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本を読む時間がない!と嘆く、忙しくて仕事のできるあなたに、読書時間をつくるためのちょっとしたコツから、本末転倒な技までご紹介します。

前回、読書ゾンビのテクニックを紹介していたら長くなってしまったので前後半に分けました。こちらは後半戦です。

前回が「時間をつくる(ために遠回りする)」「集中する(ために早起きして朝風呂で読む)」といったポジティブ本末転倒なスキルが多かったですが、今回は「本のために、自分を前向きに追い込む」という、いよいよポジティブかなのかどうかもギリギリな技が集まっております。

読書会でドMになる

定期的に集まって、読んだ本についてプレゼンする読書会。この「読書会があるから」というのが本を読む強制的な理由になって非常に良いです。いつまでにという〆切があるので、なんとか読もうとしますし、いよいよ日が迫ってくると集中して読めますドM(ドクショM)ですね

僕も月一でフリーランスや経営者(と、それを目指す人)向けの読書会をやっているのですが、毎回「マーケティング」「戦略古典」などテーマを決めるので、普段読まないような本を読むいい機会になっています。さらに他の参加者の発表を聞いて「それ、面白そうだなぁ」と思う本が見つかるので、とても良い習慣です。みんな読書会やろう!

読書会を小さく刻んで繰り返す

ある読書ゾンビの会社では毎週10分程度の読書会をやり、担当制で読んだ本についてプレゼンするそうです。毎週というとかなり厳しいように感じますが、1回の時間が10分なので業務への負担も無く、交代制だから自分が発表するのは月に1度かそれ以下なのでプレゼンの負担も軽いです。しかし毎週読書会に参加して、本への刺激を受けることができるので、モチベーション維持に効果的でしょう。

会社や、サークルなど定期的に集まることになっていて、集まるという負担が少ない人たち向けのノウハウですね。

「なったつもり」読みをする

週刊誌や新聞、あるいは本屋大賞などの書評委員に「なったつもり」で、本を読みましょう。そうなると〆切があるから「読まなければいけない」のです。あなたの連載に穴を空けるわけにはいきませんから。

子供だましだと思われるかもしれませんが、これをやってる読書ゾンビがちゃんといるのです。『この本はあと3日で読まなきゃ』となって、がんばって仕事を定時で終わらせてカフェで読んだり。読書のために仕事を定時であがるって素敵なことね。

業界人の禁じ手「借りて読む」

ある読書ゾンビが『ほんと、ダメだと思うんですが…』とおずおず教えてくれたのが禁じ手「借りて読む」です。図書館でも、友人からでも良いのですが「借りたら返さなきゃいけない」ので、返却日までに読むことになります。

ただ「出版業界の中の人」には、ちゃんとお金出して本を買わなきゃダメだよね?という不文律がありまして…基本おすすめはできません(立場的に)。でも「借りたつもり」でやってもらえれば何の問題もナシ!

フィクションとノンフィクションは交互に読む

めずらしくまともなアドバイスです(笑)フィクションを続けて読むと、2つの世界がごっちゃになって整理されづらいです。前の本の世界観を引っ張って、次の本を読んじゃうというか。なのでフィクションを読んだら次はノンフィクションを読んで、いったん脳を現実に戻しましょう。

逆にノンフィクションを読み続けるのも頭が疲れてくるので、息抜きの意味でフィクションを挟んでいくのが、「ノンフィクション派」にオススメですよ。

二刀流を習得する

左手と右手で違う本を読む二刀流読書術です。片方読んでで、飽きたらもう片方を読んで、また飽きたら最初の本に戻るそうです。右手に本、左手にスマホとか。「そこに置いといて、交互に読めばいいじゃん!」と思うんですが、何か違うんでしょうか・・・?

ゲームと二刀流

二刀流の片手にゲームを持つパターンです。これは本を読んでて眠くなった時に、スマホゲームをして目を覚まさせるという技です。絶対読まなきゃいけない本なんだけど、眠い時に使います。ちなみにゲームはツムツムが集中しやすいのでおすすめだそうです。

瞬間を逃さず、無限ループに

本の買い方に関する話なのですが、本屋さんで「これ面白そう」って思った本とか、一つのテーマを「読もう」と思った瞬間に買います「後で」は絶対にやめましょう。理由は2つあって

  1. その本が2週間後に店頭から消える可能性
  2. 今読んでる本を読み終わった瞬間に次を読み始めるため

です。1つ目ですが、本は2週間もすれば、売れ行き悪いと返品されます。さらに1年を待たずに絶版になることもあります。ベストセラーやロングセラーはほんの一部で、基本的に本は1点モノ、その機会を逃すと買えなくなる可能性があります。学生時代に読んで感動した本が、すでに絶版になってたりするので、そうならないように。

2つ目は読み始めのタイミングはいつがベストか?という問題で、個人的には「前の本を読み終えた瞬間」が最もふさわしいと思っています。読み切った「達成感」というものは非常に大きく、次の本を開くパワーとして非常に強力です。ここで「次に読みたい本は・・・特にないなぁ。」となってしまうと、いつの間にやら1ヶ月以上本を読んでいない!なんてことになりかねません。常に家に面白い本をストックしておき、読書の無限ループに自分をハメましょう。

レシートを破る

本を経費で買える人限定の技。経費で買った「資料本」は自分でお金を出した本とは「何かが違う」と感じます。資料本はなぜか読むのが後回しになる・・・そういう方はレシートを破って、自費の本にしてみてはいかがでしょうか?

仕事で使う本だから、経費にして良いと思いますが、読まなければ意味はありません。そのためにレシートを破る、ちょっと深いい話だなぁと、感動してました。ジーンとくるゾンビたち。(ゾンビの感動ポイントがよく分からん)

大事な日の直前に読む

読むべきタイミングのベストはいつか?「瞬間を逃さず、無限ループに」の項目では「前の本を読み終えた瞬間」だと書きました。実は読み終えた瞬間と同じか、はまればそれ以上の効果を発揮するのが「大事な日の直前に読む」です。

例えば明日は会社で大事な会議がある・・・そんな夜は「プレゼンの本」を。明日は取材だ!という日は「会話術の本」を読む、という具合に、「そのテーマについて知りたい欲求が、いちばん強い瞬間に読む」方法です。そのためにわざわざ読まずにとっておいて、ベストなタイミングで読むのです。

しかも翌日だから本の内容も記憶に残り、かつ即実践できます。この読み方は知行合一、書を捨てず町に出る素晴らしい読書技です。


いかがでしょうか?使える技から、何それ?というよくわからない技までたくさんありました。読書というのは習慣なので、習慣化するための工夫であったり、習慣を辞めないための工夫を自分たちなりにしているのだなぁと感じました。あなたもぜひ自分に合った技を実践し、ともにドM(ドクショM)な読書ゾンビライフを過ごしましょう!

 

 

【読書ゾンビ】彼らが本気で読むときは【本を読む時間の作り方2/2】

本を読む時間がない!と嘆く、忙しくて仕事のできるあなたに、読書時間をつくるためのちょっとしたコツから、本末転倒...

