こんにちは!息子がキラキラ星を手でやってくれるようになった!と感激している出版プロデューサー白木です。
この記事は、著者から「ずっと笑ってるラジオ」と称された、本でベストセラーを目指す人のための番組『コウジニシウラのおしゃべり出版ウラ表紙vol.52』の概要です。
出版プロデューサーの西浦とフリー作曲家のあるうらさんによるラジオ形式の番組ですので、移動中など気軽に聞いてみてください。
当サイトとfacebookページの双方で配信していきます。(内容は同じものです。)
先週に引き続き、ポプラ社編集者の天野潤平さんをゲストにお迎えしております!
ご視聴は ↓ からどうぞ!
西浦「どーもー、ヘッドホンが多分歪んでいる、出版プロデューサー西浦です。」
あるうら「どーもー、久しぶりに運動したら足が痛くなっちゃった、フリー作曲家のあるうら です。」
天野「どーもー、全力の笑顔で写ったはずの写真を後で見返すと、驚くほど無表情なことが多い、編集者の天野です。」
西浦「よろしくお願いします。天野さんそういうとこあるよね。」
天野「めちゃくちゃ心の中では笑ってるんだけど。」
西浦「Facebookの顔とか怖いこと多いよね。」
天野「あれ、無だな~って。めっちゃ楽しくて、めちゃくちゃ心の中では笑ってるんだけど。表情筋が死んでるんですよ。」
西浦「あるうらさん、またか(笑)」
あるうら「僕の中ではあるあるなんですよね。久しぶりにジム行く、久しぶりだし頑張ろう、足痛める、また行かなくなる。っていう…あるあるだなって。」
西浦「お父さん方が保育園の運動会で頑張って、靭帯痛めるみたいな(笑)」
目次
終末医療における音楽の力
西浦「『ラスト・ソング 人生の最期に聴く音楽』Melodies of Love and Hope at the End of Life。」
あるうら「著者は、佐藤由美子さんですね。」
天野「僕が初めて企画した本です。」
西浦「初なんですか?めっちゃいい本企画してるな~。」
あるうら「音楽やってる人はセンスが抜群なんですよ!」
西浦「これは収録に向けて読ませてもらったんですけど、めっちゃ良かった。」
あるうら「泣いたって言ってましたよね。」
西浦「めっちゃ泣いた。泣くという意味で電車で読んじゃいけないやつですね。ニシュランガイドとかで本を紹介するんですけど、難しいんですよ、こういう本を言葉で紹介するの。」
あるうら「言葉にすると陳腐になるって言ってたやつでしたっけ?」
天野「“感動の物語!”みたいな感じですよね。ざっくりいうとそうなんですけど。」
西浦「編集者目線で紹介するなら、どこを話すのか教えてほしくて。これはどういう本でしょうか?」
天野「説明が難しいのですが、佐藤さんはホスピス、終末医療の現場で音楽療法のミュージックセラピーをやってきた方です。10年間看取りの現場で音楽を奏でてきた方なんですね。
思い出の音楽とかを弾きながら、昔の記憶を整理して、悔いなく旅立てるように“ああいうことやり残しちゃったけど、今の人生でよかったな”って思えるように音楽を活用しています。
その方が出会ってきた10人の患者さんのエピソードを詰め込んだ1冊になります・・・説明しづらいんですよ(笑)」
西浦「セラピーとして、ギター弾いて歌うんですよね。」
あるうら「著者の方が歌われる?」
天野「1人1人病室を訪れて、『昔聴いてた曲はありますか?どういう人生を歩んできたんですか?』というのを聴いて、その人に合う曲を自分でギターやハープを持って弾きます。
やっぱり音楽って記憶と結びついているので、あの頃聞いた音楽とか、青春とか。」
あるうら「ありますね。アルバムみたいになってるやつですね。」
天野「記憶が整理されるんですよね。認知症の方でも今の記憶は忘れているけど、音楽を聴くことで記憶が蘇って、忘れていた息子さんのお名前を思い出したりすることがあったりするんですよ。」
あるうら「ほーー」
天野「あと、失語症で言葉がうまくでない人も、音楽だと脳の使っているところが違うのか、歌なら歌えて、言葉が出てくるということがあったりして。
エビデンスとりづらいですが、1回限りの現場なので、エビデンスは出ないけど、音楽には力があるということをこの本では色んな事例を通して描かれています。音楽やってる方はぜひ。」
西浦「すごいよねー読んでほしい。失語症の話で、曲を聴いて最後、言葉は発せられないけど“I Love You”だけ奥さんに言ったり。」
あるうら「どいうチョイスをされているんですか?その方が人生で一番印象深い曲なんですか?それとも入院されている方がリクエストされるんですか?」
天野「どちらもあります。この曲が好きだから弾いてというのもあれば、こういう気分だから歌のない音楽を奏でることもありますし、何なら弾かずにただ話しを聴くだけのこともある。
音楽はあくまで道具として使う。日本でも音楽療法学会というのがあるのですが、職業として確立はされていなくて、どうしても、老人ホームでレクとしてみんなでお歌を歌いましょう!ってなっちゃう。けれど佐藤さんの場合は、本当に1人1人にオーダーメイドであなたの人生にはこの曲がありましたよねっていう感じです。」
