正しい日本語問題―「人間性」の意味って説明できますか?―

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • Pocket

昨日参加した誕生日パーティーのビンゴ大会で、参加者全員が一斉にビンゴになるっていう演出にヤラれた出版プロデューサー西浦です。ビンゴになったら「おめでとう!」って言いながら立ち上がるていう段取りだったんですよ、その瞬間全員が立ち上がったのでフラシュモブみたいですごく面白かったです。こういうダマされ方、やられ方は大好きです。

 

さて毎日更新82日目。

「日本語を正しく使えていない!これは問題だ!!」ってことをおっしゃる方がいますよね。

テレビのコメンテーターさんだったり、僕らのような一般人でもSNSでたまにつぶやいたり。

言葉の乱れに対する関心の高さがうかがえます。


若者の言葉が乱れていると言われがち

こういう話題はたいてい「若者が~」とか「最近は~」といった文脈で語られてることが多い気がしますね。

僕も中学生のときに「チョベリバ~」に代表されるギャル語の洗礼を受けましたが、「まあ、自分は絶対使わんな」と冷ややかに受け止めておりました。

「正しい言葉が使えてない!」と言われている若者の中にもこういう人は多いだろうし、分かったうえで「それな」とか「やさしみがすごい」ってのを面白がって使ってる人も多いと思うんですよ。

 

もちろんこの現状に危惧を感じる人の気持ちも分かります。

「正しい日本語を分かった上で、使い分けてる人ばかりじゃなくて、TPOにあった使い分けができない人もいる!」

「間違った言葉、正しくない意味で使っていると、より若い子がその言葉を覚えてしまう」というご意見です。

 

言葉はその国のアイデンティティだ、文化だという考え方もあるので、心配になるのはわかります。

僕も「正確な意味は押さえておくべき」だと思っていました。ある時までは。

そう、僕自身が言葉を思いっきり間違って使っていたし、ほとんどの人が間違ったまま使って意味が通じている現状を目の当たりにして考えが変わったのです。

「人間性」の正しい意味ってなんですか?

「正しい言葉を使おう!」「日本語の乱れが深刻だ!」と言う人は、たぶん「自分は正しい日本語を使えている」と思ってるんですよね。もちろん知らない言葉や難しい言葉もあるので100%じゃなくても「日常的な言葉は間違ってない」という自負があるでしょう。僕がそうでした。

 

でも…例えばですね「人間性」という言葉の意味ってちゃんと説明できますか?

TVの報道番組をみていても「(AさんとBさんの)人間性の問題で、合う合わないってありますから」とコメンテーターが話していたり、学校の先生も「人間性の違う者同士が、互いに認め合って生きていくことが大事」なんて使い方をしています。ここではおそらく「その人の個性」「個人個人の持つ、性質や性格」のようなニュアンスで使われています。

でも人間性って「人間という種に共通する性質」のことであって、例えば人間とそれ以外(動物とか)とを分ける性質のことなんですよ。つまり「人間であればみんな共通して持っているはず」のこと。人として当然のことだったり、人間らしさと言い換えても良いでしょう。

この意味で先ほどの例文を読むとなんだか変なことになりますよね。「共通の性質なのに合う合わないがあるの?」「人間性が違う者同士ってことは、どっちか人間じゃないってこと?」と受け取れます。

 

もちろん実際にそんな勘違いはなく「性格や性質のことを言ってるのね」ってすぐ想像して、誤解なくコミュニケーションをしています。

けれどそのうち「人間性とは個人の性質性格のことを指す」として定着したらヤダなぁと僕は思ってたんですね。やっぱり正していった方が良いのかな?とか。

言葉の多面性

けれど、この「人間性」という言葉は多義語とも呼べるくらい、その国やコミュニティの文化によって定義づけが変わるようなのです。

例えば伝統的な西洋社会の背景で考えれば人間性は「野蛮人と我々との違い」になるようです。でも野蛮人もなにも「人」なんだから、そこが違うっていうのは矛盾したように感じます。「文明」が人間性の本質であるという前提が伝統的な西洋の発想にあるのでしょうか。

かたや伝統的な東洋思想の背景では「性善説」や「性悪説」といった文脈で「人間性とは何か」と問われています。

あれ、人間性ってややこしいな。そもそも「正しい人間性」って存在するのか?

しかし「人間性とは、人間を人間たらしめている普遍的な性質」で「みんな同じ」もののはずなので、いろんな「人間性」が存在するって言葉には矛盾を感じるんです。

 

また人間性は使用例として「人間性を失う」「人間性に悖る行為」というような人間らしさを失くした行動や人を指す一方で、「人間性が高い」のような使われ方もあります。

いわゆる聖人のような方のことを「人間性の高い人」と言って「人間性=徳」のような意味合いで使うのです。するとこの場合においては「人間性=徳≒人間力」という図式も成立します。

「人間性とは人間力のことである」としてしまえば、最初に書いた「個人の性質・性格」としてもあながち間違ってはいません。

ということは、さきほど紹介したTVのコメンテーターさんもその意味で使ってるとすれば正しいのです。

人間性の「正しい定義」っていうふうに、「正しさ」で限定するのは難しいなと思うようになりました。

続きはこちら

10~30代の7割が知らない「敷居が高い」の本来の意味―正しい日本語問題2―

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • Pocket

増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


新着記事

セミナーバナー