パンケーキよりホットケーキ派の出版プロデューサー西浦です。クリームとかフルーツより、バターとメープルシロップのみで頂きたいものです。

『読みたい本はいっぱいあるんだけど、時間がない!』

このセリフ、非常によく聞きます。ボク自身、出版プロデューサーなんて仕事をしているくせに、なかなか本を読む時間が取れなくてけっこう困っています。せいぜい週末とか、空いた時間を有効活用するとかそれくらいですよね。

けど、有名な映画監督とかプロデューサーとか「すごい人」に限って、本も映画もよく観ていますよね?インタビューとかでも『どんな時間の使い方してんの?』って聞きたくなる多読多視聴ぶり。

みんなどうやって本を読む時間とってるんだろう?そう思って、いっそのことプロに聞いてみました。

書店、取次、出版社の人に「読書Hacks」を聞いてみた

本のことを誰に聞くべきか?やはり本のプロである「書店」「取次」「出版社」の人だろうと。幸い定期的に業界の仲間と企画の勉強会を行っているので、テーマトークとして『本を読む時間のつくり方』を聞いてみました。

ここで重要なのは、彼らの誰も「本を読むのが仕事ではない」ことです。本をつくったり、売ったり、あとはそれ以外の膨大な業務をするのが彼らの仕事です。そういう意味では「本業で超忙しい」方と条件は同じで、仕事以外の時間でいかに本を読むかという話です。

今の世の中、どんな仕事の人も、子育て中の専業主婦も、みんなめちゃくちゃ忙しいです。その中でも出版業界の人は、プロとして「読んでなきゃいけない」だったり、「本を読むのが好きだから仕事にした」人たちなので、能動的かつ半強制的に本を読み続けている読書ゾンビみたいな集団です。

どんな本の読み方をしているか訊いてみたところ、やっぱり『え、何言ってんの?バカなの?』っていう尖ったノウハウが掘り起こされました笑

「最近忙しくて時間がない」と悔やんでいるあなたはぜひ参考に、そうでないあなたは「ここまでイってしまったらもうお終いだな」とあざ笑ってやってください。

半身浴中に読む

半身浴。冷え性やダイエットに効果があるとされてきましたが、読書にも効果的です。半身浴中は約30分強の時間を強制的に生み出すことができますから、絶好の読書チャンスなのです。ただ、ふつうの半身浴と違うのは、本を手で持ってるので、肘より先がお湯につかることができず、けっこう寒いです。事前にシャワーで浴室の温度を上げるなど一工夫しましょう。

また、半身浴はけっこうな確率で「眠い」です。けっこう寝落ちします。本をうっかり読めないどころか、水浸しになることもあるのでその覚悟はしておいてください。ちなみにこの「うっかり寝ちゃう」は本のプロ集団である「読書ゾンビ」達にもしょっちゅう起こるようで、なんだか安心しました。ゾンビも人の子なんですね。

遅刻へのカウンターで読む

これも初歩技ですが、有益なスキルなのであえてご紹介。待ち合わせで相手が遅れてくることってありますよね?待たされるとイライラするものですが、これは待ち時間ではなく「読書時間」だと考えれば相手にイライラせずに済みます。ボクはこれでずいぶん気の良い男だと思われていることでしょう。こういうサブ報酬が大きいです。

ただ、そのタイミングでたまたま本を読み切ってしまっていたりしたらもう最悪です。めっちゃイライラします。一度、待ち合わせに早く着きすぎて、本でも読もうと思ってたら電車の中でガッツリ読めてしまい『続き買わなきゃ!』と、駅についてから待ち合わせと反対側の改札にある本屋に行き、続刊を買い、また反対側の待ち合わせの改札についたらちょうど集合時間になったことがあります。叫び声が聞こえました、心の。皆さん、かばんには本を2冊入れておきましょう。

エレベーター待ちの1分で読む

あなたは一生のうちで何分、エレベーター待ちをするか知っていますか?ボクも知りませんし、気にしたこともありません。でも読書ゾンビはそのEV待ちの1分で本を読みます。

電子書籍で購入し、iPhoneで読むのです。出版業界は紙派が多いかと思ってましたが、関係ないですね。エレベーターはもちろん、エスカレーターに乗っているときもそうです。通勤途中でさえ、人の少ない道なら読みながら歩いているそうです。「待ち合わせ中に読む」の上位互換スキルです。読書ゾンビはスキマ時間を許さない。

1時間早起きして朝風呂派になる

「半身浴中に読む」の朝型です。夜の半身浴は疲れからくる睡魔が強力すぎて、さすがの読書ゾンビたちもスヤスヤしてしまいます。そこで1時間早起きして、朝風呂で半身浴をします。夜のように眠くないし、出勤しなきゃいけないので集中して読めるそうです。

このノウハウの最大のネックは「早起きがキツイこと」です。編集ゾンビ曰く『楽しみだから起きれる』そうですが、ボクは楽しみでも睡眠が勝つタイプなので向き不向きがあるかもしれません。

読書時間とは「眠気との戦い」と言っても過言ではありません。

奥さんが読むように仕向けて、感想を聞く

内容を知りたいけど、自分で読まなくてもいいかな・・・という本もありますよね。そんな時、読書ゾンビは家族を犠牲にします。最悪です。興味を持ちそうな本を自然な感じで、テーブルの上などにおいて、家族が自然と読むのを待ちます。まるで同棲してる部屋にゼクシィを置く彼女のようです。怖いですね、ホラーですね。

『これ、面白いらしいよ』などとプッシュするのは逆効果とされています。ひたすら待ちましょう。戦績は1勝20敗くらいかと思いますが。成功率の低さを考えるとある意味上級技ですね。

読むなら飲むな、飲んだら飲んだでまあ読んでヨシ

飲んだら読めない—。そういう人は多いですよね、遺伝的に、日本人の44%はお酒飲めないらしいですから。だったら飲まなきゃいいんじゃん!っていうコペルニクス的転回です。お金も浮いて、本を読む時間も生み出せる素晴らしい施策です。

でも酒も飲みたい!という人もいますよね。あなたが「酔ってはいるものの、記憶がばっちり残る」タイプなら、むしろしこたま飲んだ日に、酔いがさめるまで読むことをオススメします。ボクもこのタイプで、あんまりお酒が残ってるときに風呂に入りたくないので、けっこうやります。その結果、風呂上りに続きを読んでしまい気付けば2:30に。。。早く寝ましょう。

 

あえて各駅停車

ふつうの人は「電車の移動時間を有効活用」するために読書しますね?読書ゾンビは「電車の読書時間を延ばすため、あえて各駅停車に乗る」という暴挙に出ます。他にも遠回りする派や、わざと山手線1周するゾンビもいました。…本末転倒って言葉知ってますか??

『その分、早く帰宅して、家で読んでも同じでは・・・?』という賢明なあなたの気持ちは痛いほどよく分かるのですが、いざ家に帰ってしまうと家事とかPCとかゲームとか他にもやることがあるじゃないですか。だから「ベストな読書環境をつくる」という視点で考えるのです。読書ゾンビたちにとって、電車というのは「移動式書斎」なのです。家など誘惑だらけです、電車サイコー!

角地を押さえる

電車で本を読むなら、やはり座席に座りたいものですよね?ボクもそうでしたが、甘かったです。読書ゾンビは「角地」を押さえに行きます。角地というのは座席ではなく、ドアの横とか、車両の端など、背中を預けて立てる場所です。角地さえ押さえれば、安心して読書できるうえに、「移動式書斎」たる電車最大の落とし穴「揺れが気持ちよすぎてついつい寝ちゃう」を無効化できます。立ってますから!

読書ゾンビたちはいかに時間を作るか、いかに眠気を排除するかを常に考え、その業を磨いてきたのです。そのために足が疲れるとか、帰宅が遅れるという代償を払って・・・。このあたりから「この人たち、バカなのかもしれん・・・」と思いはじめました。

 

読書ゾンビたちの恐るべき業の数々ですが、さらにすごい(バカバカしい)業の数々が後編へと続きます・・・

本の出版をお考えの方へ

本のプロに聴いた「本を読む時間のつくり方1/2」【読書ゾンビのすすめ】

パンケーキよりホットケーキ派の出版プロデューサー西浦です。クリームとかフルーツより、バターとメープルシロップの...

