【書評】ビジョナリーカンパニー【一貫した理念の徹底が偉大な企業をつくる】

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先日のイベント出版プロデューサーがお勧めする 「人生を豊かにする本5冊」& 「自分にぴったりな本の見つけ方」用に名著のプレゼン準備をしていたのですが、残念ながら時間の関係もありすべての本を紹介はできませんでした。けど「ビジョナリーカンパニー」本当に役立つと思うし、読み返すのにもけっこう気合がいる本だから「おすすめの本」として、ここでご紹介しておきます。

目次

どんな本なのか

ジェームズ・C・コリンズとジェリー・I・ボラスによる共著。なお続編の日本語版では、ジェームズは「ジム・コリンズ」で統一されてますが同一人物です。本書は全世界で350万部というメガヒット書籍で、さらに続編の「ビジョナリー・カンパニー2」は400万部という第二弾の方がさらに売れたなんだかすごすぎる本。ビジネス書界隈では名著として知られ、税理士の友人は「すばらしいなと思う社長さんの本棚にはたいてい置いてある」と言ってました。多くのビジネス書著者たちも口をそろえてお勧めしていて、その場合も2を特に良いという人が多い気がします。

1作目からシリーズ4まですべて読んでみて思うのは、1も2もそれぞれ面白く、個人的にはちゃんと1を読んだうえで2を読むのが余すところなく楽しめて良いと思っています。なぜなら1が企業を組織論からアプローチしている部分が多い一方で、2は人に注目してアプローチする傾向にあるからです。

ビジョナリーカンパニーとは

ひとことで言うと「永続する偉大な企業」のことです。

  • 業界で卓越した企業
  • 広く尊敬されている
  • この世界に消えることのない足跡を残している
  • 五十年を超える歴史がある
  • CEOが世代交代している
  • 製品やサービスのライフ・サイクルをいくつか繰り返している。

という条件を満たしている会社です。たまたまカリスマが経営してたとか、すんごいヒット作に恵まれたからではなく「偉大さを長く継続している」会社ということですね。面白いのは「設立時に必ずしも具体的なアイデアを必要とせず、カリスマ的指導者も必要としない」としているところで、むしろカリスマの存在は長期的にはマイナスとさえ言ってます。本書を通じて「カリスマとか商品じゃなくて、組織そのものの強さを探ろう」としています。この本ではビジョナリーカンパニーの特徴と、どうすればビジョナリーカンパニーになれるかを書いていますが、ひとことで言うと「基本理念を持ち、それを会社のあらゆるところで徹底して取り入れて実践し続けるとビジョナリーカンパニーになれる」そうです。

ビジョナリーカンパニーの特徴

単なるカネ儲けを超えた基本的価値観や目的といった「基本理念」を、利益の追求と同じように大切に深く信じています。つまり利益のみを目的にはせず、利益は手段ですよとしているのですね。この基本理念の「徹底ぶり」が重要で、ほとんど信仰に近いほどの情熱で、カルトのような文化が生まれます。ですので基本理念に合う者にとってはすばらしい職場ですが、合わないものは病原菌か何かのように追い払われ、その中間はありません。この「合わない人間はいる必要なし!」スタイルは続編の2でもかなり大きく扱われていて、偉大な企業にしたければ「合う人と一緒に働く」ことが重要なのだと感じます。ここで言う「合う人」というのが社長にこびへつらう人ではなく、「理念に」合う人であるのがポイントですね。僕自身、出版プロデューサー仲間を増やしていこうと思っていますが、やはりこの「理念に合う人」論に大賛成です。

その理念に忠実な人を集め、育てる文化のおかげで、ビジョナリーカンパニーではきわめて有能な経営者を育成し、昇進させる能力が高いです。何代にもわたって優秀な経営者が続き、経営の継続性(理念の継続)が保たれます。

 

そしてもう一つ印象的なのが「ANDの才能」です。安定か前進か、集団としての文化か個人の自主性か、生え抜きの経営陣か根本的な変化か、保守的なやり方か社運を賭けた大胆な目標か、利益の追求か価値観と目的の尊重か、といった二者択一(ORの抑圧)を拒否して、両方を実現するのが特徴です。いわゆるバランスを取る、妥協点を探るようなことではありません。

