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出版につきまとう「再現性の不安」

鍋の〆は雑炊派!の出版プロデューサー西浦です。昨日はカレーちゃんこ鍋を頂きまして、〆がまさかのうどんからの雑炊っていう2回〆でした。〆たあとでもっかい〆るとかどんだけ仕事きっちり終わらせるんだと感動。

さて、友人の黒田さんがこんな記事を書いてました。

フリーランスが仕事を依頼してもらうには「再現性」が重要~スキルの課題依存性と環境依存性について~

 

この「再現性」というのは、出版でもたびたび登場するキーワードですね。

『このノウハウの再現性はあるのか?』というような使われ方をします。

つまり『あなただからできたんだ』と言われてしまうノウハウや、たまたまうまくいっただけのケースじゃダメということですね。

本は読者にとって再現性のあるものでなくてはいけないので、医学的、科学的根拠を調べたり、脳科学の理論を引っぱってきたりして「再現性」を担保します。

再現性は「課題と環境」に依存する

出版の場合、再現性は「読者が実践した時に効果があるかどうか」で判断されます。

だから本で紹介するノウハウが

  • どれだけ簡単
  • 大金をかけなくてもよい
  • ものすごい手間がかからない

などを、企画を作りながら考えていきます。

すると、どんどん平易な内容になっていき、差別化がしづらくなったり、逆に「そんな簡単な、魔法みたいな話あるワケないだろ!」というツッコミを読者から受けることにもなります。

 

ここで、黒田さんの記事を読んでみましょう。

専門性の高いスキルになると、再現性は低くなっていきます。
再現性を低めるのはスキルの

  • 課題依存性
  • 環境依存性

です。

より専門的なスキルであればあるほど、「課題」と「環境」によって、再現できるかどうか変わるよね、ということです。

ダーツを例に説明されていて、「普段の3倍の距離で的に当てろ」と言われたら再現性が低くなるし(課題依存性)、「早くなげろー!」と周囲に急かされて投げる場合も再現性が低くなります(環境依存性)。

確かにね!わかりやすい!

出版でクリアすべき「再現性」とは

さて、著者はこの再現性の依存度をどう考えればよいでしょうか?

僕はこの2つの「課題依存性」と「環境依存性」のうち、「環境依存性」に着目するべきと考えます。

 

なぜなら「課題依存性」は、出版の場合、前提としてクリアされているものだからです。

たとえば「ついていきたいリーダーになる」本と、「部下を導くリーダーになる」本は、同じ「リーダーシップ」の本ですが、課題が違いますね。だから本として別のものになりますし、解決方法も別のものになります。

課題が変われば、解決方法も変わるものです。むしろ一つの課題に対して、いくつも違った解決方法を提案しているのが今の出版業界の面白いところですから、課題依存性は「解決策や著者をいくつも提案する」ことで対応しています。

「痩せる」本でも、「痩せたいけど食べたい」課題には筋トレやランニングなどの運動系、「動かずに痩せたい」課題には〇〇だけダイエット(〇〇には食材が入ります)などの食事系、レコーディング系など多彩な方法論で提案をしていて、「何にもせずに痩せたい」課題に対しては聴くだけで痩せるCDとかまでありますからね。

ということで、企画の差別化を考えたときに注目したいのは「環境依存性」の方です。

ノウハウは「環境の動作確認」でレベルアップする

読者ごとに置かれている環境は違います。

例えば「ついていきたいリーダーになる本」であれば、

  1. すでにリーダーとして成功しているが、さらに「ついていきたい」と言われる必要がある環境にいる読者
  2. カリスマ型リーダーとして成功しているが、「ついていきたい」と思われる必要のある環境にいる読者
  3. 次の人事異動で課長になることが決まり、はじめて部下を持つ環境の読者
  4. いつかリーダーになりたいと思っている環境の読者

などちょっと考えただけでもまだまだ出てきそうです。

読者をより明確にイメージすればするほど、読者の環境の違いが見えてきます。

 

では、1の読者の場合を考えてみましょう。

長くリーダーをやっていて多くの部下が「ついていきたい」と言うようになっても、例えば「リーダーシップのある部下」はついていくのではなく、自分で考えて動きたいと思っているものです。

そういう部下の場合はついて来させるのではなく

「結果のイメージだけすり合わせ、やり方は任せることで『自分は認められている』と感じられ、結果的についていきたいと思うことにつながる」

といったように

「この環境の場合、こういう原因でうまくいかないから、こうしたら良いよ」という「動作確認」をしてあげましょう。

しかもこの「動作確認」では「実践したらどうなるか」まで書いてあげるのが効果的です。

例えば

「自分でやりたいタイプの部下に任せて、仕事がうまくいくと、その後2つのパターンに分かれます。あなたへの信頼を増すタイプと、増長して自分の派閥を形成しようとするタイプです。後者の場合はあなたについていこうとしている人たちも巻き込んでいってしまうので、担当する仕事の権限を必要以上に増やさないようにしましょう。彼の部下が何か窮屈な思いを抱いていないか、より厚いケアが必要です」など。

これは一例ですが、ポイントは「実際に実行したらどんなことになるか?」の実例をベースに書いてあげることです。はまりガチな落とし穴は実践者だからこそ言えるものです。

クライアントの人数・種類を増やして、分析する

でも、上記の1~4までの読者を全部取り入れようとしたら、けっこうとっちらかった本になりそうですよね。

読者環境に初心者(3,4)と上級者(1,2)とが混ざっているからです。

でも僕は初心者と上級者が混ざっていることがカギだと思っています。

 

10万部以上売れている本は、ベストセラーの宿命か「内容が薄い」などとバカにされがちです。

しかし、よく読むとちゃんと深いことが書かれています。その深さを簡単には気付かせないくらいわかりやすく平易な言葉で、初心者が読んでも理解できるよう工夫して書かれているのです。

むしろ10万部の壁を越えていく本は、タイトルやカバーだけでない「プロも納得、初心者もわかりやすい」中身の深さと軽やかさを持っていると思います。

これは僕にとっての本づくりの理想で、とても難しいのですが、一つわかったことがあります。

 

著者がたくさんのクライアントに対して、一人一人と丁寧に向き合っていくと、最終的には一人一人「ここでつまずく」ということがわかってきます。

そうすれば、その中から本質的な共通点を見つけて「○●すればうまくいく」と一言で、言い切ることもできるようになるのです。

つまり一人でも多くのクライアント、いろんな状況のクライアントと向き合うことで、千差万別の対処も、そこから導かれる本質的でシンプルな解決策も見えてきます。

つまり「再現性」を保つために、より「簡単な」方へノウハウを薄めるのではなく、あらゆる環境(読者)への「動作確認」をしていき、一つ一つを解決していけば、「本質的な」解決策に至ります。

モデルからおじいちゃん、小学生まで達成、驚異のダイエット!みたいなものですね。

簡単なノウハウ、本質的なノウハウはどちらもシンプルですが、 ノウハウが導かれた事例数がまったく違うので、後者はより厚みのある深いノウハウになります。

 

多くの人に届けるために、自分のノウハウを薄めるのではなく、実際に多くの方にサービスを提供して、厚みのある、かつシンプルなノウハウにしていきましょう!