「ポケットにはいつもメガネ拭きを」の出版プロデューサー西浦です。ズボンの左ポケットに。

本を書くぞ!と意気込んで企画書を書いても、出版社にまったく相手にしてもらえない人もいれば、とんとん拍子で採用され、出版が決定する人もいます。

以前、出版社のマーケティング部にいた頃は、たくさんの企画を泣く泣く、たまに無表情に、ボツにしてきました。出版社にしては珍しいケースなのですが、企画の合否は編集会議ではなく、その後の営業との会議で決定するという会社だったのです。

その時、ふと気づいたのはボツ企画の中に「惜しいな~」というレベルのものはほんの一部しかなく、「いや、これはないだろう」というレベルの企画がけっこう多いこと。

今回はそんな「絶対通らない企画」を出して恥を書かない為に「採用される企画のチェックポイント」をご紹介します。


売れる本は「広く
て強い」ニーズを持つ

ニーズとは、読者の求めていることです。そのニーズは「広さ」と「強さ」で測るのですが、両方のバランスがよいニーズを「太いニーズ」と当時は呼んでいました。

まず「広さ」ですが、狭い企画はマニア向け、広い企画はみんなが興味のあることです。通常のビジネスでは、マニア市場は単価を上げることで、ビジネスモデルとして成立させますが、出版業では価格の幅にも限界があります。100万円の本とか見たことないですよね?

 

居酒屋で本音で話す内容はテーマになる

どの程度の市場規模があるのか?それを冷静に判断してみましょう。

たとえば飲み会などで『あと5万給料が増えればなー』っていう「魂の叫び」をよく耳にしますよね?あ、あなたもですか?僕もですよ(笑)これほど広く共感を得るテーマ魂の叫び)であれば「副業」の企画や、「資産運用」、「貯金術」の企画など、市場規模として成立しそうです。

お金の他にも出世や人間関係、出会いなど居酒屋はいろんな魂の叫びが聞ける良い場所です。

 

強い企画とはお金を払ってでも読みたいもの

とはいえ、市場規模が広くても、あまりに弱いニーズは買ってもらえません。立ち読みで済ませたり、ネットで調べるので十分というものですね。自分の企画は「お金を払ってでも読みたいくらい、強いニーズを満たすもの」なのか?そこを冷静に、一度落ち着いて、お茶でも飲みながら考えてみてください。

『でも俺、自分に甘いからなー、ゆとりだからなー』って自覚のある方は、ターゲットとイメージ的に近いお友達に、ご飯でもおごって、意見をもらうといいかもしれませんね。で、そのリアクションが良かったら、だいたい3割~5割減くらいで考えていいと思います。友達の子どもの写真を見せられて『カワイイね~』っていうくらい無責任に言ってますから(笑)それで本当にお金を出して買う人はほとんどいません。そんなものです。

とはいえ「自分に甘い」自覚がある時点で、かなり冷静な方でしょうから、友人のコメントも鵜呑みになんてしてませんよね?というわけで、この「ニーズの広さと強さのバランス」をチェックポイントとして、自分の企画を考えてみてください。

それで、どうしても、「自分の企画が狭く浅く感じられてしまう場合」は、一度プロにご相談されると良いかもしれません。切り口を変えることで、太いニーズを満たすことができることもありますので。

 

新しいコンセプトはあるか?

ニーズが言うなれば、ある種の「ベタさ」を求めていたのに対し、コンセプトに求められるのは完全に「新しさ」です。

そしてこれが、企画書を書くうえで、最も難しい部分でもあります。いや、本当に、これが企画のキモですから。コンセプトこそがその企画のオリジナリティです。他の似たような本の中から、わざわざその本を選ぶ理由になるのです。

 

コンセプトは時代の変化

例を挙げてみましょう。
類書がたくさんある「仕事術」の本の中で、どんなコンセプトで新しさを打ち出していけば良いのでしょうか?かつて「中間管理職の仕事術」というコンセプトを見出し、ヒットしたのがはじめての課長の教科書です。

以前、仕事術の本は、新入社員向けの入門編から、いきなり経営陣まで飛んで、リーダーシップやマネジメントの本になっており、中間管理職向けのものがなかったのです。昔と比べ今では、明らかに中間管理職の重要性と、プレッシャーが増大しています。そこに新しいニーズが生まれていることに気付くかどうかが大切です。

 

新しいコンセプトはその瞬間から古びていく

しかしこの「課長の~」も既に過去のコンセプトです。その後「課長の~」という企画はたくさん発売され、すでにコンセプトとしての新しさはありません。新しさというものは常に変化していきます。新しい!と感じた瞬間からすでにそのコンセプトは過去のものになっていきます。だから常に新刊をチェックし続けないといけないのです。

常に「このコンセプトは新しいか?」を探り続けてください。でも新しさを求めすぎて、狭いニーズにつかまらないに注意してくださいね!


タイトル、構成案で目を釘付けにせよ

タイトルはコンセプトとインパクト

本当は装丁も重要なので、ここに並べたいところですが、装丁ばかりは、企画成立後の話になってしまうケースが殆どなので、外します。

タイトルの重要度は言わずもがなですよね。コンセプトを言い表し、かつインパクトのあるタイトルになっているか?をチェックしてみてください。
たとえば「課長の教科書」では

  • 「教科書」の部分で「入門的な仕事術であること」
  • 「課長の」の部分で「ターゲットの明確化」

を狙い、コンセプトを伝えつつ「課長」と「教科書」っていう言葉のギャップでインパクトを出しています。教科書って初級者向けなのに、課長は中級者というギャップです。

また「中間管理職の教科書」でも意味は通りますが、世の中に「中間管理職」という肩書の方はいないので、「課長」の方が読者に与えるインパクトが強いですね。

 

構成案でレジに連れて行く

そして構成案です。
「引きのある構成案になっているか?」が最も重要です。

日本の読者は、書店で本を買います。(いまだにネット市場は1割くらい。)つまり、手にとって中身を確認して買うケースがほとんどだということです。

タイトル、装丁で興味を引き、手にとっていただいたとして、それをレジに運んでもらうには構成(目次)の部分と、「はじめに」の面白さにかかっていると言っても過言ではありません。

  • 目次でどういう内容かざっくりチェックして、目を引いたトピックのページをパラパラめくる「抜粋読み」
  • 最初の18ぺージほどを読んで決める「冒頭読み」

という2パターンが本を選ぶ前の主流と言われています。最近ではネットで評判を検索してる人も増えてきましたが、上記2つと比べるとまだ少数派でしょうか。

特に構成案のオリジナリティ=あなたのコンテンツのオリジナリティなので、企画書の段階では非常に重要視しています。タイトルは本を作っている過程でいくらでも変更できますが、中身は完全に著者自身の中にあるものですからね。あとから急に増やしたり変更したりできません。


企画書の体裁は出版社ごとに違うのですが、今回ご紹介した「ニーズ」「コンセプト」「タイトル・構成案」の3つ(4つ?)を外さないよう企画書を書いたら、出版社の企画会議も通りやすくなると思います。

売れる本を書きたいと思ったら3つの視点を持つ【出版社に採用される企画】

「ポケットにはいつもメガネ拭きを」の出版プロデューサー西浦です。ズボンの左ポケットに。 本を書くぞ!と意気込ん...

