本を読む時間のつくり方【書店員、編集者など本のプロに聞いてみた!】

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『読みたい本はいっぱいあるんだけど、時間がない!』

このセリフ、非常によく聞きます。ボク自身、出版プロデューサーなんて仕事をしているくせに、なかなか本を読む時間が取れなくてけっこう困っています。せいぜい週末とか、空いた時間を有効活用するとかそれくらいですよね。

けど、有名な映画監督とかプロデューサーとか「すごい人」に限って、本も映画もよく観ていますよね?インタビューとかでも「どんな時間の使い方してんの?」って聞きたくなる多読多視聴ぶり。

みんなどうやって本を読む時間とってるんだろう?そう思って、いっそのことプロに聞いてみました。


書店、取次、出版社の人に「読書ハック」を聞いてみた

本のことを誰に聞くべきか?やはり本のプロである「書店」「取次」「出版社」の人だろうと。幸い定期的に業界の仲間と企画の勉強会を行っているので、テーマトークとして「本を読む時間のつくり方」を聞いてみました。

ここで重要なのは、彼らの誰も「本を読むのが仕事ではない」ことです。本を編集したり、売ったり、あとはそれ以外の膨大な業務をするのが彼らの仕事です。そういう意味では「本業で超忙しい」方と条件は同じで、仕事以外の時間でいかに本を読むかという話です。

今の世の中、どんな職業の方も、子育て中の専業主婦も、みんなめちゃくちゃ忙しいです。その中でも出版業界の人は、プロとして「読んでなきゃいけない」っていうプレッシャーがあったり、「本を読むのが好きだから仕事にした」人たちなので、能動的かつ半強制的に本を読み続けている読書ゾンビみたいな集団です。

どんな本の読み方をしているか訊いてみたところ、やっぱり「え、何言ってんの?バカなの?」っていう尖ったノウハウが掘り起こされました笑

「最近忙しくて時間がない」と悔やんでいるあなたはぜひ参考に、そうでないあなたは「ここまでイってしまったらもうお終いだな」とあざ笑ってやってください。

【基本編】

半身浴中に読む

半身浴。冷え性やダイエットに効果があるとされてきましたが、読書にも効果的です。半身浴中は約30分強の時間を強制的に生み出すことができますから、絶好の読書チャンスなのです。ただ、ふつうの半身浴と違うのは、本を手で持ってるので、肘より先がお湯につかることができず、けっこう寒いです。事前にシャワーで浴室の温度を上げるなど一工夫しましょう。

また、半身浴はけっこうな確率で「眠い」です。けっこう寝落ちします。本をうっかり読めないどころか、水浸しになることもあるのでその覚悟はしておいてください。ちなみにこの「うっかり寝ちゃう」は本のプロ集団である「読書ゾンビ」達にもしょっちゅう起こるようで、なんだか安心しました。ゾンビも人の子なんですね。

遅刻への反撃で読む

これも初歩技ですが、有益なスキルなのであえてご紹介。待ち合わせで相手が遅れてくることってありますよね?待たされるとイライラするものですが、これは待ち時間ではなく「読書時間」だと考えれば相手にイライラせずに済みます。ボクはこれでずいぶん気の良い男だと思われていることでしょう。こういうサブ報酬が大きいです。

ただ、そのタイミングでたまたま本を読み切ってしまっていたりしたらもう最悪です。めっちゃイライラします。一度、待ち合わせに早く着きすぎて、本でも読もうと思ってたら電車の中でガッツリ読めてしまい『続き買わなきゃ!』と、駅についてから待ち合わせと反対側の改札にある本屋に行き、続刊を買い、また反対側の待ち合わせの改札についたらちょうど集合時間になったことがあります。叫び声が聞こえました、心の。皆さん、かばんには本を2冊入れておきましょう。

エレベーター待ちの1分で読む

あなたは一生のうちで何分、エレベーター待ちをするか知っていますか?ボクも知りませんし、気にしたこともありません。でも読書ゾンビはそのEV待ちの1分で本を読みます。

電子書籍で購入し、iPhoneで読むのです。出版業界は紙派が多いかと思ってましたが、関係ないですね。エレベーターはもちろん、エスカレーターに乗っているときもそうです。通勤途中でさえ、人の少ない道なら読みながら歩いているそうです。「待ち合わせ中に読む」の上位互換スキルです。読書ゾンビはスキマ時間を許さない。

1時間早起きして朝風呂派になる

「半身浴中に読む」の朝型です。夜の半身浴は疲れからくる睡魔が強力すぎて、さすがの読書ゾンビたちもスヤスヤしてしまいます。そこで1時間早起きして、朝風呂で半身浴をします。夜のように眠くないし、出勤しなきゃいけないので集中して読めるそうです。

