上から目線じゃなくて、本当に独立とかしないで会社に残って欲しい人がいる

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いろいろ考えるのが5年目だ

出版プロデューサーの西浦です。

以前、マスコミ就活支援の関係で、映画会社の5年目宣伝マン氏と飲む機会がありました。

なんで独立しようと思ったんですか?と聞かれた流れで彼のいろんな話を聞きました。5年目っていろいろ考えるようです。僕も独立したのが5年目だったので気持ちはわかります。独立して7年が経ち「こういう若手は独立とかしないで会社に残って欲しいな」と思うようになりました。

 

相手にぶち切れるくらい全力を尽くす

彼の仕事はいわゆる映画の宣伝で、自分が担当した映画をどうやって世に広めるか考え、実行する仕事です。タレントのインタビューを雑誌に提案して、タレントと一緒に取材に同行したりします。一見、華やかそうですが、実際には映画の話をさせたい宣伝側と、タレントの話を聴きたい雑誌側とで、激しい攻防を繰り広げるまさに戦場でした。「なんか楽しそー♪」とか思っててごめんなさい。

さてこの宣伝の仕事ですが、映画は土曜公開の作品が多いこともあり、若手の休日など無いに等しいそうです。
キツイ仕事だなぁとその場にいた学生も言っていましたが、『タレントのスケジュールが「そこ(土日)」でおさえられるならやはり自分が合わせるし、そうなると休日返上は仕方ない。休日だからとやらないのは失礼だと思う』と、その5年目宣伝マン氏は言ってました。その理由は「ベストを尽くしたいから」だそうです。

ブラックな労働環境と言われればその通りなのですが、「それでもやりたい」って思える仕事に巡り合えたのはステキなことだと思います。

宣伝としてベストを尽くしているからこそ、プロデューサーに『なんでこの映画作ったの?』と聞いて、答えに詰まるようなら「そんな気持ちで映画作るな!」と感じると言ってました。監督もタレントもその作品の出来次第で人生が決まってしまうかもしれない。人の人生がかかったものを覚悟もなく作っちゃいけない。だったらこっち(宣伝サイド)もそんな程度の気持ちで仕事するけどいいのか?と思う。と。

めっちゃカッコイイと思うんですよ、こういう人。しかも編集や映画プロデューサーではなくて営業・宣伝にいることが誇らしいです(僕はマーケ出身なのです)。

ちゃんと仕事するプロデューサーとか監督はとにかく怖い。自分が命かけた映画が売れてなかったら「宣伝なにやってんだ!」って言われます。
でもそれくらい言える仕事しなきゃダメってことだよねと彼と熱く語り合いました。

 

可能性を伸ばす仕事、1/10にする仕事

本気でやってるメンバーからしか生まれないものがあると思います。同じメンバーでしか生まれないし、もっと言うと同じメンバーでもタイミングが違うと同じものにはならない。宣伝マン氏も『興行収入1億くらいまでは「俺がやった」と思えるけど、その先は「何か見えない力のおかげ」と感じます』と言ってました。リリースを出した日に著名人が結婚発表してたりすると、やはり「運がないね」となる。逆になぜか「持ってる」人もいて、まったく話題性のあるニュース等がないタイミングで映画の情報を告知できたりする。

それって運や縁もあるのだと思います。

「水曜どうでしょう」という有名な番組がありますが、「水曜どうでしょう」はあのメンバーが、あのタイミングだったから生まれたのでしょう。
大泉洋さんがまだ学生で、「この世界でやって行くしかない、この番組がなくなったら、もう後がない。」そういう覚悟で「どうやったらおもしろくなるか」「何を言えば面白いか」をすごく必死になって考えてたから面白かった。

けれどミスターこと鈴井さんの経験値や企画力がないと、大泉さんの「必死」だけではあの形になってないだろうし、藤やんやうれしーという会社側のスタッフが「本気で」取り組んでくれてたから、ああなったのだと思います。実際、「水曜どうでしょう」をやってるとスタッフは他の番組はできなかったそうです(仕事量的に)。数ある仕事のひとつじゃなくて、タレントの命、今後の人生がかかった仕事だという認識があるかどうか。そういう認識があれば、当然覚悟が生まれるわけで、そうなれば会社員だろうがタレントだろうが「1/1」の仕事をしてくれる。そうじゃない人にとっては年間10作担当する中の1つ「1/10」の仕事でしかありません。それはその人自身の才能、エネルギー、可能性を1/10にしてるのと同じだと思う。

 

 

本気で命かけて仕事する人

フリーでやってると1作1作が最後のチャンスで不退転の覚悟にならざるを得ません。次が来る保障などないからです。著者に至っては本当にその1冊が最後の1冊になってしまうかもしれない

それに対して「次がある」っていうのはやはり会社員の特権で、失敗しても来月も給料は支払われます。そうなると自分だけ負ってるリスクが小さい気がしてきます。

そのうえ、映画が売れれば監督、タレントのおかげ、社内ではプロデューサーのおかげ、売れないと宣伝のせい。たしかに割りに合わないと思います。販売・宣伝系の人間は企画や編集より「オレの作品」「オレのおかげ」感を感じにくいですよね。そういう面でも独立した方が良いのか?と思う頃なんですね。
けど、本気で仕事して成果が出てくれば必ず指名で仕事が来るようになります。『あいついいなぁ、他に何やってたやつなの?あ、あれに、それに、これか!やるなぁ、次も頼みたい』って具合にです。

少なくとも僕は、そういう営業さんや宣伝さんのいる出版社と仕事したいです。編集さんとMTGして「営業担当ってどんな人ですか?」という話によくなるのですが『こんな状態で提案したら、ぜったいに営業の〇〇さんキレますよね?』ってビビりながら編集さんと仕事したいです。Mだからです。違います、売れる本にしたいからです。

今になって思うのは、「独立」してできるのことの大部分は会社に残ってもできるということです。やりがいとか「オレの仕事感」とかは本人の実力が認められれば得られます。
逆に会社に残ってないとできないことがたくさんあります。「会社の資本やマンパワーを使える側に、本気で命かけて仕事する人」がいてくれないと、業界全部がスポイルされてしまいますしね。
僕が仕事をお願いする編集さんは皆さん会社員ですけど、一人一人経営者のように厳しく自律して仕事をされてます。会社員かそうでないかの大部分は、本人の意思とか覚悟次第で変わると思います、逆にフリーとか経営者でもダメな人は全然ダメです。とかなんとか書いてる僕も偉そうな口叩ける人間ではないので、ここでやめときましょう。

才能がある人、真剣に仕事している人、ベストを尽くす人にはぜひ会社に残って仕事して、業界を支える柱になっていただきたいです。

そういう営業さんや宣伝さんとぜひ飲みに行きたいです、紹介してください!

 

参考リンク
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