最近、SEOやコンテンツマーケティングの勉強が楽しくて仕方ない出版プロデューサー西浦です。
僕はもともと「本のマーケティング」がしたくて出版社に入ったという、編集志望の多い出版業界ではマイノリティな人間です。
根っからのマーケティング大好き人間ですね。
ですので、僕は学研という出版社の販売部にいたころから、来る日も来る日も「ベストセラー」を生み出すにはどうすればいいかと試行錯誤をしています。
当時の上司が懐の深い方で「なんでもやればいいんじゃない?」って感じで本当にいろいろやらせてもらったおかげで、少しずつやり方が見えてきてベストセラーを出すこともできました。
あれから10年近くたち、いろいろバージョンアップした部分や変わった部分がありますが、どちらというと手段が増えたり確度が高まっただけで、基本の流れは変わっていません。
それは本質的に出版が「陣取り合戦」と「エリアマーケティング」の組み合わせによって売れ行きが変わること、そしてもう一つ「勢い」で最終到達点が決まるという部分が変わってないからです。
ですのでこの記事では、出版マーケティングを「陣取り合戦」と「エリアマーケティング」「勢い」という3つで解説していきます。
目次
出版にマーケティングは効果なし?
「ちょっとかわいい免許の本出すから、売り方考えてみて」って言われたら、あなたはどうしますか?
免許っていうのはいわゆる普通自動車の運転免許です。
その時の僕は新しい部署の仕事についたばかりで、ようやくマーケティングの仕事ができる!!と舞い上がっていたこともあり、マーケティングっぽいことを仕掛けたくてしょうがなかった(笑)
なのでセオリーどおりですが、その本の読者を想定して、販売戦略を立てたのです。
西浦(当時)「女子向けのかわいいデザインの本だから、女子+免許取得ニーズ・・・?」
⇒軽自動車の販売台数を県別に出して、それを基準に配本を調整しよう!
(女子だから軽自動車っていう安易すぎる発想は25歳の若造、むしろバカ造と笑ってやってください)
こんなものただそれっぽいだけで、マーケティングでもなんでもないんですが、大事なのはここからです。
結果は当然惨敗。
まったく軽自動車の販売台数と本の売れ行きに相関関係はありませんでした。
ただ一つ気になったのが、1店舗だけすごく売ってくれた本屋さんがあったのです。
その店の営業担当に聞いてみても「なんで売れてるんだろうね?」と首をかしげるだけなので、一緒に現場へ行くことにしました。
お店は埼玉の大宮にあった大型店なのですが、現場についてびっくりすることになるのです。
そこにはベンツがあったのです。
出版は陣取り合戦
お店ではエンド台と呼ばれるすごく目立つ台の、半分くらいのスペースにその本を積んでくれていて、しかも本の真ん中にはベンツのプラモデルがショーケースに入れて展示されていたのです。
西浦「ベンツ・・・!(軽自動車じゃなかった!)」
と心の声が実際に出てましたが、とにかく書店さんにお話しを伺いました。
西浦「なぜここまで平積みしてくださったんですか?」
書店様「なんかかわいかったので♪」
西浦「・・・あのショーケースに入ってるのって」
書店様「ベンツのプラモデルです!」
なんだか軽く話す書店員さんのノリとは対照的に、その本が異常に目立っていたのは間違いありません。本屋にベンツありましたからね。
この売り場を見て「出版ではマーケティング『っぽい』ことより、現場を押さえた方が圧倒的に有利なのではないか?」と思いました。
自分の中で大きい方針転換が行われました瞬間でした。
どの店に送るか以上に、どのように置かれるかがすごく大事。
たくさんの本の中で、どれだけ目立つ場所を取れるかという「陣取り合戦」に勝てなければ、マーケティングなんて無意味なんだ。
出版は現場を押さえた本が最強なんだなと。
長くなってしまったので(特に後半)、続きは次回に
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