本から学ぶ『人生の意味』とは?【ニシュランガイドvol.7】

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こんにちは、もずくは細い方が好きです、出版プロデューサーの白木加奈子です。

今日は、本で人生を面白くする「ニシュランガイド」のVol.7イベントレポートをお届けいたします。

目次

ニシュランガイドとは

出版プロデューサー西浦孝次がお届けする、人生を豊かにする本の紹介イベント!
「生きることに慣れてはいけない」「本に感動したら、内容よりもそう感じた自分の心の中にその感動がある」など名言連発!
本と自分の「対話」、参加者同士の「対話」を軸にした、新しい読書イベントです。

読書が好きという方はもちろん、読書が苦手という方もガイドがあれば、苦手だと思っていた読書が好きになるかも!?しれません!

参加者の皆さんには、ご紹介した本に関して感じたことを付箋に書いて頂くことで、アウトプットもして頂き、一緒にイベントを作ってもらっています!


今回のテーマ「本から学ぶ、『人生の意味』」

今回は、ゲストのYさんが人生の意味を学んだという『夜と霧』をメインの本としてご紹介しました。

また、他に2冊、出版プロデューサーの西浦さんが選んだ本

『ラスト・ソング』と『蒼天航路』からも人生の意味を学ぶヒントをご紹介しました。

『ラスト・ソング』人生の最期に聴く音楽

今回のニシュランガイドは、人生つまり「生」をテーマにしているのですが、当たり前のように生きている私たちに「生」は逆に実感しにくい。

対比として「死」を意識することが一番「生」を実感しやすいのではないか、ということで西浦さんが選んだ本が『ラスト・ソング』でした。

ホスピスのミュージックセラピストさんである佐藤由美子さんが書かれた本です。

ご存知でしょうか?人間最後の時まで残っている五感は何か?

実は「聴覚」なんだそうです。

最後によく「声をかけてあげてください」と言われるのは、このためであり、意識がないように見えてもちゃんと声が届いているのです。

 

そしてこの本では、様々な人たちが最後を迎えるエピソードを「思い出の音楽=最後に届ける歌(ラスト・ソング)」とともに紹介されています。

収監されている息子の父親、ALSの男性など、著者の経験に基づくノンフィクションの内容になっています。

歌詞もとても良いので、そこにもぜひ注目して読んで頂きたい本です。

by出版プロデューサー西浦

付箋に書かれた感想の中には、

「自分が死ぬときに最後に聴きたい音楽は何だろう?」

という言葉がありました。皆さんの最後に聴きたい音楽は何ですか?
そんなことも考えながら読むと自分の人生観も見えてくるかもしれません。

マンガ『蒼天航路』

西浦さんの大好きな『蒼天航路』。人生の意味について見出すのであれば、ここで蒼天航路を出さずしてどこで出す!という奥様の一言で選ばれました。

実は、ニシュランガイドへの登場は2回目なんですね。
昨年の懐かしきニシュランガイド第2回でのことでした。(イベントレポートはこちら!)

『蒼天航路』は史実(正史三国志)に基づいた三国志ということで、通常は悪役として描かれがちな「曹操」を違った角度から表現した作品です。

その中でも今回は、西浦さんが曹操先生の厳選した3つの言葉をご紹介しました。

会社に正しく評価されていないと思っている人への言葉

前人の踏まぬ域に至った才であればただそこにおるだけで人を触発し、
あらゆる基準いかなる評価とも無関係に才とは何かを考えさせたであろう

by曹操先生

才能を人に認められなくても、ただ純粋に発揮すればそれでいいのでは?という解釈です。本当に才能や実力があれば、周りに「考える機会」を与えることができる。会社や世間に評価されているかどうかはその次の段階の話ではないかと。先に「才能を正しく評価されるよう」世の中を正そうとした神医華佗と「まずは華佗の才能を発揮させ、それによって医術というものそのものの地位を上げる」ことで世の中の仕組みや、人々の考え方を変えさせようとした二人のエピソードでした。同じことを別のやり方で実現しようとした二人のスレ違いも熱い。

夢が叶わなかった時のことを思うと怖いですという若手への言葉

元来理の男が、理では測れぬ侠に身を捧げ、侠そのものとなり、
やがて侠を超えて行く 
それは「関羽」としか呼べないものだ。

by曹操先生

「夢が叶えられなかったら、何かになれなかったらカッコ悪い」のではなく、その人自身としてどう生きたかどうか。

曹操と関羽は勢力としては敵同士でしたが、曹操はこのように関羽を認めていて、死後、彼を神様として祀るのでした。

(中華街に関羽の像があるんですって!)

 

関羽は若き日に漢帝国の復興を夢見て、劉備、張飛の3人と有名な「桃園の誓い」を立てます。

「生まれた日は別々だけれども、死ぬ時は三人同じ日で」という夢のために死のう、生涯を夢のために尽くそうという義兄弟の誓いです。

しかし関羽は3人の中で最初に死んでしまいますし、漢帝国の再興も実現できませんした。

 

しかし、彼は夢破れた敗者だったのでしょうか?

やはり「関羽としか呼べないもの」という域にまで達していたのではないでしょうか。

大失敗、左遷されてお先真っ暗な人への言葉

敗北にこそ才がいる。敗北の中から何を見出すことができるのか!?
「歴戦」の価値はその能力で決まる!

by 曹操先生

会社がつぶれたり、買収されたり、左遷されたり、大失敗したりと、ビジネスの世界では自分がメインストリートから外れてしまうこともあるかもしれません。

しかし、曹操先生曰く「敗北の中から見出すことができるのか」が大事なのだそうです。

 

曹操の配下で張郃という人がいます。かつては中華最大勢力「袁紹軍」の将軍だった人ですが、曹操軍に敗北。投降して曹操の配下となります。

もし袁紹軍が勝っていれば、中華軍事の中心にいたであろう人が、敗北をきっかけに地方の異民族討伐に転戦する人生になりました。

しかし数十年の実績の末、彼は曹操軍の地方司令官に任命されます(アジア支社長みたいなもの?)

