サーティーワンのことを「バスキン・ロビンス」呼ばわりする外国かぶれは笑えるけど、マグロのことをツナと呼ぶのは許せない出版プロデューサーの西浦です。『向こうはツナが美味しくないんだよねぇ』って言われてシーチキンの話かと思ってたわ!
さて、ボクはまったく真逆の二つのタイプに憧れていまして、一つは「仕事楽しんでるオーラ」出まくりの、パワフルで、自由な、子どもがそのまま大きくなったようなタイプ。もう一つは穏やかなオーラで相手を包み込んでしまう、長老型マネジメントでメンバーを育てる優しいおじいちゃんみたいなタイプ。
個人的には後者の方がなるのは難しいように思うのですが、僕の知っている中で一番、後者のタイプだと思うのが、今日ご紹介する「呼吸を変えると、人生が良くなる」の著者、倉橋竜哉さんです。(おじいちゃんという意味ではない)
倉橋さんはすごく優しい、穏やかな雰囲気の人で、周りにたくさんの人が集まる方です。ボクらの「紹介限定会員制出版勉強会BSC」のメンバーにも彼の紹介で入った方がいますが、心から信頼されているのがわかります。いわゆる人格者なのだろうと思っていました。
でも数年付き合って分かってきたのですが、彼自身はすごく頑固なところがあるし、自分の信念は絶対曲げない人です(笑)。
普通はそういう人は角が立つし、まわりの人に威圧的な印象を与えてしまう瞬間があると思うのです。しかし彼にはそれがない。なぜかなーと思っていたのですが、それは持って生まれた人格ではなく、本書で紹介されている「呼吸法」に秘密があるということがわかってきました。
目次
どんな本なのか
日本マイブレス協会の倉橋竜哉さんが書かれた「呼吸法」に関する2冊目の本。「人生の流れを変えるための呼吸」がテーマ。ちなみに前作「呼吸で心を整える」は西浦プロデュースで、「呼吸」という類書の多い題材でありつつも、デビュー作ながら35,000部のヒット作(→自慢&宣伝すいません)。
人生の流れを変える「心体放流願」の呼吸法
すごい必殺技みたいな名前ですが、これは呼吸法の名称です。変わりたい、こうなりたいという願いを、呼吸の力で叶える方法ですね。「心・体・放・流・願」それぞれ一字ずつに個別の呼吸法と効果、この順番である意味があります。
- 心—運を高める「ツキの呼吸」
- 体—体を癒す「見つめる呼吸」
- 放—自分と他人をゆるす「ゆるしの呼吸」
- 流—世の中の流れを乗る「合わせる呼吸」
- 願—願いを叶えやすくする「思いを描く呼吸」
それぞれの呼吸法を通じて、願いを受け取りやすくする「準備」をします。準備が整っていない人にチャンスが巡ってきても、それをつかむことが出来ないからです。
白隠禅師が伝えた、癒しの呼吸「軟酥(なんそ)の法」
例えば体を癒す「見つめる呼吸」ですが、古くは江戸時代に、白隠禅師が伝えたとされる癒しの呼吸「軟酥(なんそ)の法」を呼吸法初心者向けにアレンジされたものです。
「駿河には過ぎたるものが二つあり 富士のお山に原の白隠」と言って賞賛された高僧・白隠禅師は、「臨済宗中興の祖」や、「500年に一度の名僧」と言われているそうです。そんなすごい方が、心と体の癒しのために広め伝えたのが「軟酥(なんそ)の法」です。
江戸時代、「禅病」と言って、禅の修業が厳しすぎて体と心を病み、命を落としてしまう者もいたそうです。白隠禅師自身も、若いころに禅病で命を落としかけたのですが、禅病で死ぬものをこれ以上増やさないようにと伝え広めたという、非常に由緒正しい呼吸法(瞑想法?)です。
見つめる呼吸
その「軟酥(なんそ)の法」を僕らのような一般人にも使えるようにしたのが「見つめる呼吸」です。
- 体の力を抜いて、リラックスした状態で、できるだけ細く長くゆっくりと息を吐く。2、3秒止めて、力を抜いて吸って…という呼吸のサイクルを繰り返す。
