目次
【出版のゴールを理解】そもそもの出版の目的は?
「本を書きたい、出版したい。」
そう思う人は多く、世の出版セミナーでは「誰でも簡単に本を出せる」ことがアピールされます。
しかし「すぐ出せる!」「最短!」などと速さ、手軽さを誇張しているのですが本ってそんなファーストフードのようなものでしょうか?
本を書いてもまったく売れず、誰にも読んでもらえなかったら、自己満足の自費出版と変わりません。
本は読者がいて初めて本になります。
読む人のいない本は、ただ「文字を紙に印刷したもの」でしかないのです。
ゴールは出版そのものではなく、読者に読まれること、本屋さんで売られ続けることです。
それはつまり増刷であり、ベストセラーとして広まり、ロングセラーとなって残っていくということです。
あなたは本が出せれば、読まれなくても満足ですか?
何のために本を書くのか、出版のゴールをもう一度考えてみましょう。
【出版の分類を理解】商業出版・自費出版・企業出版
出版には大まかに3つの種類があります。それが「商業出版」「自費出版」「企業出版」の3種です。
- 「商業出版」読者に読んでもらうために出版社から本を出版すること。費用は出版社負担。
- 「自費出版」自伝などを自分のために出版すること。費用は自己負担100~300万円。
- 「企業出版」企業がブランディングのために出版すること。費用は企業負担800~2000万円。
「貴方の知識経験を本にしませんか?」って連絡が来たと思ったら自費出版や企業出版だったということも多いので、確認した方が良いです。
より詳しく知りたい人はこちら ↓ の記事をチェックしてみてください。
【スケジュール】出版までの全体像を把握
初出版の場合、出版社の企画会議を通過してから半年~1年半くらいでの出版が一般的です。
- 企画が通ってから執筆完了(脱稿)まで3ヶ月~半年(1年というケースも)
- 執筆完了(脱稿)から出版まで2~3か月
上記のようなスケジュール感なので、かなり順調に進んでも企画会議から出版まで「半年」はかかります。(書くのに3ヶ月、その後出版まで3ヶ月で半年)
ここに出版塾などで「企画書を書く」時間を半年ほど足せば、1年です。
しかもこの1年には販促の準備期間は含まれていません。
「1年以内に出版する」という目標を掲げる方もいますが、本当にゼロからのスタートで1年後に出版だと、かなり拙速です。
クオリティの高い本にするためにも、販促準備をしっかりするためにも「初出版は2年目標」をおすすめしています。
【出版が決まるまでの動き1】企画書を書く
出版塾に通うにせよ、独力で目指すにせよ、本の出版は「企画書を書く」ところから始まります。
企画書とは「書籍出版企画書」のことで、あなたが書こうとしている本の
- タイトル案
- 概要
- 構成案
- 著者プロフィール
- 販促計画
などが書かれたものです。
この企画書であなたの本の合否が判断され、出版が決まります。
・企画書については以下の記事で整理しています。
本を出版しようと思ったら、何をどういった手順ですれば良いのか【無料で超シンプルな4ステップ】
【出版が決まるまでの動き2】担当編集者を見つける
企画書ができたら、あなたの「担当編集者」を見つけましょう。
あなたの企画を通すには、「担当編集者」に企画会議でプレゼンしてもらわなければなりません。
そのために企画書を見せて、編集者に「担当」になってもらう必要があるのですね。
残念ながら企画会議を通過しなかった場合、一部修正して「再挑戦」パターンか、
根本的に企画の実現が難しい(シンプルに言うと売れなそうな)場合、そこで「終了」パターンのどちらかです。
逆に順調に企画会議を通ったなら、いよいよ原稿の執筆開始です。
【出版未経験者必見】編集者にアプローチする方法
すでに出版経験がある人はともかく、編集者の知り合いもいない人はどうやって担当編集者を探せばいいのでしょう?
