗になる著者がいます。むしろ多いです、僕もたくさん知っています。本人はその気がなくても周りからそう見えてしまうこともあるでしょう。ベストセラーを出したことで周りから「調子乗ってるんじゃない?」という嫌な見方をされることもあるでしょうから、意識して「調子乗らない感」を出した方が良いでしょう。

ベストセラーを出していても、担当編集者から裏で「売れなくなったら次回作はもういいかな」と言われてしまっている人もいます。売れてるからつながっている関係というのは個人的には寂しいですね。

あなたが売れたのは理由は何でしょう?その過程で助けてくれた人への感謝を忘れていませんか?あなたは忘れても、相手は覚えているものです。その後の対応も見られています。人を大事にしましょう、あなたに厳しい意見を言う人こそ大事にしましょう。

・亜種:初版条件が厳しい著者

天狗の一例ですが、事例も多く代表格と言えます。「初刷15,000部以上で、発売2週間以内に全国紙で広告を打つこと」など、書く前の条件が厳しい人がいるのです。

以前、出版社の販売部にいたころ、編集者から『著者から初刷20,000以上って言われたんだけど、西浦君どうかな?』と言われ、たしかに有名な著者ではありましたがテーマ的にそこまでの市場があるとは思えなかったので「うちでは初刷2万は無理ですね」とお伝えしたことがあります。

著者名だけで売れる作家なんていません。どんな大ベストセラー作家でも「売れる本」と「売れない本」があります。にもかかわらず、自分のネームバリューに対して初刷条件を付けるのは天狗ととられても仕方ないですし、作家の名前だけで初刷を増減する出版社ならむしろ避けるべきです。

新人でも企画が良ければ初刷15,000部ってこともあります。条件ではなく、出版社が刷りたくなるような企画を用意しましょう。

・番外:変な話を引き寄せる著者

天狗が原因かわかりませんが、売れると怪しい話を引き寄せる人もいます。有名になれば光が強くなる分、良いものも悪いものもたくさん呼び寄せるのでしょうか。以前聞いて「へー!」と思ったのは、怪しい話を持ってきた当人は、相手をだましてやろうとか利用してやろうとは思っておらず、親切で動いているケースもあるそうです。人で見ていても外れるということですね、十分お気をつけください。

・編集者の意見を全く聞かない著者

企画について対等の立場で意見を戦わせるのは良いのです。ここで「編集者の意見を全く聞かない著者」と呼んでいるのは編集者を対等だと思っていない人です。

『デザイナーさん、あの人に依頼したんですか?』のように、編集者に任せるべき領域にも口を出してくる。意見として求められれば「こういうデザインが良い」「○●な人向けにデザインしてほしい」というようなことはお伝えして問題ないですが、相手への敬意をもって接しましょう。

・即レスを深夜でも求める著者

著者の中には執筆時間が夜型の人もいますし、深夜の方もいます。書きやすい時間に書いていただくのが良いのですが、深夜でも早朝でも気にせず、編集者に即レスを求める人はやはり困りものです。編集者がみんな夜型ではないということをわかってやってください。

・気に入らないと白紙に戻す著者

まったく意見を聞かないどころか、拒否する著者です。『それなら私は降ります!やめます!』と言ってくる人がいます。これは著者に限らないのですが、「だったら辞める」を話し合いの条件として提示する人がいますよね。でもそれは話し合いでも交渉でもなく脅しです。これを言われた側は「話し合う余地なし」として従うか、「関係を続ける余地なし」としてオールナッシングにするしかなくなります。

対等な関係で根気よく話し合いをして、どうしても折り合いがつかないなら、その時は降りても良いと思います。相手が「もう仕方ないな」と思ってくれるくらいまで、真摯に話し合う姿勢を持ちたいですね。

・全部お任せの著者

上2つとは正反対ですが、全部お任せの著者も嫌ですね。ちょっとわがままだなと思われました?でも編集者に限らず、仕事のパートナーとは「共に作る」というスタンスを持ってほしいものではないでしょうか。また、僕の場合「西浦さんの書けというものを書きます」と言われることもあるのですが、これは完全にNGです。書きたいものや、本を一緒に良いものにしていきたいという意志がなく「ただ本を出したいだけ」「本を書いたという事実が欲しいだけ」と受け取られてしまいます。