- 呼吸のサイクルに合わせて、一呼吸につき一か所、体の「部位」に意識を向けていく。
- 自分の体を一通りいたわることができたら、あるいは、途中で眠ってしまったら、そこで終了。
姿勢は、立っていても、座っても寝ていてもOKで、目は閉じても開けても大丈夫ですが、閉じた方がやりやすい人が多いとのこと。呼吸は吐くところからスタートし、口からでも鼻からでも吐いていいので、吸うときは鼻から吸いましょう。意識を向ける箇所は「頭から目、鼻、耳・・・」と下がっても、「つま先から、ふくらはぎ、ひざ・・・」と上がっていっても良いですが、頭、つま先、肩・・・のように行ったり来たりするのは良くないです。
またリラックス効果が高く、すぐ眠ってしまう方が多いため、入眠の効果もあるようです。あんまり寝られない方には特におすすめですね。ボクも以前、倉橋さんの呼吸法セミナーで「見つめる呼吸」を体験したのですが、たしかに疲労回復効果がすごく感じられて、ちょっとビックリしたのを覚えています。
ゆるせない人は、相手に支配されているのも同じ
3つ目の呼吸法「ゆるしの呼吸」の中で、最も重要なポイントは「最初にゆるすと決める」ことだそうです。自分がやりたいけどできないでいることや、他人にされてゆるせないでいることを「私は自分が〇〇できないことをゆるします」「私は〇〇さんから〇〇されたことをゆるします」と「ゆるせない」内容を言葉にして、それをゆるすと宣言します。
ただ言葉にするだけなのに、ここに抵抗を感じる人がいます。でも、まだ心からゆるせていなくても、本当に許せるかどうかわからなくても、「今からゆるそう」と決めることが大事です。
自分は被害者なのに、相手はまだ十分に償っていないのに、と考えてゆるせないのだとしたら、「ゆるし」の可否を決める権利が相手に委ねられていることになります。つまり相手にコントロールされている状態です。
しかし、相手の謝罪があろうがなかろうが、「ゆるす」「ゆるさない」は自分自身で決めることができます。「謝罪がなければ許せない」というのはこれからもずっとゆるせない相手に、心を支配されることになり、ゆるせない出来事と合わせて、二重の苦役です。「相手に苦しめられ続けるのはバカバカしい」と思えるなら、まず「今からゆるそう」と決めましょう。
ボク自身も、恨みを「臥薪嘗胆」よろしくかみしめ続ける、暗~い部分があったりするので、すごく心に刺さりました・・・苦笑
ダメなおっさんでも心穏やかな成功者になる方法
著者である倉橋さんは、この「ゆるしの呼吸」や、「ツキの呼吸」(※詳しくは本書でご確認ください)で慢心を消すなど、呼吸法で常に心に余裕を抱いているからこそ、器の大きい自分でいられるのだと思います。
実は彼は今でこそ呼吸法で成功していますが、かつては自分の会社を潰しています。事業のストレスで激太りし、脂肪だけでなく借金も抱えたため、フリーターとして借金返済していた時期がありました。コンビニや居酒屋バイトで学生から「ダメなおっさん」「いい歳なのに使えない」と陰口を言われながらも、『なぜ自分は失敗したのだろう』と考え続けたそうです。
そして『失敗した人間が一人で考えてもわからない』と思い至り、成功者へのインタビューを開始。「自分と成功者の違い」を探っていった結果、特に「長く成功している方」には独特の息づかいがあることに気づきました。彼らもまた呼吸法の実践者だったのです。
こうして会社を潰して、借金だらけで、フリーターをしていた90キロ台のダメなおっさんは、今ではすごく穏やかオーラを持つ、60キロ台の成功者になりました。
この本はノウハウとしての呼吸法を紹介した本ですが、倉橋さんから「かつての自分と同じように苦しんでいる人」への応援歌でもあるのだと思います。
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