 

再現性は、読者の環境に応じて「動作確認」した回数に比例する

出版につきまとう「再現性の不安」 鍋の〆は雑炊派!の出版プロデューサー西浦です。昨日はカレーちゃんこ鍋を頂きま...

出版TIMESの西浦です。

出版TIMES 2017年7月の人気記事ベスト5をご紹介します。実は7月は自宅の引っ越しをしまして、まったく出版TIMESを更新できませんでした。(5月に続き、また言い訳です、ごめんなさい・・・・・・)そんな中、過去記事が検討してくれているので、数字的にはそんなに変化がなかったのですが、ちゃんと新規記事を書いていって、リピーターさんに楽しんでもらわねばなぁ、と気持ちを新たにしました。

では人気記事ベスト5の紹介です。

お忙しいあなたに、この記事だけでも読んでいただけたら嬉しいです!

2017年7月人気記事 ベスト5

  1. 【書評】「スタンフォード式 最高の睡眠」で 黄金の90分を手に入れよう(→先月同1位)
  2. ボクはゲイなんですと言われて、僕は泣いた。【20万部の本が生まれる2年前の話】(↑先月4位)
  3. 【書評】成功している人は、なぜ神社に行くのか?【神さまは「他の参拝者を味方につけた人」の味方をする】(→先月同3位)
  4. 【出版プロデューサーが教える】商業出版・企業出版・自費出版の違いとは(↑先月6位)
  5. 7年やってわかった、食えるフリーランスになる方法(↑先月9位)

あいかわらず「スタンフォード式 最高の睡眠」「成功している人は、なぜ神社に行くのか?」の書評記事が、たくさんの方に読んでいただいております!検索してきてくださる方に感謝です!

そしてなぜかこのタイミングでボクはゲイなんですと言われて、僕は泣いた。【20万部の本が生まれる2年前の話】が人気再燃です。google検索で「堀江昭佳 カミングアウト」などのワードで1位になってるんですよね。このワードで検索する人はどんな記事を求めて読んでらっしゃるのか・・・ちゃんとそのニーズに応えられているのか、心配です。

 

そして何よりうれしいのが【出版プロデューサーが教える】商業出版・企業出版・自費出版の違いとはの記事がどんどん上がってきていること!「商業出版」で1.9位まで上がってきてくれていて、そのおかげでより多くの方のお役に立てているようです。

ベストセラーを目指す人のための記事をどんどん生み出していきます。

そういえば、7月から公開している「【webラジオ】おしゃべり出版ウラ表紙」はfacebookページで視聴してくださっている方が圧倒的に多いです。動画(音声)コンテンツはSNSでの相性が良いのかもしれませんね。

こちらもぜひご視聴ください!

以上、7月の人気記事のご紹介でした!
8月も頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします!

人気記事アーカイブス 2017年7月ベスト5

出版TIMESの西浦です。 出版TIMES 2017年7月の人気記事ベスト5をご紹介します。実は7月は自宅の引...

事前にしっかり雨の準備をした日に限って、ギリギリ晴れがちな出版プロデューサーの西浦です。長靴はいて、折り畳みじゃないカサ持って出たら「いっそ降ってくれ!」って思いますよね(笑)

 

ところで自分の本はわが子同然!という著者にとって、本が売れるかどうかは死活問題ですよね。

売れるためには何をすればいいの?というのが気になるところ。

 

というわけで今回も、出版業界の勉強会「出版右肩上がりの会」のメンバーに協力してもらい、事前プロモーションに関する集合知をこっそりまとめてみました。

常に「どうすればより良い本を出せるか、1冊でも多く読者に届けられるか」に苦心しているメンバーだけに、今回も超リアルな手法と事例が集まりました!
施策の他に、最後に注意点も3つまとめてありますので、合わせてご覧ください!

※出版業界のプロに聞く!「出版右肩上がりの会」の以前の記事はこちら
成功する著者2パターンと、失敗する著者の16条件【編集者、書店員のホンネ】

仕掛け販売

通常の展開よりもかなり力を入れて、店頭で積んで読者へPRする施策。大型の広告やプロモーションと連動させることが多い。

「売れなかったときのガッカリ感も大きい」というリスクがある。

書店では、どんな本かという「本そのものの情報」より販促情報が重要視される傾向がある。

  • 何に取り上げられるか?(メディア露出)
  • 広告の予定は?
  • 非Amazonキャンペーンでのリアルな予約数の上がり方

など。
文芸の場合はプルーフ(試し刷)を作って、書店員に渡し、内容をPRすることが多いが(そして文芸そればっかりじゃん!という批判の声もあるが)、一般書・実用書ではあまり見ない。それは上記のように、より販促情報を重視する傾向ゆえか。

また、Amazonでのリアルな予約数が影響するのは、Amazonキャンペーンと違って、ネットの記事など露出効果によるものだと予測できるから。これらはリアル書店にも波及することが多い。

 

テスト販売(先行販売)

正式な発売前にテスト的に一部の書店さんで展開してもらい、売れ行きをチェックする手法。だいたい発売の1週間前に実施されることが多い。

これにはいったいどんな効果があるのか?

  • 成功事例)
    「●代でやっておきたいこと」系の本で、テスト販売の実績が悪すぎてカバーを変えた(すっごいシンプルにした)ら、数十万部のヒットになったことがある。

つまりカバーを変えられるくらい時間に余裕のある「先行」販売の場合有効である(この事例では1か月前)

逆に

  • 失敗事例)

先行販売の動きが悪くて営業のテンションが下がる

という「数店舗だけのテスト結果で期待値を下げてしまう」リスクもあり、仕掛け販売と同じく諸刃の刃と言える。

 

また、通常よく行われる「主力店で1週間の先行販売」は

  • 先行販売であることを店頭でPRして読者の目を引いたり
  • 搬入時(正式な発売時)に追加注文をしておいたり(売り損じ減・拡販効果)
  • 「発売前増刷」を検討したり

ということが可能で、1週間前ではカバーは変えられないまでも、やはり販売面で有効な施策であると言える。

 

つまりはテスト販売(先行販売)は実施後に「そこから発売までに何をするか」次第の施策ともいえる。なんとなくでやっても、二の手を繰り出さねば意味がないのだろう。

著者のSNSでPR

取材の様子など、発売前から書籍の情報を発信して、ファンの期待感を高めておくこと。発売直後の初速に好影響をあり。ブログやSNSなど、著者のオウンドメディアPV数やファンのコア度に依存する。

 

また、著名な担当著者同士を紹介して、互いのSNSでシェアしてもらうというやり方もある。
(急に「あれ?なんでこの人たち急に仲良く・・・?」と思ってたら1か月後に本出たり。その担当編集者が同じだったりする)

