質問は「自分がどの程度の人間か」が如実に出てくるので怖い

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ローソンに「およそ9時」をお知らせされた出版プロデューサー西浦です。およそて(笑)斬新だなローソンさん。ちなみに8:59でした。



質疑応答は知的格闘技

久しぶりにいくつかのセミナーや塾に通ってます。やはり定期的に強制的な学びの時間を設けるの良いですね、日々の仕事の合間にふと立ち止まって考えることができます。

特に最近は、ノウハウではなくて考え方とか姿勢とか、より根本の部分の学びを大事にしています。ノウハウ系はもう食傷気味で…ただ、だからこそ、「実践者」「現役」の先生を探します。

元●●とか思想家、あるいは机上の空論には興味がないんですよね。

僕にとっては生き方も思想も理論もすべて「現実」で、ご飯を食べたり、本を読んだりすることの隣にあるものだからです。

どんな考え方も現実を生きるための道しるべで合ってほしいと思います。きっとそういう趣味は出版プロデュースの方針としても出ているでしょう。

 

余談ですが、本当に元●●に興味が湧きません。過去は「今をどう過ごしてきたか」の結果なので、その意味で非常に興味があるのですが、大切なのは「実績」だけで「誰を知っているか」とか「どれだけ有名な会社で偉かったか」は全く耳に入りません。むしろ「元●●」と紹介される人は「今パッとしないのかな?」というふうに思ってしまいます。何をしたか、人に何を与えてきたかで語りたいし、語られたいですね。

 

今通っている塾では、授業の後で懇親会があり、先生に質問することができます。この質問タイムは参加者としてはとても嬉しいですよね。しかし、この「質問」というやつがけっこうくせ者で、質問を受けている先生はもちろん、質問している側の生徒が「どの程度の人間か」わかってしまうという、スリリングな知的格闘技なのです。

この「質問」の深さ、面白さ、そして怖さに関する話をご紹介します。

相手に合わせて返答をチューニングできる知性

2010年の今頃、ちょうど8年前に「バリ島の大富豪アニキ」で有名な丸尾孝俊さんのご自宅にお邪魔して、2日間ほどお話しを聞かせてもらったことがあります。2日で5,6時間は一緒に過ごしたかと思うのですが、その間いろいろと質問をさせてもらいました。この時、丸尾さんの質問への回答がすごくて、シビれたのを今でも覚えています。

 

ある同行者が「やっぱりオンナはいた方がいいですか?」という質問をしました。内心「いやな言い方だな」と僕は感じました。すると丸尾さんは、さもなんでもないことのように「とりあえずオンナっていういい方はやめた方がエエわな」と、責めるでもなく諭すでもなく、本当に自然に前置きのように置いてから質問に答えていました。その流れがすごく自然で僕の中の「嫌な空気」は解かれたし、その場にいた他の方も一瞬ピリッとした空気が解けたように思います。仮にジェンダー意識丸出しで怒られてもそれはそれで空気がピリピリしたでしょうし、その発言に乗られても「なんかちょっと品のない人かも」と僕は感じてしまったと思います。

自然に、まさに「自ずから然る」ように答えていたところに、器の大きさを感じました。

 

また僕が「ポジティブシンキングが良いというお話しですが、ネガティブに考えることができなければ、それはただのバカである可能性もありませんか?そんなにネガティブはダメでしょうか」と尋ねたところ

「うーん、スピードですねぇ。わかりますか?ポジティブでもネガティブでもどっちでもいいんです。ただ、ネガティブに考えてうまくいく方法を分析して検証している間に、先にやってしまって失敗でもなんでもした方が強いんです。ネガティブの人が実践する頃には、こっちはもう経験済みです。わかりますか?ケンカと一緒で、先にビール瓶で殴った方が勝ちなんです。勝てるか負けるか考えているうちに負けます」という返答をもらいました。

その直前には「ポジティブシンキングが良い」という話をしていた先生が、即座に第三の「スピード」という概念を出してこられました。これは一見、理論が整理されていない、行き当たりばったり、あるいは出し惜しみをしていたようにも思えます。

しかしその場で感じたとことは「相手に合わせて、問題の本質を本人が受け取りやすい形、程度にチューニングしている」ということでした。

つまり、目の前にいる相手が「ポジティブのメリットだけでなくデメリットを認識し、またネガティブのメリットも理解している」という地点に瞬間的に立ち寄り、「ポジティブとネガティブの2択」で戸惑っているという内面を察して「重要なのはその2択じゃなくて、本質は行動を早くするという『スピード』だよ」というのをわかりやすく教えてくれています。

「この人どれだけ頭いいんだ!」と衝撃を受けたのは言うまでもありません。

質問は自分がどの程度の人間かわかってしまう

そしてこの記事で最も伝えたかったことは質問の怖さです。これは質問の内容によって「自分がどの程度の人間か」相手にわかってしまうということです。

とある武術の達人の、さらにお師匠様とのエピソードを聞いたことがあります。

ある時、他の弟子が師匠に「師匠、これで合ってますでしょうか?」と自分の技にアドバイスを求めました。その時、師匠は「それでいいよ」と答えたので、その弟子は満足してまた稽古に戻りました。

しかしその達人は「あれではダメなのでは?」と思ったので、後でこっそり師匠に訊きに行きました。「師匠、先ほどの件ですが本当にあれでよいのでしょうか」と。

すると師匠が応えて言うには

「『これで合ってますか?』と訊きにくる者は『これでいいだろう』と思ってるから訊いている。だから『(君は)それでいいよ』という返答になる。もっと先を見ている人は、訊き方から違ってくる。

つまりあの「それでいいよ」というのはOKではなく「君はそれでいいよ」というある種の諦観なのです。

 

このように質問には、自分が「今どこにいるか」はもちろん、「どこを見て、何を目指して道を歩んでいるか」がすべて出てしまうという怖さがあります。

「自分は技を●●と理解して、◆◆を意識しているが、師匠のようにできません」というように、質問の焦点が「師匠の技と自分の技との違い」に当たっているなら師匠を目指しているのだろうし、その違いはどこにあると思っているかで今の自分の位置がわかるのでしょう。「これで合ってますか?」の人は少なくとも、師匠の技と自分の技との違いが分かっていないから「これで合ってますか?」しか訊けないのかもしれません。

 

こう考えると質問はするのも、答えるのも怖くなってきませんか?

僕も怖いですが、それで黙ってしまっては『スピード』0になってしまいます。

なのでとにもかくにも「それでいいよ」と言われない生徒でありたいし、出版プロデューサーとして受講生や著者に対して「それでいいよ」とは言わない人間でありたいと思います。

相手に簡単に「それでいいよ」を言わない姿勢は「厳しい」と言われるでしょうけど、そっちの方が、真摯な、優しい在り方のように思いました。

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増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


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