献本はなんのためにある?→献本する意味や実際の手順をかんたん理解

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ある日突然、編集者から「献本(けんぽん)どうします?」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?

献本なんてしたことも、もらったこともない人がほとんどですし、なぜ「献本」するのか疑問ですよね。

 

そもそも献本とは「書籍を進呈すること」「進呈された書籍そのもの」のことです。

出版の流れにおいては、発売間近のタイミングで、「献本どうしますか?」と聞かれることが多いです。

この記事では、なぜ献本するのか、効率の良い献本のやり方とはどういったものかを書いていきます。

なぜ献本するの?献本をする意味とは?

そもそも、なぜ献本をするのでしょうか?

その理由は主に、

  1. お世話になった方へのご報告として献本する
  2. 本の認知拡大(ご紹介)を期待して献本する

上記の2つです。

順に説明しますね。

 

<1つ目 お世話になった方へのご報告>

本の取材にご協力いただいた方や、そのテーマについて学んだ先生など、お世話になった方がいることでしょう。

そういった方々へ感謝を込めて「どうぞご高覧ください」とお送りします。

(ご笑納やご笑覧といった表現もありますが、少しくだけた印象なので相手を選んで使いましょう。)

なお、家族や親しい友人に進呈する場合は「献本」とは別に、自分で手渡したり郵送したりしましょう。

その分の本は自分で用意しましょう。

(出版時に5冊~10冊の見本を貰えることが多いので、それを使うか自分で買う)

本は商品なので「友達に配りたいから100冊ください」といったお願いは、出版社からは「勘弁してください」と言われます。

 

<2つ目 本の認知拡大(ご紹介)を期待>

本を多くの人に知ってもらうことを目的に献本するケースがこちらです。

新聞雑誌の書評欄、人気の書評ブログなど

「読者の目に留まりそうな媒体(メディア)」への取り上げを狙います。

ですので、書評の連載を持たれている方や、書評ブロガーさんへ献本をします。

 

また、著名人・有名人で「その方のファンと読者層がマッチしている」場合、大きい拡散効果が期待できます。

美容本やコーディネート本をモデルさんが紹介してくれるとか、ビジネス書を有名な経営者やスポーツ選手が取り上げてくれるといったケースですね。

そういった「媒体に露出できる方」や「インフルエンサー」に献本することが多いです。

ちなみに「献本頂く」は誤用→「恵贈」を使う

SNSで「献本いただきました」という表現をたまに見ますが、「献本いただく」は誤用です。

これは一般的な贈り物のケースで考えるとわかりやすく、

「粗品いただきました!」

「粗茶ありがとうございます!」

とは言わないですよね?

「粗品」も「献本」も、受け取る側を目上、送る側を目下とした敬語です。

受け取った側が使うと「自分は目上の人間である」と自分で言うことになります。

これは避けましょう。

本を送ってもらった場合は「ご恵贈いただきました」と書けば、問題ありません。

誰に、合計何冊くらい献本したらいい?

献本は、本来販売するべき本を、認知拡大を狙って無料で進呈するものです。

つまり献本は「投資」なので、「数打ちゃあたる」で乱発してはいけません。

「認知Up期待値(拡散力)」「掲載確実度」の高い方を選んでお送りしましょう。

たとえば…

  • 不特定多数に拡散できる人
    • 著名人・インフルエンサー
    • タレント
    • TV局のプロデューサー、ディレクター(番組による)
    • 番組制作会社のスタッフ(番組による)
    • 放送作家、構成作家(番組による)
  • 想定読者の多い媒体に掲載できる人
    • 新聞、雑誌の書評担当
    • 新聞、雑誌の記者、編集者(担当企画による)
    • オウンドメディアの編集、ライター
  • 親和性の高いフォロワーを持つ人(マイクロインフルエンサー)
    • SNSで特定クラスターのフォロワーが多い人
    • 同業種、かつ異職種の方
    • その業界の有名人
    • 有名なメルマガの発行人
    • 有名なブロガー
  • 購買力がある人
    • 社員100名以上の企業経営者(まとめ書いなど)
    • 弟子が100名以上いる師匠(まとめ買いなど)
  • セミナーやイベントを企画する人
    • 塾の企画運営者
    • セミナーの企画運営者
    • 勉強会主催者
    • 読書会主催者

といった方々は「投資(献本)効率が良い」と想定されます。

認知向上のためには拡散力の強い著名人に送りたいところですが、取り上げられる可能性も低くなってしまいます。

それに、購買につながるという意味では「不特定対数」に訴求できる著名人より、

特定のクラスターに影響力を持つ人(マイクロインフルエンサー)の方が即効性も浸透力もあります

また、対外的な影響力の有無とは別に、まとめ買いして社員に配ってくれるような方(社長さんやお師匠さん)には、お送りする価値があるでしょう。

あと、案外忘れがちなのは「イベント主催者」さんです。

あなた本の読者とマッチするイベントを開催している方に献本すれば、本の認知を広げるイベントにご協力いただけるかもしれません。

献本の際には必ず「イベントの相談させてください」というように、はっきり書きましょう。

※通常の講演会では、だいたい参加者の2割が本を購入します。

購入比率を上げるために「購入者はイベント参加費無料」などの特典を用意し、確実に売れるよう準備しましょう。

 

