昨日「企画会議を通りました」と連絡を頂きました。この瞬間はやっぱりすごく嬉しいです。
「この人にこの著者の本をつくってほしい」と思う相手に企画のご提案をしているわけで、それはつまりラブレターみたいなもので、企画が通るというのは「お付き合いしましょう」と言ってもらえるようなものです。脳内麻薬がバーッと出ます。
もちろんこれはスタートでしかなく、本づくりとその後の販売フェイズこそが本番なのですが。
目次
3万部では期待はずれ
ところで最近、編集者の皆様からすごく期待していただけるようになってきました。
8年前は何の実績もなく、通った企画もたいして注目されてなかったように思いますが、今は企画の中身はもちろん、「売れそうだ」という意味でも期待されています。
企画書を送っただけで、打ち合わせなしで即行で企画を通してくださる方もいます。即、役員の方との打ち合わせをセッティングしていただけることもあります。
まさに「そうなれるように」と頑張ってきたので、ものすごく嬉しい反面、「期待値上がってるな~」とプレッシャーにも感じます。
普通は、3万部売れたら「ヒットしたね」「売れたね」って言ってもらえると思うのですが、この様子だと3万部では「あんまり売れませんでしたね」って言われそうな気がします。
5万で「売れましたね」10万で「さすが!またやりましょう!」って言ってもらえるかな?という感じでしょうか。
…気がするというか、3万部しか売れなかった時に「西浦さんとやる仕事でこの程度の部数は求めてないので」って不満そうに言われたことを今思い出しました。
「え、全部こっちのせいなの?」ってその時は感じましたけど、自分の腕をさらに磨くしかないなと飲み込んで、糧にしました。
注目されていなければ、そこそこの売れ方でも「なんだか売れた気がする」のでやりやすい面もあったのですが、期待されることは光栄で、その分仕事もやりやすくなるので、僕としてはさらに期待以上の成果を出し続けていきたいです。
期待されて、応えて、さらに期待されてさらに応えていく、こういう繰り返しがやっぱり一番楽しいですから。
「期待」2つの理由
最近の期待の理由は、以下の二つだと思います。
- 平均増刷率90%以上かつ平均部数48,000部以上という安定感
- 『血流がすべて解決する』22万部(シリーズ約30万部)っていう爆発力
「西浦の企画はコケないし、大当たりもあり得る」そう思ってもらえるように狙って8年間やってきて、実際にそう言ってもらえるようになってやはり嬉しいです。
特に大きいのは血流の22万部だと思います。(個人的には前者の方が認めて欲しいんですけどね)
しかし『血流がすべて解決する』が売れた時に、嬉しくて、ホッとした半面ショックなこともありました。
これだけ条件揃って、20万部なのかと。50万部、100万部ってどれだけ遠いんだと思ったんですね。
『血流がすべて解決する』は原稿を読んでいるときから「これは面白い!」という確信がありました。
著者の堀江さんも、編集担当の黒川さんも、サンマーク出版販売部の皆さんも最高の仕事をしてくださいました。
書店さんもすごくたくさん積んで、たくさん売ってくださいました。
電車広告や地方紙広告など宣伝もたくさんしてもらいました。
どこにもケチをつけるところがないんです。
良くなかった点があれば、そこを改善することで、さらに部数伸ばせるかな?と思えますが、今回はまったく見つけられなかった。
自分の描ける世界では最上のものに仕上がって、出た結果が22万部。
つまり僕はこのままでは20万部を超えていくことはできないということだと思ったのです。
誰にも欠点が見当たらないなら、僕自身が根源的なステージアップをしなくてはならないわけです。
失敗から学ぶより、成功から学ぶ方が難しいんだなと思い知らされました。
20万部を100万部にしていくために「よそ者」になる
では今の5倍頑張れば100万部超えるかというと、それも違うと思ったんですよね。20万部超えてはじめて感じたのですが、20万部の延長線上に100万部があるわけじゃない気がしました。
もちろん100万部になった本にも20万部だった時期というのはあります。
以前勤めていた学研で唯一ミリオンセラーになった本の担当者だった上司は「海外の賞を受賞したことがきっかけで100万部になったのは事実だけど、その前から原画展やったりしてコツコツ10万部、20万部にしてたからね」と言ってました。
だからそういう意味で20万部の先に100万部があるのは間違いないのですが、20万部にするためのノウハウと100万部にしていくノウハウは別な気がしたのです。
ただ「何をどうすればいいのか?」がわからない、見当もつかない。コントロールできる領域ではないのかもしれない。
それでもまったく新しいノウハウなら、相乗効果が見込める分、可能性がある気がします。必要なのは今までの自分の延長上にある力じゃないのでしょう。
たぶん「血流」までは、出版社にいた頃に身に着けたノウハウをブラッシュアップして勝負していたんだと思います。
ここから先はそれとは別の力が必要で、ようやく出版業界の「よそ者」に脱皮する時が来たんだなと。
プロデューサーとして使えるノウハウで、かつ、今までの自分の持ってるカードとまったく違うもの。
現時点でのその答えが、「著者メディア」です。
著者の本だけではなく、著者のメディアまで総合的にプロデュースしていくノウハウです。
著者本人の発信力、影響力そのものを強くするためのプロデュース術。
ここを強化できれば、新たな読者との出会いも、読後のファンのための施策も効果的に打てますし、映像化をはじめ各誌寄稿・連載など露出を増やしていけるかもしれません。
webを中心としたマーケティングに挑むことは、自分にとっては0からの挑戦です。
そもそもプロデューサーは黒子だというポリシーを持っていたので、発信力とか影響力を磨くというノウハウは今まであえて避けてきたんです。
でも出版と違い、何の経験も実績もない「情報発信」では、自分で実践しないとアドバイスもできません。説得力も出ないでしょうし。
だから自分を実験台に1年以上試しながら、試行錯誤した結果を今の著者にフィードバックしてきました。
すごくうまくいった方は、9か月で1日平均10,000~12,000PV、月間ユーザー数20万人~の著者メディアに育てることができました。この間バズも広告も一切なしです。少しずつ確実に積み上げていく方法なので、乱高下することもありません。安定して本の販促に貢献できます、まだまだ伸びていくでしょう。
昨日通った企画も、これから仕上げていく企画もすべて「血流後」の企画です。
血流後の期待に応えるだけの仕込みはしてきたつもりですし、これからもさらに仕掛けて行きたいと思っています。
最近、ようやく出版業界の「よそ者」に片足くらいは置けた気がしてワクワクしています。