著者は出版でちゃんと利益を出せるのか【出版とお金の話】vol.3

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本を書くことで著者は儲かるのか?

「出版 儲かる」「本 利益」などでちょっと検索すればわかりますが「儲からない!」「大赤字だ!」と阿鼻叫喚の地獄絵図です。

中には「現状の印税制度では、著者はビジネスとして成立しない。このままでは衰退するぞ!」というようなご意見もあり、それを真正面から否定できないのがさらにつらいところです。

西浦としては「本を書く目的=印税を得るため」という考え方にはあまり馴染みません。「本は読者のために書くもの」という考えが根底にあるからです。

それで今までは「印税で儲けようなんて思う方が間違っている」「出版は社会貢献、ボランティアだ!」という意見に賛同してきましたが、著者自身にも経済的報酬がないと「制度として」存続できなくなるのはその通りだ、と思い直すようになりました。

「人はパンのみにて生きるにあらず」ですが、パンがなかったら餓死します。

僕は「出版は人と人とが助け合う仕組み」だと思っていますが、助ける側の負担ばかりが増えすぎると、仕組み自体が破たんしてしまいます。「仕組みとしての出版」を維持していくために、著者が出版を通じて利益を得る方法を僕なりにお伝えします。

 

赤字だ!と騒ぐのは仕組みを用意していない人

さきほども紹介しましたが「出版 儲かる」「本 利益」などで検索してヒットする「儲からない!」「大赤字だ!」という方の主張を読むと、皆さん「印税だけ」で利益を得ようとされています。それでは確かに儲からないだろうと思います。まるで、キャッシュポイントを用意しないで、SNSでブランディングしまくるようなものだからです。

ビジネスは準備したことの結果が現実に表れます。それは出版も同じことです。印税については「かかった費用を回収するためのもの」程度に考えた方が良いです。印税で投資額を回収する方法については前回の記事をご覧ください。

印税だけで儲ける」という考えを捨てましょう。出版から利益を生み出す「仕組みを構築する」のです。

出版は「あなたの考えに共感する仲間を募ること」

「仕組みづくり」と言うと、なんだか冷たい、血の通わない印象を持たれるかもしれませんが、そんなことはありません。

SEOと真剣に取り組めば取り組むほど、結果的にユーザーとよりいっそう真剣に向き合っていくのと同じように、出版も仕組みを考えることは、より自分の読者と真剣に向き合っていくことになります。
ここで言う仕組みとは、読者の求めるものを提供する仕組みを指すからです。

僕が著者として成功されているなと感じる方々は、仕組みづくりもしっかりしていますが、皆さん真剣に読者と向き合い、大事にされています。だからこそ、仕組みを通して読者に貢献し、お金が入ってくるのではないでしょうか。

そんな彼らに共通している考え方は、出版を「印税を得るためのもの、ブランディングするためのもの」ではなく「ある価値観に共感する仲間を募ること」だと考えていることです。

一度、読者の身になって考えてみましょう。ある読者が、あなたの書いた本を読んで感動し、何かが救われたと感じています。あるいはあなたのようになりたいと憧れを抱きました。もっとあなたの考え方に触れたい、もっと知りたいことがある、読むだけじゃなくて実践したいと感じれば、あなたの講演会やイベントはないかとまずはGoogleやSNSであなたの名前を検索するでしょう。

実は、最後まで本を読み、著者のメルマガやブログなどを検索するのは、読者全体のおよそ10%と言われています。

さらに、その10%が実際にアクションを起こし、何かに参加したり、ネットで商品を買うと言われています。(つまり読者全体の1%)

実際にアクションする人のパーセンテージは訪問したサイトのコンバージョン率などによって左右されるものですが、通常の訪問者よりはかなり高確率でアクションする傾向にあります。
なぜなら彼らは「本を読み、考え方に共感して訪問している」読者だからです。

つまり10万部のベストセラーであれば、1万人が名前を調べ、1000人が講演会に参加したり商品を買ったりするのです。

10万人のうちの1000人というと少なく感じるかもしれません。しかしこの1000人は「共感し、さらに行動した」1000人です。この1000人は普通のユーザーとは質が違います。

彼らが1万円のイベントに参加してくれたらそれだけで1000万円の売り上げです。さらにそこからカウンセリングやコンサルなど、より高額なサービスを求める読者もいますから、売り上げは伸びて行きます。そして10万人の読者の中から、1万人の共感者、1000人の実践者、100人の仲間と濃い関係の人が残っていくのです。

