「ムックは雑誌?本?」→気になるムックの分類や特徴、歴史を徹底解説!

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ムックと言えば、赤いモジャモジャ世代の出版プロデューサー西浦です。

「ムック本って雑誌と違うの?」「ムックっていったい何?」

生きていくうえで特に解決しなくてはいけない疑問ではありませんが、地味に気になる謎ですね。

この記事では「ムック」について解説し、読み終わるころにはムックに関するあらゆる謎を解決できるように書いています。

ムックとは:「マガジン+ブック」を掛け合わせた言葉

これは多くの記事でも書かれていることですが、ムックは「マガジン+ブック」の造語です。

Magazine+BookMook(ムック)

ですね。

つまり雑誌(マガジン)と本(ブック)の中間の商品である…と書いてあるところが多いですが、それだとちょっと違和感があります。

たしかに雑誌のように大判・ビジュアルで低価格、かつ書籍のように1テーマで編集されています。

しかし実際はかなり雑誌寄りなのです。雑誌の特性を色濃く反映している出版物と言えます。

詳しい理由は後述しますね。

ムックが販売される理由

ムックが雑誌と本、両方の特徴をもっているのはわかるのですが、なぜそもそもムックが販売されるのでしょうか?

別に本と雑誌だけでも良さそうですよね。雑誌以外はすべて本でいいじゃないかと。

ムックが販売されるのには「雑誌編集部にとって都合の良い点」があるからです。

それは「ムックは雑誌編集部で出せる、返品期限のない商品」だからです。

 

ほとんどの出版社は、雑誌・書籍・コミックという「商品の種類」で編集部を分けています。

「書籍編集部は書籍で」「雑誌編集部は雑誌で」売上目標を達成せねばなりません。

雑誌編集部の場合、「雑誌の販売・広告売上」がメインになります。

(イベントとかPB商品の売り上げのある編集部もありますが少数派)

 

ご存知のように雑誌は出版不況の中でも、いちばん厳しい状況にあり、雑誌の販売・広告売上はどんどん落ちています。

さらに雑誌は定期刊行物なので、毎月、毎週、最新号が発売され、売れ残った分は返品されます。(雑誌には返品期限があり、それを過ぎると返品できなくなる)

結果、雑誌は商品サイクルが短く、自転車操業体質が強くならざるを得ません。

 

ですので、雑誌編集部には「書籍のような、比較的長く置かれる商品が欲しい」というニーズがあるのです。

そこで「雑誌なんだけど書籍みたいに、長く売りやすい」形態の商品としてムックが非常に都合がよかったのです。

雑誌の連載まとめなど、すでに雑誌で使った素材をもとに再編集することも多く、書籍で作るより、サイズや紙質が雑誌に近いムックの方が商品としての魅力を損ないにくいというメリットもあります。

ムックの歴史:「ムック」の名称 起源は1971年

ムックという言葉は1971年5月にロンドンで開催された国際雑誌連合(FIPP)第8回例会の基調報告レポートで使用され、広まったようです。

マガジン+ブック=ムックということで、てっきり和製英語かと思ってたら外来語だったんですね(笑)

日本では、1972年2月に発売された主婦の友社「主婦の友生活シリーズ」の『家事と整理1000の知恵』がムックの第1号とされています。

参考:ムックの起源とその現状(全国出版協会)

参考:エフ‐アイ‐ピー‐ピー国際雑誌連合とは

ムック第一号は「主婦の友生活シリーズ」の『家事と整理1000の知恵』

ムック第一号は「主婦の友生活シリーズ」の『家事と整理1000の知恵』だそうです。

同シリーズは現在も刊行されていますが、『家事と整理1000の知恵』はさすがにもう絶版なのか、調べてもヒットしませんでした。

ちなみに主婦の友社は創業100年を超える老舗出版社で、美容・料理・健康を得意としつつ幅広いジャンルを扱っている出版社です。

社名でもある『主婦の友』は惜しまれつつも2008年に休刊しました。

2005年には「ブランドムック」も登場

各社の多様なムックの中で、2005年に登場したブランドムックシリーズ(宝島社)は非常にインパクトがありました。

ファッションブランドのオリジナル付録が付くムックで、ハイブランドの付録でも1,000円~2,000円台で購入可能という驚異的な安さと不釣り合いなくらいのクオリティの高さで、大人気に。

ムックというか、ほぼ100%付録目当てに購入されるわけですが、2009年に発売された「イブ・サンローラン」のロゴ刺繡入りトートバッグ(が付録でつく)ムックは初刷100万部と非常に大きな話題となりました。

1,500円以下で「イブ・サンローラン」のトートバッグが買える。。。とりあえず買っておこうとなりますね。

参考:唯一無二の革新的コスメティック イヴ・サンローラン(現在は在庫なし)