次いで、「何冊送るべきか」という基準ですが、ベストセラーを狙うのなら

「掲載確実度の高い」方、50名を目指して献本してみましょう。

確実に取り上げてくださる方が50人もいれば、「ご紹介のお礼」として毎日リツイートやシェアをするだけで、

しばらくはタイムラインが「本のお祭り」状態になります。

このお祭り感、「盛り上がっている感」はことのほか大事です。

出版後は「何もニュースがない」のが一番つらいので。。。

 

幸いにも、確度の高い献本先が50名以上いる場合は「コアな層へ訴求できる方」を優先し、

一般的な層への訴求は献本第二弾、第三弾で行うとよいでしょう。

順番は「コアなところから、一般的なところへ」です。

やはり先に「業界の有名人」がプッシュしてくれてる方が、一般層への広がり方がスムーズです。

実際の献本方法・手順を紹介

こちらでは、実際の献本方法について解説します。

編集者に献本について確認する

まずは編集者に「献本したい」旨を伝えましょう。

たいていの場合、出版社から送ってもらえます。そこはお言葉に甘えましょう。

献本先をリスト化する

出版社に献本してもらう場合、編集者から「〇日までに、献本先リストをください」と言われます。

ですので献本先について、リストを作成しておきましょう。

エクセルが一般的です。

  • 献本先の名前
  • 住所
  • 所属名(会社名等)
  • 所属部門(部署や担当媒体)

があれば十分です。

基本的に献本はおひとり1冊なのですが、複数送った方がいいなどの備考もあれば加えておきましょう。

送付状を書く

献本する際には、送付状をつけましょう。

「献本 送付状」で検索していただければ、テンプレートがたくさん出てきます。

その上でプラスアルファの工夫をご紹介します。

<そのままコピペできる紹介文を付ける>

特にプレス関係、メディア関係へ送る場合、必ず意識したいのが「紹介しやすさ」です。

本を紹介しようと思っても、読み込んで書評を書く時間はありません。

かといって、わざわざ電話やメールで内容を問い合わせてくれることもありません。

ですので「受け取った人が、そのまま記事に使える内容紹介」をつけてあげましょう。

 

メディア関係者にはどんな情報が喜ばれるのでしょうか?

モノマガジン系編集部の後輩に教えてもらった「採用したくなるリリース」のポイントをご紹介します。

  • 数字、固有名詞を入れる
  • データ、統計などの根拠
  • それらのグラフ・画像
  • 時代の変化(●●が増えてきた、新たな〇活が流行ってきているなど。データとセットで)
  • 社会的弱者に寄り添う内容

などです。

基本的に「何がどう変わってきたのか」というトレンドの変化が必要なのですね。

最後の「社会的弱者に寄り添う内容」を補足しておくと、

メディアは「子ども、老人、外国人」など、強者か弱者かで判断すると「弱者」側になる人の味方としての情報、だと発信しやすいのです。

仮に「お金」のメディアに献本するとして

「資産10億円向けのノウハウ」と「貯金50万円からできるノウハウ」ならば、基本的には後者の方が取り上げられやすいです。

(そのメディアのターゲットが資産10億円以上だったら別ですが)

献本先メディアの読者を想定して、その中でも「弱い立場」にいる人に役立つ部分を押し出しましょう。

献本は透明なビニール袋に入れる

もし可能であれば、透明なビニール袋で献本してみましょう。

献本を普通の封筒で送ると、他の郵便物に紛れて、なかなか開けてもらえないことがあります。

Amazonや楽天などで本をたくさん注文される方は分かると思うのですが、どんどん自宅に荷物が届きます。

それに慣れちゃって段ボールや袋に入ったままで部屋に積んでたりしませんか?

僕はたまにやってしまいます(笑)

みんながすぐ開封してくれるわけではありません。

その点、透明のビニール袋に入れておけば、受け取る側は「あ、献本だ」とすぐ分かります。

献本の「開封率」も気にしましょう。

掲載のお礼とリストの更新を行う

その後、献本先で本を取り上げていただけたらお礼を伝えましょう。

メッセージはもちろんですが、直接会って伝えるとか、食事をおごるとかちゃんとお礼をした方がいいです。

こういったことが、次回につながります。

 