チョコは冷やすのが正解だと思ってるんだけど、キットカットはちょっと違うかな・・・と昨日思った出版プロデューサー西浦です。

2月15日は月に一度の会員制出版グループコンサル「BSC」でした。毎月15日前後に開催してるので、狙ったようにバレンタイン翌日でたくさんチョコレートを頂きました。すいません、催促したみたいな日でごめんなさい。でも来年もまたバレンタイン前後に開催です(笑)

さて出版セミナーではなく、会員制にしてBSC(ベストセラーキャンプ)と呼んでいるのは、皆で同じことをするセミナー形式ではなく、それぞれ個別の課題と向き合う会でありたいからです。

高いパフォーマンスは自分に合ったやり方から

BSCでは会員にとって役立つ情報やアドバイスを提供しています。たとえば今回はブログの話もしたし、文章の書き方、企画の考え方などすべて個別にアドバイスしました。

なんでこんな面倒なことをするかというと、著者は全員違う個性を持っているからです。

例えば原稿を書く時間の取り方も、人によって違います。

  • 毎朝、何時から何時までと決まった時間をとっている人もいれば
  • 移動時間などのスキマ時間にちょこちょこ書いて、後でまとめる人
  • 「今日は書く日!」と集中する時間を取る人もいます。

高いパフォーマンスを発揮するのが目的なので、方法はそれぞれにベストなものを選べばよいと思っています。

だからこそのグループコンサルなんですね。ペースも課題もそれぞれ違います。

文章を書くという行為

ちなみに僕は「夕方から深夜に書いた方が良いタイプ」の人間です。朝だと何にも浮かんできません。たぶん僕にとって「書く」ということはその日に吸収したことや体験したこと、溜めた感情を「吐き出す」行為なのでしょう。

だから朝はさわやかすぎてなーんにも書けません。お風呂もさわやかになるのであんまり良くないけど、湯冷めする頃には書けるようになります。

ということは「スキマ時間でネタをちょいちょい溜めておく」スタイルは僕に向いていません。そのネタをメモしたときと、そのあとで文書にするときが別の日だと、吸収したこと、体験したこと、溜まっている感情がまったく別で、テンションから何から全く変わってしまうからです。

そういうタイプに「スキマ時間でちょこちょこネタを書きなさい」って言ってもストレスでしかありません。逆にそういう個性がわかっていれば『スキマ時間で書く方法もあるけど、西浦さんの場合はかならずネタだけじゃなくて、文章として「途中まで」書いてください。途中で留めるのはその時のリズムに後から乗れるようにするためです。可能なら、他に見出しを2個3個書いておくと、ベクトルも見失わないでしょう』って言うアドバイスもできます。

けっこうみんなのこと考えて細かいフォローしてるんです。偉いな、やっぱりチョコくらいもらってもいいな。

ニートも上場社長もごった煮で

著者を探すときは共通の基準で厳しく見ていますが、そこさえクリアしてしまえば他はなんでもアリなので、みんな「個性」も「属性」もバラバラです。業種も職種も違うし、性別や年齢の差、社会的な地位などは些末なことだなぁと思っています。

だからクライアントにはニートから上場企業の創業社長までいましたが、みんな同じ扱いです。大切なのはやっぱり読者との向き合い方とか、自分の分野での実績ノウハウのオリジナリティなどでしょう。

仲良くしないことにOKを出すと、仲良くなる

BSCでは個別対応でアドバイスするものの、グループコンサルなので、会員同士が毎月顔を合わせます。個性はもちろん、バックボーンも全然違うメンバーが集まるので、共通言語が非常に少ないのです。だから「仲良くしなくてはいけない」とは思っていません仲良くしないことにOKを出しているという感じでしょうか。もちろん嫌い合えとは言わないのですが、仲良くする人も、しない人もいていいじゃないかというスタンスです。

仲良くしてくれた方が販促のときにプラスになりますが、そういうメリットのために合わない人と仲良くするのも違うと思いますしね。

ところが昨日は知らないうちに会員さん同士がすごく仲良くなっていたのを知って、嬉しかったです。東京と関西で、住んでる場所も違う会員さん同士が、互いの家族の話をして盛り上がっていました。『BSCに入って、あの人(他の会員さん)に出会えたことがいちばん良かったやんかー!』とご家族に言われたそうで、そこはさすがに『いや、もっといろいろあるでしょう!?』とツッコミましたが。。。笑

僕が「すごい!」とか「面白い!」と思った方々をスカウトしているので、やはり仲良くなってくれると嬉しいものです。


仲良くしろと言って仲良くできるなんてことはあり得ないと思うし、仲良いふりをする必要もないのです。仲良くしてくれと言わないからこそ、本当に仲良くなる人たちが出てくるのでしょう。

つまり僕は関係ないってことですね笑

 

著者同士が仲良いのは僕のおかげかというとたぶん関係ない【個の重視】

チョコは冷やすのが正解だと思ってるんだけど、キットカットはちょっと違うかな・・・と昨日思った出版プロデューサー...

『才能がないので辞めます』と言われたら、あなたならなんと答えますか?

これに対する『才能がないと思うほどやりましたか?』という言葉はどう響きますか?

怖い?冷たい?優しい?敵わない?

僕はその場で背筋がピン—っとしました。「自分はそこまでやれてるかな?」と。

その言葉を言う側、言われる側、どんな気持ちなのだろうと。

円楽師匠、道楽師匠と石田さんのお話を聴きに

先日、八重洲BCで行われた石田章洋さんの初対面でも話しがはずむ おもしろい伝え方の公式」の発売記念講演会に参加してきました。司会が三遊亭道楽師匠、そしてゲストにあの「三遊亭円楽」師匠がいらっしゃるという豪華な布陣。これは行かざるを得ないでしょう。

以前「企画は、一言。」で関わらせていただいたときからのご縁なのですが、実は「企画は、一言。」の時も司会:道楽師匠、ゲスト:円楽師匠で書店様向けのシークレット講演会を開催しました。

これがもう勉強になるんです!そのとき聞いた話は今でも出版プロデュース上でたいへん役に立っています。特に円楽師匠が説教モードに入ってからが良いのです(笑)

笑いはコーディネート

講演会では「おもしろい伝え方」「面白さ」についての話がどんどん飛び出しました。笑いというのは「落差」とか「緩急」「緊張と緩和」などと言われますが、だからこそ「コーディネート」ができないとダメなのだそうです。例えば観客が緩和しているなら、まくらを話しながらゆっくり首を振って、ひとりひとり目を合わせていく。そうすることで観客の中に「緊張」が生まれます。

こんな首の振りや、目線一つで緊張と緩和を操っているのかと驚きました。だから前座修行中には忘れ物しようが遅刻しようがそこまで怒られないけど、「気を配る」ということができていないとすごく怒られるそうです。あの人酒切れたなあということに気付けないようだと緊張と緩和を操れませんよね。「気配をよむ」「気を配る」が大事なのです。

変える、加工する大事さ

円楽師匠曰く「変える大事さ」というのがあってドラマ、ラジオ、落語、全部同じ話し方じゃダメで全部話し方を変えたそうです。また、「変える」ということでは「加工しないと売れない」ともおっしゃいました。同じ内容を覚えてただ話すだけじゃダメで、自分なりに加工をしないといけない。

著者でも「なんかどっかで読んだことある内容ばっかりだな」という人と「これは新しい!」と感じる方がいますね。それはどこかを変える工夫をしているからです。大原則のようなものはなかなか変わりません、そういう意味では「原則が共通」しているのは仕方のないことです。しかし、皮膚科医と美容家と美容メーカーがそれぞれ「美肌」をどう考えるかという土台の違いや、同じ美容家でも「得する」「若返る」「モテる」「昔の男が帰ってくる」「振り返る」「オトナかわいい」「NYの」など視点の違いを自分なりに用意しなくてはいけません。