編集者やプロデューサーの関係構築力によるが、何より本人たち次第なので注意(合わない人は合わない)。

読者や関係者を巻き込む

ある意味、最も古典的で最も有効な方法。読者や書店員さんなど、実売に特に大きい影響を与える人に対し「特別な思い入れ」を持ってもらうためのいろいろ。

  • カバーどっちがいいですか?のように製作にも携わってもらうことで巻き込んだり
  • オンラインサロンで本を売るための方法について意見集めたり(バクマン的な)
  • ユーザーに本に掲載する「コンテンツ」を募集したり(実際に1800件集まったケースも)
  • 極端な例として書店の社長にタイトルを決めてもらったこともある※

※「売り方に関する本」で、「タイトルを書店さんが決める」ことが本の特性上おかしくない場合のケースです。著者も納得のうえ。

「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」も取次の若手や書店員さんを巻き込んで販促していったと聞きました。キングコングの西野さんもこのやり方だと思います。

献本

見本や完成直後の本を献本し、メディアでの紹介を狙う。

  • 封筒ではなく、透明なビニールの封筒で中身を見せる(開封率アップ)
  • 直接渡しに行く(文芸は有効)

文芸では、書評担当者へ直接渡しに行くのは効果的だとされる。ただ実用系の本だと、ものすごく薄い反応のことが多いようです。

 

地方色の強いプロモーション

地方色の強い本は、地方紙(地元新聞)広告の反応が良い。広告に「地元本屋さんのコメントを載せる」と非常に有効だとの声。

地元本屋さんのランキングを載せることまではよくあるが、コメントまで載せるのは珍しい。地元読者へのPRももちろん、地元本屋さんでの展開も強化してもらいやすい。

また、東京でのイベントでも、ちゃんと地元新聞に連絡しておくと取材に来てくれたりすることもある(東京支部があるので)。なので東京でも何ができるか考えるのはアリかもしれない。

 

なお、地方色というのは、例えばUSJの本が関西で売れる?といった単純な結びつきだけでなく、

  • お金の本は関西で売れやすい(関西の番組では政治の話でも、議員の年収のように、お金に結び付けた方が視聴率が良かったりする)
  • 「心を上手に透視する方法」のような本も関西から売れ始めた(そういうけっこう腹黒いテーマも好きな気がする。知らんけど)

といった県民性や、その地域に「仕掛け販売の得意な本屋さんがあるかどうか」といった、いろんな要素が絡んでくる。

 

また地方色だけでなく「ニッチなニーズ」のある本も、地方色の強い本と同じように、ターゲットが「自分事にしやすい本」である。

同じ理由で事前プロモーションは効果的。

 

放送作家さんに手伝ってもらう

リリース作成時に、放送作家さんにアイデアを出してもらうという手法。

某アイドルの写真集発売のリリースについて、放送作家さんに考えてもらったところ、切り口として(昔「スイカップ」という言葉が流行ったことを前提に)「メロンヒップ」というキャッチでPR。すると予想以上の反響で、メディアに取り上げてもらえた。という事例がある。

なお、メロンヒップはその後、勉強会の場でも一時騒然となり、各自がいじりた倒していたことから、強いワードなんだなと実感しました。

 

試し読み、サキ読み

Amazonなどでも行っている、内容の一部を購入前に読者に見せる方法。サンマークさんのように自社で取り組んでいる出版社も。

後者の場合、販促効果以上に、「先に感想を集められる」というメリットが大きい。発売直後から「読者の声」を販促物、広告のコピーとして使用可能になる。

 

リリース配信は3か月前に

出版では通常、早くて1か月前くらいにプレスリリースを配信する。しかしCDやDVDは本に比べ、プレスリリースのタイミングが早いようで、タイトルや曲目など徐々に情報解禁していく。
ある本でレコード会社と一緒に企画を進めた時、本も3か月前にリリースを打つことになった。

 

(3か月前だと)本ができる前に取材が始まっていくので、タイトルやカバーもその時点で決める必要があった。

結果的には発売前にいくつかのメディアで掲載が決まったので効果があったのかもしれない。

 

別の事例では、「礼儀作法」の企画について、正月に合わせて夏からパブリシティを仕込んでいったケースもある。

構成⇒タイトル⇒書影と徐々に情報を流して、年末には某局の番組で取り上げが決まった。

反応が良ければ相手(メディア)の興味を促進するためにもドンドン情報を流せるよう、出版も「3か月前リリース配信」を念頭に動いた方が良いかもしれない。

 

3つの注意点

プロモーションと配本がズレると逆効果

プロモーションをどれだけ行っても、店頭に在庫がなくては全く意味がない。部門間の連携の問題か、会社の体制や仕組みによるものか、などケースによると思うが互いに販売機会は無駄にしたくないもの。

店によっては2ヶ月後に売れることもある

事前プロモーションについてアイデアや事例を紹介してきたが、その結果検証は発売直後に、初速の実績をベースに判断されることが多い。

しかし店によっては発売直後ではなく2か月後3か月後に売れることもある。そういった視点は忘れずにいたい。

売れないものの広告を打っても売れない

殊更に言うことでもないが、やはりそういうものかと。「売れない」理由が中身なのか、著者なのか、帯周りか、展開なのかにもよるので、そこは考えて対策をしたい。(中身と著者だったら発売後には対策できないけれど)

 

出版事前プロモーション9選と3つの注意点【編集者、書店員に聞いてみた!】

事前にしっかり雨の準備をした日に限って、ギリギリ晴れがちな出版プロデューサーの西浦です。長靴はいて、折り畳みじ...

椿屋珈琲店にはメイドみたいな制服のウェイトレスが、席で直接注いでくれるちょっと恥ずかしい「椿屋スペシャルカフェオレ」というメニューがあります。打ち合わせの時に編集者にそれを頼ませつつ、自分は普通のカフェオレに逃げた出版プロデューサーの西浦です。「打合せ」で油断する方が悪いのですよ、●●さん・・・(笑)

さて、よくマンガなどで使いすぎたPCから煙が出る描写がありますが、本当にキーボードが焦げるまで叩き続けたライターさんをご存知でしょうか?
「なんかエビが焼けるような臭いがするな」と思ったら、自身のワープロが焦げていたそうで、富士通の担当者には「今まで、焦げるほどキーボードを叩いた人は知らない」と言われたとか。

 

そんなキーボード叩きすぎ系ライター藤吉さんにお願いして、ベストセラーキャンプの会員向けに売れる「文章の極意」を教わってきました!
超売れっ子ライターさんのため、お願いしてから半年以上かかっちゃいましたが、待った時間以上の素晴らしい講義でした!
この素晴らしさの一部でも、出版TIMES読者の皆さんに共有させて頂きます!

