
近所のお弁当屋さんが閉店しました、出版プロデューサー西浦です。
今の家に引っ越してくる前からあったお弁当屋さんなので、最低でも1年以上は経営されていたのですが、6月末をもって閉店となりました。廃業の原因は隣に出来たコンビニかもしれないし、違うかもしれない。
原因はともかく「閉店」ってすごくこたえる出来事です。自分が小さくとも会社を経営しているから、自分のことに置き換えてしまうのでしょう。
実は、これは偶然ですが、大事な仲間が6月末に独立しました。年末にも古い大事な友人が独立して「ああ、僕らはそういう年代だよなぁ」と最近また感じていたところです。
彼らの事業がうまくいってほしいなと心から思っているので、ここでちょっと「フリーで独立する人に気にかけておいてほしいこと」を書いてみます。
2010年2月末に独立して8年と4か月はやってこれているので、多少は役に立つのではないかと思います。
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まずはフリーランス寿命を知る
僕の回りで独立するフリーランスは、ほとんど銀行からの借り入れをせずに自己資金ではじめます。僕もそうでしたしそれで問題ないと思います。
でも本当は、国の助成金とかで頂けるお金があるなら50万円でもいいから申請してもらってください。僕は「メンドイ」と思ってやらなかったけど、運転資金は少しでも多い方が良いです。
さて、独立してすぐやるべきことは、「出ていくお金と入っていくお金のバランスをプラスにすること」です。
毎月30万出ていくなら、なるべく早い段階で、平均的な月の収入を30万円以上にしましょう。この収支のプラス化までの猶予期間が自己資金の残額で決まります。
一度計算してみてください。フリーランスとしての寿命(タイムリミット)が見えるはずです。
狩猟採集型ビジネスではじめる
フリーランスとしてのタイムリミットが見えたら、まずはキャッシュポイントを作りましょう。お金になるサービスや商品のことです。
この時のコツは「狩猟採集型のビジネス」から始めることです。
狩猟採集型ビジネスは森に入って、獲物を狩ったり木の実を集めたりするように、仕事を取りに行くビジネスです。お客さんを探しに行く、「営業型」のビジネスのことです。
農耕のように自分で植えて育てるような「時間のかかる」ものではありません。
なぜ「狩猟採集型ビジネス」からはじめるかというと、比較的短期間(1年以内)でクライアントを見つけることができるからです。タイムリミットまでに収支をプラスにしなくてはならないので、自己資金が潤沢にある方以外はこちらから始めるのが良いでしょう。
フリーランス向け仕事紹介サービスの向き不向き
具体的には、フリーランス向けの仕事紹介サービスで案件を探して申し込んだり、クライアントのいそうな場所に顔を出し、営業をしましょう。
特に仕事紹介サービスは一番簡単に仕事を見つけられると思います。しかしデメリットとして「価格競争に巻き込まれる」「条件のいい仕事はライバルも多くなかなか受注できない」という問題があります。ここは言うなれば森や海ではなく「築地市場」みたいなものなので、競りが行われているんですね。
自分がよほど抜きんでているか、競合の存在しないレアな案件(そういうのはオファー自体も少ないでしょうけど)のみを扱うなら別ですが、そうでない大多数のフリーランスは常に比較される側、選ばれる(落とされる)側に立つことになるので、どこかで卒業して「選ぶ側」「指名される側」になる心づもりも必要です。(卒業するための方法が後述する農耕型ビジネスへの移行)
でも短期的にはすぐ仕事が見つかるし、支払いのトラブルも少ないのでまずスタートを切る環境としておすすめです。
ただIT系やデザイン系の仕事が多い傾向にあり、それ以外の職種だとそもそも受注できる案件がないかもしれません。
ちなみに僕が独立したころにも、こういったサービスはあったのかもしれませんが、実は全然存在を知らず(笑)
僕はひたすら自分の足と、ご紹介でクライアントを探していました。
仕事紹介サービスでは「出版プロデュース」の案件はそんなにありませんし、結果的にこれでよかったのでしょう。なにより、早くから自分の足で森や海に探しに行くチャレンジにもなりました。
月単位でなく日単位のリズムを刻む
「月の半分は働いて、後半で自由な時間を過ごしたい。」と言ってた仲間がいて、彼には「それは月ベースじゃなくて、日ベースにした方が良いかもよ」と伝えました。
フリーになった直後は飲みの誘いや壮行会があったり、あるいはイベントやセミナーに呼んでもらえたり忙しいものです。
僕も翌日から50人の前で講演という予定が入ってました。
でもそれらも落ち着いてきます。忙しい日々が急に暇な日々になると、なんだかリズムが狂います。
具体的には超夜型になったり、だらだら昼寝したり、ダメ人間になる可能性があります(笑)
期間限定ならそれでもいいのですが、それが続くと体にもよくありません。フリーランスは自分自身が資本ですから、健康的な生活を送るのも大事な仕事です。
僕は自分で言うのもあれですが、切り替えは得意な方で、遊ぶときは遊ぶ、仕事するときは仕事!とスイッチできる方です。