・裏方への愛がない著者

本づくりには多くの人が関わってきます。著者も全員には会えなくとも、例えばライターさんなど裏方の人にお会いする機会はあるはず。その時に裏方や関係者への愛情があるかないかは、やはり気になります。本は編集者という制作リーダーと、営業部という販売リーダーを中心とした、出版社、編プロ、デザイン会社、印刷会社、取次、書店など多くの会社、人を巻き込んだ一大プロジェクトです。

これだけ多くの方のおかげであなたの本が出来て、一生会わないかもしれない人たちのおかで読者の手に届いたんだということを忘れないでください。

・他社の悪口を言う著者

以前出した本について、その担当編集者や会社を悪く言う著者はやっぱり嫌われます。「ああ、自分も何か気に入らないことがあったら、こうして言われるんだろうなぁ」と思うからです。出版業界というのはすごく狭い業界で、編集同士、営業同士が繋がっているなんていうのは当たり前ですし、業界内他社への転職も非常に多いです。目の前の方が悪口を言った会社に以前いらした方かもしれないし、その会社へ後に転職されるかもしれません。十分気を付けましょう。

・勝手に書店に行く著者

本を売りたい一心で、アポも取らずに勝手に書店に行く著者さんです。これ、良くある話ですが、基本的には完全にNGです。いきなり職場に訪問販売に来られているのと同じですからやめましょう。

もちろん書店さんに通うことは本来はプラスになることです。ただやり方を間違えるとマイナス効果です。書店訪問をして、怒られないための注意点を守って訪問させていただきましょう。

・亜種:勝手にPOP自作して送り付ける著者

中にはPOPを自作して、出版社や書店に送り付ける人がいます。サイズやデザイン、キャッチコピーなど、どの視点から見ても現場で効果がないどころかマイナスになりかねない(やたら大きくて、後ろの本を隠してしまうとか)ことも多く、たいていゴミ箱行きです。熱意が空回りしている状態なので控えましょう。

・情報共有のルールを守れない著者

発売前に本の情報をツイートしたり、メディアに出るという連絡が一日前だったり、情報共有のルールを守れていない著者です。販売戦略の一環として、段階的に情報を公開したり、読者を巻き込むような仕掛けをすることは賛成です。しかし、それらは場当たり的にやるのではなく、ちゃんと関係者と相談して進めないと混乱を来すだけです。

また、メディア出演はたしかに直前だったりしますから、その場合は仕方ないにせよ、話が来たらすぐ共有する姿勢が大事です。全国区で大きく露出するような話はもちろん、一部地域での露出であってもモノによって営業部に共有して書店さんへ情報を流すようなこともします。せっかくメディアに出させていただいたのに、書店さんや出版社に在庫がなければその反響を活かせません。情報共有のルールは必ず守りましょう。

・Amazonにやたら過敏な著者

もう著者あるあるの定番中の定番ですが、amazonの在庫にやたら過剰反応する著者です。どれだけ事前にamazonのシステムを説明しても、いざ在庫切れを起こすとパニックになってしまいます。amazonは確かに在庫の有無が一目瞭然で、著者本人だけでなく、周りの人からも言われたりするのでしょう。気持ちは分かります。

しかし一度冷静になってほしいのですが、書店はamazonだけではありません。全国にたくさんの書店があり、それぞれの本屋さんごとに売れる本の構成は変わります。amazonで一番売れる本もあるでしょうが、あなたの本を常にキープしていて欲しい書店ランキングで、amazonが常に1位とは限りません。全国の書店で考えれば在庫のない書店などたくさんあります。

すべての書店さんに在庫を持ってもらうのが著者としては理想ですが、出版社からすれば大量の在庫をいきなり刷るのはリスクでしかありません(本は買い切りでなく、委託なので返品されるのです)。発売日から段階的に在庫は増えていくものですから、逆に言えば書店さんによっては戦略的在庫切れも大いにあり得ます。

