全国で売れる本を作る重要性【地元の本屋さんを閉店させないために】

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帰省中あるあるで、昨日は鹿にTシャツかまれました出版プロデューサー西浦です。子供じゃなくて大人もビビらす、奈良の鹿たち変わらずです。

奈良の渋谷ことJR奈良駅の近くにあった、啓林堂書店奈良店が閉店してドラッグストアになっていました。

google mapではまだ元気に営業中のようなので、びっくりしました。いつ閉店されたのでしょう?

これでもう奈良に「昔よく通った本屋さん」はなくなってしまいました。

JR奈良駅、近鉄新大宮~奈良エリアの書店閉店

自分は生まれも育ちも奈良で、地元の人しかわからないと思うのですが、近鉄の新大宮~奈良駅までを自転車で走り回っておりました。

近鉄の新大宮と奈良駅の間にJR奈良駅があり、この3駅周辺が生活の中心でしたね。

この3駅の周辺には3つの本屋さんがあり、近鉄新大宮の啓林堂、近鉄奈良駅の駸々堂(ラノベとかコミック特化型)、JR奈良駅の啓林堂(以前は啓林堂じゃなかった気がしたけど、なんていう名前の本屋だったか覚えていない)でいろんな本を買いました。

中学生の頃は自転車でブックスリードまで行ってて、塾の帰りに友達と「〇〇のコミックあったら全部買うのになー!」って言ってたらその後全巻入荷しててニヤリとしたこともありました。もちろんちゃんと買いました。

という感じにいくつも思い出の本屋さんがあります。

しかし…今となってはどちらの本屋さんもすべて閉店してました。

新大宮の啓林堂のように、近くに店舗を移して営業している本屋さんもありますが、当時のままの場所に本屋として営業しているお店はありません。

なんだか母校がなくなるより寂しく感じます。

奈良の本屋さんが閉店した理由

本屋さんが閉店する理由はいくつでも考えられます。

まずは

  • 学生数の減少。

10年位前に小学校のサッカーチームが3校統合されましたが、今は高校そのものが統廃合される話も出ているようです。

 

次に

  • 大阪まで行った方が品ぞろえが多い&ネットで買える問題。

これは奈良に限らず、全国の地方都市すべての問題ですよね。

 

こんなことを書くと、ずいぶん悲観的な話のように思えるのですが、別に奈良がさびれているかと言うと、そうでもないんですよ。

少なくともJR奈良駅と近鉄新大宮~JR奈良駅間はむしろ活気づいているように感じるんですよね。

海外旅行者がたくさん来ていて、平日も休日もなく朝からカフェはにぎわっていますし、ラーメン屋さんにも英語で書かれたメニューがあったり、20年前と比べて奈良もずいぶん国際化してきたなぁと思います。

掘れば遺跡が見つかるという歴史がウリなのに、その遺跡のせいで新たなホテルが立てられない「歴史ジレンマ」は相変わらずのようですが、すでにある建物(少年刑務所とか)を改装してホテルにしたり、他にも打開策は考えているようです。

最近「奈良は大仏商売だ」なんて批判的な記事を見ましたが、それこそ10年、20年前の話だと感じます。一回自分で見に来てください、と言いたい。9時に飲食店が閉まるなんて僕らが学生の頃の話で、今は23時ラストオーダーの居酒屋がそこら中にあるし、なぜか24時間経営のすし屋もあります(笑)

 

それに奈良に古くからある本屋さんがなくなっても代わりに新しい本屋さんが出店されています。

喜久屋書店さんがJR奈良駅直結でできているし、宮脇書店やTSUTAYAも新大宮駅周辺にできています。

喜久屋さんは帰省するたびに寄らせてもらってますね。

出版産業は観光地需要の恩恵を受けづらいのか

町が国際観光地化して活気づいているし、新しい書店が出店して本屋さんの中身も変わったかというとどうでしょうか。

「観光地の本屋」って、あんまりイメージないですよね。旅行中に本を買うと荷物になるし。

 

お土産のようにご当地感のある本はまだまだ少ないし、「郷土の歴史」的なものが多いからお土産用に買う感じじゃないんですよね。

奈良の場合は大仏ステーショナリーとかが本屋さんで売っていて、本ではないにせよまだ対応できている方だとは思います。

他は観光客向けに奈良の地域情報誌や、クーポン付の書籍を置くことはできますが、それだけの商品群のために本屋としての大きいスペースは不要です。

やはり「本屋」として経営し続けるなら小説、コミック、雑誌、実用書など日常的な売り上げが必要でしょう。

国際観光地化して、活気づいてる面がある一方で、観光地需要の恩恵を受けにくいビジネスもあって、やっぱり本屋さんというのは商圏相手に商売しないと難しいのかなと思います。

 

「地方都市は大変だなぁ」とか「関西はまだウリがたくさんあっていいじゃないか」とか、そういう他人事ではなくて、僕ら出版業からするとこの問題はとても大きいのです。

ベストセラーを生み出すことで、少しは地方の出版産業の役に立つかもしれない

昨日の記事で出版マーケティング的に見ると、3つの射程距離があるという記事を書きました。

出版マーケティングにおける3つの射程距離

この最終段階である

  • ロングレンジ:全国チェーンによる全国展開

は地方都市における展開を指すからですね。

観光や町おこしで地方の活性化を図ることと、地方の出版事業を維持成長させることは別軸で考えないと成立しないように思います。

(互いに連動してるからプラスの効果は与え合うと思うけど、直結はしてないと思う)

人口減少、特に若者が減っているのはもう代えがたい現実です。

となれば地方では健康書のような、年齢層の高い人を主な読者とする本しか売れなくなってしまいます。

 

10万部20万部というベストセラーを目指すなら、地方でいかに売るかを考えなくてはいけません。

地方では、東京以上にローカルメディアが力を持っていて、地方局や地方紙、地方のオウンドメディアなど露出すれば反応の良い媒体があります。しかもマスメディアより安価で広告を出せるという大きなメリットつきです。

僕らは、今まで以上に「東京以外で売れるのか」「自分の地元のあの本屋で売れるのか」を考えてモノづくりをしていく必要があるし、ローカルメディアともっと密に連絡を取り合い仲良くしていく必要があるのではないでしょうか。

地方で売れる本(=ベストセラー)を作っていかないと、地方の本屋が存続できないのです。

閉店して、ドラッグストアになった思い出の本屋さんを見て、そんな思いを強くしました。

増刷率90% 平均部数48,000部の出版プロデューサー。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(22万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

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Written by

西浦 孝次

増刷率90%。平均部数44,000部。 「血流がすべて解決する」(18万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をベストセラーにプロデュースするのが得意。 おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。好きな食べ物は炒飯。