変えるためのブレーンが必要

師匠自身も「まくら」を新しくすることで『なんか他の落語家と違うね』と言ってもらえるようになったとか。

その背景には、落語家になる前にやっていた「構成作家」の仕事で、世界のジョークや小話をとにかくたくさん調べて日本語訳したり、毎朝新聞から面白いニュースを探してきては「面白く加工する」という経験があったそうです。

だから加工するためにブレーン(放送作家さん、構成作家さんなど)が必要なんだとおっしゃってました。僕らプロデューサーも他の著者、企画との違いを用意できる著者のブレーンになれるよう努力しないといけませんね。

『才能がないと思うほどやりましたか?』のあとさき

著者の石田さんは、弟弟子として入門してきた伊集院光さんの才能を目の当たりにし「たった二人の兄弟弟子にも勝てないようではダメだ」と落語家を辞める決心をされます。そうして円楽師匠に引退を相談した時、冒頭の『才能がないので辞めます』『才能がないと思うほどやりましたか?』というやりとりをされました。

引き留めて貰えなかったと石田さんは笑っておられたのですが、僕には引き留めの言葉のようにも感じられました。安易に『お前には才能があるから諦めるな』と言われるよりよっぽど厳しい引き留め方だとは思いますが・・・。

それから何十年も経ち、石田さんは構成作家として成功し、本を出すとこうして元師匠として講演会にゲストで来てくれたり、本を笑点で紹介してくれる関係性を円楽師匠と築いていらっしゃいます。

『才能がないと思うほどやりましたか?』を言える師匠だし、言われる弟子だからこそかなと思った土曜日でした。

 

 

才能がないと思うほどやりましたか?

『才能がないので辞めます』と言われたら、あなたならなんと答えますか? これに対する『才能がないと思うほどやりま...

板チョコは冷蔵庫で冷やしてバキバキ食べる派の出版プロデューサー西浦です。

昨日はバレンタインデーでしたが、妻からは「今年はナシ」宣言されてたものの、こっそり用意してくれてて(フェイント妻チョコ)&娘からということで板チョコ(エア娘チョコ)まで買ってくれてた最高にハッピーバレンタインな上、MTGでも最高に女子力の高い方から手作りチョコ(ホームメイド義理チョコ)をいただき、さらに他の方がもらった「おこぼれチョコ」までみんなでいただくという、つまりはチョコ自慢です。

さらに自慢続きで恐縮ですが、「血流がすべて解決する」増刷が決まりまして、180,000部となりました!

これもすべて買ってくださった読者の方、約1年間ずっと平積みを続けてくださる書店さん、販促に力を注ぎ続けてくださるサンマーク出版さんのおかげです。ありがとうございます!

 

この本は著者、編集さんとの間では「血流ちゃん」と呼ばれてて、なんとなく黒髪ロングで、地味めだけどマジメでいい子で、自分からは主張しないけどやることちゃんとやる子—という謎設定があります笑

バレンタインに増刷かかってくれるあたりが『さすが血流ちゃん!』と、血流ちゃんからのチョコレート(増刷チョコ)をもらった気分になりました。

 

「血流がすべて解決する」18万部突破!

板チョコは冷蔵庫で冷やしてバキバキ食べる派の出版プロデューサー西浦です。 昨日はバレンタインデーでしたが、妻か...

マックのポテトは塩気が多すぎるから、気持ち塩を落としたりしてるけど、そもそもL頼んでる時点で無意味な出版プロデューサー西浦です。

出版プロデューサーになって7年、出版業界に入って12年、本に人生変えられて20年、給食の時間に日直から『手を合わせてください!』と言われているのに読書に集中し過ぎて本当に聴こえなくて、そのまま読み続けてたら「1週間、学級文庫禁止」を喰らってから25年くらい?数えたことないですけど2000冊くらいは本を読んできたと思います。

そのおかげか周りから「面白い本紹介して」と言われることも多いのですが『出合いも含めて、読書ですよ』とか言ってごまかしてきました。だって分からないんだもん、その人が何を面白いと思うかなんて。

ただそう思いながら『これは自分の子供に読んで欲しい』という「好み関係なく、ぜひ読んで欲しい本」との出合いもありました。どう思うかはともかく『感動する』『考え方に影響を与えるだろう』というSランク本です。オススメするのに「間違いない」と思える本ですね。

2000冊の中から、自分の子供にも絶対読んで欲しい本だけを

ある時友人たちと飲んでいて、また『西浦さんのオススメ本教えてよ』と言われたのですが『…まあ、このメンバーならいいか』と何冊か話したところグイグイ食いついてくれました。「業界外の人と本の話で盛り上がる」というのはすごく嬉しくて嬉しくて・・・僕もテンションが上がって、めちゃめちゃ盛り上がったんです!

そしてみんなが「イベントにしよう!」と言ってくれて、『出版プロデューサーがお勧めする「人生を豊かにするSランク本5冊」&「自分にぴったりな本の見つけ方」』というイベントを12月に開催しました。

心配していた集客の方も告知から9日で満席となり、当日はゲストのリアクションがすごく良くて、本当にみんなで作ったアットホームなイベントとなりました。最後にゲストから「西浦さんて仕事とかじゃなくて、本当に本が好きなんだなぁって思ったよ」と言われたことが泣きそうなくらい嬉しかったです。

※イベントの様子はこちら

イベントレポート前編

イベントレポート後編

本のイベントでかつてないほどのライブ感「グラフィックレコード」

このイベントで特に新たな可能性を感じたのが「グラフィックレコード」という技術。これは会議などでリアルタイムで話している内容や課題をイラスト化していく技術です。(詳しいことはわかってないけど・笑)

これが「本のプレゼン」と相性バツグンでした!本ってすごい情報量で、かつ「文字のみの媒体」なので「頭の中に画が浮かぶか」がけっこう重要だと思うのです。それが、どんどんグラフィックレコードで可視化されていくんです!しかもリアルタイムなんですごい「ライブ感」がありました。

そう!このサイトの設立理由でも書いた、本に欠けているものの一つが「ライブ感」だと思っているので、これは新しいんじゃないの!?と新たな可能性を感じています。『本の感動を「プレゼンター×イラストレーター」のコンビで伝える』っていうスタイルが社交ダンスみたいでなんか面白いじゃないですか?

このスタイルで本のプレゼンをする人が増えて『あのコンビ面白い』とか「新コンビ結成!」とか『あいつら解散したらしいよ』『えっ!?なんで!?』みたいなやりとりが出来てきたら、なんかドラマチックだと思います笑

定員25名、残席5名です!

そんな2000冊の本を読んできた西浦のオススメを、グラフィックレコードでライブ感たっぷりに楽しむイベント【2017年総集編】出版プロデューサー西浦孝次のオススメ本紹介!『ニシュランガイド』vol.5

にぜひご参加ください。

  • 本は好きだけど、年に5冊くらいしか読めてない
  • 本屋さんに行っても、どんな本を読んでいいか分からな
  • ランキング上位の本をとりあえず読んでいる
  • 歴史的な名著と言われてもピンと来ない…
  • でも本を読むのは好き!

という方に特におすすめです!『あんまり本に詳しくないから…』など心配は無用。むしろそういう方向けのイベントです。最後に本読んだのいつだっけかなぁ?というくらいで全然OK!
気軽にご参加ください!

お申し込みはfacebookにて!

