日常生活において、誰かに何かを依頼することは少なくありません。
しかし、依頼を受けてもらえるかどうかは相手次第で、内容や、相手の機嫌、状況などによって返事は変わります。
そんな相手への「お願い」の成功率が上がる「伝え方」があるなら、知りたいとは思いませんか。
今回は、そんな「伝え方の技術」が詰め込まれた、【伝え方が9割】を紹介します。
読んで納得の情報が満載の良書となっています。
目次
どんな本なのか
本書は、コピーライターとして国内外で51のアワードを獲得し、作詞家としても活躍する佐々木圭一氏によるものです。
もともと「伝えること」が得意ではなかった著者は、コピーライターとして苦戦しつつも「伝え方」の技術を発見。
本書には、その過程や、発見した技術が、ありのままに綴られています。
紹介されている「伝え方の技術」は、決して複雑なものではないことから、訓練次第で誰でも身につけることが出来るでしょう。
「人の感情を動かすエネルギーのある強いコトバ」を使いこなすために、とても役立つ本となっています。
ノーをイエスに変える技術とは
第二章で、著者は「コトバには困難を逆転させるチカラ」があるとしています。
それは伝え方次第で、相手の気持ちを「ノー」から「イエス」に変えることが出来るためです。
そのために、著者は第2章で、3つのステップと、7つの切り口を紹介しています。
まず3つのステップとは、
- 頭の中を、そのままコトバにしない
- 相手の頭の中を想像する
- 自分のお願いと相手の願望とを一致させる
というものです。
さらに切り口は、
- 「相手の好きなこと」相手の好きなことでコトバを作る
- 「嫌いなこと回避」相手の嫌いなことを回避するコトバを作る
- 「選択の自由」相手の好きなことを並べて選択できるようにする
- 「認められたい欲」相手の「認められたい欲」を満たす
- 「あなた限定」相手限定であることを伝える
- 「チームワーク化」相手と一緒に動く
- 「感謝」相手への感謝を伝える
の7つです。
いったん依頼から気持ちを離し、相手の頭の中を想像した上で、適切な切り口を使うのです。
それにより、ノーがイエスに変わる可能性が高くなる、としています。
コトバエネルギーの生みだし方
相手の気持ちを動かすエネルギーのある強いコトバ、その生みだし方の分かりやすい例が、第3章に掲載されています。
強いコトバをつくるのに必要な、「コトバエネルギー」をどう生み出すか?
その方法は、ジェットコースターの原理と同じです。
コトバに高低差をつけてあげれば、エネルギーは生まれるのです。
例えば、
「あなたが好き」
より
「嫌いになりたいのに、あなたが好き」
のほうが高低差があります。
高低差とは、そのコトバを見る人、聞く人にとって心を動かすエネルギーです。
ジェットコースターと同じで、高低差があればあるほど、人はぐっとくるのです。
(122ページ 第3章「強いコトバ」を作る技術 より引用)
この「嫌いになりたいのに、あなたが好き」という文章に使用されているのは、意識して正反対の言葉を使用する「ギャップ法」という技術です。
著者は、強いギャップを持つ言葉を使うことにより、「好き」という言葉に強いエネルギーが生まれるのだとしています。
確かに、
「嫌いになりたいのに、あなたが好き」
と言われたら、強く心に残るに違いありません。
同じ意味の文章であっても、伝え方ひとつで、これだけ印象が変わるのだから不思議です。
相手への告白に限らず、効果的な伝え方として覚えておきたい技術です。
デジタル文字の冷たさを解消する
そして本書で最も日常的に使えそうなのが、メールに関する技術です。
顔の見えないやりとりであるメールは、選ぶ文章によっては、相手に冷たい印象を与えがちなものです。
しかし本書にある以下の技術を使えば、相手に与える印象は違ってきそうです。
あなたのメールは、あなたが思っている以上に、相手に冷たく伝わっていることを知りましょう。
では、具体的にどうすればいいかです。
感情がそぎ落とされるぶん、コトバで感情を30%増しにするのです。
これで、手書きと同じレベルになります。具体的には、語尾です。語尾に感情を加えるのです。
(197ページ 第3章「強いコトバ」を作る技術 より引用)
喜びや感動を、少しオーバーなほどに強く表わすことで、文章から冷たさを消すことが出来る、と著者は述べています。
これもまた、日常に取り入れやすい「伝え方の技術」であると言えるでしょう。
終わりに
「相手の心を動かす強いエネルギーを持った言葉」を作りだすことが出来れば、毎日は格段に楽しくなることでしょう。
この「伝え方の技術」は、仕事だけでなく、プライベートでも大きく役立ちそうです。
もちろん訓練なしで、いきなり上手な伝え方が出来るようになるものではないでしょう。
まずは毎日の生活に、本書の「伝え方の技術」を取り入れて、大事な時にうまく使えるよう訓練したいものです。
(文:朔)
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