作家として生き残るためにすべき6つのこと

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著者の「成功パターン」の1つが「長く生き残れる著者」だと言われています。

(詳しくは「成功する著者と失敗する著者の違い18『編集者・書店員14名、秘密の座談会』」参照)

ほとんどの著者は最初の1冊が全く売れず、次回作の企画もなく消えていきます。たまにデビュー作や2作目でヒットした方もいますが、少数派と言わざるを得ません。さらにその後も出版し続けられている方は、ほんの一握りです。

自分の名前の棚が出来るような、長く活躍し続けられる著者になるにはどうすればよいのでしょうか?

そんな「本を出して終わりにしない為に準備すべき事」についてまとめてみました。

この記事は

  • 本を書いても、一発屋で終わりたくない
  • 自分の名前の棚ができるような作家になりたい
  • 1作目がそこそこのヒットだったんだけど、続けて活躍できる著者になりたい

という方のお役に立つ内容になっております。



「プロ作家」としての設計図を描く

出版は確かに個人に強烈なインパクトを与えてくれますが、その効果は永遠ではありません。
むしろ期間限定のスター状態だという認識でいた方が良いでしょう。そこそこのヒット作を出せたとして、作家としての寿命は2年くらいのイメージです。

活躍し続けられる人と、期間限定で終了する人の違いは、この2年の間に「売れるための努力」だけでなく「続けるための準備」をしてきたかどうかです。
「もっとこうしとけばよかった!」「なんでこんな事したんだろう?」と後から後悔しないように、事前にしっかり計画を立てておきましょう。

  • どのタイミングでどんな本を出すか?
  • どのタイミングで別テーマに移行するのか?
  • 各テーマをいかにして磨き続けるか?
  • 文庫版は出すのか、出すならどのタイミングでか?
  • シリーズ化を最初から狙うのか?

などいくらでも考えるべきこと、準備するべきことがあります。

「書きたいテーマ」をピックアップしておく

作家としての設計図を作成するとき、まずはテーマの整理からはじめましょう。
どんなテーマの本を書くのか決めておく、ということです。
特に2冊目以降、どういった本を書くかについては考えていない著者が多いので注意してください。

なぜテーマについて考えておくのかというと、1冊ヒットが出れば、複数の出版社からオファーが来ると予想されるからです。

あれもこれもと受けていると「1作目と似たような内容」や「既刊何冊かを薄めただけ」という企画になってしまいがちです。

もっと酷いものになると流行に乗ったように見えて、見当はずれな企画もあり、
「え、この人ってこの分野の人だっけ?」「著者として何をしたいのかわからない」と読者に思われてしまうのがオチです。そうなると読者離れは早いです。

そうならない為にも、1冊目の後、2冊目、3冊目でどんな本を書くか、逆にどんな本は書かないのか事前に決めておきましょう。

書籍は出す順番も重要ですから、できればそこも考えておきたいですね。

2冊目のコンセプトを間違えないために

1冊目が売れた場合、おそらくは「2」とか「実践編」というコンセプトの2冊目を提案されるかと思います。順当な流れですが、この場合うまくいって1作目の40~60%くらいしか売れません。

それでも1作目の横に並べて書店で売ってもらうことで、1作目が売り伸ばされますので良しとする考え方が主流です。それは正しいでしょう。

ただ、2冊目で1冊目を凌ぐ売り上げを作れれば「長く活躍し続ける著者」になれる可能性がかなり高まります。だから2冊目こそ慎重に、大事に行きたいのが本音ではあります。

この理想的な2冊目の作り方というのはまだ確立されていないと思うのですが、2つの事例と、僕なりの考え方をご紹介します。

「ビジョナリーカンパニー」シリーズ式

大ベストセラーのシリーズにして1作目より2作目の方が売れているという珍しいケースです。

同シリーズの邦題は「ビジョナリーカンパニー」「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」ですが原題はそれぞれ「BUILT TO LAST」「GOOD TO GREAT」です。

この原題の付け方は

  • 同じシリーズであることが伝わる(A TO B という形式の統一)
  • 同じテーマを持った別の内容であることが伝わる

という特徴があります。後者について補足しますと、それぞれ

  • 「BUILT TO LAST」→「永続する企業を創る」
  • 「GOOD TO GREAT」→「良い企業を偉大な企業にする」

という、ビジョナリーカンパニーをつくる大きな流れ(良い→偉大→永続する企業)の、それぞれ別パートについて書かれています。

本を読んでビジョナリーカンパニーを実際につくろうとするなら、「良い企業を偉大な企業に」した後で「偉大な企業を永続する企業にする」という流れで作ることになるからです。

つまりこのシリーズはビジョナリーカンパニーを作る流れとして②の方が先にあるというズルい構造なのです(著者の後付けかもしれませんが・・・失礼)
だから①を読んで面白かった人は全員②を読むメリットがあるし、①を読んでない人も②から読み始めて問題ないのです(永続しなくても、偉大な企業になるだけで十分メリットがある)。事実、①は買ってないけど②から読んだ、②だけ読んだという人がいます。