基本理念の作り方

ビジョナリー・カンパニーを築くには、基本理念を文書にすることが重要です。紙に書くだけではダメなんだけど、それでもまずはそこから始めます。

基本理念=基本的価値観+目的 です。

基本的価値観=組織にとって不可欠で不変の主義。鋭く短い言葉でたいていは三つから六つ。それ以上になる場合は、それによって不利益を被るようになったとしても、百年間にわたって守り続けていくべきものはどれか。を自問する(要は削れということ)。利益の追求や目先の事情のために曲げないものです。

目的=単なるカネ儲けを超えた会社の根本的な存在理由。個々の目標や事業戦略と混同してはならない。基本的価値観の場合と同じで、ポイントは本物であることであって、独自性ではない。

ということで、3~5の価値観を選び、十分に吟味して、目的を明確に文書化。それを基本理念として共有しましょう。とはいえ一つ気になるところがあると思います。『よくある話じゃない?』『うちの会社もなんかそういう言葉あるけど、覚えてない』『お題目になってて、日ごろ全然意識しない』という感想です。僕自身そう思います。

ここで大切になるのが基本理念の「徹底」なのだと感じます。採用・育成方針、評価制度、会社の目標・戦略・戦術・組織設計などで徹底して基本理念との一貫性を持たせるのです。基本理念を理由に出世したり、給与が増えたりさせることで「あ、本気なんだ」と従業員に伝えねばならないと思います。これが「時計を作る考え方」でしょう。

 

基本理念を維持し、進歩を促す

基本理念を維持し、かつ進歩を促す具体的な仕組みが大切です。継続性と変化の両方を実現するシステムです(ANDの才能)。

具体的には5つのカテゴリーが存在します。

  • 社運をかけた大胆な目標(BHAG)―リスクが高い目標やプロジェクトに大胆に挑戦(進歩を促す)
  • カルトのような文化―すばらしい職場だと言えるのは、基本理念を信奉している者だけであり、基本理念に合わないものは病原菌か何かのように追い払われる。(基本理念を維持する)
  • 大量のものを試して、うまくいったものを残す―多くの場合、計画も方向性もないままに、さまざまな行動を起こし、なんでも実験することによって、予想しない新しい進歩が生まれ、ビジョナリー・カンパニーに、種の進化に似た発展の過程をたどる活力を与える(進歩を促す)
  • 生え抜きの経営陣―社内の人材を登用し、基本理念い忠実な者だけが経営幹部の座を手に入れる(基本理念を維持する)
  • 決して満足しない―徹底した改善に絶え間なく取り組み、未来に向かって、永遠に前進し続ける。(進歩を促す)

 

「ビジョナリーカンパニー」を活かす

起業はもちろん、ボランティア団体、業界の勉強会、イベントチームなど「組織」をつくるときに、参加する人それぞれに狙いとか望みが違うことって多いですよね。しかもたいていは口にしている動機と、実際の行動が矛盾している人も多くて、イライラする(個人的なグチですいません・・・)。期間限定のプロジェクトチームなら我慢すればいいのですが、長く一緒にやって行くなら「人間関係のストレス」は解消したいですよね。ただその時に「あいつは合わない」とか「やる気が感じられん」というような理由で集団から人を排除してると、ただの私怨のようにも感じるし、自分のフォローが足りないからか?など悩ましく、結局はみんなイライラしながら我慢し続けているのではないでしょうか。そんなとき、本書の「基本理念」を軸に整理して、制度も徹底すれば、ストレスも少なく、そもそも合わない人は来なくなるだろうと思いました。最初に理念を伝えれば、相手も覚悟しますからね。揉めても「理念に立ち返る」ことで当初望んだ姿に立ち返ることができると思います。大切なことを見失わず、素晴らしいチームワークの中で仕事するために「基本理念」を大事にしたいと思います。

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