差別化すべきはエピソード

藤吉さん曰く「著者の独自性」が語られている本は読者から支持されやすいそうです。

ここで言う「独自性」は「他にはない新しいアイデア」と、「他の人には話せないエピソード」の2つです。

 

しかし、藤吉さんが今までたくさんの著者を取材されてきた中で気付いたことは「一流の人ほど、みんな『同じこと』を言う」ということ。

  • 愛がすべて
  • ピンチはチャンス
  • 最初の動機は不純でいい

とか。

確かにどれもどこかで読んだことがある話ですよね。

 

一流になればなるほど、本質に近づいていくわけで、内容が似通ってくるのは、ある意味仕方のないことかもしれません。

とはいえ「また、これか」感があるのは否めないので、そういうときこそ『エピソード』で差別化すると良いです。

なぜそう思うようになったかという経緯(エピソード)は全員違いますし、そのエピソードの中に、その人しか語れない哲学や価値観が現れてくるものです。

特にエピソードが大事なのは、その人のエピソードに読者が共感しやすいからです。

失敗談とイイ話

それではどんなエピソードが喜ばれるのでしょうか?
それは『失敗談』『イイ話』です。

  • 失敗談

失敗談は「逆境からの復活劇」などギャップのある話が生まれるので、読んでいて共感しやすいのです。

左遷、人間関係のトラブル、若手時代に怒られた話、経営破綻など本のテーマに合うものを探してみてください。

  • イイ話

心温まるようなエピソードは、失敗談と同じく元来ウケの良いものですが、特にここ数年は反応が良いです。

「入院している同級生のために千羽鶴を折ったのだが、間に合わず、飛行機の中でも千羽鶴を折っていたら、機内アナウンスで協力を呼びかけてくれ、ほとんどの乗客が協力してくれた」

「ハンディキャップのある娘が、運動会ではいつも徒競走でビリだった。ある年、一緒に走っているコケてしまって『これで自分の娘がビリじゃなくなる!』と喜んだら、娘がコケた子の元へ駆け戻り、一緒にゴールした」

など絆や優しさを感じられる話は、深く心に残ります。(僕は聞いているだけでジーンときました)

 

読後に「こんなことがあったんだって」と人に伝えたくなるようなエピソードを持っているかどうかが重要ですね。

伝わる文章に大切なのはエビデンス

エピソードは非常に重要ですが、同じくらい重要なのがエビデンスです。

エビデンスとは、科学的な裏づけや根拠のことです。

エピソードは、「自分しか語れない」というメリットがある一方で、「再現性がない」「ほかの人は真似できない」「あの人だからできるんだ」と思われてしまう危険性もあります。

 

ですから、エビデンスを明らかにして、客観性を担保することが大事なのではないでしょうか。具体的には「脳科学的には~」とか「エビングハウスの忘却曲線によると~」と言った根拠を示すことです。「2万人が」とか「90%のクライアントが」といった、数字があるのも非常に有効です。

エピソードはインパクトがあり、広める力を持っていますが、エビデンスで「信頼性」を補てんする必要があるのです。

多作の作家が売れなくなる理由

たくさんの本を出版する作家はさぞかし売れっ子なのだろうと思うかもしれませんが、実態は逆のことが多いです。(ごく稀にそうでない方もいます)

「累計ン百万部!」と謳っているものの、平均するとほとんど売れてない…といったケースですね。

 

その原因の一つが「エピソードが薄くなる」ことにあるかと思います。

すでに何冊も本を出されている著者の場合は、「どこかの本にすでに書いたエピソード」と重複してしまったり、自分が経験したエピソードではなく「人から聞いた話」になりがちです。

エピソードが被ってくると、その著者の本をはじめて読む人以外は「前に読んだ話だな」と感じて、感動が薄まってしまいます。

それに「聞いた話」だと松下幸之助やスティーブ・ジョブズ、あるいは戦国武将の例などが、知名度の面からも採用されることが多いです。

しかし、知名度や人気の高さゆえに、逆にそのエピソードも読者に知られていて「また、これか」感があふれ出てきます。(有名人の、知られざるエピソードは非常に強いです)

 

「現場」から離れてしまった経営者や講演家にも似たケースが多く、エピソードが重複したり「古すぎたり」して、今の世の中にあっていないこともあります。

常に現場を意識して、エピソードの新陳代謝をはかりましょう。

 

作家とは「誰が」に値する生き方

他にも文章の型など一切、出し惜しみなくお話しいただいたのですが、最後にイチロー選手のこんな言葉をご紹介くださりました。

結局、言葉とは『何を言うか』ではなく『誰が言うか』に尽きる。その『誰が』に値する生き方をしたい。

2013/2/13付日本経済新聞より

この言葉がすでに「誰が言うか」に尽きる、ということを証明しているような言葉ですね。

非常に重い言葉ですが、本を書くことはもちろん、本当はブログだって、日ごろの言葉一つだって、この気持ちで発していきたいものです。

そうでないと誰にも本気だと受け取ってもらえません。

どれだけ良いことや面白いことを言っても、本人が「誰が」に値しなければ、言葉は軽く響きます

 

本の中のエピソードが、体験談なら、自分はこの本を書く「誰が」に値することを証明できますね。

その意味でも、本を書く人にとって、エピソードは絶対に必要なものです。

 

今回のエピソードに関するお話は、キーボードが焦げるまで文章を書き続けた藤吉さんだからこそ出来る講義でした。

著者を目指すあなたも、「誰が」に値する生き方をしてください。

そして自分自身にも強く戒めたいと思います。

キーボードが焦げるまで書き続けたライター藤吉さんに教えてもらった「書く」ために大切なこと5選

椿屋珈琲店にはメイドみたいな制服のウェイトレスが、席で直接注いでくれるちょっと恥ずかしい「椿屋スペシャルカフェ...

インターネットの普及による情報の氾濫。
その中でも、ときどき、私たちは目の覚めるような「斬新なアイデア」に出会うことがあります。
そのような素晴らしいアイデアは一体どのようにして生み出されているのでしょうか。

今回紹介する「アイデアのヒント」は、そんな「斬新なアイデア」の生みだし方を手ほどきしてくれる本です。
日常的にアイデアを出す必要のある人が、どのようにして新しいアイデアを生み出しているかを知ることが出来ます。

どんな本なのか

本書は、アメリカの大手広告代理店で数多くメジャー企業の広告を担当した、ジャック・フォスター氏によるものです。
スズキ、マツダ、ユニバーサルスタジオなどの広告を生み出した著者によって、分かりやすく「アイデアのヒント」がまとめられています。
本書に挙げられているアイデアのひらめき方は、広告に携わる人以外にも、有益なものとなっています。
特に「アイデアを出すのが苦手」という人におすすめしたい本です。

アイデアとは何か

仕事でも日常生活でも、私たちは時々「アイデアを出さなければならない」という状況に陥ります。
この「アイデア」とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。
その問いの答えとして著者が気に入っているとする説明が、
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
というものです。
これは名著「アイデアの作り方」の著者ジェームス・ウェブ・ヤングによるもので、2つの理由から、著者はこの説明を気に入っているとしています。

まずは1つめの理由です。

わたしがこの説明を特に気に入っているのには、二つの理由がある。
第一に、ここにはアイデアを得る方法が明示されている。
アイデアを手に入れるのは、新しい料理のレシピを作るようなものだと教えてくれているのだ。
すでに知っている材料を、これまでとは違った方法で組み合わせるだけ。
アイデアを得るというのは、こんなに単純なことなのだ。
(27ページ 第1章 アイデアって何だろう より引用)

