コーヒーが冷めないうちに【あらすじ】愛情と後悔の物語

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もしも一度だけ過去に戻れるとしたら、あなたは誰に会って、何を伝えますか?

「過去に戻りたい」と願う人は、少なくありません。
たとえそれが「現実に影響しない」としても、私にも、戻りたい過去が幾つもあります。
もう会えない人に会いたい、何かを伝えたいという気持ちは、大抵「後悔」を引き金として生まれます。

今回は、そんな「後悔」を抱えた人々の、ちょっと不思議な時間旅行を描いた物語、「コーヒーが冷めないうちに」をご紹介します。
この「コーヒーが冷めないうちに」は、2017年本屋大賞にノミネートされた話題作となっています。



どんな本なのか

コーヒーが冷めないうちに」は、「4回泣ける」と評判になり、35万部を突破した(2017年3月現在)ベストセラーです。第10回杉並演劇祭大賞を受賞した『1110プロデュース公演』の舞台がきっかけとなり、小説が出版されました。

物語は、『過去に戻ることができる席』があるとして、都市伝説にもなった小さな喫茶店、「フニクリフニクラ」を舞台にしています。
しかし過去に戻るためには、いくつものルールがあり、そう簡単ではありません。
この小説は、「それでも過去に戻りたい」と願った4人の女性たちを中心に、お話は進んでいきます。

愛情と後悔の物語

面倒なルールがあることを知っていても、この物語に登場する女性たちは、過去や未来へと時を越えます。
それぞれ理由は異なりますが、そうさせるのは「愛情」や「後悔」といった、誰かに対する深い感情となっています。
描かれているストーリーは4つ。

  • 第一話『恋人』結婚を考えていた彼氏と別れた女の話
  • 第二話『夫婦』記憶が消えていく男と看護師の話
  • 第三話『姉妹』家出した姉とよく食べる妹の話
  • 第四話『親子』この喫茶店で働く妊婦の話

結婚する前ならば第一話、配偶者を持っているなら第二話、家族との軋轢があれば第三話、親や子への後悔を持つなら第四話、が特に胸に響くのではないでしょうか。

もちろんその限りではなく、どのストーリーに共感するかは、きっと読み手の過去の境遇や現状により、大きく異なることでしょう。

自分自身の状況が変わる節目ごとに読みたくなるような物語です。

不思議な感覚

物語の中では、繰り返し繰り返し店内の様子が描写されます。

重い木のドア、ランプ、シーリングファン、狭い店内。

そういった、細部にまで渡る描写により、喫茶店「フニクリフニクラ」は、まるで実在の喫茶店であるかのように脳内に浮かび上がってきます。

登場人物は、それほど多くありませんが、それぞれが個性的で、魅力的です。

リアルで丁寧な人物描写により、いつのまにか彼女たちに共感していることに気付かされます。
また、文章が読みやすいのも、大きな魅力のひとつです。
「泣ける」
そんな意見が多いのは、きっと、すんなりとストーリーに入り込むことが出来るためでしょう。

そして、とてもイメージしやすいのは、オリジナルが舞台であることも影響しているのかも知れません。

そんな、普通の小説とは違う、ちょっと不思議な感覚が楽しめます。

過去と未来

コーヒーが冷めないうちに」では、強い「愛情」と「後悔」が描かれていますが、どろどろとしたものは、全く感じられません。
素直になれないキャリアウーマン、ひたむきに夫を支える妻、かけがえのないものを失った姉、不安を抱える妊婦。
いずれも、どこにでもいそうな、ごく普通の人たちです。
そんな登場人物たちが、まっすぐに自分の過去や未来、そして後悔と向き合おうとする姿には胸を打たれます。
そう、喫茶店「フニクリフニクラ」では、過去だけでなく、未来に行くことも可能なのです。
単に過去へ戻れるだけではないのが、この「コーヒーが冷めないうちに」の面白さでもあります。

読みながら、「もしも自分が過去に戻れたらどうするか」を、つい考えてしまいます。
この物語に登場する人物のように、過去に戻れたら。
そして、まっすぐ自分の「後悔」と向き合うことが出来たら。
もし、そんなことが可能だったら、どれだけ素敵なことでしょうか。

この物語では、過去や未来に行って、どんなに努力したとしても現実は変わりません。

それが、定められたルールのひとつです。
何も変えられないのに、なぜ彼女たちは過去や未来へ行くのか。

それは、ぜひ実際に、この「コーヒーが冷めないうちに」を手に取って、確かめてみていただければと思います。

終わりに

コーヒーが冷めないうちに」は、2017年本屋大賞にノミネートされるのも納得できる1冊です。
全ての人に抵抗なく読んでいただける読後感の良い物語ですが、特に、後悔を抱えている人にはおすすめです。
読んですぐに何かが変わることはないでしょう。
しかし、後悔との向き合う方法や、気持ちを切りかえるヒントを見つけることは出来るかもしれません。

(文:朔)

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