西浦「全然聞いたことない曲を流したりもしていて。例えば『千の風になって』が響くんじゃないかなって弾いてみたら、日本人じゃないから日本語はわからないけど号泣されたっていうエピソードがあります。後で歌詞を英訳してお伝えしたら“いい曲だね、僕のお葬式ではそれを流してほしい”って言われたとか。」
あるうら「感動しますね。」
患者の心と家族の心を救う音楽
西浦「すごいんですよ。Grief(グリーフ)っていう言葉があって、大事な人が亡くなって残された側の喪失感というか、悲しみとか痛みとか。」
天野「グリーフっていうのは、悲しみ嘆く、喪失することの悲しみをグリーフっていうんですね。
だから逝く側はもちろん人生がなくなるからグリーフを感じるし、送る側は大切な人が居なくなってしまうからグリーフを感じる。
それを無くすというよりは、それに寄り添って癒していく、そのアプローチとして佐藤さんは音楽を使っているということですね。」
西浦「最後のやつ言っていいですか?最後の話が、戦争を体験された日本人女性なんですけど、アメリカに渡ってからの方が長いから日本語があまり出なかったんです。
うつ病も併発していて、英語が出なくなって、日本語しかしゃべれなくて。佐藤さんは日本人だから日本語でしゃべってて、戦争時代の話を本人はしたがらなかったけど、セラピーをして向き合えるようになって、最後亡くなる前に患者さんは、“I’m a survivor” って言うんですよ。」
天野「私は生き抜いたんだ!って」
西浦「家族を全員戦争で亡くしていて、なぜ自分だけ生き残ったのかに関する後悔があったんだけど、『私は生き残った』という言葉を言って終わっていて。」
天野「自分の人生って本当に意味があったんだろうかってことを、人生のすべてが無くなる時にみんな思うんですよね。
それを思い出の音楽とかを切り口に一つ一つ思い出していくことで、本当に辛いことがあったし、家族が亡くなって私も死にたいと思ったけど『生き抜いてきて良かった、この人生には意味があったんだ』って、それが『I’m a survivor』という一言に全部込められていて。」
西浦「“Victim”という犠牲者ではなく“Survivor”だと。」
天野「生き抜いたんだと。佐藤さんはお医者さんではないので、命を救えたり、病気を治すことはできないんですよ。
トキコさん(戦争を体験した女性)の命が救われるわけじゃないけど、心は救われるわけですよね。その人の心が救われると見送る家族も救われるんですよ。」
あるうら「そうですよね。」
天野「悔いを残したまま大切な人が旅立ってしまったらもう取り戻せないので、佐藤さんは1つ1つそれを整理していくことで、周りもちゃんと救ってるんですよね。」
西浦「ホスピスにいる人って基本死を迎えるためにどう向き合うかっていうステージの人たちなんですが、その人が“Survivor”って言うんですよ!すごくない?」
あるうら「すごいですね。」
西浦「16歳の語り部みたいに、若い人が生き残ったっていうので希望を持って“Survivor”っていうならわかるんだけど、これは、“はーーー”って僕は思いましたね。
…はーーーって、この感想に中身全くないですよね(笑)驚嘆のみ。」
あるうら「いいと思う(笑)」
西浦「これはぜひ、僕は音楽に携わってなくても読んで欲しいし、携わってる方は絶対、必須科目!」
天野「そうですね(笑)」
あるうら「あれですよね!Amazonの評価は…」
天野「ほぼ星5で、85個くらいレビューがついていて。」
西浦「すごいっすよ。」
天野「しかも、みんな長文なんですよね。
『私も親を看取って、あの時音楽かけたけど聞こえてたんですね』とか、自分の経験に合わせて語っていて、語ることで自分の人生とか親との思いでが整理されていく。
深い部分で共感して感情が動かされてるんですよね。」
あるうら「天野さん、ええ本作りますね~。」
西浦「でしょ?」
天野「ありがとうございます。」
西浦「僕は、憧れが天野さんに対してあるかもしれない。webラジオに来てもらってる編集者さんって憧れの人が多くて。
僕は、編集者になるつもりはないんだけど、もし僕が編集者になるとしたら、こういう人になりたい、かっこいいなって思ってます。」
すぐそばにある「貧困」
西浦「『すぐそばにある「貧困」』大西連さんの本ですが、時間がないので、最後1分以内でこの本が読みたくなる紹介をお願いします(笑)」
天野「これは、大西さん(2個上の先輩なのですが)が当時28歳の時に路上でホームレスに出逢ってから、いきなり「貧困支援」という業界に放り込まれるわけです。
そこから暴力被害を受けた女性、暴力団、生活保護で施設に入ってる人、家族から暴力受けて宮城から東京に出てきた若い男性とか、色んな人の貧困を見てきた彼が描いた等身大の1冊になっています。
これが僕が社会問題に対して興味を持った転機の1冊になります。思い出深い1冊ですね。」
西浦「時間がなくて名残惜しいですがこれで終わりにしたいと思います。天野さんありがとうございました!」
天野さん、4週にわたり素敵なお話をありがとうございました!
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