そしてさらに、2つめの理由を次のように述べています。

わたしがヤングの説明を気に入っている第二の理由は、アイデアを得るためのカギだとわたし自身が確信していること、つまり「材料を組み合わせる」という点をずばり突いているからだ。実のところ、わたしがこれまでに読んだアイデアについての本はすべて、組み合わせる、関係づける、並べる、統合する、結合する、といったことに触れていた。
(28ページ 第1章 アイデアって何だろう より引用)

ヤングと著者の説明によると、アイデアを生むために大切なのは、組み合わせの問題と言えそうです。
「アイデアとはゼロから作りだすものではない」と考えるだけで少し気が楽になるのは、きっと私だけではないでしょう。

既存の要素を集める方法

そして著者は、アイデアを出すため必要な「既存の要素」の集め方として、次の2つを挙げています。

  1. 型にはまった生活から抜け出そう
  2. 「見る」ことを学ぼう

新しい情報を得るためには、決まりきった行動から自力で抜け出し、意識して様々なものに目を向けなければならないと本書では述べられています。
そのためには、まず、これまでにしたことがないこと、嫌いなこと、苦手なことをすることで、膠着状態から抜け出せるのだとしています。
さらに既存の要素を集めるためには、漠然と「見る」のではなく、意識して「見る」ことが重要なようです。
そのために、毎日「何か」を見て、ノートなどに記録しておくことを著者は勧めています。

確かに、普段と違う行動を取ると、見慣れたものに対しても思わぬ発見をすることがあります。
それを記録することが、既存の要素を集めることにつながり、アイデアを生むヒントにつなげることが出来るようです。

アイデアが浮かんだあとは

せっかく生み出したのなら、やはりそのアイデアは何かに活かしたいものです。
第14章では、

  • いま始めよう
  • 本気になろう
  • 締め切りを作ろう
  • やるべきことをリストアップしよう
  • アイデアを買ってくれる人がいないなら自分で売り出そう

など、アイデアが浮かんだあとの行動についてのアドバイスが多数掲載されています。

「何もしないのはアイデアがないのと同じ」だと著者は述べています。
確かに、誰にも伝えず、何も変えないのであれば、アイデアを生み出す必要があるとは言えないでしょう。
そして思いついたアイデアを活かすことは、また次のアイデアを生む活力となってくれるかもしれません。

終わりに

アイデアのヒントを手に入れるためには、決まり切った生活から抜け出し、注意深く周囲を見て、それらを根気よく組み合わせていく必要がありそうです。
行動自体の難易度は高くないようですが、日々それを継続していくということは少し難しいようにも感じます。
しかし本書の内容どおり、小さな積み重ねを続けることによって斬新なアイデアを手に入れることが出来るなら、ぜひ試してみたいものです。

(文:朔)

【書評】アイデアのヒント【斬新なアイデアの生みだし方】

インターネットの普及による情報の氾濫。 その中でも、ときどき、私たちは目の覚めるような「斬新なアイデア」に出会...

こんにちは、出版プロデューサーの原です。

今回は早くも3回目を迎えた、出版プロデューサー西浦孝次による「おすすめ!人生を豊かにする本5冊」改め「ニシュランガイド」のレポートを公開します。

今回もイベントスペースを貸してくださったのは東京駅八重洲口を出て真正面にある「八重洲ブックセンター」さんです。

 

紹介した本

5冊の候補がありましたが、毎回恒例の参加者投票と、西浦さんのおすすめで紹介が決まったのはこの4冊。

  • フェルマーの最終定理
  • 芸人交換日記 〜イエローハーツの物語〜
  • 海馬 脳は疲れない
  • (赤塚不二夫対談集 これでいいのだ)

時間の都合で詳細までご紹介できたのは上から三つの作品となりました。

 

フェルマーの最終定理

イベント時間2時間の中で1時間をかけて話してくださったのがこの「フェルマーの最終定理」

書店などで見かけたことのある方も多い本かと思います。

この一冊は、西浦さんが数学に興味を持つきっかけになった一冊だそうです。

 

とても大きなテーマになりますが、人類が世代も人種をも超え、一つになって取り組んだことをご存知でしょうか?

今現在も戦争が終わらず、あちこちでテロなどが起きている中、そういったものを見つけるのは難しいことかと思います。

「フェルマーの最終定理」は、解を見つけることが非常に困難な数学の謎です。

そうであったがゆえに、数学者たちを幾世代にも渡り魅了し続け、それぞれの人生をかけて、解を見つけるために奮闘させたものでもありました。

 

この本はただの数学書ではなく、そのうち大きな貢献をした人たちの生涯にフォーカスした人間ドラマの詰まった一冊となっているのです。

ただ一冊の数学についての本としてだけではなく、数学者たちのストーリーに思いを馳せて読んでみると、また違った数学の面白さや素晴らしさが見えてくるかもしれません。

海馬 脳は疲れない

赤ちゃんの頃を最高として、生きていればどんどんと死滅していく脳細胞。

でも実は、20歳までは単純記憶が発達しており、30歳からはネットワーク構築という新しい才能の開花するのが人間であるという、新しい発見が出来るのがこの本です。

印象に残るのは、西浦さんの「だからこそ人は生きるのに慣れてしまうと成長が止まってしまう」と言う言葉。

あなたはどうでしょうか?

新しい出会いや新しい発見を避けていませんか?

固定観念に取りつかれ、一歩踏み出すことを必要のないことのように思ってはいないでしょうか?

この本にも、いろいろな感想が集まりました。

自分の生き方や、ものの受け止め方にも影響が出る、人生の為の一冊、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。

あなたにしかない新しい気づきがあるかもしれません。

芸人交換日記 〜イエローハーツの物語〜

3冊の中で唯一のフィクション作品が芸人交換日記。

森三中大島さんの旦那様でも知られる放送作家の鈴木おさむさんの作品です。

芸人同士の交換日記形式で進められていくこの本では、夢を追う人の葛藤と、「夢を諦める」勇気の偉大さがわかる一冊となっています。

ぜひ読んでもらいたい本です。

もしあなたが夢を追う人や諦めた人、今現在、葛藤している人なら。

 

感想会

今回もイベントを終えた後に、各本に対する感想会を行いました。

西浦さんが紹介してくださった内容を受けて、各々感じたことを一言ずつ付箋にして貼り付けています。

そこからは自分で感じ取ることのできなかったことも読み取れ、人それぞれに与える本の影響の大きさやその差、隣人の思いなどが詰まっており、本の可能性をますます感じる会となりました。

また、紹介された本は会場の八重洲ブックセンターさんで購入することができるため、気になったものをその場で手にすることができます。

イベントに興味を持っていただいた方は、ぜひ次回参加してみてください。

[facebookイベントページ]

 

【イベント】出版プロデューサーの人生を豊かにする本「ニシュランガイド」Vol3

こんにちは、出版プロデューサーの原です。 今回は早くも3回目を迎えた、出版プロデューサー西浦孝次による「おすす...

