折らずにきた角が人の器を大きくする【「人生を豊かにする本5冊」イベントレポート(後編)】

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2016年12月13日に行われた「第1回本を楽しむ会」、

出版プロデューサーがお勧めする 「人生を豊かにする本5冊」& 「自分にぴったりな本の見つけ方」

イベントレポートの後編です。

前編はこちら



悪魔の辞典

パレアナでほっこり感動しかけたところで、悪魔の登場。

悪魔の辞典」は皮肉屋で有名なアンブローズ・ビアスの著書で、辞典スタイルでいろんな言葉を「悪魔的視点」で解説している、全編ブラックユーモアの本です。

僕がこの本に出合ったのは、高校生のときで、地元の古本屋で見つけました(誰の訳だったかは覚えてない)。その場所とタイトルから、ある種の運命的なもの(悪い方の)を感じざるをえませんでした。しかもこの本は、1911年に発売されたようで、今から100年以上も前です。何か引き寄せる魔力を持っていてもおかしくないなぁと思いますね。

この本のテイストを知ってもらうために、ゲストの方にこんな質問をしてみました。

西浦 『「キャベツ」って何か教えてもらえますか?』

Sさん 『野菜の一種で。。。緑色の?とか』

西浦 『なるほど、ビアスの悪魔の辞典にはこう書かれてます』

  • CABBAGE【キャベツ】名 裏の畑でとれるおなじみの野菜で、人間の頭ぐらいの大きさと知能を持つ。

一瞬みんなのあたまに「?」が浮かんだあと、「!」に変わっていったのが手に取るようにわかりました。

つまり人の知能はキャベツ程度=バカっていう皮肉ですね。

 

我々をキャベツ扱いするビアス先生

これでけっこうみんなが笑ってたので、「受け入れてもらえる!」と安心してどんどん紹介。

西浦 『「格言」とはなんでしょう?』

Oさん 『モットー?』

西浦 『ビアス先生が言うには・・・

  • ADAGE【格言】名 歯が弱い人のために、あらかじめ骨を抜いてある知恵。

まあ、歯っていうか、頭ってことですよね。』

絶好調のビアス先生

他にも

  • COMMERCE【商業】名 AがBからCの商品を奪い、その代償としてBがDのポケットからEの金をかすめ取る方式の取引。

CとEは奪われるだけ、つまり搾取。

  • CORPORATION【会社】名 個人個人は責任を負わず、個人個人が利益を得る精巧無比の仕組み。
  • FEMALE【女性】名 敵対する性の、不正直な方。
  • MALE【雄・男性】名 考慮に値しない、無視してよい性のメンバー。人間の雄は通常雌にとって「ただの人」として知られている。この種族には二種類ある。衣食住の良き供給者と、悪しき供給者である。
  • ENVY【嫉妬】名 能なしにいちばん適した競争心。

などなどたくさん。

後半はgoogle先生ならぬ「ビアス先生」状態で、ゲストの皆さんからたくさんリクエストをもらい、検索?結果を楽しみました。

「結婚」や「新婦」などは特に盛り上がりましたね(笑)

この本で高校生時代にすごく衝撃を受けたのが

  • OCCIDENT【西洋】名 世界の中で、東洋の西(または東)に位置している部分。住んでいる者の多くは強力な偽善者亜族、つまりキリスト教徒であり、主要産業は殺人と搾取だが、彼らはこれを「戦争」「商業」と呼ぶのを好む。それらはまた、東洋の主な産業でもあるのだが。

という一文です。主要産業が殺人と搾取て・・・。しかも最後の「東洋の主な産業でもあるのだが。」でやられた!と思いました。当時10代の青年だった僕としては、ここまで人類すべてを皮肉った「ものの見方」というのはまさに衝撃で、その後の人格形成に暗い影を落としたことは想像に難くありません(笑)

 

マジメに言えば、一つのモノゴトを一面からだけでなく、別の面から見れるというのは非常に知的なことで、その良い示唆となると思っています。

僕もそういうところがあるので、自戒を込めて言うのですが「これは、Aである」と決めてしまって、他人に押し付けてしまうことってあるじゃないですか。そうならないように、常に別の視点から見れる余裕を持ちたいと思うのです。

「嫉妬」の項目などはわかりやすいのですが、例えば誰かに嫉妬されているときは「ああ、あいつは能なしなんだな」と自分を慰めれば多少は溜飲もさがるし、逆に他人に嫉妬してしまいそうなときは「いかんいかん、能なしになってしまう」と踏みとどまることもできます。

