出版の最初の打ち合わせで冷静に伝えたい3つのこと+α

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奈良銘菓『さつま焼』といい、京都の『阿闍梨餅』といい好きなお土産は全部日持ちしない出版プロデューサー西浦です。よって土産をあまり買わなくなってしまう法則。

今日はとある著者候補さんとMTGです。

著者さんとの最初のMTGでどれだけ盛り上がっても、その場が楽しくても冷静に確認せねばならないことがあります。

それは

  • 本の内容にオリジナリティがあるか、そのテーマは市場として成立するか(内容)
  • 読者イメージが明確か、顔を知っているか(読者)
  • 今まで本以外でどうやって伝えてきたか、なぜ本なのか(販促)

この3つです。

ただ本の出版を目指すだけなら、オリジナリティと実績だけでもなんとかなるでしょうが、僕が著者と目指したいのはベストセラーの世界です。

もっと細かく聞いて、ちゃんと10万部以上狙える設計図が描けるかどうか?これがしっかり見えないとお互い不幸になるからです。

著者もせっかくうちでプロデュースを受けたのに、最初からせいぜい3万部しか売れない設計図を描かれたらたまったものじゃありませんよね。

本の内容にオリジナリティがあるか、そのテーマは市場として成立するか

本を書くなら、その内容か表現方法にオリジナリティが無ければ意味がありません。

このオリジナリティを出すために、自分が〇〇でナンバーワンです!ということを主張する方がいます。

もちろんナンバーワン、日本一、世界一は素晴らしいのでプラス材料です。

 

しかしそのなんでもナンバーワンを求めすぎて、市場がどんどんニッチに狭くなってしまっている人がいます。

ナンバーワンという実績は、あなたの信頼度を高めるのに有効ですが、そのために市場を小さくしては、本の売れる範囲が狭くなります。

基本的にはちゃんと「大きな市場でオリジナリティを発揮すること」が大事です。

 

では、どうすれば市場を狭めることなくオリジナリティを発揮できるのでしょうか。

フィクションと違い、あなたの書く本は「問題解決」や「夢の実現」といった一般的な実用書でしょうから、読者になにかノウハウや考え方を伝えるものですよね。

そのノウハウの有効範囲を限定して、「関西在住の25歳~28歳女性の〇〇ではナンバーワン」のように無理に1位を作り出すと読者を狭めます。

〇〇に入る健康法とか貯金とかダイエットとかの「大きい市場」の部分を変えてはいけません。

あなたがやるべきなのは、例えば「今までの健康法で健康になれない人は、〇〇に原因がある」「そもそも20~30代の年収が伸び悩み、若者の貧困が叫ばれる今、従来の貯金法ではお金など貯まらない!」「痩せるという発想だからリバウンドするのだ。『やせの大食い』と呼ばれる人たちと同じ体質に改善すれば自然と痩せる!」など、現実の問題点をしっかり分析し、その改善策を提案するのです。

その分析や解決策の着眼点、具体策にオリジナリティさえあれば、ベストセラーの可能性が一気に出てきます。

著者というのは具体的な希望を提示する人です、俺が1位だ!って無理に自己演出する人ではないのです。

読者イメージが明確か、顔を知っているか

本の内容についてオリジナリティや、テーマの市場性が確保できたとします。

しかしここで気を付けなくてはいけないのが「机上の空論」になっている可能性です。

 

著者の言うオリジナリティあるノウハウが、今まで何人のお客様の手によって再現されてきたか確認します。

もし著者本人や、あまりに少数にしか結果が出ていないノウハウであれば、著者が考えているのとは全く別の要因により成果が出ているのかもしれせん。

例えば紹介営業のノウハウを教えているのに、実は本人が死ぬほど愛されキャラなだけで、ノウハウはさほど影響していないケースとか。

だったら紹介営業のノウハウより「愛されキャラ」になるノウハウに方向転換した方が良いです(天然じゃなくて、意識してやってるならの話)。

「営業本」の市場より、「人間関係」の市場の方が大きいですしね。感覚的にですが。

 

