「まえがき」「あとがき」には何を書く?出版プロデューサーおすすめのあとがきベスト3も紹介

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本を読むと、本文の前と後にそれぞれ「まえがき」(はじめに)と「あとがき」(おわりに)がありますね。

今回はこの「まえがき」「あとがき」の意味や、書くべきことについて解説します。

何を書こうか?とお悩みの方はぜひご一読ください。

読み終わるころには「まえがき」「あとがき」に何を書けばいいかが明確になるでしょう。



前書き(まえがき)、後書き(あとがき)は何のためにあるの?

さて「まえがき」「あとがき」は何のためにあるのでしょう?

それが分かれば、何を書けば良いのかもおのずと見えてきますね。

 

結論から言うと、まえがきは「買ってもらうためのPR」、あとがきは「最後まで読んでくれた読者へのサービス」をするためにあります。

 

ちょっと想像してください。

本屋さんで、タイトルやデザインに惹かれ、あなたの本を「なんとなく」読者が手に取ってくれたとします。

この段階では『何の本だろう?』と興味はありますが、「買う」ところまでいってません。

一般的にどういった流れで「興味あり」が「買う!」に変わるのでしょうか?

  1. とりあえず本を手に取り、表紙を開く
  2. 最初に目にするのが「ソデ」と「目次」
  3. 「ソデ」ではキャッチコピーや、インパクトのある言葉が目に飛び込んでくる
  4. そして「目次」でどんなことが書いてあるのかをだいたい把握する
  5. 目次にも興味を持てたら「まえがき」を読んで買うかどうか検討

こういった流れで買うかどうかを無意識に判断している方が多いのかなと。

この「まえがき」で『ありきたりだな』『あんまり面白くなさそう』と思われたら、そのまま売り場に戻されてしまいます。

逆に「まえがき」で『面白そうな本だ』と思ってもらえたら、そのままレジに直行(あるいは気になるページをさらにチェック)してもらえます。

つまりまえがきは「買う(読む)前」、あとがきは「読後」を想定して書くと効果的なのです。

前書き(まえがき)に書くこと

 

本の「まえがき」や「はじめに」は買ってもらうための重要なメッセージです

だから編集者から厳しいチェックが入ることも多いし、場合によっては著者は書かせてもらえないこともあります。

それくらい重要かつ、商業的な意図があるのだと思って、めちゃくちゃ直されても気にしないでください(笑)

 

ではまえがきでは何を書けば、読者に「買おう」と思ってもらえるのでしょうか?

特に一般書、実用書の場合、こういった要素が効果的とされています。

  • 「あなたは〇〇で悩んだことはありませんか?」など「YESセット」をとる導入(自分事化してもらう)
  • この本は今までの本と何が違うのか(もうリバウンドしない片付けなど「今までの常識を覆す」宣言
  • この本で学べること、書かれていること(ズバリ〇〇について書かれた本ですと言い切る)
  • 著者の実績やパーソナリティなど「自分だからこそ、この本を書く意義がある」という理由付け(他の人でもいいならわざわざ「あなたの」本を買う理由がなくなる)
  • この本を読んだあと、読者はどうなるのか?(体験者の声などを入れることが多い)

特に導入で主語を「あなた」にするのを忘れて、「私は」で書く人が多いのですが、それだとなかなか共感してもらいにくいです。

なのでまえがきは「あなた」からはじめる癖をつけると良いです。

後書き(あとがき)に書くこと

次に「あとがき」ですが、こちらは「まえがき」に比べて自由なスペースだと思ってくださってOKです。

自由なので、あなたの書きたいことを書いてくださっていいのですが、やはり「読者サービス」になっているとベターですね。

読者に『この「あとがき」があって良かったな』『この「おわりに」があることでさらに読書体験が深いものになったな』と思ってもらえたら素晴らしいですね。

その意味で「本来は最終章に」 と用意していた「深い」内容を、短くまとめて「あとがき」にしてしまうこともあります。

最終章だけ概念的で、他の章と温度差があるときなどによく使われる手法です。

 