仕事抜きでこの本だけは読んで欲しい【イベント:人生を豊かにする本5冊】

マックのポテトは塩気が多すぎるから、気持ち塩を落としたりしてるけど、そもそもL頼んでる時点で無意味な出版プロデ...

おじやと雑炊の違いがよく分かってないタイプの出版プロデューサー西浦です。でも雑炊派。

編集者さんたちと飲んでいて「西浦さん目線で見て、良い営業の条件ってなんですか?」と聞かれると「本を自分ごとにできる人ですね」と答えることにしています。

営業って自分で本を作るわけじゃないので、「特定の1冊」に対して熱意を持ちづらく、「Aが売れなくてもBが売れればよし」となるし、逆にAをベストセラーにしても「自分がやったから売れた」と思いづらいのです。

その一方で編集者から「あの本は〇〇さんが育ててくれたんだよね」と言われる営業がいることも確かです。そんな後者の営業さん「営業エース」の生態に迫ります。

この記事の前編はこちら

数字は結果であり、前提条件は刻一刻と変化している

前回の記事で「データで判断するのには一つ落とし穴がある」とお伝えしました。データはあくまで「過去の数字」だからですね。なぜ過去のことであるデータは危険なのでしょう?

過去に10万部売れた本でも時代が変わっていて、もう5万部しか売れないかもしれない。そもそもその10万部の裏では当時の営業担当がいろいろ仕掛けた可能性があります。じゃあ、こちらもいろいろ仕掛けてはじめて同じ土俵に立てるわけで、そういう数字の背景まで読めないとダメなのです。同じことをやってもうまくいくとも限りませんしね(なんせ過去だから!)

また「女性向けの本はAの店で売れれば全国に広がる」というような経験知は貴重ですが、その店の客層は毎年少しずつ変わります。マンションが出来て若い夫婦が増えたと思ったら子供が出来て、児童書や教育書が売れるようになって・・・市場は常に変化しているし、書店サイドも品揃えを変えていきます。

10年前は今みたいに「ビジネス×健康」という書籍は全然売れなかったんです。マラソンが流行りだした頃にいろいろチェックしましたがみんなダメでした。けど今は瞑想とか休息とか「ビジ×健」は市場側が「あり」に変化しましたよね。

営業エースは数字の背景まで見る

まずは全体の傾向をつかむために数字を大きく見ます。www(POSデータの一種。対象書店数が一番多く、全国の中小規模店がたくさん入ってる)で、まず「売れ数、返品数、在庫数、消化率」を見ます。

次いで点だけでなく線で見ます、つまり1週間、2週間、3週間での変化を追うのです。ここまではふつうの営業でも見ますが、その数字を見て「売れてるから良い」とか「売れてないからダメ」では背景まで見れているとは言えません。

「営業エース」は全体から傾向をつかみ、最終的には1店舗の1つの売り場まで分析の目を落とし込んでいきます。あくまでデータは利用するものだからです。

 

背景を見るのは「問いを立てる力」

背景を見るというのは「なぜ売れているのか」「なぜ売れてないか」の仮説を立ててデータを見て、現場で確認することです。

初速(発売後1週間の売れ行き)が悪くても2週目が伸びてれば「棚前で動き始めた」のかもしれないので、在庫数5前後の店に絞って売れ行きを再度分析します。真のベストセラーは棚前から動くことが多いので見込みありますよね。営業エースは「みんなが気づかない兆し」に気づきます。

逆に順調に来てたのに3週目で下がったとしても、時間の経過で市場在庫数が減っているわけで「在庫当たり消化数」とか「5冊以上在庫している店=平積みしている店」を分母に置き換えて状況を正しくつかみます。実質的に平積みが減ってるわけですから、その分は差っ引いてあげないといけないのです。営業エースはみんなが『売れなくなったね』と言い出す頃に『なぜ数字が落ちているか』説明できます(「数字が落ちた」と「売れなくなった」は別のことなのです)

何冊売れたかより、どのように売れたか

まだ学研の販売部にいたころ、後輩から『POSデータって何を見たらいいんですか?』と聞かれたので、そのときも『数字の背景を見ると良いよ』と伝えました。

例えば「売上5返品4在庫1」というデータは、その店で「10冊入荷して、5冊売れて、4冊返品されて、1冊残っている」ということです。これを見て「消化率50%、返品率40%、在庫率10%」というのは誰でも分かります。大切なのは数字の背景、「どのように売れて、どのように返品されたか」です。

担当の方がエンド台で置いてくれたけど売れなくて、マーケティングの棚に置いたけどいまいちで、「マーケって言ってたけど営業の方が合うかも?」と営業の棚に変えてくれたらちょっと売れて、POP書いたりもしてくれたけど、でも動き鈍いから『ごめん西浦さん!』って返品されたのか。

アルバイトの子が新刊搬入時に出すの忘れてて、1週間後にとりあえず5冊平積みされて、それがすぐ売れたのに追加で出すの忘れてて、ちょうど棚卸の時期なので返品なのか。数字は同じですけど、この二つの背景は全く違います。

前者ならしょうがない、むしろ感謝しかないですね。ここまでやってくれたのに売れなかったら、むしろ申し訳ない気持ちでいっぱいです。後者なら何かやりようがあったかもしれない。そしてそれは現場に足を運ばないと手に入らない情報なのです。

10万部は1冊1冊の積み重ね

10万部売れた本であれ、100万部売れた本であれ、それは10万部、100万部が「まとまり」で売れたわけではなく、1冊1冊が売れた積み重ねとして到達したわけです。その1冊1冊を売ってくれた書店さんがいて、現場で「どのように」仕掛けると売れるか(逆に売れないか)を知らないと、自分たちで10万部100万部を生み出せません

営業エースは「数字の背景まで見る」「背景を見るとは、仮説を立ててデータを見て、現場で確認すること」と書きました。数字はあくまで数字です。「売れた、売れない」ではなく「なぜ売れたか」「なぜ売れないか」という背景を理解する必要があります。彼らは常に「なぜ?」と「どうやって?」を問い続けています。なぜならその本が「自分ごと」になっているからです。だからエースなのだと思います。

あなたが著者、あるいは編集者で「この人は営業エースなのかな?」と思ったら、人当たりの良さとか、自分の企画について肯定的かとかではなく「なぜ?」「どうやって?」の仮説を持っているかどうか聞いてみると良いでしょう。仮説はあくまで仮説なので「正解」は存在しないし、たまたま「この本の現在の正解」に到達することはあっても、すべての本の正解はないです。正解を出す力ではなく、仮説を立てて、それを実行できる力が営業エースの力なのだと思います。


営業の話を書きだしたらネタがどんどん出てきて、逆にとっ散らかってきたので、今回は「データと営業エース」の話だけにまとめました。また別の視点から営業エースの話を書いてみたいと思います。「組織と営業エース」「書店さんと営業エース」「編集と営業エース」「営業エースをこうやって味方につけろ」などなど。書きたいことがたくさんあります。ご期待頂けると嬉しいです。

ベストセラーの仕掛け人「営業エース」を探せ 2/2

おじやと雑炊の違いがよく分かってないタイプの出版プロデューサー西浦です。でも雑炊派。 編集者さんたちと飲んでい...

どうも、炒飯大好き出版プロデューサーの西浦です。

今でこそ出版プロデューサーをしていますが、それ以前は学研という出版社で書籍のマーケティングをしていました。つまり営業畑の人間なんです。だから「売れるかどうか」には敏感だし「どう売るか」から逆算してプロデュースをしていきます。

さてベストセラーと言うと編集者にライトが当たりがちですし、たしかにその役割は非常に大きいのですが、実はその裏で「営業」がものすごく活躍しているのです。今回は元営業だからわかる「営業エースの重要性」について書いてみます。

書籍のマーケティングってどんな仕事?