 

本人は「重ねているのは不甲斐ない戦績」と謙遜しますが、曹操から上記の言葉をかけられます。

おのれを雄大な絵柄の緻密な織物とみなせ!

その将器に一戦一戦を入念に織り込み生涯をかけて仕上げるのだ!

by 曹操先生

負けたことも勝ったこともすべてがその人の人生なんですよね。

失敗も成功も丁寧に、入念に織り込んでいけば自分だけの絵柄になるのだと。

「人生で成功するために無駄なことは何もない!」

「この紹介の仕方面白いね!三国志興味ない人も楽しめる!」

などなど、参加者の皆様から熱い思いのこもったコメントを頂きました。

ただ、一方で、女子の反応が薄かった・・・(笑)

私はけっこう歴史物好きなんですけどね~。

女子のハートを掴むためには、次回、少女漫画でできるのでは?と盛り上がりました!

「夜と霧」 ヴィクトル・E・フランクル

昔、アクティブな不登校だったというYさん。今は社労士の彼ですが、なぜこの本から人生を学んだのでしょうか?

不登校だったころ、自分の人生の先に「よくあるサクセスストーリー」みたいなものをあてはめても違和感があったそうです。

その後大学生のときに、この『夜と霧』に出逢い、「生きるってこういうことか」とヒントをもらったそうです。

本の内容としては、アウシュビッツへ収監された心理学者の体験談です。

強制労働させられる中でも心理学的視点から人間を観察しており、「常に死と隣り合わせ」「簡単に人が死ぬ」という極限状況で、生きる意味をわかりやすく綴っている本です。

  • 人々は、収容所の環境に対応するためにどんどん「自分」を消し「家族に会いたい」という強い気持ちを最初に殺す。
  • 次のクリスマス、次の年明けには帰れるんじゃないかと期待し、その日を希望に生きてきた人間が、その日を境に希望を失い、病気にかかり死んでいく。

そんな極限下での人間観察は読む者に、淡々と「生と死」について考えさせます。

 

吉木さんが「生きる意味を問う」という部分を紹介してくれました。

ここで必要なのは、生きる意味についての問いを百八十度方向転換することだ。わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に伝えなければならない。…もういいかげん、生きることの意味を問うのをやめ、わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。

『夜と霧』P129より

「生きること」が私たちに何を期待しているかが問題であり、私たちがどう生きるかを考えることが問題ではないのです。

こんな重いテーマの本でも、時に笑いながら語れるところがニシュランガイドの良いところです!

最終的に、

「生きること」から今「意味を問われている」のは自分だし、

この状況は1回しか来ないので、その時にどんな態度をとって何を選択したかが重要。

一回性と唯一性であり、一般化する必要はないということでした。

苦しむことに価値がある。苦しいということだけで価値があるということをこの本を通じて知り、

何を成し遂げたかではなく、それに対してどう向き合ったかが大切なのだと知って救いになったという、Yさん。

彼はこう例えていました。

困難、苦しみという日本そばを食べる時にワサビとかいらない。
そば粉が何割かとか関係なく、目の前のそばをただ食べる。
もぐもぐ食べ続ける行為そのものに価値がある。

アウシュビッツにおいて「脱出する」ということをゴール(成功)に置いてしまうと、みんなその実現が見えずに、希望を失い死んでしまう。

生きる希望を見いだせない状況だからこそ、苦しむことそのものに意味があるというコペルニクス的転換で180度発想を変え、

苦しめばいいんだ、自分の苦しみとどう向き合うかが価値なのだなと思えてくるのです。

YさんのDNAって、半分くらいこの本ですよね(笑)

by出版プロデューサー西浦

重いテーマの本だったので、「元気な時に読んでみたい」という感想もありましたが、「元気がない時だからこそ読む本ではないか」という感想もあり、

皆さん色々と考えさせられたようでした。

結局、人生の意味とは?

人生の意味とは、「一般論として結論づけられない」。

『夜と霧』の中では一般性と唯一性に意義があり、

『蒼天航路』の曹操は「自分らしくあれ」と語り、

『ラスト・ソング』に関しては最後の瞬間、死の間際の後悔からどう生きるかを問うていた。

 

最後、皆さんにそれぞれ発表してもらい、

「ぜひ読んでみたくなった」

「今ここにいることに意味があると感じた」

などの感想をたくさんいただきました。

本をガイドする意味

ただ面白い本を読みたいのであれば、2018年オススメ本ランキングを見ればいい。
けれど、人にガイドされて本を読むと、その人が感じたことをセットで読むことになるので、視点の違いや面白いと感じるところの違いを知ることができる。
本のガイドは洞窟の中に先に入って、ランプを灯してくれているようなものだ。

by出版プロデューサー西浦

このニシュランガイドも少しでも皆さんが洞窟を快適に探検できるようにランプを灯し続けたいと思っています!

独りで静かなカフェでの読書も楽しいですが、本を主軸にもっと交流したり、
イベントに参加して「読んで終わりじゃない」読書をいっしょに楽しんでくださる皆さんのご参加を心よりお待ちしております。

(次回日程が決まったら、またご案内いたします!)

参考リンク
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