(2018年6月7日追記)
行ってきました、安室奈美恵さんのライブツアー「namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~」(2018年6月2日)
国内75万人の定員に対して500万人を超える応募があったというから、15%の人しかチケットを入手できなかったことになります。ものすごく運が良かった・・・。
4日のテレビで知ったのですが、会場には音だけでも聴きたい、近くにいたいと関東以外からもファンが駆け付け、ドアに耳を押し当てたりされていたようです。「最後のライブに参加できなかった」と泣いておられました。つらいだろうな・・・。そういったファン一人一人の姿からも「安室ちゃんってすごいな」「安室奈美恵の引退ってとんでもないことなんだな」と感じました。25年かけて500万人を動かすまで到達できるのですね、人間というのは。
正直まだ全然実感がわいておらず、毎日安室ちゃん聴きながら生活しています。
ライブもぐっときたり、涙ぐんだりはしたけど、どこか自分の中でふわふわしていて、これがラストという実感は最後まで持てなかったなぁ。
むしろこの記事に書いてある、はじめて安室ちゃんのライブに行った時の衝撃の方が鮮明です。
とりあえず、ライブDVD買お。
(追記は以上です。ご覧いただきありがとうございます。以下、本編)
朝から完全にアムロス状態の出版プロデューサー西浦です。昨夜(2017年9月20日)に安室奈美恵さんの引退ニュースを知りまして、その時は実感が湧かなかったのですが、今朝のニュース番組で木下優樹菜さんが涙の動画を紹介され、近藤春菜さんが涙をこらえて引退への思いを語り、各局安室奈美恵ヒット曲を流しまくりのこの状況では、もはや実感せざるを得ませんでしたね。今日は元気でないわ・・・。
安室奈美恵というと、僕ら30代は青春のど真ん中ですが、おそらく多くの方にとっては「CAN YOU CELEBRATE?」をピークに記憶が途切れているのではないでしょうか。
昔、すっごい人気があった歌姫。結婚式で歌われる曲1位の、ザ・懐メロ。のような。
僕自身も、ある時までそうでした。奥さんと付き合いだしたころ、Liveに連れてってもらうまでは。
目次
男も女も、古参も新規も魅了する安室奈美恵の圧倒的パフォーマンス
僕がはじめて安室奈美恵さんのLIVEに行ったのは、「namie amuro PAST < FUTURE tour 2010」
か「namie amuro LIVE STYLE 2011」のどちらかだと思います。まあ2010年~11年ごろってことですね。
ライブ会場に足を運んでまず驚いたのは、ファンの年齢層の厚さです。30代の女性を中心に、いわゆる「アムラー」スタイルの人も健在でなんだか懐かしく感じました。他にも40代~くらいの女性と、その娘と思しき10代の女性もいれば、「あなた世代じゃないでしょう?」という20代くらいの女の子も。そして全体的にすごくカッコいいというかセンスの良い女性が多かった。なんかの追っかけとかオタクって感じじゃないんですね。
その後「安室奈美恵のファン」という女性に何名か会いましたが、全員オシャレでセンスのいい人たちです。個人的には「安室好き=センスあり」みたいなイメージになりました(笑)
それに、ライブ会場には女性だけでなく、男性も2割くらいは来てました。「女性中心に男性ファンもいるし、年齢層も広いし、安室奈美恵ってすごいな。最近TVとかで観なかったけど、なにがそんなにすごいのだろう?」などと思っていました。ライブが始まるまでは。
スクリーンに映像が映し出され、曲と共に安室ちゃんと「ジョジョの奇妙な冒険」に出てきそうなダンサーたちが登場し、パフォーマンスがはじまると「あっ」という間もなく飲み込まれます。
「うおおおお!なんてカッコいいんだ!!」というのが最初の印象でした。
また、MCがほぼ無いというのが、ファンには広く知れた彼女のライブの特徴です。代わりに映像とパフォーマンスで魅せていきます。そんだけ踊って動いて、その声で歌えるの!?という感動すらあります。
パーフェクトなパフォーマンスを観た。そう思いました。
アイドルグループの中でも安室ちゃんを憧れだという人がいますが、ダンスしながら歌うことのハードルの高さを彼女たちは日々感じているでしょうから、それもよくわかるなと思います。
今の時代に自信をもって押し出せる「女性の理想像」安室奈美恵
ダンスや歌ももちろんですが、歌詞もすごくファンを惹きつけている部分です。
例えば『LOVE STORY』という曲の一節に
欲しいものは手にしたけど かわりに
I know
あなたがくれる永遠も笑顔も手に出来ない
とあります。本人の作詞ではないのですが「こんな歌、安室ちゃんしか歌えねぇ!!」と思うわけです。
安室奈美恵さんは、10代、20代、30代すべてでミリオンセラーを達成した、唯一のソロアーティストらしいのですが、やっぱりそれくらいでないと「欲しいものは手にしたけど」とは簡単に歌えないと思うんですよね。