日常生活において、誰かに何かを依頼することは少なくありません。
しかし、依頼を受けてもらえるかどうかは相手次第で、内容や、相手の機嫌、状況などによって返事は変わります。
そんな相手への「お願い」の成功率が上がる「伝え方」があるなら、知りたいとは思いませんか。
今回は、そんな「伝え方の技術」が詰め込まれた、【伝え方が9割】を紹介します。
読んで納得の情報が満載の良書となっています。

どんな本なのか

本書は、コピーライターとして国内外で51のアワードを獲得し、作詞家としても活躍する佐々木圭一氏によるものです。
もともと「伝えること」が得意ではなかった著者は、コピーライターとして苦戦しつつも「伝え方」の技術を発見。
本書には、その過程や、発見した技術が、ありのままに綴られています。
紹介されている「伝え方の技術」は、決して複雑なものではないことから、訓練次第で誰でも身につけることが出来るでしょう。
「人の感情を動かすエネルギーのある強いコトバ」を使いこなすために、とても役立つ本となっています。

ノーをイエスに変える技術とは

第二章で、著者は「コトバには困難を逆転させるチカラ」があるとしています。
それは伝え方次第で、相手の気持ちを「ノー」から「イエス」に変えることが出来るためです。
そのために、著者は第2章で、3つのステップと、7つの切り口を紹介しています。

まず3つのステップとは、

  • 頭の中を、そのままコトバにしない
  • 相手の頭の中を想像する
  • 自分のお願いと相手の願望とを一致させる

というものです。

さらに切り口は、

  1. 「相手の好きなこと」相手の好きなことでコトバを作る
  2. 「嫌いなこと回避」相手の嫌いなことを回避するコトバを作る
  3. 「選択の自由」相手の好きなことを並べて選択できるようにする
  4. 「認められたい欲」相手の「認められたい欲」を満たす
  5. 「あなた限定」相手限定であることを伝える
  6. 「チームワーク化」相手と一緒に動く
  7. 「感謝」相手への感謝を伝える

の7つです。

いったん依頼から気持ちを離し、相手の頭の中を想像した上で、適切な切り口を使うのです。
それにより、ノーがイエスに変わる可能性が高くなる、としています。

コトバエネルギーの生みだし方

相手の気持ちを動かすエネルギーのある強いコトバ、その生みだし方の分かりやすい例が、第3章に掲載されています。

強いコトバをつくるのに必要な、「コトバエネルギー」をどう生み出すか?
その方法は、ジェットコースターの原理と同じです。
コトバに高低差をつけてあげれば、エネルギーは生まれるのです。
例えば、
「あなたが好き」
より
「嫌いになりたいのに、あなたが好き」
のほうが高低差があります。
高低差とは、そのコトバを見る人、聞く人にとって心を動かすエネルギーです。
ジェットコースターと同じで、高低差があればあるほど、人はぐっとくるのです。
(122ページ 第3章「強いコトバ」を作る技術 より引用)

この「嫌いになりたいのに、あなたが好き」という文章に使用されているのは、意識して正反対の言葉を使用する「ギャップ法」という技術です。
著者は、強いギャップを持つ言葉を使うことにより、「好き」という言葉に強いエネルギーが生まれるのだとしています。
確かに、
「嫌いになりたいのに、あなたが好き」
と言われたら、強く心に残るに違いありません。

同じ意味の文章であっても、伝え方ひとつで、これだけ印象が変わるのだから不思議です。
相手への告白に限らず、効果的な伝え方として覚えておきたい技術です。

デジタル文字の冷たさを解消する

そして本書で最も日常的に使えそうなのが、メールに関する技術です。
顔の見えないやりとりであるメールは、選ぶ文章によっては、相手に冷たい印象を与えがちなものです。
しかし本書にある以下の技術を使えば、相手に与える印象は違ってきそうです。

あなたのメールは、あなたが思っている以上に、相手に冷たく伝わっていることを知りましょう。
では、具体的にどうすればいいかです。
感情がそぎ落とされるぶん、コトバで感情を30%増しにするのです。
これで、手書きと同じレベルになります。具体的には、語尾です。語尾に感情を加えるのです。
(197ページ 第3章「強いコトバ」を作る技術 より引用)

喜びや感動を、少しオーバーなほどに強く表わすことで、文章から冷たさを消すことが出来る、と著者は述べています。
これもまた、日常に取り入れやすい「伝え方の技術」であると言えるでしょう。

終わりに

「相手の心を動かす強いエネルギーを持った言葉」を作りだすことが出来れば、毎日は格段に楽しくなることでしょう。
この「伝え方の技術」は、仕事だけでなく、プライベートでも大きく役立ちそうです。
もちろん訓練なしで、いきなり上手な伝え方が出来るようになるものではないでしょう。
まずは毎日の生活に、本書の「伝え方の技術」を取り入れて、大事な時にうまく使えるよう訓練したいものです。

(文:朔)

【書評】伝え方が9割【人生を変える、強いコトバをつくる技術とは】

日常生活において、誰かに何かを依頼することは少なくありません。 しかし、依頼を受けてもらえるかどうかは相手次第...

引っ越しの荷造りがキライな出版プロデューサー西浦です。荷解きはどんどん部屋が広くなるから楽しいのですが、荷造りはやればやるほど段ボールが積み上がり、生活しづらくなっていくという悲しみしか生まない作業ですね。はぁ。。。

さて、本を書くときに文章の上手い下手は誰しも気になるもの。しかし、案外忘れがちなのが文章の『自分らしさ』です。ぶっちゃけほぼ100%の原稿は、編集さんによってちゃんと「読みやすい文章」にブラッシュアップしてもらえます。だから下手すぎる場合を除いて、そこまで文章の上手い下手は気にしないで大丈夫です。

 

しかし、文章に「自分らしさ」「雰囲気」を練り込むのは、やはり自分の仕事です。(一部、憑依系の編集さんもいますが、これは例外)ですので、自分らしい文章の書き方について考えていきましょう。

 

『自分らしい文章』とは、著者の人柄がにじみ出るような文章ではないでしょうか。場合によってはくだけすぎたり、丁寧すぎたりと「読みにくい」ときもあるが、「あの人らしいなぁ」と感じる文章です。

まだまだ研究中の分野ではありますが、現時点で有効だったり重要だと思っているポイントについてまとめます。

使わない言葉を決める

「いつも特定の言葉を使う」ことで自分らしさを主張するのは、かえってあざといなと感じられます。狙ってる感というか。

でも逆に「使わない言葉」を決めると、自然と自分らしさが出てきます。

 

例えば僕の例だと、人に対して「使う、させる」という言葉を使わないと決めています。

  • 「俳優使って、本格的な再現ドラマを作ろう」
  • 「ライター入れて、取材で書こう」

相手が年下や部下だったりすれば日本語としてはおかしくはないのでしょうが、好きな言葉の使い方ではありません。

なので僕の場合は年下や身内に対しても「してもらう」という表現を使っています。

 

