出版とは、一人の人間として何を目指すか決めること

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最近、娘の保育園送りで汗かきすぎて「これはスポーツだ」と認識し直した出版プロデュ―サー西浦です。なのでスポーツウェアでベビーカー押してます。

 

昨日、著者候補者と打ち合わせをしていて「本を出すなら人生の目標に沿うものにした方が良いよ」という話になりました。

彼は若くして、すでに生涯年収分くらいは稼いでいる有能な経営者なので、印税が欲しくて本を書くわけではありません。

僕のように会社と、やりたい事と、人生のテーマが一致している人間もいるでしょうが(そういう人はテーマ探すの楽)、彼のように会社を作ったり売ったり買ったりできる能力のある人は、個人と仕事、会社をしっかり分けて考える必要があります。

自分が今経営している会社をいずれ手放すのであれば、その会社の代表として本を書いていいのか?

それとも個人として本を出すべきなのか?

そういった話をするうちに出版の本質についてまた別の角度から見えてきた気がします。

それは、本は「自分の人生のテーマ」に沿って書くべきで、会社や組織から離れた「個人」として向き合った方が良いということです。

本を会社で書くか、個人で書くか

「会社のマーケティングやブランディングの手段としての出版は辞めよう」

これは以前から言っていることですが、マーケティングやブランディングが目的であれば他にやるべきことがあるのです。集客とかPRとかそっちを頑張る方が良い。本を出したからって売れなければなんの効果もありません。

ではなんのために本を出すかというと、全国の書店店頭に自分の本を並べてもらえる可能性=通常の自分の生活範囲・ビジネスの届く範囲を超えた先にいる人たちにメッセージを届けるためです。

通常は「じゃあ、まずは自分のビジネスが届く範囲にしっかり届けるような仕組みづくりをはじめよう」ということで、著者メディアに代表されるような情報発信を始めます。

 

しかし、先ほど書いたように自分の「会社」や「ビジネス」を手放せるタイプの経営者の場合、会社の仕事として情報発信をすべきか、個人としてすべきかという選択肢が生まれます。(ちなみに、自分の会社を売ったりできる、あるいは絶対に売れない、売りたくないというタイプの違いは優劣ではありません。会社の売買に関するスキルや知識の有無はもちろんありますが、何よりも気質の問題だと思っています。どちらが良いというのはありません)

会社としてメディア運営すれば業務時間内で情報発信ができるし、会社のお金や人を活用することもできます。経営陣に業務時間内とか外とかっていう概念があるかは別として(笑)

しかしいずれ自分がその会社を手放す可能性があるならば、それはその会社のオウンドメディアであり、「自分の」メディアではありません。

 

どちらを選ぶかは本人の自由ですが、二人で話すうちに、彼は自分の会社と個人とを分けて情報発信していくつもりになったようです。

あなたというカリスマありきのメディア

著者メディアは個人色が強く出るメディアです。

しかし、本人しか記事を書かないわけではなく、スタッフや外部のライターさんにお願いすることだってあります。本というよりは、雑誌のイメージですね、あなたの役割は編集長です。

著者メディアでは記事がストックされ、どんどん資産化していきます。

その資産は、安定集客力や告知力として、あなたの引退後もお子さんや2代目社長など、跡を継ぐ方に継承していけます。

あるいは引退後、前線は退いてもメディア上で記事は書き、後進のフォローを続けて生涯現役を貫かれるのも良いでしょう。

家族経営されている方が、著者メディアのスタイルを喜ばれる理由の一つです。

 

しかし、こういった特徴は意思の継承、情報資産の継承が可能であるという意味です。

誰かに売るとか完全に手放す前提では設計していません。

なぜなら著者メディアは個人色が強く出るメディアであり(だから通常のメディアよりも圧倒的にコンバージョン率が高い)、ただのオウンドメディアではなく、経営者や運営者が変わったら同じように維持できないからです。

それはスタジオジブリと普通の映像プロダクションの違いです。

どちらも映像を作るし、複数人で作品作りをしますが、ジブリには宮崎駿監督が不可欠であり別の監督に変わったら、本当のジブリファンからすると「別物」です。

もちろん、実際にはそんな圧倒的カリスマ一人に頼ってしまうと、そのカリスマの引退でダメになるのが目に見えているので、カリスマが健在のうちに、第二、第三のカリスマを立てる方向にシフトしていくべきです。

本は一生のテーマに沿って書く

僕は本を著者メディアの延長上にあると考えています。つまり著者としての情報発信や、読者の困りごと解決サービス(セミナーとかコンサルとか)の一つということですね。

ならば著者として本を出すことを考えた時、著者メディアと同じように「個人」で書くべきです。

そして会社やビジネスと違い、自分は一生自分で切り離せません。

なので基本的には「一生のテーマ」から選ぶべきだと思います。

もちろん一生一つのテーマに縛られて生きろというつもりはありません。他にもっと興味のあるものを見つけるかもしれないし、見事目標を達成して次のステージへと移ることもあるでしょう。

現実の問題として将来どうなるかは分かりませんが、少なくとも自分が取り組んでいて楽しい、やりがいがあると心から思えるテーマに向き合いましょう。

ちなみに面談していた著者候補は、話をするうちに「50歳になったらやりたい夢」の話をしてくれました。

その夢に沿ったテーマで、著者として活動していくときっとうまくいくだろうなぁと思いました。

 

 

増刷率90% 平均部数48,000部の出版プロデューサー。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(22万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

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Written by

西浦 孝次

増刷率90%。平均部数44,000部。 「血流がすべて解決する」(18万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をベストセラーにプロデュースするのが得意。 おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。好きな食べ物は炒飯。