ちなみに「あとがき」がほぼ「謝辞」となる人がいますが、これは賛否が分かれます。

出版に協力してくださった方への謝辞は大事なことですが、読者からすると関係ないという考え方です。

編集さんによっては「あとがきページも本の値段に含まれているわけで、読者に役に立たない謝辞は不要」という考えの方もいます。

とはいえ「あとがき」や「おわりに」は著者がいちばん自由にできるスペースなので、あなたの好み、ポリシーで書いてよいでしょう。

僕も、今まで著者に「あとがき」についてとやかく言ったことは一度もありません。

ベストセラー編集者の「まえがき」「あとがき」ノウハウ全公開

この記事を公開したところ、「出版業界のフリー素材」の異名を持つ(西浦が勝手にいってる)、技術評論社のエース編集者傳さんが、コメント欄でまた、惜しげもなくご自分のノウハウを公開してくださいました!(本当に傳さんのオープン発想はすごい。)

しかも「出版TIMES読者さんに公開していいですよ」と言ってくださったので(さすが出版界の良心!)、こちらで全文公開させていただきます。

傳兄さんありがとうございます!

twitterもフォローおすすめです。がんがんノウハウ公開してくださるタイプです。

以下、傳さんのノウハウを公開!(引用)

まずは「まえがき」について

私は以下のようなお願いをしています。

●「この本はこういう本です」という客観的な内容紹介から始めるのではなく、よりキャッチーなつかみから入ってください。

●基本の流れとしては以下のようなものがよくあります。
・本を手にとる人が困っていること(解決したい問題)
・本を手にとる人が希望していること(こうなってほしいという未来)
・本を手にとる人が興味をそそるような(意外な)事実

・本で紹介している手段の売り

・本の独自性・書き方・構成面の魅力

・著者の特徴、強み(「こういう人が書いたならよさそうだ」と思ってもらえるように)

・執筆にあたっての想い

●ただし、最初によりインパクトのあるつかみが持ってこれるならば、上記の流れにのっとる必要はありません。

●字数の制限はとくにありませんが、2000~4000字ぐらいが一般的です。

●参考(各URLの「著者の一言」の部分が「はじめに」相当の内容です)
※以下、ビジネス系の場合
・たった1日で即戦力になるExcelの教科書
http://gihyo.jp/book/2014/978-4-7741-6808-1

・職場の問題地図
http://gihyo.jp/book/2016/978-4-7741-8368-8

※以下、技術系の場合
・10倍ラクするIllustrator仕事術
https://gihyo.jp/book/2014/978-4-7741-6796-1

・たのしいバイナリの歩き方
https://gihyo.jp/book/2013/978-4-7741-5918-8

 

次に「あとがき」について

あとがきについてはもっと自由ですが、謝辞を書くときのポイントはお伝えすることがあります。

●レビューアーなど、漏れがないようリストアップする
(紙幅の問題で、最終的には「、」で区切る可能性もありますが、まずは箇条書きにするほうがまとめやすく、見やすいです)

●フルネームでまちがえないよう記述する

●レビューアーの名前は五十音にして、並びの序列感が出ないようにする
(公平感を出すなら。重みづけをする場合は、その限りではありません)

●本名を出したくない方は、ペンネームにするなどして配慮する

●社名を入れるかどうか、念のため確認する
(「会社の宣伝のために出したい」という方もいれば、「出すとめんどうなので出したくない」という方もいらっしゃいます)

●デザイン、組版、編集、出版社などの裏方を入れるかどうかは、お好みに応じて。入れるなら、順番は最初のほうに
(必須ではありませんし、入れてはいけないということもありません)

●職場の関係者、自分のキャリアの恩師やお世話になった方、ご家族を入れるかどうかは、お好みに応じて。入れるなら、順番は最後のほうに
(必須ではありませんし、入れてはいけないということもありません)

●それぞれの方に細かいメッセージを入れるかどうかは、お好みに応じて

●最後に読者への感謝と、今後この本がお役にたってほしいという希望を入れて締めるとスマート

そして最後にこんなオチが・・・(笑)