このノウハウの最大のネックは「早起きがキツイこと」です。編集ゾンビ曰く『楽しみだから起きれる』そうですが、ボクは楽しみでも睡眠が勝つタイプなので向き不向きがあるかもしれません。

読書時間とは「眠気との戦い」と言っても過言ではありません。

 

【中級編】

奥さんが読むように仕向けて、感想を聞く

内容を知りたいけど、自分で読まなくてもいいかな・・・という本もありますよね。そんな時、読書ゾンビは家族を犠牲にします。最悪です。興味を持ちそうな本を自然な感じで、テーブルの上などにおいて、家族が自然と読むのを待ちます。まるで同棲してる部屋にゼクシィを置く彼女のようです。怖いですね、ホラーですね。

『これ、面白いらしいよ』などとプッシュするのは逆効果とされています。ひたすら待ちましょう。戦績は1勝20敗くらいかと思いますが。成功率の低さを考えるとある意味上級技ですね。

読むなら飲むな、飲んだら飲んだでまあ読んでヨシ

飲んだら読めない—。そういう人は多いですよね、遺伝的に、日本人の44%はお酒飲めないらしいですから。だったら飲まなきゃいいんじゃん!っていうコペルニクス的転回です。お金も浮いて、本を読む時間も生み出せる素晴らしい施策です。

でも酒も飲みたい!という人もいますよね。あなたが「酔ってはいるものの、記憶がばっちり残る」タイプなら、むしろしこたま飲んだ日に、酔いがさめるまで読むことをオススメします。ボクもこのタイプで、あんまりお酒が残ってるときに風呂に入りたくないので、けっこうやります。その結果、風呂上りに続きを読んでしまい気付けば朝の2時に。。。早く寝ましょう。

あえて各駅停車

ふつうの人は「電車の移動時間を有効活用」するために読書しますね?読書ゾンビは「電車の読書時間を延ばすため、あえて各駅停車に乗る」という暴挙に出ます。他にも遠回りする派や、わざと山手線1周するゾンビもいました。…本末転倒って言葉知ってますか??

『その分、早く帰宅して、家で読んでも同じでは・・・?』という賢明なあなたの気持ちは痛いほどよく分かるのですが、いざ家に帰ってしまうと家事とかPCとかゲームとか他にもやることがあるじゃないですか。だから「ベストな読書環境をつくる」という視点で考えるのです。読書ゾンビたちにとって、電車というのは「移動式書斎」なのです。家など誘惑だらけです、電車サイコー!

角地を押さえる

電車で本を読むなら、やはり座席に座りたいものですよね?ボクもそうでしたが、甘かったです。読書ゾンビは「角地」を押さえに行きます。角地というのは座席ではなく、ドアの横とか、車両の端など、背中を預けて立てる場所です。角地さえ押さえれば、安心して読書できるうえに、「移動式書斎」たる電車最大の落とし穴「揺れが気持ちよすぎてついつい寝ちゃう」を無効化できます。立ってますから!

読書ゾンビたちはいかに時間を作るか、いかに眠気を排除するかを常に考え、その業を磨いてきたのです。そのために足が疲れるとか、帰宅が遅れるという代償を払って・・・。

(このあたりから「この人たち、バカなのかもしれん・・・」と思いはじめました。)

 

【上級編】

読書会でドMになる

定期的に集まって、読んだ本についてプレゼンする読書会。この「読書会があるから」というのが本を読む強制的な理由になって非常に良いです。いつまでにという〆切が自分を追い込むので、なんとか読もうとしますし、いよいよ日が迫ってくると集中して読めますドM(ドクショM)ですね

僕も月一でフリーランスや経営者(と、それを目指す人)向けの読書会をやっているのですが、毎回「マーケティング」「戦略古典」などテーマを決めるので、普段読まないような本を読むいい機会になっています。さらに他の参加者の発表を聞いて「それ、面白そうだなぁ」と思う本が見つかるので、とても良い習慣です。みんな読書会やろう!

読書会を小さく刻んで繰り返す

ある読書ゾンビの会社では毎週10分程度の読書会をやり、担当制で読んだ本についてプレゼンするそうです。毎週というとかなり厳しいように感じますが、1回の時間が10分なので業務への負担も無く、交代制だから自分が発表するのは月に1度かそれ以下なのでプレゼンの負担も軽いです。しかし毎週読書会に参加して、本への刺激を受けることができるので、モチベーション維持に効果的でしょう。

会社や、サークルなど定期的に集まることになっていて、集まるという負担が少ない人たち向けのノウハウですね。

「なったつもり」読みをする

週刊誌や新聞、あるいは本屋大賞などの書評委員に「なったつもり」で、本を読みましょう。そうなると〆切があるから「読まなければいけない」のです。あなたの連載に穴を空けるわけにはいきませんから。