出版社によって営業のやり方は全然違うのですが、僕がやっていた仕事を簡単に言うと「販売方法の決定」と「書店営業部との交渉」「増刷の判断」の3つです。これサザエさんの次回予告ならぜったい観たくない。いや、むしろ観たいか。

ちなみに書店営業部はすごくザックリいうと、直接書店さんと交渉しているチームで、いわゆるザ・営業って感じの部門です。学研をはじめ社員数の多い会社だと、営業部門が「営業・マーケ・PR」と複雑化していく傾向にありますが、書店営業部は、ほぼすべての出版社にある「基本」かつ「重要」な部門です。

編集者が制作チームのリーダーなら、マーケティング部は販売チームのリーダーだと思ってください。僕は書店営業部もマーケティング部も経験したのでわかるのですが、「ベストセラー」を目指すうえで「営業エース」を見つけることが非常に重要なのです。

営業部は数字で動く

本をつくるのは編集、育てるのは営業と言われます。発売後にどこの書店さんで平積みしてもらうか考えて交渉に行くのも営業だし、売れ行き等を分析して「増刷の判断」をするのも営業だからです。どんな名作も、書店で置いてもらえないと売れません。ではどうやって営業は売り方を決めているのでしょう?

それは数字と勘(経験知)です。営業は売上や利益を生み出す部署なので、基本的に数字で判断し動きます「売れている本」に広告とか受注とかパワーを集中させた方が効果的なので、「データで判断」して「重点商品」を選定します。そしてこの「重点商品」は新刊既刊含めて5点程度なのです。(出版点数と営業の人数の多い学研でも一般書、学習参考書、児童書などジャンルごとに各7~10くらい。)

つまりほんの一握りの本しか営業の力を借りられないのです。怖いですね~、出版しても出しっぱなし、売れなくなって返品されて記憶から消えていく本がほとんどです。営業としてもできることなら全部の本を売りたいし、大変心苦しいのですが「選択と集中」戦略の下に、心を鬼にして見捨てていきます営業は本の屍の上にベストセラーを築くファイターなのです。

仮に今、サンマーク出版の重点商品に入るなら

当然のことですが、自分が出版するなら屍の方じゃなくて、「重点商品」の方に入りたいですよね。重点商品に入れるかどうかは、売れ行きの良さで判断されるわけですが、これが結構ハードル高いのです。例えば2017年2月9日現在のサンマーク出版でベスト5入りを目指すとしましょう。

例えば

  1. 『金スマ』『嵐にしやがれ』などでも紹介100万部突破の「どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法」
  2. 本屋大賞2017ノミネート!35万部突破の「コーヒーが冷めないうちに」
  3. 25万部「成功している人は、なぜ神社に行くのか?」
  4. TBS「ジョブチューン 」に著者出演し話題に!17.5万部「血流がすべて解決する」
  5. 10歳の哲学者!17万部「見てる、知ってる、考えてる」

ざっと見ただけでこれだけ売れてる本があります。さらにロングセラーの「生き方」(稲盛和夫:著)や、「人生がときめく片づけの魔法」シリーズなど既刊でもまだまだ売れてるものがたくさんあります。ここで、新聞広告を打つとなっても「2枠」しかなかったり、伝家の宝刀JR広告も3枠、4枠です。その枠に入れるのか?という話です。

これはかなり厳しい・・・ですがその時に頼りになるのが「営業エース」です。

数字に支配されない営業エース

営業は基本的に数字と経験で動くと書きましたが、できる営業にはクリエイティブな面があります。彼らは数字を利用するし信用しますが、数字そのものをつくる意識があります。

実は、データで判断するのは間違いがないように思いますが、一つ落とし穴があるのです。それはデータは「過去のこと」だということです。過去に「発売1週間でこれくらい売れた本は5万部まで売れた」ので今回も5万部売れるだろう。www(POSデータの一つ)で2週間の消化率16%だから厳しい・・・などなど。たしかにそれは統計上正しい予測ですが、未来の数字に対するアクションがないのです。

この本は20万部売れる!と思ったら「どうやって20万部売るか?」を逆算して動いていくべきだし、ある書店で消化率が悪いなら直接足を運んで「ここじゃなくて、あっちの売り場なら動くかも?」といった、未来をつくる「クリエイティブ」な提案をしていける人こそが「営業エース」です。数字に従うのではなく、数字を利用し、数字をつくっていく人です。

同じ本でもPOP1枚で売れ行きが大きく変わることがあります。積んでもらう場所、積み方、隣に置かれた本・・・あらゆる条件が店頭での売れ行きに影響します。そこを攻め続けられる人たちこそが営業エースです。

続きはこちら

ベストセラーの仕掛け人「営業エース」を探せ 1/2

どうも、炒飯大好き出版プロデューサーの西浦です。 今でこそ出版プロデューサーをしていますが、それ以前は学研とい...

ミスタードーナツの誘惑に勝てる率3%の出版プロデューサー西浦です。

セルフイメージという言葉があります。「自分のことをどんな人間だと思っているか」というような意味で「自己認識」と言い換えても良いと思います。主に自己啓発業界でメジャーな言葉で、やれ「セルフイメージが高い」だの、逆に「セルフイメージが低い」だの「セルフイメージが高いから成功してる」とか「セルフイメージと年収は比例する」とか「セルフイメージが低いからチャレンジできない」とか「セルフイメージを上げないと」とか「セルフイメージが低い人と一緒にいるとオーラが下がる」とか『セルフセルフうるせぇ!!!!』って言いたくなります。どうぞドリンクバー行ってきてください!この言葉ほんと多用されすぎで、営業系・人材系業界の「人間力」やちょっと自分面白いでしょ業界の「シュール」くらい使われてます。

と、個人的な魂の叫びは置いておいて、「セルフイメージ」は基本的に「高い」方が良いとされてます。が、僕は高いだけだとかえって邪魔で「シンクロ率も大事だよね」と思っています。

セルフイメージは考え方、行動に影響する

セルフイメージという言葉に馴染みのない方へ(それでなんの問題もないです)簡単に説明しますね。例えばあなたが「自分は算数が苦手だ」という「セルフイメージ」を持っている学生だとすると、算数を苦手なものとして授業も「理解できなくて当然」として聞いたり(先生からも消極的と映る)、テストも「良い点とれるわけがない」と思ってあまり努力せず、その結果たとえば「43点」をとって『やっぱね、赤点ギリギリ。算数苦手だわ』と、より「算数苦手」というセルフイメージを固定化していくことになります。

逆に「自分は算数が得意だ」というセルフイメージを持っていると、授業も「理解できて当然」だと思うので、そんな自分が理解できないところが出てきたら「それはおかしいこと」なので授業中に質問したり、わかるようになるまで参考書を解いたりします(周りからも積極的と映る)。テストでも「算数は得意だから高得点狙おう!」と思っているのでちゃんと準備し、結果たとえば「92点」をとって『よし!さすが自分、次は100点いけるかも?」とより「算数が得意」というセルフイメージを固定化していきます。

セルフイメージと算数テスト

ここで、セルフイメージを固定化・定着させているのが「テストの点」です。算数のセルフイメージが低い人と高い人が、二人にとってイレギュラーな「70点」という点数を取った場合、セルフイメージが低い人は「たまたまだから!そんなわけないから」と受け入れず、次回以降のテストで低い点を取って安心します。逆にセルフイメージが高い人は「これはおかしい!ちゃんと試験準備しなかったからだ」とこちらも現実を受け入れず、次回以降のテストではより頑張って、高得点を取って安心します。

