朝ごはんは毎日「たまごかけご飯」の出版プロデューサー西浦です。美味しく食べるコツは黄身と白身を混ぜすぎないこと、醤油ではなく、めんつゆで味付けすることです。お試しあれ。
以前、とある作家さんと出版社さんから「主婦向けに生活の知恵的な雑学書籍をつくる予定なのですが、マーケティングについてアドバイスが欲しい」とのご依頼があり、いくつかのアイデアを提案させていただいたことがあります。
目次
売れる本は、つくる前から、売り方が見えている
ですが「主婦向けに生活の知恵的な雑学書籍を」となると棚があいまいで、書店で迷子になりそうです。かといって「実用書として売るには営業力が足りない」、「雑学文庫のレーベルは持っていない」とのことで、売り方が見えてきませんでした・・・ですので「ついで買い」狙いで行ってはどうでしょう?という提案をしました。
レジ前、そこはサイフのヒモが緩くなる唯一の場所
「ついで買い」というのは文字通り「何かを買ったついでに、他の商品も買ってもらう」という売り方です。スーパーで言えば、食材を並べたコーナーを作り、一緒に鍋のスープ(普段は売れないような変わり種も売れたりする)を置いてみたりという、あれです。
「今日はこれを買おう」とサイフを開くことを決意した後では、一度、心のボーダーラインをクリアしている為、他の商品に対しても購入しやすくなっています。こういった特性は、男性以上に女性に顕著ですので、今回の「女性向け雑学書籍」にしっくりくる売り方といえます。
さて、「ついで買い」をしてもらう為には、書店内での接触回数を増やしてもらうのがいちばんですが、特に、レジやレジ前ワゴンなどが最も効果的な展開です。一番、サイフのヒモが緩くなる場所ですからね。
財布のヒモが固い主婦に「ついつい買ってしまう」気にさせる4つの仕掛け。
では「ついで買い」をしてもらう為にどういった仕掛けが有効なのでしょう?
- 「ついで買い」というシチュエーションと
- 「主婦がターゲット」という状況から
4つの仕掛けをご提案させていただきました。それは
- 文庫か新書サイズにする
- 1,000円以下の価格にする
- 帯や表紙で「総額○○円お得に!」「1日○分の時間短縮!」と表現する
- 1ページに1つの雑学掲載にする
というものです。
一つ一つ、ご説明します。
レジ置きしやすいサイズとは
【文庫か新書サイズにする】
これは、「レジ前での展開をしたくなるサイズ」という狙いです。自分が書店員の立場になって考えればわかるのですが、レジの限られたスペース、ここはなるべく有効に使いたい為、あまり大きいサイズは嫌われます。
というわけでここに置く本は文庫か、せいぜい新書サイズまでしておくと良いでしょう。
ついでのお手頃感
【1,000円以下の価格にする】
「ついで買い」でお客さんが出せる価格は、その店の平均客単価によって変わってしまいます。
例えば十数万円のPCを買ったついでなら、5千円くらいまでの関連パーツは、あまり深く考えなくても、買っちゃいますよね?本であればいくらぐらいが適正価格なのでしょう?価格帯が1,200~1,600円くらいの書店において、ついで買いに1,000円以上はNGです。ついでの金額じゃなくなってしまいます。
価格面で考えても文庫、新書は良いパッケージと言えそうですね。
レジ前は一瞬の勝負
【帯や表紙で「総額○○円お得に!」「1日○分の時間短縮!」と表現する】
レジに並んでいる間、目の前を通過した瞬間。この一瞬で「ついで買い」を決めてもらう為には、表紙のインパクトで「お!面白そう!」と思っていただく必要があります。
タイトルや帯で「この1冊で総額○○円お得に!」というような、主婦にとってフックになる言葉で、彼女たちの目を釘付けにしなければなりません。
ついで買いは迷ったら負け
【1ページに1つの雑学掲載にする】
ついで買いをする場合、基本的には今日書店に来た本来の目的はすでに果たし、あとは清算をするだけという状況です。
気持ちが次の予定(待ち合わせとか、他の買い物とか)に移り始めているため、じっくり中身を確認している暇はありません(気持ち的に)
パラパラと中身をめくっただけで、「あ、おもしろそう」と思っていただく必要があるのです。そのためには一瞬で構成を理解できるように、工夫する必要があります。
ですので、目次を見なくても全体がわかるように、例えば1ページにつき雑学1つ、ページの下には、その雑学で年間いくら得するかが書いてあるなど、一目でその本の良さを理解していただけるような、見せ方の工夫が大切です。
と、このように、書籍一つとっても売り方が違い、売り方に合わせて、つくり方も工夫する必要があります。
「どのように売るかを考えてから、商品作りをする」これこそが、今の出版業界で最も大切な視点の一つマーケットインのモノづくりです。