このビジョナリーカンパニー式、映画「スターウォーズ」シリーズと似ているのです。スターウォーズも1作目が実はエピソード4という位置づけで、後からエピソード1を作成しています。

エピソード4から観てた人はもちろん、まだ一度もスターウォーズを観ていない人も、エピソード1から入ってエピソード4を観ても良いのです。

 

「1作目を読んだ人も、読んでない人も買える理由のある本」が、2冊目のコンセプトとしてオススメです。

「マナーとコツ」シリーズ式

2つ目は累計150万部の「マナーとコツ」シリーズ(詳しい販売の経緯はこちら)などのやり方です。こちらは最初から「シリーズ化を狙った」企画の立て方をしています。

具体的には

  • 「マナーについて、かわいいイラストと手書き風の字で伝える」というシリーズコンセプトの元、
  • 「どういったテーマならマナーが気になるか」を個別に考えられたものです。

この場合、シリーズに共通コンセプトはあるものの、1冊ごとに独立した内容になっているので、読者は興味のあるものだけを読めばよいのです。つまり1冊目、2冊目というような順番の概念がありません。これは2作目以降を売り伸ばすのに非常に有効な作り方です。

これも、ある映画のシリーズに似ていますね。そう、ディズニー映画です。ディズニー映画はそれぞれ別のキャラクターやヒロインのいる映画シリーズですが、ミッキーから入っても、シンデレラから入っても問題ありません。シンデレラだけを楽しむこともできるし、そこから他のプリンセスや、プーさんへと、どんどん進んでいくこともできます。有名な話ですが本当によく設計されたシリーズだなと思いますね。

 

ただ、最初からシリーズ化を狙うのはすごく難しくもあります。そもそも面白いシリーズコンセプトが立てられなかったら、シリーズ化しようという話しになりませんし、1作1作が面白くなかったらどの本も売れません。シリーズ化してしまうと「穴を埋める」ように1冊1冊を作ってしまうケースもあり、その1冊の企画についてしっかり向き合えなくなるからでしょう。

 

それを回避するためでもないのですが、第一弾よりも第二弾以降により強い(=読者の多い、市場の大きい)テーマを持ってくることがあります。

「マナーとコツ」で最初に発売されたのが「食べ方」と「贈り方」なのですが、この2つのヒットを受けて、本命の「話し方」次いで「お仕事」が発売されてます。

実際、当時3冊目4冊目の方が売れて、シリーズとしての勢いがすさまじいことになりました。第二弾の「話し方」「お仕事」の方が市場が大きかったからです。

 

文響社さんの「人生はワンチャンス! 」と「人生はニャンとかなる! 」も同じ構造ですね。ネコの方が本としての市場は大きいのです。(犬は犬種でファンが細分化されるし、「うちの子が」かわいいのです。ネコは基本的に「お顔のかわいい猫様は全部好き」なタイプの読者が多いらしく、結果的にネコの方が、読者が細分化されないので市場としては大きい)

他に子ども用の図鑑も同じ構造です。動物、昆虫、花などは特に人気のあるラインナップなのですが、それをシリーズ創刊やリニューアルの第一弾にまとめて持ってくることはせず、散らします。

 

つまりまとめると

ビジョナリーカンパニー式は

  • 1作目を買ってくれた読者に買ってもらうこと
  • 1作目を買ってない人も2作目を買ってもらえるようにすること

 

「マナーとコツ」シリーズ式は

  • シリーズのファンに買ってもらうこと
  • シリーズ作品を持ってなくても、どこからでも興味あるものから買える(ディズニー映画式)
  • シリーズ第2弾以降に読者市場の大きいテーマを持ってくる(図鑑など)

 

という設計になっています。

「実践編」や「2」はどうしても基本編である1ありきなので、シリーズ化を意識して「横展開しやすいシリーズコンセプト」の企画を考えるか、「1作目を読んでなくても買える工夫」をしましょう。

 

第二のテーマを見つける方法

「コンセプト」というのは本それぞれに違うのですが、「テーマ」はあなたが書く本の分野なので、基本は1つです。

しかし1つのテーマでずっと書き続けていると、近いうちにノウハウや事例も枯渇していき、「以前の本とほとんど同じ」「内容が薄まってるだけ」などと悪評が立ちます。そうなる前に第二のテーマを設定、移行しなくてはなりません。

第一のテーマがネタ切れになってからでは遅いので、(第一テーマの)2冊目企画が動き出す頃には、第二のテーマを決めておくぐらいでちょうど良いです。

ではどのようにして第二のテーマ探しをすれば良いのでしょうか?