これ伝えるだけでもダメだな、という実感ももっていたりします。
わかっていただいたつもりで、わりと好きなように書きたそうな方が多いような(笑)

ま、そうですよね(笑)とくにあとがきは自由に書いていいと思います。本当に。

面白かった後書き(あとがき)ベスト3

まえがき(はじめに)がマーケティング的であるのに対して、あとがきは読者サービスだと書きました。

だからこそあとがきの方が好みで良し悪しが分かれるし、書き方にもいろんなパターンがあります。

なので、参考になる本があった方がいいだろうと、独断と偏見で面白かったあとがきをご紹介します。

 

面白いあとがき第3位:『FACTFULNESS』

2019年に読んだ「あとがき」のなかで一番ハッとした「おわりに」が本書でした。

本文は著者のハンス・ロスリング氏の言葉で書かれているのですが、「おわりに」は共著者である息子夫妻の言葉で書かれています。

実は本書の執筆中にハンス氏が末期のすい臓がんであることが判明し、テレビもラジオも講演会もすべてキャンセルして本書の執筆に残された人生の時間を注いだそうです。

本書はそんな「ある男が、人生最後の時間を使って遺したメッセージ」だったのです。

ハンス氏は書き込みだらけの原稿をお守り代わりに病院で亡くなったと言います。

 

人生の最後に選んだ「やりたいこと」が出版であり、その想いの強さが反映されたかのように世界的なベストセラーとなった。

なんだか自分も神聖な物語の一部に加わったような気がして、ハッとした「おわりに」が『FACTFULNESS』です。

 

面白いあとがき第2位:『すべてはモテるためである』

「モテ本にして、倫理の書」とまで言われる本書のあとがきも強く記憶に残っています。

おまんことは「ありがとうの心」でございます。

モテようがモテまいが、男なら、この言葉を胸にきざんで生きてゆけ。おれもそうする。ときどき忘れるけれど、忘れるたびに痛い目に合うのだ。

そりゃ記憶にも残るわwっていうあとがきですね。

本書は「モテる、モテない」という軽く流せそうな主題を扱いつつ、「人の心の穴」について考えるきっかけをくれる「深い」本です。

エロから倫理学まで大きなふり幅があってからの、最後にこれなんで。

もう「やられた」ってなりつつ、逆に「最後に何言ってんのよ」とも思うし、「でもそれでこそだよなぁ」と腹落ちしたり、あとがきまで含めて楽しめる作品です。

※2012年発行の文庫版のあとがき。

 

面白いあとがき第1位:『赤塚不二夫対談集 これでいいのだ。』

タモリさん、立川談志師匠、北野武監督に、荒木経惟さん、松本人志さんといった超ビッグタレント、クリエイターたちと赤塚不二夫先生の対談集

メンバーが豪華すぎで「これで面白くないわけがない」というレベルですが、この「あとがき」もまた良かった。

…でも、くどいけど、楽しかった。みなさんに感謝してます。いろいろ、話せてよかった。この本が評判良かったら、俺、また対談するからな。勝手に決めてんだけど、なあ版元……これでいいのだ。

あとがきが「これでいいのだ。」で終わる。

うまい下手じゃなくて、もう「粋」のひとこと!

「ベタじゃん」と思う人もいるかもしれませんが、この言葉は赤塚不二夫先生じゃないと意義が半減するし、本のタイトルで終わる「おさまりの良さ」は非常に心地が良い。

「おあとがよろしいようで」と聞こえてきそうな〆方が僕は好みなので、こういうあとがきを読めたらそれだけで「良い読書体験だったなぁ」と感じます。

あとがき

「まえがき」「あとがき」になにを書くべきか悩む人は、案外多いようです。

悩んだときは「まえがき」はPR、「あとがき」は読者サービス。といったん割り切ってみると書きやすくなります。

なお、「面白かったあとがきのランキング」はこの記事を書くことにしてから「どんなのがあったっけ?」と思いだしたものなので、最近のものやインパクトの強いものに偏ってるなぁとは自分でも思います。

またふとしたタイミングで良いあとがきを想い出せば、加筆修正すると思うので暫定版ということで。

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増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


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