そして、一番重要なのがリストの更新です。

取り上げてくださった方と、そうでない方がわかるように。

一度取り上げてくださった方は、次回もまた取り上げてくださる可能性が高いです。

こうやって自分オリジナルの「掲載確実度」リストを更新していくのです。

もちろん、こういった方々は出版に関係なく、普段から大事にしておくのを忘れずに。

利用するだけの関係はよくありません。

相手のお願いも心地よく聞いて差し上げましょう。

発送方法と費用

すでに紹介したように、献本の発送は出版社からお願いするのが楽ですし、効率もよいです。

それでも、ご自身で献本する場合は、クロネコヤマトさんのクロネコDM便が、1通から集荷もしてくれておすすめします。

1冊152円で送れます。

ただ契約に法人格が必要なので、個人事業主さんやお勤めの方だと利用できません。

地域によってもサービス内容に違いがあるようなので、

詳しくは担当エリアのクロネコヤマトさんに「クロネコDM便を送りたいんですが」とお問い合わせしてみてください。

SNSでシェアされやすい献本方法

<一筆箋をつける>

これは親しい編集さんからいただく献本に多い手法です。

一筆箋で、ご自身の近況報告や、「お嬢さんへぜひー!」「奥様と読んでください」など、

受け取る側の私的な部分に触れてくれると、「営業」から「私信」に変わります

相手が個人でメルマガやブログを運営している場合、「紹介」へのハードルがぐっと下がるので、有効です。

<献本用の特別カバーを付ける>

献本って、送付状と本だけが届けられることがすごく多いです。

紹介するにはどうしても、一度読まねばなりません。

しかし忙しい中で「紹介しなきゃ」と思いつつ、いつの間にか時間が経ってしまい・・・というケースは多い。

なので、いっそ「読まなくても良い」工夫をしましょう。

例えば「SNSシェア用の特別カバー」です。

そのカバーをシェアするだけで、ある種の話題性、特別感があり「シェアしやすい」仕組みです。

詳しくは下記リンクより

ベストセラー確実「悪魔とのおしゃべり」に学ぶ、シェアされやすい献本の方法

もし恵贈されたら?献本のお礼

もし献本される側になったらどうすればいいのでしょうか?

お礼状など書くべきでしょうか?

 

ここで、お礼状のテンプレートを調べている暇があったら、すぐ紹介してあげましょう!

献本のお礼は「ご紹介」。これは絶対的正義です。

 

具体的にはまず、(お礼状のテンプレ調べなくていいので)すぐにメールやSNSのメッセージで「お礼」を伝えましょう。

「『〇〇』のご恵贈ありがとうございました!」だけで十分です。

その際に必ず「いつ発売か」確認してください。

発売前に送ってくれていることもあるからです。

発売前に紹介しても読者が買えず、効果が半減するので発売まで本の紹介はしないでおきましょうね。

 

すでに発売後だったり、発売前でも情報公開OKの確認がとれたら、

「ご恵贈いただきました」と、それだけでもいいので、まずSNSで投稿しましょう。

「読んでから」と思っていると、どんどん後回しになってタイミングを失います。

まずは紹介です。

それが送った側と受け取った側、両方の「肩の荷」を下げてくれます。

その後、本当に読んでから、ちゃんとしたブログなり記事をアップするとよいでしょう。

「恵贈だの献本だの人脈自慢かよ!」という批判について

twitterを見てるとまれに「恵贈いただきました」「献本いただきました」というツイートについて怒っている方がいます。

理由は「人脈自慢」「大事にされてるぞアピール」に見えて腹立たしい、というもの。

なるほど、こう思う人もいるわけですね。

ということで「献本のことを言わないで、宣伝するには?」も考えてみました。

単純に「読みました!」とか「ゲットしました!」というように「献本」のことは伏せつつ、しかし「買った」とも書かずに本のことを紹介するとどうでしょう?

でもこれって、ステマ(ステルスマーケティング)になってしまう可能性がありますよね。

タダでもらったものを、それを伏せて紹介することになるので。(宣伝費を貰ったわけではないが)

ステマに敏感な方も多く、以前とある書評マーケティングの会社に献本を依頼したら

「会員さんが書評を書く際は、ステマにならないよう、献本いただいた旨を書くように指導しています」とおっしゃていました。

ということで整理すると

  • 献本いただきました⇒誤用だ!人脈自慢か!
  • ご恵贈いただきました⇒人脈自慢か!
  • (だまって)宣伝⇒ステマか!
  • 個人的にお礼伝える⇒いや、お礼より宣伝してよ!

と、どの表現でもだれかを不快にしそうです。

僕としては、送ってくださった方が一番コスト発生しているので、「個人的にお礼を伝えて宣伝しない」は避けたいところです。

どこも燃えないやり方を模索したいと思います。。。

まとめ

献本は「純粋なお礼やご報告」の場合を除いて、PR・マーケティングの一環です。

無駄打ちの無いよう、まず「認知Up期待値」と「掲載確実度」のバランスを考えて送りましょう。

送る際も、開封率や紹介のしやすさなど工夫できる部分はたくさんあります。

 

あなたが献本される側だった場合、そんな貴重な1冊を割いて送ってくれていると知ってあげてください。

ちゃんとした紹介文が書けなくてもいいので、まずは「ご恵贈いただきました」と投稿することから始めると良いでしょう。

その際に送付状に書いてあった内容紹介を自分でアレンジして書いてあげれば100点です。

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増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


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