校了とは?脱稿・入稿→校了までの出版の流れや言葉の使い方を徹底解説

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印刷業界・出版業界で使われることの多い、「校了」という言葉。

「再校」や「責了」といった、似たような言葉も多く、イマイチ意味が分からないと思う人も多いのではないでしょうか。

この「校了」について、ライター経験もある雑誌編集者の松木明子さんの解説をお届けします。

 

※本記事の内容を約5分の動画で解説しています ↓

目次

校了とは

校了(こうりょう)とは、

校正が完了し、印刷しても差し支えない状態になること。

(出典:三省堂/大辞林 第三版)

校了の意味を辞書で調べると、解説が載っています。

しかし、かく言う私(雑誌編集7年目)も、「校了」というワードを正しく使っている自信が正直ないのです。(理由は後述)

ですが、隅っこながら出版業界に携わる身から言わせてもらえば、「校了」とは、「校正終了の合図」とだけ、なんとなく覚えていれば、基本的には問題ありません。

校了はこんなときに使う言葉

出版社内部で使われるケース

ライターや編集者は、“自分の担当分の終わりの合図”という意味で使用していることが多いように思えます。

 ライターから編集者に「これで校了してください」という台詞をよく耳にすることがあるでしょう。この場合の多くは「このまま印刷所に渡してください」ではなく、「私の担当分はこれで完了なので、編集さんのチェックをお願いします」という意味になります。

印刷会社とのやり取りで使われるケース

一方、印刷会社とのやりとりで使う「校了」は、本来の意味である「印刷して差し支えない状態です」という意味を指すことが多いです。

 「校了しましたので、印刷会社のほうで進めてください。何かあれば、問い合わせよろしくお願いします」→もうこれ以上直せなくても基本的には大丈夫です! という合図でもあります。

入稿から校了までの簡単な流れと言葉の意味

脱稿

原稿を書き上げること。書き上げた原稿は編集者に提出します。

そこから何度か修正のやり取りを経て、入稿します。

入稿

記事や出版物などの原稿を、「初めて」印刷会社(制作会社)へ送ること。

初校

「入稿」した原稿をもとに組まれた最初の校正刷りのこと。もしくは、その校正刷り(ゲラ)に対して、初めて校正作業をすることを「初校」と言う。

校正し、修正箇所に赤(朱)入れをして印刷会社に戻すことを「初校戻し」と言う。

※修正箇所などを赤色のペンで書き入れることから、「赤入れ」と呼ばれるようになったそう。

 

 そもそも校正刷り(ゲラ)とは?
 「校正を行うため」に、仮に刷られた印刷物のこと。試し刷りと考えてよい。

 そもそも校正とは?
 入稿された原稿にミスがないかをチェックする作業。

 「校閲」と呼ばれる誤字脱字のチェック、原稿内の情報など事実確認のチェックを行うこと。

再校(二校)

「初校」で修正した文字などを反映した二回目の校正刷り。

初校の修正が間違いなく反映されているか、修正漏れがないかなどを確認すること。必要であれば再校で新たに加筆修正を行う。

「再校」で確認し、さらに出した校正刷りを「三校」と呼ぶ。(以下、「四校」「五校」……となる)。

校了

校正完了の意味。「再校」で確認し、「もう、これで終わりにしてOK!」と校正を終了させることを言う。終わりの合図。

念校

校了するにあたって、訂正箇所を“念のため”確認するための、校正刷りのこと。また、その作業のことを意味する。

※「再校」で校了する場合の三校目を「念校」と呼ぶケースが多い気がする。

責了

責任校了。「後は、印刷所(制作会社)に完全にお任せします!」という意味。

 

 校了と責了の違いとは?
 一見、同じに思える「校了」と「責了」。

 「校了」は、あくまで自分自身の「終わりの合図」。ですが、「責了」は、発注者本人ではなく、印刷会社(制作会社)の責任において、校了をすることを意味します。

 何か修正があった場合も、発注者本人が修正するのではなく、印刷会社の責任において校了します。

 ※個人的には、「責了」は、信頼関係が成り立った間柄で行うことをおすすめします。

下版

校正が終了した版を、製版(印刷をするための版作り)に回すことを意味する。基本的に「下版」してからの修正や変更はできない。

 

入稿〜校了までのおおまかなスケジュール感

 まず、印刷物によってスケジュール感はだいぶ異なります。週刊誌は、毎週校了があり、初校が出て数時間で印刷所に戻さなければならない場合が多いことに比べ、書籍は初校が出てから、戻すまでにだいぶ時間をかける場合も少なくありません。