こういった「使わない言葉」は、実は文章だけでなく、その人の生き方も反映していたりします。

つまり言葉を「使わない」ことで、同じ考え方の人たちに共感してもらえるのです。

逆に文章を読んでいて「なんとなく嫌だ」と感じることがあるとしたら、ひょっとしたらあなたが使わない言葉を相手が使っているのかもしれません。

 

どっちつかずは書かない(委ねるのはOK)

基本的に文章は「言い切る」方が良いです。メッセージが明確になりますし、一文も短くなります。まさに読みやすい文章ですね。

ただ性格的に「読者に対して強制はしたくない」とか「判断は自分でするべき」「多様性を大事にしたい」という著者もいます。

 

この場合「言い切る」のに抵抗が出ると思うのですが、「言い切らない文章」は何を言いたいのか分からない文章になりがちです。

すると「はっきりしないのは自信がないから」と読者に映るので避けたいですね。

そういうときは「言い切って」そして「委ねる」書き方をするとあなたらしい文章になると思います。

 

例1)言い切って委ねる文章
言い切ると「自信がある、わかりやすいという印象」を与える。そのうえで委ねると「優しい、強制的でないという印象」も与えられる。だから好みにあう書き方をしよう。

(選択肢それぞれのメリットを言い切って、選択そのものを委ねる。)

例2)言い切ってない文章(わかりづらい)
言い切ったらいいかというと、考え方の合わない人は反発しますし、かといって言い切らないでいると自信がないと映ってしまう。
(1より短いのに、だから結局何なの?って感じになってしまう)

例3)言い切ってない文章(自信がない)
言い切ると自信があるというように思われることが多いように思います。

(たぶん読んでてイライラするのでは?)

 

本質、原因、仕組みに関する考え方は慎重に

世の中のいろんな物事の『本質や原因』に対する、自分のスタンスは、ちゃんと意識しておきましょう。

その場のノリで書いてしまうと「あれ?この人ってこういう考え方をする人だったっけ?」と読者が敏感に反応します。けっこうその人らしさが出やすい部分なのです。

 

例えば、

  • 戦争がなくならない理由は?

について「自分と違う価値観を認めないから」なのか「差別」なのか「恐怖」なのか「政治の一形態」なのか「陰謀」なのかといった理由に、あなたが何を選ぶかです。

「戦争のような重たい話書かないから、別にいいよ!」と思うかもしれません。しかしその「理由」の方について書くときについポロっと出してしまう可能性があるのです。

どういうことかと言うと「価値観の違いを認め合って生きることが大切だ」ということを伝える文章の中で「戦争も、価値観を認め合えないからなくならないのです」とついつい書いてしまうことがあるんですね。

このついついが怖い。「価値観の違いを認めよう」という文脈が、「戦争の理由」という重たいことをついつい書いてしまったことで「戦争は価値観の違いを認め合いないからだ」という文脈として読み取れるようになってしまうのです。

 

「世の中はこうやって動いている」ということをみんな何となくそれぞれに信じていて、その比重も人によってちがいます。

成功の理由も精神論とするか、スピリチュアルとするか、やり方などノウハウにするか、クリエイティブ至上主義か、とかいろんな種類がありますね。

同じ考え方の人からは賛同されますが、逆からは敬遠されます。内心バカにされたりすることも。

 

個人の内面を重視する人、社会の仕組みを重視する人、いろいろ居ていいので、あなたが何を選ぶか(書くか)はあなたの自由です。

ですがどんな考えにも同意者と反対者がいるので、発言することで敵と味方を両方得ることになるでしょう。だから発言するときは慎重に「自分らしい」方を考えてから選んでください。

 

専門外の領域は基本的にふれない

専門外の領域について偉そうな書き方をするのはやめましょう。この時ばかりは言い切りは逆効果です。

なぜかというと「専門分野の信頼度にも悪影響が出てしまう」からです。

 

たとえば僕が出版の目線で、映画のことを批評したとしましょう(わりと偉そうに、言い切る感じで)。

その文章がてんで的外れだった場合、映画の分野に詳しい人たちから「こいつ全然大したことないな~」「ってことは出版で書いていることも大したことないんじゃ?」と思われてしまいます。

 

「他分野で〇〇があったらしいけど、出版に置き換えたら××なことができるかもしれないね!」というくらいのトーンならいいと思います。

逆だと恥をかくだけでなく、本当は的を得ているはずの専門分野にも傷をつけることになりかねません。

 

どんな文章も書くも書かないもあなたの自由ですが、書いた後には責任が伴います。誰でもどんな文章でも書いていいからこそ「自分らしい」文章やスタンスはなんなのか整理しておくと良いでしょう。

 

自分らしい文章の書き方は、スタンスを決めるところから始めよう

引っ越しの荷造りがキライな出版プロデューサー西浦です。荷解きはどんどん部屋が広くなるから楽しいのですが、荷造り...

たけのこの里が好きで「まずチョコレート部分を歯で削ってから、タルトの部分を食べる」などいろんな食べ方を試してきたのですが、普通に食べるのが一番ウマいと最近結論づけた出版プロデューサーの西浦です。

先日、印鑑証明書が必要だったので、ちょっと法務局へ行って来ました。

法人の印鑑証明書は原則として代表者しか取得できないものです。もちろん実際は代理人でも取得できるんですが「代理」人ということは、つまり本来は代表者の仕事ということでしょうか。

 

代表者≒社長の仕事ってたくさんありますよね。会社の経営が社長の仕事ですが、実際は経理も営業も企画も全部社長がやってたりします。

でも、できる社長になりたければ、どんなに忙しい状況でも、一人で経営について考える時間を作るのが秘訣だと昔教わりました。

 

『未来を創るための準備』をする

例えば、カフェで一人会議をすると、それがたとえ週に2時間でも、仕事の進まない時間を余分に作ることになります。これはコストです。

しかし、追われる日常から離れて、立ち止まって未来を考えることが、会社の進路を見直すために大切なことだったりします。

 

あるいは、人を雇うと、あらゆるお金がかかります。給料はもちろん、社会保険料も支払わないといけないし、必要な備品やそもそも採用活動自体にコストが発生しています。

そこからさらに人材育成にかかる時間や手間を考えれば「雇わない方が全然ラクじゃい!」って感じでしょうが、雇った人が自分以上に活躍する日が来れば、自分だけでは到達できない領域に進めます。

そう考えると、カフェで一人会議をして思考を整理するのも、人を雇って育てるのも『未来を創るための準備』で、まさに社長の仕事だと思います。

 

僕が思うに、この『未来を創るための準備』こそが社長の仕事で、実際に未来を作っていくのは、社長も含め多くの人と手を取り合って進めていくものなのでしょう。

本を書くのは誰の仕事なのか

であれば、本を書くのは社長=代表者の仕事なのでしょうか、それとも誰かに任せるべき仕事なのでしょうか?

