出版業界、君は生き延びることができるか!?

出版プロデューサーの西浦です。

出版不況がずいぶん長ーく叫ばれていて、個人的にはもうその感覚マヒしつつあります。けど数字で調べると売り上げは2兆円を切り、しっかり出版社・書店数は減少しています(涙)。かたや電子書籍の売り上げが2014年ごろから存在感を示しだし、紙の約1.8兆に対し、約1800億と10%の規模感に成長してきました。

僕は出版社の編集さん、営業さん、取次さん、書店さんと「出版右肩上がりの会」というのをやってまして、そこで定期的に企画の勉強会をしています。その流れで「一度、出版業界がどうやって生き残っていけばいいか、みんなの意見を聞きたいね」という声を頂いたので、「出版業界生き残り会議」というものを開催しました!

参加者

  • 出版社の書籍編集者3名(中堅2、若手1)
  • 取次営業1名
  • 書店員1名
  • 新興出版社経営1名(センジュ出版の吉満さん)

西浦の7名です。出版社営業の方が日程が合わず不参加で残念。

※「出版右肩上がりの会」が書籍の会のため、書籍のメンバーばかりになっております。

紙の本を読む理由は残っているのか

  • 可処分所得と時間を本に使う人が減っている。かく言う編集者である自分もライフハックとか読んでる時間が増えてきた。
  • 本屋でスマホを触ってる人も多い。おそらくはamazonで評判を調べている。
    • 本屋としては「撮影=NG行為」としているものの、最近は表紙くらいはいいのではと思うようになった。後で買うためかもしれないし、シェアしてくれるかもしれないから。
  • 紙の本以外の商材(情報商材とか)を扱う場合、紙の本の読者は「リストとして非常に濃い」高額商品のコンバージョン率高い。
  • 読者プレゼントに特別音源など反応良い。動画より音源の方が良かったりする。袋とじ的な、もろSEXの話とか。「過激すぎて本に載せられなかった」もの。
  • 電子書籍は紙の発売後1ヶ月で発売されるパターン多く、出版社の規模によるが売上は年間数千万になっており、ありがたい。
    • 単品ごとの売上は本当に微々たるものなので、商品点数の多い版元に有効と思われる。
  • 今の小学生くらいだと、電子と紙と両刀使い。「紙の良さ」という感覚はないのではないか?
  • だが「三代目 J Soul Brothers」のタオルは買う(笑)リアルの価値、ライブという限定性は存在する。
    • 握手会は良いと思う。しかし出版記念講演会はもうやめた方が良いのでは?集まらない。
  • 読書会をやっていて思うが、紙の方が「共有」には向いているかもしれない。中身の説明をするときに電子の人は探すのに手間どっている印象。
  • 大全系の分厚い紙の本が売れたりするのはなぜか

紙の本にかける時間や金額の総数は減っているように思われます。電車の中でスマホをいじってる人が多い、昔はけっこう本派の人もいたと思うのですが。しかも今後若い世代はそういう原風景も持っておらず、さらなる危機感を感じます。「紙がいいよね」というノスタルジックな気分は捨て去って、紙の価値と向き合わないと生き残れないのでしょう。出版業界はよく音楽業界を指標としますが、やはり「リアルの価値」「ライブの限定性」をどう出版に落とし込むかを探したい。バンドのタオルのように「持っていること」に価値のある本。きっとそれは書いてあることを知って何かを身に着けるという発想ではなく、一つの大きなものに加わる、一緒に何かを作り上げるという一体感なのではないでしょうか?「この本を持つということは、この本の考え方に賛同する仲間になる」というような。読者と一緒に何かを作っていこうという著者の気概が求められています。ノウハウの切り売りではそのうち全く見向きもされなくなる日が来ます。

 

本屋は本ではなく場所を売るべきか

  • 某書店の1階ワゴンが10万から15万に値上がりしたが、需要に変化はないらしい。
  • スペースを広告として売るべきなのではないか
    • 某代理店が書店にお金を払って、「書店の売り場を交通広告として」雑誌の展開を提案していたケースあり(クライアントの商品が広告だけでなく、でっかく掲載されている)。雑誌への広告出稿だけにとどまらず書店でのPRもセットで提案するスタイル。(西浦追記)
  • 書店としては、売れない本でワゴン展開やると、お客様の信頼を失うので避けたい
  • だが本屋の不動産価値はもっと活かせると思う。百貨店の中に入居してるテナントの中で一番多くのお客様が訪れる。シャワー効果。
  • TVも「本屋」はテーマとして数字取れると言っていた。多くの人が関心を抱いている場所。お客さんを選ばない、広いビジネスだからだと思う。
  • 広告としてはしおりブックカバー作ってもらえるとありがたい。このコストは純粋に書店持ちの経費なので、これが浮くだけでありがたいし。
    • ブックカバーはパッと見おしゃれで、小さくシリーズ名やタイトル、出版社名が入ってるイメージで。
    • カレンダーも実は評判いい。気づけばなくなってます。

本屋は全ジャンルを扱える最強の小売業・コンテンツバイヤー

  • BtoCじゃなくてプロ向けの新商品説明会などもアリかもしれない。某都内書店では3Dプリンタの展示会を行った際、プロの参加者が多く、関東で1番売れたらしい。国際展示場行くより近いというイメージ。
  • 本屋がメーカー、出版社をまとめてマーケティングすればいい。プロデューサー的に。
  • 例)パネル展→新聞社取材→yahoo!ニュース掲載→TV取材という流れもあった
    • 本が100冊以上売れたケースもあるし、何より関連グッズがあるとそれを仕入れて販売できて良い。
    • 本屋は場所として信頼性高く、著者が主催するイベントより取材してもらえやすいだろうと思える。(西浦追記)

本屋は立地商売なので、駅前や繁華街など店舗の場所が良く、「強い集客力を持つスペース」としての特性を持っています。見方を変えれば「集客」に特化したビジネスモデルですよね、単価が安いのが課題ですが、それゆえにとにかく人を集める力がある(シャワー効果など)。また、他の業態に比べ、扱うジャンルが尋常でなく広いのも特徴です。誰でも本屋で「自分が興味のある棚」を探すことができます。つまり書店は「全ジャンルのアイテムを扱える最強の小売業・コンテンツバイヤー」としての可能性を持っています。人気のドラマやニュースで頻繁に取り上げられるアイテム、タレントさんなど「流行に便乗した本」を中心に本以外の関連商品を販売することで客単価を上げる書店さんもあります。その際にメーカーも巻き込んで、商品だけでなく、限定品や展示物も借りているそうなので、そういった「プロデューサー」的な在り方は模索できるのではないでしょうか。

また、集客力の強さを活かして「スペースを売る」つまり広告を商品とする可能性があります。実際に某広告代理店がメーカーに提案したプロモーションに「雑誌掲載+都市の大型書店で展開」というものがありました。また、しおりやブックカバーも広告スペースとして販売できる余地がありますね。出版社以外の広告主が広告を出しても効果があるかも。しかし、ただの場所貸しになって「売れない」ものをたくさん展示すると、お客さんが離れていくので、あくまでも「本を中心に何かを売る」という考え方からブレないことが重要かもしれません。

 

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