 共通して言えることは、印刷会社から校正刷り(ゲラ)が出るスピード感でしょうか。

 入稿して、即日〜2日ほどで、初校が出ます。(ページ数、印刷会社などによって前後あり)その後、印刷会社に戻したら、再校が中2日から4日ほど(場合によりけり)で出ます。本刷りと同じ(似た)用紙を用いる色校※1を出す場合は、初校よりも少し出校時間がかかる場合が多いです。

※1:色校(色校正)とは、写真やイラストなど色の指定をした箇所の色味をチェックすること。また、その印刷物のことを意味する。本刷り(最終の刷り、本番の刷り)と同じ(または似た)用紙を用いる。本番さながらの印象を確認するため。

出版に関わる人たちのそれぞれの「校了」

「入稿」から「校了」までのおおまかな流れを見てきましたが、なんとなくは分かった気がしても、「なんとなく」感は拭えないのではないでしょうか。私もです。(笑)

でも、それでいいと思うのです。

「校了」は、あくまでも「終わりの合図」。

これだけ覚えていれば十分ということは、先述の通りです。

でもそれは、なぜなのでしょうか。

今回この記事作成にあたって、

出版・新聞業界に携わる人たちを取材してみました。

不思議なことに「校了」の捉え方が、皆“なんとなく”違っているのです。

ある「書籍」編集者の校了の捉え方(人文系書籍を多く発行する30代編集者)

「著者に対して使う場合の“校了”は、“手離れ”してもらうための合図。あとは自分(編集者)だけの作業となることを意味していますね。一方で、校了後には販促などやることが山積みでもあるので、“本を作る”という作業自体のひと段落を意味している気もします。

 書籍の場合、何度も校正作業を繰り返すため、その“赤入れ”ごとに再校・三校・四校……と、印刷所でゲラを出してもらっては経費がかさんでしまいます。基本は、DTP※2デザイナーさんに赤入れした箇所を毎度修正してもらい、校正作業を重ねていく。そして、これで『GOできるぞ!』という原稿になったら入稿。つまり、ほぼほぼ校了に近い形で入稿することが多いです。もちろん、入稿してからも加筆修正は生じますが……」。

※2:DeskTop Publishing(デスクトップパブッシング)の略。卓上出版とも言われる。パソコンでデータを作成して、プリンターで出力を行うことを意味する。

作家であり詩人・アーティストとして活躍する川崎昌平氏の同人誌『紙と黒』のあとがきにも似たようなことが書かれていたので紹介しておきます。

『DTP全盛の当節では、入稿段階の組版データが製版データとほぼ同値であることが多い……と言うよりはそうであって当然とされるのが習慣化しつつあるため、入稿という行為が、校了とほぼ同義になりつつある。』

(『紙と黒』川崎昌平あとがきより抜粋)

ある『雑誌』編集者の校了の捉え方(20代女性月刊誌編集)

「毎月校了日が設定されています。基本的には設定された校了日に全てを終わらせることがマスト。お尻が決まっているので、「校了」とは、終わらせなくてはならない“締め切り”という意味が強いですね。月刊誌(ファッション誌などカラー写真を多用した雑誌)の場合、初校で文字のチェックをし、色校(色校正)※1で再度文字のチェック、そして“色み”などの確認作業を行います。

 個人的には、文字の作業も大事ですが、雑誌において言えば、この色校のチェックが、最も重要だと感じます。洋服のディテールがしっかり表現されているか? 本当にこの色みで正しいか? など。写真の色み次第で、雑誌の印象はだいぶ変わるように思えます。

 他誌は分かりませんが、私の部署では、“校了日”に色校のチェックを行うことが多いです。文字の校正作業は2度行えますが、念校を取らない限り、色校正は一度だけ。印刷会社との信頼関係もそうですが、いかに相手に伝わるように色みの指示をしていくか、が何よりも重要。(通常は)修正後の確認が出来ない分、慎重になります。文字の直しは、答えがひとつなので、正確に赤入れさえすれば相手(この場合印刷会社)に正しく伝わりますが、色みの修正指示は、答えがひとつではないので、丁寧にそして正確に書く必要があります。ニュアンスだけで、ふわっと書いては相手の捉え方次第で、思っていた修正とはかけ離れた仕上がりになる場合も。私にとって、”校了作業とは、色みを慎重に見る作業でもあるのです」。

ある『週刊誌』編集者の校了の捉え方(20代男性週刊誌編集者の場合)