売れているのに、売れている店で在庫切れになったら大問題ですが、そうでないなら戦略的に考えて冷静に対処しましょう。

でも、売れたら忘れる

ここまで成功と失敗の条件を紹介してきました。たくさんの「失敗する著者の条件」を書いてきましたが、それでも「売れたら、そんな苦労も全部忘れさせてもらえる」とみんな言っていました(笑)現金な人たちだなぁと思われたかもしれませんが、現金というよりもっとシビアなのかもしれません。なぜなら「売れてるなら許される」というのは、言い換えれば「売れなくなったら、それまで」という意味でもあります。

出版業界の特に書籍は、広告やアニメ・ゲームといったメディア化の収益は無く、純粋にその本の売り上げのみで勝負しています。部数や消化率、ランキングなど、すべて数字で評価されるシビアな世界ですから「結果をだすこと」を最優先に求められています。

結果を出せる著者が成功する著者の条件であり、結果を出せない著者が「失敗する著者の条件」を満たしてしまうと後がなくなるのだと思います。

本の出版をお考えの方へ

「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

成功する著者2パターンと、失敗する著者の16条件【編集者、書店員のホンネ】

本来、アイキャッチ画像は「記事を読みたくなる画像」のはずが、字が汚すぎて「何書いてあるか気になる・・・!」って...

『あなたの知識経験を本という形で世の中に発信しませんか?』
という連絡をもらって、よくよく話を聞いてみると自費出版のお誘いだったとか、企業出版だったなんてことはよくあります。

僕も個人的に『こんな話をもらったんですけど、これってどういうことなんですかね?』と相談を受けることがあります。

出版の違いってよく分からないですよね。

自費出版、企業出版って何なのでしょう?

本を出版するのに形式の違いがあるのはなぜでしょうか?

 

毎回説明するのも手間なので、一度まとめてみようと思います。

  • 自費出版・企業出版ってなんなの?
  • 自費出版・企業出版はふつうの本の出版とは違うの?
  • 何を基準に選べばいいの?

といった疑問にお答えする記事となっております。

自費出版とは

著者が自分で費用を負担して、プロの編集者やライターに本の製作を依頼し、出版する方法です。

その費用には紙代、印刷代の他、編集者やライターなどに支払う人件費も含まれます。

 

自費出版も細分化すればいろんな種類があるようで(協力出版とか)、少しややこしいですが、素人の出版だと思っていただければ良いと思います。

その意味で言えば、結婚式の席次表なんかも自費出版と言えなくもないです。

主賓がだれで、新郎新婦のプロフィールには何を書くべきか、式場の担当者にアドバイスしてもらい、取材してもらって書きます。それを出席者の人数分、印刷して式場の指定業者さんが納品してくださいますよね?

その文量が多くて、本のような形になっているのが自費出版です。

自費出版の仕組み・目的・費用・出版後

  • 仕組み

自費出版のお客様は著者です。自費出版の会社は、お客様である著者に対して編集者やライターのスキルを提供し、「本」という形で納品します。

  • 目的

お客様が著者なので、著者のために書かれます。お客様が書き手なので、自伝でも、小説でも、詩集でもなんでもOKです。その人が自費出版する目的によって変わりますが、趣味であったり、記念であったりと個人的なものが一般的です。

  • 費用

本の製作に関わる費用はすべて著者が支払うのですが、紙代が費用に含まれてくるため、何冊作成するかで費用が変わってきます。

会社によって違うのですが、1,000部で200万円くらいのことが多いようです。

参考:自費出版ガイド 自費出版の方法と種類と予算

  • 出版後

出来上がった本がどうなるかというと、納品先がすべて著者の自宅ということもあれば、一部本屋さんに流通させることもあります。

また、レアケースとして本当に本屋さんで売れることがあり、その場合は増刷分から印税が発生したりします。

この本の納品先や印税の支払いなど、諸条件の違いが、自費出版や協力出版といった名称の違いになります。

 