でも70点取ったというのは事実なので二人とも「そのテスト範囲の単元は70%理解できている」ということなのです。70点を高得点と思うか、低い点と思うかはそれぞれのセルフイメージ次第という面白い例ですよね。良いも悪いも70点は70点なのに。セルフイメージが低い方も「どうも算数の中でも二次関数は得意らしい」とか高い方も「文章題になると、間違いやすい」と正確に受け取った方がプラスになるのになぁと思っています。

現実がセルフイメージを書き換える

こう書くとやはりセルフイメージは高い方が良いと思うし、実際そうです。高い人は高く維持できるよう努力しますからね。でも、あくまでセルフイメージなんて「イメージでしかない」から、目の前の現実からも影響を受けます。ずっと現実を見続けると、セルフイメージが変化していくのです。

頭の良い人たちが集まる進学校に進めば、今まで学年トップ10だった人が、トップ100くらいになったり、スポーツ強豪校に行けば、今までレギュラーだった部活で「2軍落ち」して自分のセルフイメージを下げることになります。これが1年、2年、3年続けば得意が苦手になり、好きが嫌いになり、夢と現実を知るわけです。自分の実力は変わらず周りが上がっただけなのに、自分が低いと認識が変わります。

テストや運動の話だけに限らず、あらゆるジャンルにセルフイメージとその固定化を促す環境があります。体重とか年収とか、友達の人数とか数値化しやすいものはイメージの固定化がされやすいです。「いいね!」の数もそうです。さすがの僕も体重計に乗ったときに「アイドルは無理だな」と認識しました。これらは他人と比較しやすく、上下や順位を突き付けます。

セルフイメージを重視する人はセルフイメージが無意識、潜在意識下にあるから、現実よりパワーが大きいと思っています。確かにそういう見方もできます。しかし潜在意識が現実に影響を与えるように(算数が苦手だから授業をテキトーに聴いたり、70点とっても「たまたま」と思ったり)、現実もまた潜在意識に影響を与えます。そこを無視してはいけません。結果、セルフイメージと現実は良くも悪くもシンクロしていきます。

イメージと現実とのギャップを埋める方法

僕はセルフイメージと現実とのギャップを「シンクロ率」という指標で捉えています。自分は算数が得意だ、テストでは毎回90点くらいだと思ってて、実際に90点取る人のシンクロ率は「100%」です。自分は器械体操が苦手だ、逆上がりが出来ないと思って、実際に逆上がりが出来ない人のシンクロ率も「100%」です。高い低いに関係なく、イメージと現実との一致率です。自己認識と、認識している世界がシンクロしている人は、思った通りの世界になっているので安心です。ではシンクロ率が低いとどうなるのでしょう?

シンクロ率が低いと、かなり苦しいので、そのギャップを埋めようとします。現実と向き合いつつ、イメージの方を変えたりもします。新入社員が、入社前に持っていた根拠ない自信がすべて折られて、自分の小ささを受け入れていくステップです。「今の自分(=活躍できない自分)を受け入れよう」としつつ、少しずつ仕事を覚えていく過程ですね。あるいは現実がセルフイメージに追いつくまで、行動し続けられる「セルフイメージが強い」人もOKです。「本来の自分はもっともっと上にいる!」と信じてその1点から照準をずらさず、それを現実化するまで今のギャップに耐えうる精神力の持ち主です。そういう人がいわゆる「思考を現実化」していく人たちだと思うので。

問題はセルフイメージと現実とのギャップを代替物で埋めようとする人です。これが厄介なのです。

ギャップを「代わりのもの」で埋めるのは危険

「自分は仕事ができるというセルフイメージ」があるのに「目の前の現実ではうまくいっていない」とき、現実をちゃんと見て、分析して、行動して少しずつ良くしていくのではなく、例えば「SNSの中でキラキラしてる自分をPRする」ことでSNSという世界で「シンクロ率」を上げようとします。ほら、親友っていう言葉を多用する人の方が、実際は親友と呼べる友人いないじゃないですか。あのパターンです。自由を良しとするのは本当に自由ではないからだし(「僕は勉強ができない」より)、儲かっている人は儲かっていると見られないようにしているし(お金目当ての人が寄ってくるのが嫌)、親友がいる人は親友という呼び方にこだわってはいないはずです(「あいつと自分」という関係が唯一無二過ぎて、親友などと呼ぶとかえって違和感があるというか、『友達でいいじゃんねぇ?』となる)(それこそ千差万別で「親友と呼び合う人」もいるでしょうから一概に言えないんですけど)。

こういった代替物の例は他にもありまして、実はその一つが「本」になることがあるのです。

本を「自分の欠如を満たす道具」にしない

ある著者と話していて企画の話をしているのに、どうしても自分の「親」の話になってしまう方がいました。『企画の話をしているのに、読者じゃなくて親の話になるのはおかしいですよ。親御さんに買ってもらう本ではないでしょう?』と言ったらすごくハッとして『本当にそうですね・・・』と考え込んでいらっしゃいました。その方は自分の親に認めて欲しい、あるいは解放されたいという願い(親に認められた自分、親から解放された自分というセルフイメージ)があったのですが、おそらく現実はそうなっていなかったのでしょう。そのギャップに苦しみ、シンクロ率を上げるために「本を書く」ということをしようとしたのです。本を書くことで認められるとか、本を書くことで解放されると思っていたのです。

セルフイメージの高さとシンクロ率の高さ

シンクロ率が高い(現実とセルフイメージが一致している)ときに本を書かないと、本が代替物になってしまう可能性があります。文頭でも書いたように自己啓発業界では「セルフイメージが高い方が良い」とすることが多いですが、そのせいでシンクロ率が下がると「自分のために」本を書くことになります。年収2000万でも満足する人がいれば、5000万でも「まだ1億じゃない!」と満足しない人もいます。セルフイメージは後者の方が高いのかもしれませんが、前者のように「満足して周りに感謝している段階」に至らないと、自己実現、他者貢献の意識で本を書けません。シンクロ率が高いのであれば、僕もセルフイメージが高い人の方がすごいと思うし、好きなのでぜひとも仕事したいです。ですがセルフイメージばっかり高くて、シンクロ率が低いと「本当のところは自信がないのかな」と感じてちょっと不安です。その不安を解消するための本を、無意識で書いてしまいそうだからです。そんなの読者からすればいい迷惑ですよね。自分のために書かれた本は、読者に届かず結果として、やっぱり売れません。

出版で求められるのはセルフイメージではなく実績です。何をしたか?という事実なので、シンクロ率の方が大事だと思います。セルフイメージが高くないかも?ということはあまり不安に思わなくて大丈夫ですよ。

出版でベストセラーを目指すならセルフイメージの高さだけでなく「シンクロ率」も考えてみてください。

 

なんだかこの記事を読んでいると、さぞかし僕がセルフイメージも、シンクロ率も高いように思えてきますが・・・全然そんなことはありません。今でもシンクロ率が低く、現実とのギャップに苦しんでいます。だからたぶんこの記事を読んでくださった大部分の方と同じような気持ちです。それにシンクロ率が100%になってしまうと、発展や進化がないので、ある程度はギャップがあった方が精神的に健全だと思っています。

 

出版したいならセルフイメージの「シンクロ率」をあげよう

ミスタードーナツの誘惑に勝てる率3%の出版プロデューサー西浦です。 セルフイメージという言葉があります。「自分...