人は伝え方より、接し方。本は書き方より、向き合い方を大事にしたい。1/2

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「最近の若い子は、たいてい依存先の分散をやってますよ」と以前、20代前半の友人に教えてもらったことがあります。これは実は投資の話じゃなくて対人関係の話なんです。

例えば1つのコミュニティとだけ深く付き合いすぎると、そこが何かでダメになった時に怖いから人間関係をいくつも分散しておく。そうすると精神的に安定していられるそうです。

「ただ、本当に深い関係じゃないように感じて、さみしくなる時もありますけどね」とも言ってました。

「ぼっちメシ」なんて言葉が生まれるくらい「独り」であることに敏感な世代です。深い少数の関係より、浅くても多様な関係にリスクを分散するという方法をとり、そのせいでより寂しくなってるように感じるのも業が深いなと思いました。

年齢や世代によって感じ方は違っても、彼らのことを笑える人はいないのではないでしょうか。たぶん人間関係に悩んだことがない人なんていないのでは?

そしてこの「人間関係」こそ、本のマーケットでも一番大きなものの一つなのです。

本のマーケットでも一番大きな悩みは「人間関係」

 

多くの人が悩んだり苦しんでいることに「こうすればいいんじゃないかな!」という新しい旗を立ててあげること。

それが出版の仕事だと僕は考えています。

これらの悩みの中で、特に多くの人が苦しめられているのが「人間関係」じゃないでしょうか。

この悩みは若いころだけかと思ったら、年齢を重ねるごとに違う種類の大変さが生まれてきて、人間関係というやつはより複雑系になってきた気がします。特に会社における人間関係ってある意味では学校より大変ですよね。

「〇〇ハラスメント」に気をつけつつ、でも会社と社員との間のエンゲージメントを高めていかないといけない。

人間関係に仕事やら成果やら給料、やりがいまで乗っかってきますから、リーダーに限らず若手もベテランもみんな大変だなと思います。

上司と部下の面談が逆効果になる背景

先日、人事の方が集まる勉強会に参加させてもらいました。その懇親会で人事の方と飲みながら「1 on 1ミーティング」の話になったのですが、その効果は認めるものの実際の運用については悩んでおられるようでした。

ちなみにこの「1 on 1ミーティング」というのは簡単に言うと上司と部下が1対1でする面談です。定期的に(週1とか?)、上司は部下の話を聴くだけ、評価も批判もしない。といったルールがあります。通常の評価面談や仕事のMTGと違って「評価」軸で話さず、部下のプライベートな領域を引き出すことを目指します。そうすることで部下と会社とのエンゲージメントを高めようと言うのが狙いです。

実際に運用すると現場からは「時間がない」「話すことがない」と意見がでて、結局この会社では「月に1度5分で良いから!」というところに落ち着いているようです。

 

効果のあるノウハウが、現場でうまく運用されない理由

ただ、なんとなく上司の方たちのリアクションも分かる気はするんです。

「忙しいのに仕事以外の話なんてしてられっかよ!」って感じだろうし、部下の側でも「このくそ忙しいときに」って同じように思ってるんじゃないかなと考えたりして、なおさらバカバカしくなります。

結果として「なんか会社から言われてるからやるけど、こっちも忙しいし、形だけやっとこう」っていう空気にななっちゃうのでしょうね。上司なりに会社にも部下にも忖度したつもりが、部下からすれば「じゃあやめさせてくれよ」「そう思うなら会社側を説得してくれよ、これだからダメ上司って言われるんだよ」と逆効果です。もちろん会社側からも「イヤイヤやってる」だけだから評価しづらい。

結局のところ、やり方だけ変えてもダメなんじゃないかなと思うんです。

人間関係の本って「伝え方」を書きますし、実際に「行動に移す」ためには伝え方が必要になるのでそれは大事です。しかしそれ以上に「接し方」の部分が変わってないとただのテクニック論に終始して、哲学のないハリボテになってしまいます。

人間関係なら「接し方」の部分、つまり哲学こそ、具体的に書くべきじゃないでしょうか?

 

仕事や睡眠と同じように、人間関係の時間を確保する

弊社でもスタッフとは月に1回「1 on 1ミーティング」をしています。インターン生も全員です。けっこう時間的にきついです。

でもきつい=コストが大きいからこそ自分のスタンス、人との接し方が明確になった気がしました。

つまり人間関係に「時間というリソース」の意識を導入したことで、「人間関係は仕事や睡眠と同じように時間を確保するもの」というスタンスが明確になったんです。

今まで自分はけっこう「成り行き」で人間関係をつくり、維持してきました。

学校のクラスとか塾とか同じコミュニティに属した人と友達になり、そのコミュニティを卒業後に「それでも続く人、時間の流れを生き残った関係があれば良い」という「時の試練に耐えた本は名著」みたいな理論を人間関係にも適用してきたんですね(笑)

その結果それでも残る友人はかなり強い絆があって、冒頭の話で言うとすごく依存度の高い相手が残ります。

こういうタイプの人って、僕以外にもいるとは思うんですが、これは「流れに任せすぎ」とも言えます。

自分のキャリアや健康をデザインするように、人間関係も自分でもっと能動的に作っていっていいんじゃないか?

つまり、仕事時間や睡眠時間を確保するならば、人間関係の時間もちゃんと人生に確保しましょうということです。

あなたは「相手と構築したい関係にふさわしいだけの時間」を意識して確保できていますか?

 

 

長くなったので続きはその2へ

 

増刷率90% 平均部数48,000部の出版プロデューサー。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(22万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

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Written by

西浦 孝次

増刷率90%。平均部数44,000部。 「血流がすべて解決する」(18万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をベストセラーにプロデュースするのが得意。 おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。好きな食べ物は炒飯。