自費出版の主な書き手

上記のような構造上、個人で、ある程度お金があって、本を出したい人が主な書き手(お客様)になります。

ですので、

  • 退職された方が、退職金を使って自分史をまとめるようなケース
  • お金のある職業・立場の方が個人的に自分のやってきたことを本にしたいと作るケース

が多いようです。

 

企業出版とは

企業が自社で費用を負担して、プロの編集者やライターに本の製作を依頼し、出版する方法です。

その費用には紙代、印刷代の他、編集者やライターなどに支払う人件費も含まれます。

と、自費出版の個人が企業に代わっただけですが、概要としてはそのように認識していただいてOKです。

出版にはお金がかかります。ある程度まとまったお金が出せるのは個人で考えると一部のお金持ちだけですが、企業をお客様にすれば対象が広がります。

実際、自費出版のお客様のうち経営者が一定数いるので、だったら企業寄りにしてみようというものです。

ただ、この企業出版ですが、出版社のビジネスとしてはそこそこ認知されており、出版社が企業出版の事業部を作ったり、グループ会社に企業出版の会社を作ったりしています。

例:ダイヤモンド社幻冬舎メディアコンサルティングなど

 

企業出版の仕組み・目的・費用・出版後

  • 仕組み

企業出版のお客様は企業です。出版社は、お客様企業に対して編集者やライターのスキルを提供し、「本」という形で納品します。

また、自費出版と違い、複数の会社で費用負担して1冊の本を出版するケースもあります。各社負担額に応じて掲載順や掲載ページ数が変わったりするようです。医療系に多い印象

ちなみに個人と違い、企業であれば連絡先を見つける方法は多々ありますから、営業の電話がかかって来ることも多いです。例えば求人や集客の広告を出している会社を探せば、宣伝広告費を出す資金と、課題があることは簡単に分かります。

後は会社名や電話番号からwebで検索して、代表者宛に「出版を通してブランディング、集客、採用の課題を解決しましょう」といった営業をかけます。

  • 目的

お客様が企業なので、その企業のために書かれます社史、ステークホルダー向けのPR、求人採用、顧客向けのブランディングなど多様な目的で製作されます。

また一部の士業向け独立セミナーでは「とりあえず本を2、3冊出しましょう」とおすすめされることがあるらしく、名刺代わりとして製作されることもあります。(自費出版との境目がちょっと曖昧ですが)

  • 費用

自費出版以上にピンキリなようです。クロスメディア・マーケティングさんは90万円から(部数は不明)のようですし、聞いた話だとある出版社は1,000万円だそうです。

また、いくら出すというより何冊購入するかという話で進めることも多いです。本屋さんに流通させるかどうかで、購入冊数は変わってくると思われます。

  • 出版後

出来上がった本は企業の目的によってその後の扱いが変わります。自社や関係先に配布されたり、買い取り分を除いて書店さんに流通させることも多いです。

ある出版社では大手グループ企業の本を作成していて、最初は5,000部程度買い取りという話だったようですが、最終的に10倍以上買い上げてくださったとか。

定価の80%で販売していたとしても利益が・・・ありがたい案件だったようです。

企業出版の主な書き手

中小企業から大手企業まで多岐にわたります。業種も特に決まりはなく、医療関係や不動産など幅広い分野です。

ただ、広告宣伝費や顧客満足などの面で検討されることが多いでしょうから、そういう資金のある業種・会社(つまりは儲かっているところ)だと言えるでしょう。

商業出版とは

出版社が、読者に購入してもらうことを目的に、本を出版することを自費出版との対比で商業出版と呼びます。(出版社自身はふつうに「出版」と呼んでいます)

そこに関わるあらゆる費用は出版社が負担します。

自費出版や企業出版と明確に違うのは、コストが出版社負担であり、リスクを負っているということです。

売れれば利益が出て、売れなければ不良在庫となります。ですので商業出版(ビジネス目的)と呼ばれ、この場合著者は「お客様」ではなく、投資先となります。

商業出版の仕組み・目的・費用・出版後

  • 仕組み

商業出版のお客様は「読者」です。出版社は、投資対象である著者に対して編集者やライターのスキルを提供し、「本」を共同作成し、取次さんの流通網を経て、全国の書店さんで販売されます。