他にもいい歌詞はたくさんあるので、ぜひ聴いていただきたいのですが、安室奈美恵さんの歌には「強い女性」像「かっこいい」女性像がたくさん描かれています。この25年あまり、女性が「強く」あることを求められる時代を生き抜いてきた本人の姿には、同じ時代を生きている僕らが、自分を投影できるだけのシンボルがあります。
歌にダンスに完璧超人の安室奈美恵がそこにいるのですが、すごいだけじゃなくて、もはや「ズルい」部分があって、それはそれはすごく「かわいい」ってことです。
キレッキレのダンスの中で魅せる「笑顔」や「はにかんだ表情」にハート射抜かれます。この「かわいい」は男性を意識した、ある種の計算された媚のある「かわいい」ではなく、ずっとカッコいい路線で来て、実際に歌もダンスもカッコいい彼女だからにじみ出る「ギャップ」とでも呼ぶべきもので、男性以上に女性が「かわいい~!!!」と目がハートになっています。「これを『かわいい』と言っても、女性に気持ち悪がられない、むしろ『本当のかわいいを分かってるな』と思われそうなかわいさ」です、伝わりますかね(笑)
また、MCがない理由も「恥ずかしいから」だそうです。その理由が本当かどうかわかりませんが、例えばアンコール前に舞台袖が映しだされ、「今日もMCなくてごめんね」って書かれたプラカードを持った安室ちゃんが登場したりと、MCがないという弱点もコミュニケーションとして成立しています。これが僕には女性らしい弱さの肯定と感じられたのです。
結婚して、子供を産んで、離婚して、それでもこうして最前線で歌とダンスを中心としたパフォーマンスを示し続ける彼女を見て、女性の理想像の一つだなと思いました。
今の時代、女性は男性以上に選択肢が多すぎて「これが正解」というものを決めづらいだろうなと思っています。結婚するのかしないのか、子供作るのか作らないのか、仕事続けるのか辞めるのか。あっち立てればこっち立たずで悩ましいので、とりあえずキラキラしたい女子が増えるのもわかるというものです。
そんな「これが正解」を示しにくい世の中で、「結婚して、子供産んで、離婚して、仕事して、最前線で活躍し続ける」っていう、ちゃんとこれが正解の一つです!と自信をもって言えて、女からも男からも支持される女性のスタイルは「安室奈美恵」なんじゃないかと思います。あとは小泉今日子とか?
女性向けの本をプロデュースするとき、実はこういった女性のスタイルや世界観をベースに置いて、そこから外れないように意識しています。女性からも男性からも支持されるスタイルと呼べるかな?というのが僕にとって女性に何かを届けるときの大事な空気感なのです。
TVに出なくても、支持され続ける人たち
そんな彼女もずっと順調だったわけではなく、かつて「安室奈美恵は終わった」と言われた時期があったそうです。本人のインタビューで読んだのですが、褒められても「本当はどうせダメだと思ってるんだ…」と思うような、ある種ネガティブな方らしく、そうやって「オワコン」扱いを受けたほうがやる気が出たと。
セルフプロデュースをはじめて、TVに出なくなってどんどん「世間」からは遠ざかったのかもしれませんが、彼女は「ファン」とすごくちゃんと向き合ってきたアーティストなんだと思います。ライブをとにかく大事にしているというのもその姿勢の表れでしょう。
一度、ライブで明らかに「声が出ていない」時がありました。「なんか今日は高音出てないなー」と思っていたら、途中で安室ちゃんと責任者らしき人が出てきて「本当に申し訳ないのですが、今日のノドの状態では皆さんに最高のパフォーマンスを届けられないので、本日の公演は中止とし、改めて皆様には別日程のご案内をさせてほしい」というようなお話がありました。後日ニュースで「急性声帯炎」だったことを知りました。
その時に急性声帯炎ということはわからないですし「えー。僕は東京だからいいけど、遠方のファンは残念なんじゃ。代理ライブの日程合わないかもしれないし・・・」とちょっと否定的な印象を持ってしまったんですね。
ところがライブ会場では一切のブーイングもなく、整然とみんな帰宅準備を始めているじゃないですか!
中には「心配だねー」「でも、何曲か聴けたし、また行けるから、1回得したと思えばいいよね!」と言っている人たちもいました。すごいポジティブ…というか信頼感だなと。これこそがファンとアーティストの信頼関係だとしたら、著者と読者でも同じくらいの関係性を築くにはどうすればいいんだろう?と当時帰りながら考えたのを覚えています。
「かっこよくて、かわいい」「完璧で、でもちゃんと(?)抜けてる」それが僕にとっての安室奈美恵像です。そして「安室奈美恵」というのは、今を生きる女性の一つの「理想形」だと思っています。
彼女の引退というのも、理想像の「理想の終わり方」は何かを示した気もしますね。
女性向けの本を書く著者には、そういった「女性の理想像」になれるか?の女性の理想像と呼べるイメージを本の中で示せるか?を問うようにしています。
安室奈美恵の引退によって、また新たなシンボルが必要とされるでしょうから。
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