子供だましだと思われるかもしれませんが、これをやってる読書ゾンビがちゃんといるのです。『この本はあと3日で読まなきゃ』となって、がんばって仕事を定時で終わらせてカフェで読んだり。読書のために仕事を定時であがるって素敵なことね。

業界人の禁じ手「借りて読む」

ある読書ゾンビが『ほんと、ダメだと思うんですが…』とおずおず教えてくれたのが禁じ手「借りて読む」です。図書館でも、友人からでも良いのですが「借りたら返さなきゃいけない」ので、返却日までに読むことになります。

ただ「出版業界の中の人」には、ちゃんとお金出して本を買わなきゃダメだよね?という不文律がありまして…基本おすすめはできません(立場的に)。でも「借りたつもり」でやってもらえれば何の問題もナシ!

フィクションとノンフィクションは交互に読む

めずらしくまともなアドバイスです(笑)フィクションを続けて読むと、2つの世界がごっちゃになって整理されづらいです。前の本の世界観を引っ張って、次の本を読んじゃうというか。なのでフィクションを読んだら次はノンフィクションを読んで、いったん脳を現実に戻しましょう。

逆にノンフィクションを読み続けるのも頭が疲れてくるので、息抜きの意味でフィクションを挟んでいくのが、「ノンフィクション派」にオススメですよ。

二刀流を習得する

左手と右手で違う本を読む二刀流読書術です。片方読んでで、飽きたらもう片方を読んで、また飽きたら最初の本に戻るそうです。右手に本、左手にスマホとか。「そこに置いといて、交互に読めばいいじゃん!」と思うんですが、何か違うんでしょうか・・・?

ゲームと二刀流

二刀流の片手にゲームを持つパターンです。これは本を読んでて眠くなった時に、スマホゲームをして目を覚まさせるという技です。絶対読まなきゃいけない本なんだけど、眠い時に使います。ちなみにゲームはツムツムが集中しやすいのでおすすめだそうです。

瞬間を逃さず、無限ループに

本の買い方に関する話なのですが、本屋さんで「これ面白そう」って思った本とか、一つのテーマを「読もう」と思った瞬間に買います「後で」は絶対にやめましょう。理由は2つあって

  1. その本が2週間後に店頭から消える可能性
  2. 今読んでる本を読み終わった瞬間に次を読み始めるため

です。1つ目ですが、本は2週間もすれば、売れ行きが悪いと返品されます。さらに1年を待たずに絶版になることもあります。ベストセラーやロングセラーはほんの一部で、基本的に本は1点モノ、その機会を逃すと買えなくなる可能性があります。学生時代に読んで感動した本が、すでに絶版になっていたりするので、そうならないように。

2つ目は読み始めのタイミングはいつがベストか?という問題で、個人的には「前の本を読み終えた瞬間」が最もふさわしいと思っています。読み切った「達成感」というものは非常に大きく、次の本を開くパワーとして非常に強力です。ここで「次に読みたい本は・・・特にないなぁ。」となってしまうと、いつの間にやら1ヶ月以上本を読んでいない!なんてことになりかねません。常に家に面白い本をストックしておき、読書の無限ループに自分をハメましょう。

レシートを破る

本を経費で買える人限定の技。経費で買った「資料本」は自分でお金を出した本とは「何かが違う」と感じます。資料本はなぜか読むのが後回しになる・・・そういう方はレシートを破って、自費の本にしてみてはいかがでしょうか?

仕事で使う本だから、経費にして良いと思いますが、読まなければ意味はありません。そのためにレシートを破る、「ちょっと深いい話だなぁ」と、感動してました。ジーンとくるゾンビたち。(ゾンビの感動ポイントがよく分からん)

大事な日の直前に読む

読むべきタイミングのベストはいつか?「瞬間を逃さず、無限ループに」の項目では「前の本を読み終えた瞬間」だと書きました。実は読み終えた瞬間と同じか、はまればそれ以上の効果を発揮するのが「大事な日の直前に読む」です。

例えば明日は会社で大事な会議がある・・・そんな夜は「プレゼンの本」を。明日は取材だ!という日は「会話術の本」を読む、という具合に、「そのテーマについて知りたい欲求が、いちばん強い瞬間に読む」方法です。そのためにわざわざ読まずにとっておいて、ベストなタイミングで読むのです。

しかも翌日だから本の内容も記憶に残り、かつ即実践できます。この読み方は知行合一、書を捨てず町に出る素晴らしい読書技です。


いかがでしょうか?使える技から「何それ?」というよくわからない技までたくさんありました。

読書というのは習慣なので、習慣化するための工夫であったり、習慣を止めないための工夫を自分たちなりにしているのだなぁと感じました。

あなたもぜひ自分に合った技を実践し、ともにドM(ドクショM)な読書ゾンビライフを過ごしましょう!

 

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増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


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