どうも出版プロデューサーの西浦孝次です。
今回のテーマは
「長く読まれる本にしたいなら、絶対に書いてはいけないこと」です!
本を出版して、一番つらい気持ちになるのはどんな時だと思いますか?
企画がなかなか通らないとき?
面白い原稿が全然書けない時?
それももちろん辛いですが、一番つらいのは苦労して作った本が絶版になった時だと思います。
絶版というのは、本の生産・販売終了ということで、基本的には本の死亡通知とお考え下さい。
僕も何度か経験したことがありますが、思い入れの強い本であればあるほどキツイですよ。
出来る事なら自分が死んだ後も残ってくれるような、長く読まれる本にしたいですよね。
そんな長く読まれる本を書くために、絶対にやってはいけないことがあるんです。
今回はそんな「ロングセラーを目指すなら絶対に書いてはいけないこと」をご紹介します。
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目次
時代への忖度
「情報化社会」っていうキーワードどう感じますか?
ちょっと古くないですか??
90年代にネットが一般層にも登場しはじめて、そこから0年代後半くらいまでの話かなという感じありますよね。
スマホが登場しはじめたくらいまでかなと。
もし、今読んだ本に「情報化社会の流れに置いて行かれないように」というような表現があったら、すごく古い本を読んでいる気になってしまうかもしれません。
他の部分や、それこそメインで言いたい部分は全然古びていないのに、本の一部が古びたせいで本そのものが古くなってしまう。
そういうことは大いにあります。
これは本に限らずで、ゲームでも映画でも「時代性」を意識しすぎると、
作品の中に閉じ込められたその時代が、後で「古臭さ」を感じさせるんです。
炎上しないようにって配慮した一文なども、10年後には「なんか古い」「最近言わないよねこれ」って感じる箇所になっているかもしれません。
ポリコレに配慮した作品が海外では特に増えてきていますが、10年後にはポリコレ表現そのものが「古さ」の象徴になってしまうかもしれないですよね。
サスティナブル、LGBTQなどの言葉も、それこそ10年後は良い意味で過去の言葉になっているかもしれません。
リアルな話をすれば、問題の本質は残っていてもフェーズが変わり、それに伴って表現も絶対変わります。
だからその本のメインテーマそのものである場合は別ですが、そうでないならむしろ「時代の空気」には囚われずに書く方が長く読まれる本になる可能性は高まります。
あ、今書くと炎上するような表現を「書かない」のは大事ですよ。
書かない配慮は大事だしOkです。
忖度して「書いた」表現が危ないです。本に残るから。
最新の固有名詞
時代の空気に配慮しすぎるなという話ですが、2つ目はついうっかりやってしまいがちなことです。
ズバリ最新のサービス名や商品名、時の人の「固有名詞」を書くのはやめましょう。
実は古い自分のメルマガを見ていて「Club house」っていう単語を見つけたんですね。
「うわ、懐かし~!」って思ったんですよ。やってたなぁって。
2021年頃ですかね。
このブログを書いているのは2023年の12月なんですが、たった2年で「懐かし~!」になるんですよ。
怖くないですか?
SNSはその瞬間瞬間を切り取って発信する媒体だと思うので、書いていて問題ないです。
でも本はSNSと違って「長く残る」情報の届け方が可能なメディアだから逆に危険なんです。
たった2年で古い本だと思われないように、特に最新の固有名詞は避けましょう。
人名も、基本的に今生きている人は避けた方がいいです。
何がどうなるかわからないですからね。
超有名な芸能人でも突如引退されるかもしれないし。
歴史上の人物やすでに過去になった事件なのに「今でも重要とされているもの」であれば問題ないです。
国名なんかは変わらなそうですが、それも永遠ではないですからある種の賭けになりますね。
あえて必要がなければなるべく固有名詞は避けるのが賢いといえるでしょう。
未来予想
「〇〇年頃には、日本の高齢化社会はどうたらこうたら…」のようにあまり具体的な年数の入った未来予想も避けた方が良いですね。
理由を説明するまでもなく、その〇〇年が来てしまったら、全て過去の話になってしまうからです。
答え合わせ、というより間違い探しもされてしまうでしょうし。
ただ、占いや都市伝説系の本であれば、未来予測の表現方法を工夫することで「10年以上も前に今の世の中を予測していた!」っていう話題性が生まれることもあります。
その手のジャンルであれば有効かもしれないですね。
ただ、やはり未来予想については原則、予測した年よりもずいぶん前に「古い」ものに感じられてしまいますから、長く読まれる本にしたいなら極力避けた方が良いですね。