つまり目新しい説を、わかりやすく。

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毎日更新22日目。思ったより自分の足が上がらず、玄関の段に足裏を強打し、足裏打撲で歩行困難な出版プロデューサーの西浦です。自分を過信するのダメ、絶対。

「毎日続けて21日経つと習慣化される」という説と、さらに「3ヶ月でようやく本当の意味で習慣化される説」を今まで聞いたことがあったのですが、昨日「66日で習慣化される説」を新たに聞きました。

僕はもう「いつになったら習慣化されるのか誰も分かってない説」を提唱したいと思います。

 

読者は厳しい、舐めちゃいけない。

さて、昨日は月に一度の読書会でした。

毎月テーマを設定して本を選んで、みんなが読んできた本の内容をシェアするという読書会です。

 

その中で心理学系の本を読んできたメンバーが「…ということで、聞いたことあるような話を、分かりくく解説した本でした(笑)」「ハズレだね」「ですねー」といったやりとりをしていました。

まさにリアルな読者のコミュニケーションだなと、読書会をやっていると思い知らされます。

別に僕がプロデュースした本ではないですが、けっこうな酷評ぶり。背筋に冷たいものが流れました。

やはり読者は厳しい、舐めちゃいけない。

 

 

この、聞いたことあるような話を分かりくく解説した本 という表現には、彼の本心があらわれていますね。

「自分は心理学系の本について、けっこう読んでいる」

「だから自分が知らないこと、新しい発見が読みたかった」

「今まで聞いたことのある内容でも、せめて今までより分かりやすく読みたい」

 

といったところでしょうか。

読者って厳しいです。読者を舐めちゃいけないっていうのはこういうことだと思います。

新しさを求めているのは作り手か、読者か

もちろん世の中の読者がみんな彼のように心理学系の本をたくさん読んでいて、いろんな法則について知っているわけではないでしょう。読者の数としては初心者、まだ読んだことのない人の方が多いです。

だからか、著者がたくさん売れるようにと、初心者向けの本を書いた結果、「ありきたりな内容」「特に新しさのない本」になってしまい、全く売れないことが多々あります。

これは著者だけに限らず、出版社の営業や編集者でも陥りがちなようです。

出版社時代にも独立後も

「読者は新しさ、オリジナリティを求めているのではなく、役立つ本、分かりやすい本を求めている」

「新しさを求めるのは、作り手のエゴ」と言った言葉をこの耳で聞いてきました。

 

確かに作り手のエゴでしかない新しさやオリジナリティは不要です。

しかし読者が新しさを求めていないというのも、読者のことをなんだか舐めすぎです。

読者の中にはそのジャンルの名著をはじめ、駄作もたくさん読み、目の肥えた人がたくさんいるのです。

そしてどんなジャンルも、彼らこそが「良いお客さん」であり、彼らがまず購入し、そこから多くの読者へ広がっていくのです。

本には売れる順番があるんですね。

 

プロ読者も新人読者も満足できる本づくり

読者にはいろんなタイプがいて、本のステージ毎にそのメインクラスタを変えていきます。

売れる本はより読者人口の多いクラスタ「ふだんあまり本を読まない層」「話題だからという理由で買う層」といった、「そのジャンルを日ごろ読まない層」に届くことで、ベストセラーになります。

しかし、はじめからそこを狙ってはいけません。

最初は、どんな本も「そのジャンルを日ごろから読んでいる層」「その棚に週に1回以上、新刊を探しに来る層」から広がっていきます。

TVに出演していて、一般的に知名度のあるタレントさんの本でも最初はファンのみが買うのです。

その後「ファンじゃないけど、知ってはいたので、話題になったのをきっかけに興味がわいた層」まで広がっていきます。

 

本づくりが難しいのは一回作ってしまったあとでは、内容を変更できない点です。

だから10万部、20万部を目指すなら「最初に買ってくれるメイン読者」「そのジャンルのプロ読者」が読んでも面白い、新しさのある本にしつつ、メインクラスタが「ふだんそのジャンルを買わない読者」「話題になったから買ってみた読者」に変わってもちゃんと楽しんでもらえるように、メリットや面白さを分かりやすく伝えたり、専門用語などを一切使わずに本づくりをするなど工夫しなくてはなりません。

※蛇足ですが、そのジャンルの本を読まない、あるいは本をそもそも読まない読者の方には「何が面白いか」「どうご自身の人生で応用されたら良いか」まで伝えた方が良いと思っています。

小難しい映画の伏線を理解できない時に「あれはこの映画へのオマージュで」とか「だから作中、一度も彼は彼女の名前を一度も読んでいないんだよね」とかネタバラシするようなイメージです。

このもう一押しするのも意外と重要です。

 

分かりやすい本を、ベテラン読者が嫌がるわけではないし、新しさのある本を新人読者が嫌がるわけでもありません。

映画もゲームも「そのジャンルのマニアだから楽しめる作品」というものは存在しますし、好きですが「ファンも、はじめて触れるユーザーも楽しめる名作」というのもあるし売れてます。

 

途中から中身を変えられない本だからこそ、最初からメインクラスタとその先にいる読者まで見据えて本づくりをしなきゃなと、昨日、背中を流れる冷や汗と共に思いました。

増刷率90% 平均部数48,000部の出版プロデューサー。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(22万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

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Written by

西浦 孝次

増刷率90%。平均部数44,000部。 「血流がすべて解決する」(18万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をベストセラーにプロデュースするのが得意。 おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。好きな食べ物は炒飯。