あくまで「どうやって情報商材を売りつけてやろうか」と考えていたら「以前の講演内容をDVDにして売ろう」といった、楽して稼ぐ思考になってしまいます。

しかし彼らを「一緒に理想に向かう仲間」だと考えれば提供するモノも、反響も違ってくるのは当然です。

成功している著者が行っているしくみづくり

このように読者の求める声に応じる仕組みが用意されていなくては、読者が迷子になってしまいます。迷子の受け皿になる仕組みを作ってあげなければなりません。つまりは読者に貢献する「コミュニティ」づくりと運営が重要になります。

コミュニティの形はコミュニティデザイナーであるあなた次第ですが、ここでは具体的に著者として成功されている方々が、取り入れられている仕組みについてご紹介します。

  • 毎年本を書き続け、累計100冊。年50万部伸び続ける状況

この数字を出すと対象者は限られてきますが、デビューから今日まで本を出し続け、新刊既刊合わせて50万部/年 売れる環境を作っている著者さんがいます。50万部ですから、毎年5000人の共感者がコミュニティに加わっている計算になります(重複がいるでしょうけど)。また、50万部を維持できるよう、既存のコミュニティメンバーが本を買ってくれます。これはもうコミュニティと本の共生関係が完全に成立している状態です。コミュニティを成長させるにはある程度の新陳代謝が不可欠です。新たに人が流れてくる仕組みをつくりましょう。この域に達するためにはベストセラーが当然必要です。自分の名前の棚もできるでしょう。

  • 読者のために作ったオリジナル商品を毎月お届け

ネットで何十万円もする情報商材のDVDを販売して、それがまた飛ぶように売れた時期もありました。今は1万円が限界と聞きます。それと比べると低額ですが、2千円、3千円の商品を毎月継続販売している著者さんがいらっしゃいます。直接のコンサル、カウンセリングをするにはマンパワー的な限界がある場合などに用意されます。クラウドファウンディングなどでもそうですが、今はいいモノなら強い共感を理由に継続購入するユーザーが増えています。割安感はあるか?(直接行くより安い、コンサルよりお得など)継続する理由はあるか?など諸条件をクリアできれば喜ばれるでしょう。「正直、印税いらない」くらいの収入になることも多いようです。

  • 関連したコミュニティとコラボして拡大

積極的に「コミュニティのコラボ」を行い、交流と拡大を図っていきます。ジャンルやアプローチ法は違っても考え方に共感できる人とコラボしてイベントを仕掛けます。そうすることでまだ見ぬ共感者を増やしていくこともできます。例えば「血流がすべて解決する」の堀江さんは、自身で集客する講演会だけでなく「ヨガ×血流」のコラボコミュニティも運営しています。ご自身もヨガをされていて、「血流の話を、ヨガをしてから聴くと体感できるから理解しやすい」という実体験をもとに広がっているコミュニティです。ただ本を売りたいだけのコミュニティではなく、ちゃんと読者に貢献できる仕組みになっていますし、ヨガは好きだけど本を読んだことがない方との出会いもあり、良い循環が生まれています。
全国のヨガインストラクターさんから「一緒にやりたいです!」というお声がけがあるのですが、ちゃんと共感できる方々とやるのがコツだとおっしゃっていました。

他にも「作家として生き残るためにすべき6つのこと」読者の役に立つコミュニティや仕組みをつくるでコミュニティについて紹介しているので合わせてご覧ください。

これらのことを意識すれば、著者が出版を通じて利益を得られるようになり、少なくとも「印税だけ」で利益を得ようとするよりは、「仕組みとしての出版」を維持していけるのではないでしょうか。

それでも「利益のための出版」は相変わらず反対です。「公益」として出版し、「利益」【も】生み出す視点を持っていきたいと思います。

もっと突っ込んだ話を聞きたい方はぜひイベントや、懇親会で。

出版セミナーのご案内

 

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増刷率90%。平均部数49,000部。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。
書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。
膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。
上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(23万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

業界の活性化を目的として、版元・書店との人脈を活かした合同勉強会や、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なう。

「営業だったからこそ、著者・出版社・書店に提供できるモノがある」と増刷ロジックや書店巻き込みマーケティングを駆使したプロデュースを行う。

本は読者のためにある。という考え方から「ブランディングの為に本を出したい」とおっしゃる方には、笑顔でドロップキックをプレゼント(笑)


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