人脈ゼロから編集者にアプローチする方法を整理します。
<1.知り合いの著者に、担当編集者を紹介してもらう>
親しい間柄の著者がいる場合は、編集者を紹介してもらえるようお願いしてみましょう。
また、著者の出版記念イベントには担当編集者が来ることも多いので、そういった会に参加して名刺交換することも可能です。(ただし、そういうのを嫌う編集者もいるので、空気を読みましょう)
<2.好きな本の編集者に「指名で」企画書を郵送する>
完全に独力で出会うには「持ち込み」しかありませんが、効率よくないですし、編集者も忙しいので迷惑です。
せめて「この本の編集さんに担当して欲しい」という本をチェックして、その担当編集者宛に企画書を郵送しましょう。
(本のあとがきや奥付に、担当編集者の名前が載っていることは多い)
その方のデスクの前までは確実に届きます。
<3.ブログやSNSの読者を増やして「編集者に声をかけてもらう」>
2とは逆に、ブログやSNSの力で相手を引き寄せる方法です。最も王道といえるでしょう。
ただこちらから編集者にアプローチできないので、相性の良い方と出会えるかは運しだいです。
<4.出版塾で編集者と出会うorプロデューサーに持ち込んでもらう>
出版塾や出版プロデュースというサービスは、企画書の作り方と、編集者の紹介(と販促方法のアドバイス)をセットにしたサービスです。
有料ですが、確実に編集者に出会えます。
「どうしても本を出したい!」
「そもそもどんな出版方法があるの?」
などのお悩みがある方は、一度、出版塾などのセミナーに参加してみるのもオススメです。
【出版決定後のステップ・流れ】本を出すまでの手順を理解
晴れて担当編集者が決まり、企画会議も通過した後の流れをわかりやすく整理します。
企画が通ったら執筆開始
企画が通ったら、原稿の執筆開始です。ワードで書くことになると思います。
「1行何文字で、1ページ何行想定か」とか「書き溜めて章ごとに提出が良いか、毎週決まったページ数送るか」など進め方を確認しましょう。
具体的な本の書き方については、こちらの記事で整理しています
編集者からのフィードバックに合わせて修正
原稿が書けたら、担当編集者からフィードバックをもらいます。
どういった点を重視するかは編集者さんごとに違いますが、下記のような点を指摘されることが多いです。
- 事実の確認(校閲以前に、論旨の矛盾点や、主張に対する有力な反証の指摘)
- 上から目線の排除(である。すべき。と言い切るわりに、方法論がないなど)
- 専門用語の言い変え(中学生でもわかるような文章に)
- 一文を短くする(不要な形容詞、「という」「こと」などを削除)
- 漢字とひらがなのバランス(漢字多いと読みづらい)
- 正しい文法(「なぜなら~」で始まる文章は「だからです」で終わるなど)
- 新しさ、独自性の有無(ありきたりな内容ばかりだと意味がない)
- 表現の独自性、強さ(ありきたりな表現ばかりだと面白くない)
- 重複内容の削除(前の章で言ってることと同じなど)
- 同じ言葉が続くのを避ける(未熟な印象を与える。2行で5個同じ名詞が続く原稿を読んだこともあります)
脱稿→初校を受け取る
原稿の修正も終えて、「書き終えました」という状況のことを脱稿といいます。
その後、初校を受け取りチェックします。
初校とは最初の校正刷り(ゲラ刷り)のことです。
ゲラチェック→校了
ゲラ(校正刷り)のチェックを行い、赤字で修正を入れます。
誤植など、特に数字や固有名詞をチェックしましょう。
基本的にゲラでは大きな改稿はありません。原稿の段階で修正を済ませましょう。
何度かゲラのやり取りを行い、「これでOKです」と伝えると校了となります。
・校了についてはこちらで詳しく解説しています。
見本をもらう
校了後、編集さんと印刷所さんとのやりとりがあって、印刷に入ります。
出版社によりますが、発売日の1週間前くらいに見本を送ってもらえます。
本を出版したあとの販促・プロモーションについて
本の出版後には販促・プロモーションを実施します。
販促については以下の記事で詳しく解説してあります。
本の事前プロモーション9選と3つの注意点【編集者、書店員に聞いてみた!】
出版にかかる費用ともらえるお金は?
出版にかかる費用と、印税については以下の記事で詳しく解説しています。
出版にはいくらかかるの?費用は?【出版とお金の話】vol.1
【印税とは】10万部で1400万円?印税の計算方法と契約【出版とお金の話】vol.2
【2回目以降の出版】出版経験者がもう一度本を出すには?
1作目が売れた人(目安は3万部)は、その出版社で「第二弾を出しましょう」と話が出たり、他社からも「こんな企画いかがでしょう?」と連絡が来ます。
第二弾については、1社目に最初に話を通すのがスジなので「御社(1社目)で第二弾ありますか?」「こんな話が他社からきたんですが受けていいですか?」と素直に聞くと良いです。
なお、矛盾するようですが、売れなかった場合にも第二弾の声がかかることもあります。
特にブログやSNSでの発信力が強い人は「他社では売れなかったようだが、弊社ならいける!」という目算が立ってることもあります。
ただ、どちらにせよ、黙って勝手に進めるのはやめて、1作目の出版社に話は通しましょう。
本の出版方法まとめ
本を出版するには「編集者に担当になってもらう」「企画書をつくる」「原稿を書く」ことが必要です。
ただ、文頭にも書きましたが「本の出版」そのものが目的になっていないか、もう一度考えてください。
本は書くだけでなく、読んでもらわないと意味がありません。
売れる本づくりに興味のある方は、ぜひ以下のページをチェックしてみてください。