  • 目的

読者に対して「価値」を提供し、代価としてお金をもらいます。著者にも印税という形でその一部が支払われます。(売り上げの5%~10%が一般的)

価値というは多種多様で、「面白い」「役に立つ」「感動する」「笑える」「暇をつぶせる」など読者のニーズに答えられるもの、かつ類書と比べて優れているものである必要があります。

仕組みの部分でも書きましたが、つまりはお客様である「読者のために」書かれます。

その結果、読者に支持され5万部、10万部と売れた本は印税以外に二次的な利益を著者にもたらすことがあります。

それが

  • 本業のお客さん増加
  • メディア露出
  • ブランディング

といったものです。

これらはあくまで「二次的な目的」であり、主目的は「読者に価値を提供すること」です。

  • 費用

費用は出版社負担であり、著者には原則として費用負担はありません。

がしかし、実際は商業出版であっても費用負担を相談されることはあります。前述のように何冊か買い取ったり、発売後の広告費を著者が負担することもあります。(一時期流行ったネオヒルズ族の方達はありがたいことにたくさん広告費を負担してくれたそうです)

負担とまではいかなくとも「印税を全額広告費に回させてほしい」というような話はありますし、著者のセミナーで販売するように頼まれるのはもう常識という感じです。

著者というのはその本の共同出資者(コンテンツやブランド力の面)ですので、いろんな協力の仕方をお願いされるのは不自然なことではないかと思えます。

ただし、それも額によります。最初から印税0%とか、3000部買い取りなどは商業出版かどうかを怪しんだ方が良いかも。3,000部って初刷5,000部のときの損益分岐点だったりするので、投資だと思われていない可能性が高いです!

  • 出版後

本の出版後は、書店で売れれば追加注文をもらえ、売れなければ返品されます。返品された本はその後、売れる見込みがなければ絶版になり消えていきます。

逆に、売れれば増刷になり、それが5万部10万部と積み上がっていけば、本業へもフィードバックがあります。

つまり見込み客増加、メディア露出、ブランディングなどですね。

特に書籍は最後まで読んで共感・感動した場合に、著者のブログを読んだり、サービスを検索してくれるというような「次のアクション」につながることが多いので、コンバージョン率が非常に高いと言われています。

このように商業出版はビジネスとしての側面が強いので、著者は「新規事業を始める」くらいの覚悟で時間や手間、お金を投資して挑んだ方が結果も良好です。

商業出版の主な書き手

やはり出版社にとっては投資先になるので、著名人が多いです。TVに出ているような方はもちろん、そのジャンルで非常に有名で、すでにブランドを築いている人たちが対象になります。

しかしそういった方々ばかりではなく、むしろ「その業界では有名だけど一般的には無名」という著者の方が圧倒的に多く、そういった方の本がベストセラーになることも多いです。

自費出版・企業出版・商業出版の最大の違いとは

ここまでいろいろと書いてまいりましたが、結論として自費出版・企業出版・商業出版の何が違うかというと、本質的には「誰のために書かれた本か」が違うと言えます。

 

商業出版は読者のために書かれたものであり、

自費出版と企業出版は書き手のために書かれたものです。

 

しかし、残念ながら商業出版でも、自分のため、自社のブランディングのために書かれた本があります。その意味で商業出版であっても商業出版ではない本はたくさんあります。

 

逆に言うと、自費出版や企業出版であっても読者のために書かれていて、受け入れられて売れたなら、それはもう商業出版と同じだと思います。

そういう例はすごく少ないですけれど実際にありますし、そういった志のある方は自費出版や企業出版ではなく、商業出版を目指されるのが目的に適うのではと思います。

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「血流がすべて解決する」(21万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をプロデュースしてベストセラーに。

おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。
業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

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『あなたの知識経験を本という形で世の中に発信しませんか?』 という連絡をもらって、よくよく話を聞いてみると自費...