第三者目線とか、俯瞰でものを見る良い訓練になると思っています。

まあ、この本はダメな人はダメなので、自己責任で楽しみましょう。

 

ぼくは勉強ができない

時間の都合で4冊目の「星の王子さま」は泣く泣くとばしました。また別の機会に必ず!ということで最後の一番伝えたかった作品「ぼくは勉強ができない」です。

この本も同じく、高校生の時に古本屋で出合った本で、タイトル買いしたのものです。悪魔の辞典もそうですが、タイトルが非常にいいですよね。こういう本はどうしても手に取ってしまいます。この本は悪魔の辞典以上に僕の生きる指針になった本で、今でもこの指針に沿って生きている(つもり)です。

この本は高校生の主人公、秀美君を中心とした人たちの物語で、特に男性はこの本を読むと「あー、見透かされてるー」と白旗を上げることうけあいです。男のかっこ悪いところとか、人の嫌な部分を「お前もだぞ」とはっきり言われちゃう小説です。

たとえば、学年でベスト3と呼ばれるような可愛い女の子に告白されて、秀美が返した言葉は

  • きみは、自分を、自然に振る舞うのに何故か、人を引き付けてしまう、そういう位置に置こうとしてるけど、ぼくは、心ならずも、という難しい演技をしてるふうにしか見えないんだよ

です。このあと思いっきりビンタされます(笑)そらビンタされるわ!と思う半面、読者としては小気味よい、よく言った感があります。自分を可愛いって思ってて、でもそんなの全然意識してませんというふりをする女の白々しさというのは確かに鼻につく。でもこの「ビンタ」のあとのセリフ

  • 何よ、あんただって、私と一緒じゃない。自然体っていう演技してるわよ。~中略~自由をよしとしてるのなんて、本当に自由ではないからよ。中途半端に自由ぶってんじゃないわよ

これに思いっきり凹むのです。いや、本当にその通りですごめんなさい。必死でかっこつけてます、かっこつけないかっこよさを必死でかっこつけてます。いちど勝ち誇ってからのビンタなんでかなり精神的ダメージでかいです。

この本は読むたびに「ああー・・・・」と複雑な声をあげざるをえないのですが、特に一番心に残っていて、生きる指針になったのは「角があるのは痛いけど、角は3つ集まると180度でまっすぐになれる。さらに3つ集まると360度でまん丸になれる。分度器でちゃんと計らなくたって、そのうちまっすぐやまん丸になってなくなっちゃう」という言葉です。この角は家が貧しいとか、お父さんがいないというような心の痛みです。こういう痛みをもつ自分たちは人より一つ角が多いから、早くまっすぐやまん丸になれるという。

僕自身はこの考え方がすごく好きになって、この角に「角が立つ」の角、つまり「こだわり」からくる人と揉める痛みも含めました。角が多ければ実はどんどん丸に近づいていきます。3つの角より4つ、6つ、8つと、こだわりと痛みが増えれば増えるほど、四角形、六角形、八角形と、少し離れたところからは丸い人間に見える。けど、実際は、すごくとんがってて、ただ角を削ってなくしただけの人の丸さとは違います。角を折らずに来た人と、角を削ってきた人とでは同じ丸でも面積が違う。当然、角がある方が大きいわけで、それはつまり人としての「器」の大きさだと思うのです。

 

こういう考え方をするようになって、こだわりや大切な気持ちは、人と揉めてでも守ることが出来るようになりました。そのために生まれる痛みはきっと自分の器を大きくしてくれると思ってきたし、3つでもめるならさらに4つ、5つとこだわってどんどん丸くなろうと考えています。

出来てたかどうかはわかりませんけど。

 

最後に

ゲストから「西浦さんて仕事とかじゃなくて、本当に本が好きなんだなぁって思ったよ」と言われたことが泣きそうなくらい嬉しかったです。

 

本を楽しむ会へのお誘い

今回のイベントは「本を楽しむ会」として主催しました。

本を読む、読書会、以外で「本を楽しむ」方法を探っていく会です。

ご興味ある方はぜひご参加ください。

僕らと一緒に本を楽しんでいきましょう!

 

御礼

会の運営方法アドバイスやカメラマンをしてくれた倉重さん

 

 

 

 

 

 

グラフィックレコーディングでイベントをより素敵なものに変えてくれた池さん

 

 

 

 

 

 

受付や遅刻対応してくれた白木さん

 

 

 

 

 

 

会の方針相談から、当日の司会までやってくれたKさん

 

 

 

 

 

 

そして当日一緒にイベントを作り上げてくれたゲストの皆さん

ありがとうございました!

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増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


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