それはその本が『未来を創るための本』なのかそうでないのかで変わると思います。

 

PRやブランディング、集客目的の本であれば、スタッフに任せるべきでしょう。それぞれの目的に合わせて、本で書くべきことは変わるし、それぞれの分野ごとに専門のスタッフに任せて、あなたは経営に集中する方が良いです。

でもあなたの本が誰かの『未来を創るための本』であれば、それはあなた(代表者)自身が書くべきです。

なぜなら社長=代表者の仕事は『未来を創るための準備』だからです。

 

この世にはいろんな本がありますが、読者のために書かれた本は、読者の未来を創るきっかけになれます。読者の未来をつくるのはもちろん読者自身ですが、その準備の一つになるのです。

特に『悩みとその解決法』を書くような、一般書や実用書ならなおさらですね。

 

しつこいですが、あなたの仕事は『未来を創るための準備』です。

それはあなたや、あなたの会社の未来だけでなく、業界の未来や、日本や世界といった『見知らぬ誰かの未来』も含めたものではないでしょうか。

『ここにいない誰か』のことを考えたい

売上のことを考えたら本なんて書かない方が良い

あなたが、本を書くことで誰かの未来に役立てられるような『すごい人』ならば、逆説的ですが本なんて書かないで、仕事に集中した方が儲かります。絶対に。

本は売上とかブランディングを目的とするには効率が悪いのです。

僕が思うに、本を書くということは、世の中をより良くするための事業です。感覚的には社会起業家に近いと思います。

『利益の追求』を目的として選ぶには、出版は効率のよくない事業だと思います。出版不況ですしね。

 

だから『本は書きたいけど忙しいから取材でパパっと作ってよ』といった考え方なら、出版という選択肢はいったん捨てて、本業に集中なさった方がいいと思います。

でないと中途半端に新規事業に手を出して撤退するように、ハンパな結果に終わります。本腰入れてやらないとケガします。

 

僕が今までプロデュースしてきた人は個人事業主から、上場企業の創業者まで、会社の規模としてはかなり広がりがありますが、みんなそれぞれ「超多忙」の中でちゃんと、本と読者と向き合ってくれました。

例えば、ある上場企業の社長は、すでに入っている会議をズラしてまで、出版のための時間を取ってくれました。

そのときに「きっとこの人の会議を一つずらしたら、多くの方のスケジュールに影響が出るのだろうなぁ」とは気づいたのですが、当然のようにスケジュールを開けてくれる著者に「そこまでしなくても・・・」と言ってしまったら、逆にこっちが失礼になると思うのです。

全部分かったうえで読者のために時間を割いてくれているわけですから、こっちもしっかり仕事して応えなくてはと思いました。

 

本を書くときは遠くを見る

ちなみに僕は著者への要求もけっこう厳しいのです。(しかも真顔か笑顔で言う・笑)

しかし、うちのクライアントたちは、はたから見ると『ドMなんじゃないか』というくらい喜んで(?)応えてくれます。

十二分に優秀な方々が、かなり多忙な状況で全力で自分の仕事に取り組んでいるうえに、さらに追加で出版のために時間を作ってくれているわけです。

 

たまに冷静になると『みんな立派な人だな・・・』と思います。本なんて書かないでも十分、売り上げも、業界内でのポジションも確立しているのに、さらに時間とエネルギーを割いて、本を書いているのです。

僕なら絶対イヤです(笑)

 

実はこの大変さを乗り切るコツのようなものが一つあります。それは、自分の周りだけでなく、『見知らぬ誰か』、『自分が死んだ後の世代』のことまで考えて出版に取り組むということです。

そうすることで、本というプロジェクトにかけるエネルギーが湧いてきます。本を書くときは遠くを見ましょう。『未来を創るための準備』と考えて出版に取り組んでくれると嬉しいです。

 

 

出版とは誰の仕事なのか【本は『誰かの未来を創るための準備』】

たけのこの里が好きで「まずチョコレート部分を歯で削ってから、タルトの部分を食べる」などいろんな食べ方を試してき...

本を書くときに、なかなか文章がスラスラ出てこないことがありますよね。

そんな時に拠り所となる「何から書いていいのか」「何をゴールとするべきなのか」がはっきりしている人は少ないのではないでしょうか?

 

私が記事を書くときもそうですが、一体誰を対象としているのか、何を伝えたいのかなどが明確でないと、なかなか筆が進まないものですよね。

 

先日、作家を目指す人が『実用書の企画書を書く時に、最低限決めるべきこと』を学んだので、その中から実際に役に立つ項目をいくつかピックアップしました。

 

頭の中を整理することが、執筆の際に大きな利点となるかと思います。

 

コンセプトを固める

本を執筆する上で、筆を動かす前に重要なことが「コンセプト固め」です。

自分の本は一体どういったことを伝えたいのか、キャッチコピーより少し長い3行程度の文章で

わかりやすくつけるのが良いかと思います。

 

  • この本で読者は何ができるか、それによってどう変わるか、それはどのように行うのかが含まれている。
  • 上記の文脈の中で今まで世間で言われてきたことの逆転の発想など意外性がある。
  • 少し怖いくらいのことをプロとして断言する。「〇〇は嘘だった!」「今までやっている◯では痩せられない!」など

 

こうすると、実際に手を動かす際に頭の中が整理されており、

自分の伝えたいことや何を中心にして書くべきかが自ずとわかってくるでしょう。

 

コンセプトの解説づけをする

コンセプトを固めたのちに必要になってくるのが、解説づけです。

自分の提示したコンセプトに対して、それが一体どういった内容なのか、一言で解説できる明快さが必要になってきます。

 

  • なぜその本を書こうと思ったのかの理由付け。
  • その理由を深掘りして自分の中で言葉になっていない部分を言語化する。
  • あくまで本の趣旨から外れないように行う。派生してだらだらと長くならないこと。
  • 誰でもわかる表現になっていること

 

プロフィールを固める

あなたのプロフィールを、まずは用紙に向かって書いてみてください。

どんな構成のものができてくるでしょうか。

一度で整理されたインパクトのあるプロフィールを作るのは難しいことかと思います。

 

では、一体何に気をつけたらいいのか、以下を参考にして添削してみてください。

 

  • 勤続10年、達成数100件など、実績を主張する際に数値や固有名詞が入った読者にわかりやすいものになっているか。
  • 具体的に何ができるのか明確になっているか。
  • コンセプトに沿った内容のプロフィールになっており、軸がブレていないか。

 

具体的に自分がどんなことをしてきたのか、どんなことで実績があるのかを分析すると良いでしょう。

 

自分の頭の整理から始める執筆

以上のように、自分の頭の整理から始め、いかにすれば読者にわかりやすく伝わっていくのかを念頭において執筆すると、軸のぶれない文章がかけるかと思います。

ここでご紹介したのは一部の整理の仕方ですが、ぜひ一度試みていただけると幸いです。

 

【作家になるには】実用書向け・本を書く前に考えるべきことの実例3選

本を書くときに、なかなか文章がスラスラ出てこないことがありますよね。 そんな時に拠り所となる「何から書いていい...