1作目には10年以上取り組んできたことをテーマに選んで書かれたと思うのですが、それ以外のテーマで「5~7年以上」かけてやってきたことのノウハウ整理をしてみてください。

例えばもし僕が本を書くとすると、以下のように「かけた年数」でノウハウを整理します。

【仕事の経験年数】

書店営業1年+出版マーケティング4年+出版プロデュース7年=「出版12年」

 

すると出版というテーマで「営業」「マーケティング」「プロデュース」のノウハウがあり、合計12年分の事例があります。

また、出版プロデュースの7年は別視点で「フリーランス7年」とも考えられます。

 

つまり、出版プロデュース7年の経験を「フリーランス7年」と置き換えてノウハウを整理するのです。

ちなみにそうやって整理された記事はこちらです。

20代で成功するフリーランスになるには?弟や幼なじみにした本音のアドバイス

このように「出版」というテーマをまず第一のテーマとして企画を作りつつ、「フリーランス」というテーマを第二の軸として用意しておくのです。

この場合、僕ならフリーランスのコンサルなどをもう2年ほど積み、自分以外の事例収集や暗黙知のノウハウ化をはかるなどして準備をします。そして出版をテーマにした本を書きつつ、出版のノウハウや事例が枯渇する前に、フリ―ランスの企画に軸をシフトさせます。そうしてフリーランス企画を続けつつ、出版をさらにステージアップさせるなり、第三のテーマを発掘するなりしていきます。

そうすることでアウトプットとインプットの周期を作り、常に「練られた本」を提供できるようにしましょう。


本を告知する手段を用意する

本が発売されたら、それを告知しPRしなくてはなりません。本の売れない作家が長く活動を続けるのは至難の業、というかムリです。

講演・セミナー・ソーシャルメディアなどやり方はたくさんあります、自分が出来ることから始めましょう。
ちなみに友人の編集者曰く『企画が決まったら必ずブログを毎日更新するようにお願いするが、実際にちゃんとやる人はほとんどいない』そうです。
ちゃんと継続してやるだけでも他の作家と差別化できそうですね。

告知は人の協力を得ることも、重要です。ブログやメルマガの読者数の多い仲間がいると心強いですね。そういう時、一緒に切磋琢磨した出版塾の仲間は非常に強力な味方になってくれます。そこが出版セミナーや塾に通う、もう一つの目的と言えるかもしれません。

また、出版社が広告を出してくれることもありますが、「新刊には必ず、1回は広告を出す」方針の出版社以外は、売れるまで広告を出してもらえません
「売れるかどうかわからない本」から「売れる本」へと出版社側が認識を換えてくれるまで、自分で告知をがんばりましょう。今となっては著名となった作家の方々も実はみんな経験しているものです。

読者の役に立つコミュニティや仕組みをつくる

あなたの本を読んでくれた読者をそのまま「読者」のままで終わらせてはいけません。

経験知ですが、読者の1割は行動を起こします。そのときに著者が運営する、参加しやすい「コミュニティ」があれば読者が実践者になることを手助けできます

では著者に向いたコミュニティには何があるのでしょうか?

  • facebookグループ

作成も簡単ですし、秘密、非公開などプライバシー設定もできますからとりあえずお勧めです。ただ、正直なところ過疎化しやすいようにも思います。

  • 毎週月曜の朝から●●勉強会(各地域開催)

のように定期開催されるコミュニティのメンバー用。定期開催というのが重要で「予定が先まで見えているから、再来月には参加できる」など、確実に参加できる環境を作ってあげましょう。

  • 本の実践者向けグループ

実際に本の内容を実践してみるとよく分からないところが出てくるものです。それについて参加者同士でアドバイスしあったり、オフ会を開催したりするグループです。ただ、こちらも過疎化しやすい傾向にはあるので、下の「イベント参加した人たち向けの交流グループ」の側面を持たせ、イベント→懇親会(親しくなる)→実践会入会の流れが良いでしょう。

  • イベント参加した人たちの交流用グループ

イベント参加した人たちのためのグループです。講演会のような一方的に話すスタイルだと、参加者同士につながりがないので、グループ分けして、ワークをする、終了後に懇親会を行うなど、参加者同士の縁を結んでからやりましょう。

  • facebookページ

コミュニティというよりは情報取得が目的ですが、facebookページでイベントを立てると、過去の画像なども表示されるので、個人でイベントを立てるよりもお勧めです。

コンテンツがないとfacebookページにいいね!してくれても離脱されがちですが、オウンドメディアを更新していれば、そちらの記事を貼るだけでもOKです。

  • オウンドメディア

あなたが運営するメディアです。発売前から用意しておいて、読者が本以外の情報も得られるようにしてあげましょう。各種イベントやサロンなどの導線としても、本を知らない方の認知のためにも自身のメディアは必須と言えます。

なお戦略ではなく愛をベースとしたメディアを立ち上げて下さいね。自分のためではなくユーザーのためのメディア運営が大切です。

  • 有料メルマガ(サロン等)

有料会員向けのサービスです。毎月数百円で著者に直接質問ができる、この会員限定の情報を得られるなど、よりプレミアムな特典を用意しましょう。
あなたが著者として長く活躍していくには「読者」を「支持者」に変える仕掛けが必要です。
「ファン」と呼んでもかまわないでしょう。あなた個人の性格やキャラクターも、もちろん大切なのですが、やはり「自分たちに貢献してくれる」から読者があなたを支持し続けてくれます。
読者を支持者に変えるためにも、貢献のためのコミュニティを運営しましょう。

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増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


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