「私にとって“校了”とは、原稿のチェックが済み、デスク(上司)に「これで、終わりです。最終確認お願いします」と渡すことを指しますね。担当ページによって校了日が異なりますが、仮に土曜日が校了日だとすると、木曜日に見出し会議(内容決定会議)を行い、金曜日に入稿。土曜日の朝に初校が出て、初校は基本的に校閲さんがチェックするのみで、すぐに印刷会社に戻します。その後、夕方に再校が出て、原稿の最終チェックを行い、これで完了! という状態にして、担当上司に再校(=校了紙)を渡す。何かあれば連絡がきますが、基本的にはこれで“手離れ=校了”という流れになります。校了は次のチェックの相手に渡す“バトン”のようなものかもしれません」。

ある雑誌広告営業の「校了」の捉え方(20代広告営業女性誌担当の場合)

「雑誌の重要な収入源のひとつである、広告。月刊誌の広告営業にも“校了”はあります。
 タイアップ記事などにおいて、代理店やクライアントさんと編集部との校正の調整などを行います。広告営業にとって、「校了」とは、クライアントさん側からの『OK!』と編集部側からの『OK!』両方をいただけた状態のこと。校了日までに、双方の『OK!』をもらい、印刷会社に渡す。これを一応の“校了”としていますが、個人的にはこの時点では“校了”と思っていません。雑誌が発売されて、クライアントさん・代理店側から問題の指摘がなかったら、ようやく“校了”したと感じます」。

あるWeb編集者の「校了」の捉え方(20代Web編集者の場合)

正直、“校了”という感覚がないのです。ライターさんに原稿をお願いすることもあるし、校閲や上司のチェックが行われることもありますが、基本的には、自分で記事作成からサイトへのアップ作業までを行います。もちろん校正確認は念入りにしているつもりですが、万が一誤りがあっても、すぐに修正ができてしまう。もしかしたら、“校了”という概念は、“手放したら直せない”という感覚から生まれるものなのかもしれませんね。そして、紙であれば印刷会社、ライターさんであれば、編集者に……と、誰かに「これで校了としてください」と、伝える場面もWebだとあまり存在しません。
 もっとも、記事数が多く、とにかく記事をアップしまくっている結果、そうした“一記事の終わり”に鈍くなっているのもあるかもしれませんが……(笑)」。

ある新聞記者の「校了」の捉え方(30代元新聞記者の場合)

「新聞は、ひとつの面に何個もの記事が入り、何人もの記者が関わります。原稿はバラバラのタイミングで入稿されるので、Aさんの記事が初めて載る校正刷りでもBさんの記事では再校、3校…の場合がほとんど。つまり、記者全員にとって共通した初校・再校という考えはありません。各々が各記事の校正をする。そのため、校正刷りが出た時刻を見て『これが最新の校だ』と判断しています。つまり校正刷りは、何度も更新されて刷り上がる。みんなバラバラに入稿するわけですから、その度に更新されたゲラが出る。ですが、同じ面であれば、お尻は基本皆一緒。朝刊の社会面なら、毎朝1時ごろ(イレギュラーもあり)に、“校了”を迎えます(面ごとに校了時刻は異なる)。“校了”は、これ以上もう直せませんよ! という最後通告みたいなものですね。ちなみに、地方や遠隔地向けに早めに印刷する“版”と都市部向けの遅めで間に合う“版”があるため、朝刊だけでも2~3回校了のタイミングがあります」。

まとめ

と、「校了」とはなんとなく「終わりの合図」であることは分かっていただけたかもしれませんが、細かいニュアンスは人によって(扱うものによって)変わってきます。

 書籍も、重版がかかれば、赤入れをまた行ったりもする。何度も修正がきいてしまうWebでは、逆に「終わり」という区切りがない。クライアントからの連絡を待ってようやく「校了した」と感じる広告営業など……。

 媒体や立場によって、「終わり」の設定が異なっている。むしろ、そこに面白さがあるような気がします。

 ただ、共通して言えることは、「校了」したものしか、世には出ない! ということ。

 私たちが目にしている読み物たちは、どれも「校了」を経ているということですね。(当たり前ですが)なんだか感慨深い……!

※ 媒体や出版物、出版社、それぞれの編集者によって、言葉のニュアンスが変わることがあります。これだけが正しい答えではないので、ご了承ください。

写真・文/松木明子

【参考文献】
『大辞林』第3版/三省堂
『新・よくわかる出版流通のしくみ 2019-20年版』/メディアパル 
『紙と黒』川崎昌平

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