それでも月の後半ダラけて、月初から切り替えというのはけっこうキツイです。ダラけが抜けません。正月明けとか、夏休み明けって仕事するのおっくうじゃないですか?あれは不思議とフリーになっても変わらないんですよ。
ペースは週単位、月単位、年単位あるいは10年単位とありますが、やはりまずは「日単位」からコントロールするのが良いでしょう。
それまでは「会社」という「日単位」のペースメーカ―がいましたが、それはもういないのです。
別に毎日9時から17時まで机に向かって、その後に残業もしろというわけじゃありません。「朝9時から12時まで集中して働いて、食事後昼寝。14時から残りの仕事をやる、もしくは自由時間。」というように自分で決めた時間だけ毎日ルーティン化すると良いです。
その上で週に2日は外で人と会う日、3日が家で作業する日。第二週は東京でセミナーやコンサルする日というように「日のペースを週に、月に」広げて行けばよいのです。
自分の健康や家族の状況、やりたいことなどいろんな要素に合わせてコントロールしましょう。
それでも「毎日の朝9時から12時までは仕事」のような、自分の基軸となる「日ペース」は崩さないことをおすすめします。
自立したフリーランスになるために農耕型へ移行する
狩猟採集ビジネスで1年以上やっていけて、収支もプラスになった。もしくはまだ赤でも、余裕のある状況になれば、徐々に農耕型ビジネスの準備を始めましょう。
狩猟採集型ビジネスで利益が出るようになっても、期末の決算を終え、期首に「これからまた1年かけてゼロから受注(もしくは営業)するのか…」と思うと結構重いのです。
もちろん中には「全然へいき!やる気でまくり!」という人もいるかもしれません。それならそれでいいです。
ただ僕は毎年少しずつ楽になる、安定するビジネスがやりたかった。だからここでは「農耕型」への移行をおすすめします。
具体的には「自分で」構築して、成長させて、集客するビジネスです。
このビジネススタイルの何が良いかというと自分で価格も設定できるし、営業や受注ではなく集客であること。つまりクライアントが自分を探しに来てくれることです。
以前「8年やってわかった、食えるフリーランスになる方法」でも書きましたが、僕らが、下請けフリーランスから真の意味のフリーランス(自由)になるためには、高価格帯サービス開発のように自分で価格決定権をもつことや、自分で集客できることが必須になります。
言い方を変えれば自立する、独立した存在になるということです。
長く安定的にビジネスを成長させていっているフリーランス仲間は、みんな口をそろえて「どんなビジネスでも集客さえできれば成功するよね」と言います。
それくらい集客力は大事ですし、自分のビジネスを成長させるというのは、実績やノウハウ、仲間を増やしながら、「集客基盤」を成長させるということです。
自立したビジネスから得られるお金は、特に最初は微々たるものです。1年以内にお金が発生しないこともあるでしょう。
だから最初からはおすすめしません、最初は「狩猟採集型ビジネス」で始めないと、資金が少ないフリーランスはもたないです。
しかし農耕型ビジネスが成長して、少しずつ安定して売上が立つようになると、すごく楽になります。
集客基盤が成長すれば、毎年どの程度の見込み客が自分を探しに来てくれるか予想が立つし、それは成長していくものだからです。
狩猟型で短期的にキャッシュフローを回しつつ、農耕型へと移行していきましょう。
結局は成功のパターンって人による
とはいえこの記事に書いたことがすべてではないです。というのも人によって向き不向きがあるからです。
先ほど
- 「これからまた1年かけてゼロから受注(もしくは営業)するのか…」と思うと結構重いのです。
もちろん中には「全然へいき!やる気でまくり!」という人もいるかもしれません
と書きましたが、本当に毎年ゼロからでも平気な方はいるのです。
むしろそういう方に「農耕型へ移行して、継続的にやっていけぇ~」と横で言ってもストレスにしかならないでしょう。
ドンドン切り替えて「AがダメならB!BがダメならC!ほらドンドン行くよ!」というタイプの人は一つのことを積み重ねるよりガンガン攻め続ける方が「自分らしく、楽に」できると思います。
そういうタイプは人に会いに行ったり、新しい人脈を作ることも苦ではないでしょうから、こちらも年が経つにつれて巨大なネットワークを形成し、紹介に次ぐ紹介でお金が回るようになります。
その時に価格決定権さえ自身にあれば(あるいは高額の商品さえ扱えれば)結果的に農耕型のように安定してビジネスが成長していきます。
つまりどんなスタイルでも真のフリーランスとして成功する方法はあるので、自分に合うパターンを見つけるのが大事だと思います。
ちなみに、さらに成長して資金も人も潤沢になれば、高価格帯商品にこだわらなくても、低価格商品をたくさん継続して売るっていう「ヤクルト」みたいなビジネスモデルでもうまくいくでしょう。ただ、そこまでいけばもう「フリーランス」とは呼べないではないでしょうけど(笑)
こちらにはかなり実践的なフリーランスとしてのノウハウを書いてあるので、よろしければ合わせてお読みください!