参考:宝島社 ブランドムックシリーズ

ムックと雑誌の違い

ムックと雑誌の違いを整理します。

  • ムックは1テーマ
  • 販売期間が決められていない
  • コードが違う

以下一つずつ解説しますね。

ムックは1テーマ

雑誌は編集長のコンセプトのもと、複数のテーマで記事を扱います。

ファッション・食・恋愛・占いといった具合にですね。

ところがムックは書籍と同じように1テーマで製作されます。

1冊丸ごと食のムックや整理収納術のムックなどですね。

「1テーマ」であるのが、最も書籍っぽい(雑誌っぽくない)特徴です。

ムックは販売期間が決められていない

雑誌は月刊誌、週刊誌、季刊誌などが存在するのに対して、ムックは販売期間(返品期限)が決められていません。

雑誌は定期刊行物なので、返品期限が設定され、その日をすぎると書店の買切になります。

それまでに返品されるため事実上、その日以降、売り伸ばしはできず、最新号の販売に注力します。

ムックの場合この「販売期間(返品期限)がない」ので、雑誌に比べ長く書店さんに置かれ、売り伸ばしできる特性があります。

雑誌は「雑誌コード」のみ、ムックは+「ISBNコード」

雑誌は商品管理用に「雑誌コード」があります。

裏表紙に記載されています。下記画像の赤枠の部分ですね。

かたやムックには「雑誌コード」に加えてISBNコードがあります。

ISBNコードは以前紹介しましたが、単行本などの書籍の管理コードですね。

下記画像の左側の赤枠が雑誌コードで右側が「ISBNコード」です。

ムックは雑誌コードとISBNコードの両方を持っています。

【ムックの流通上の特徴】とはいえムックは「雑誌的」な本

ムックと雑誌の違いについて説明しましたが、この記事の最初で「ムックは書籍より雑誌に近い出版物です」と書きました。

大判でビジュアル優位な「雑誌的発想でつくられる」という商品的な「雑誌ぽさ」も大きな理由です。

しかし流通上も、とても雑誌的なのです。

配本や本屋さんでの並べ方が雑誌的だからですね。

ムックも雑誌と共通の形式で配本される

ムックも取次さんによる配本で、本屋さんに届けられます。

その際に「雑誌の配本パターン」を参考にして配本されることが多いんですね。

そうなるとムックは「同じテーマの書籍が売れる店」よりも、「同じテーマの雑誌が売れる店」に優先して配本されます。

ファッションムックはファッション誌が売れる店、健康ムックは健康雑誌が売れる店に多く配本されるわけです。

逆に「本が売れるけど雑誌が売れにくい店」には配本されにくくなるのです。

 

※書籍が良く売れる店と、雑誌が良く売れる店は違うことが多いです。

ざっくりわけるとエキナカ、駅前書店では雑誌や文庫コミックが売れやすい。大型店では単行本が売れやすいなど

本屋さんでも基本的には雑誌コーナーに置かれる

ムックの配本について、「雑誌的だ」と書きましたが、本屋さんでの置き方も雑誌的です。

ムックは雑誌売り場で、雑誌の横に置かれることが多いのです。

これはつまり雑誌コーナーでの場所の取り合いになるというデメリットでもあります。

結果、やはり雑誌もムックも、新しいものが平積みや面陳されやすいです。

ちょっと古くなると「返品されない」だけで、雑誌コーナーで棚刺しになってることが多いです。

前述したようにムックは、長く本屋さんに置いてほしいわけですが…厳しい現実です。

 

ムックが雑誌コーナーに並べられる理由のひとつに、サイズの問題があります。

大判ビジュアルなので、書籍に比べて大きすぎ、一緒には並べづらいのです。

無理に書籍売り場に置くと、並べられる点数が減って。販売効率が落ちてしまうんですね。

 

また、サイズ以外にも「ムックは雑誌売り場の売上にする」と決められているお店もあるので、サイズ関係なく、雑誌売り場に置くと決まってる書店もあります。

 

ちなみに、数は少ないですが「ペン字練習帳」のように書籍でも大判でつくられるジャンルがあります。

もちろん「ペン字練習帳」は大判のムックもたくさん作られています。

本屋さんでムックと書籍が混在して、かつ、どちらも売れ行きに違いがない(むしろムックの方が売れてるものが多い?)ので、同じように平積みされている珍しいケースです。

ムックのまとめ

ムックはMagazineとBookの両方の特徴を持つ出版物です。

しかし実際には「非常に雑誌的」発想でつくられ、売られていることがわかります。

逆に、だからこそ「ブランドムック」のような雑誌的な売れ筋ムックも生み出されるのです。

雑誌編集部の「返品期限のない商品が欲しい」という、ムックを作られる理由など、出版社側の事情も解説しました。

ご自分の企画を、書籍でやるかムックでやるか、迷ったときにご参考になれば幸いです。

 

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増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


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