それに「実際にお金を払って、あなたに問題解決を依頼したお客様」がいないなら、市場そのものが成立していない可能性もあります。

著者本人は求められてると「思い込んでいる」し、たいていそういう方は類書分析もしているのですが、やはりその分析や差別化プランも「思い込み」であることが多く、的外れです。はたから見てると「危なっかしいなぁ」と感じます。

でもそういう人はプレゼンが上手かったりして企画は通るんですよね。そしていざ執筆となると書けない、書けても売れない、という結末になりがちです。

仕事って、案外どう見せるかというハッタリでも、ある程度うまくいったりするので、一見成功してる人こそ気を付けた方が良いのです。

 

というようなことがあるので、僕は直接お客さんの顔を見ていない人をすごく警戒します。

もしあなたが、自分の読者の顔を直接見たことがないなら、3年くらいかけてじっくり集客→セミナー→コンサルなどのビジネスを先に作りましょう。

企画書を書きはじめてから、出版された本が本屋さんに並ぶまで2年かけるなんてザラだし、慌てて出しても良いことなんてありません。

プラス1年かけるだけのことです。

急がば回れですよ、本当に。

今まで本以外でどうやって伝えてきたか、なぜ本なのか

先ほどの「読者の顔を知っているか」の発展編がこちらです。

つまり本にする前に、メルマガやfacebookページなどの著者メディアで何名に情報発信をしてきたのか?

今まで何名が講演会やセミナーに参加したのか?

そういったことを確認します。物販をしてきたなら1,000~1500円くらいの「1回買えばOKのもの」が今まで何個売れたかも確認します。

つまりこの人が自力で本を宣伝、販売する場合何人にリーチして、何冊売れるかを予測するためです。

 

今での要素であれば上の2つ、内容と読者に関することが大事で、販促情報はあくまで補足です。

でも、やはり安心材料として1冊でも多く売れる、1人でも多くに告知できる方がありがたい。

これらは出版社からしても非常にありがたいことですから。

 

こういった情報を聞いて、全く情報発信できていないことが分かったら「まず著者メディアを立ち上げてください、今すぐ!」って僕は言います。

「ビジネスとして成果も出るようになってきたから、情報発信と信頼度獲得のために本を出そう」という発想で本を書こうとしている可能性が高いからです。

ほぼ100%コケます。

今まで自分でできる情報発信をしてきて、ある程度の認知やブランドが出来てきた。

今のままでもビジネスは成立する。でも、今のままでは届かない方に、届けたい!っていう段階で本を書かないと成功しないんです。

なぜかというと本は発売直後の段階が一番弱く、すぐライバルたちに場所を奪われ返品されてしまいます。広告もやってもらえてないし、認知がそもそもないので在庫数自体が少ない。

返品されたら本は、ほぼ終わってしまいます。

この発売直後の段階を支えるのは、すでに認知してくれているあなたのファンであり、あなたのメディア情報を受け取っていて「セミナー参加はハードル高いけど、本くらいなら」って思ってくれる方なのです。

 

出版プロデュースのコツって「設計図をいかに精密に大きく描けるか」と「発売初期の段階をいかに早く、確実に抜けてベストセラースパイラルに乗るか」です。

そのためにこの3つのことを聞きます。だいたいこれで検討がつくので…。

 

その上で最後に、やはり想いの部分を確認します。

これが共感できないと僕も編集さんも燃えないですからね~。

ただ想いだけでもダメなので、冷静にプロデューサーとしてこういった部分も見る努力をしています。

 

なお、想いについてはこちらの記事が参考になるかなと。

良かったら合わせてご覧ください。

ボクはゲイなんですと言われて、僕は泣いた。【20万部の本が生まれる2年前の話】

 

増刷率90% 平均部数48,000部の出版プロデューサー。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(22万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

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Written by

西浦 孝次

増刷率90%。平均部数44,000部。 「血流がすべて解決する」(18万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をベストセラーにプロデュースするのが得意。 おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。好きな食べ物は炒飯。