「不安がある」って、本を出すのにすごくいい状態

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「本を出版することに不安がある」

つい先日、著者からそんなメッセージをもらいました。

とてもプライベートなことも含まれていたので詳細は書けませんが、そのメッセージを読んで「本当に著者に向いてる人だなぁ」と思いました。

不安を抱くということに対して「臆病」だとか「本気じゃないのかも」と思わなくていいですよって話です。

 

不安は良い出版における必要条件

著者が送ってくれたメッセージを意訳すると「自分の仕事は華やかではない。むしろ黒子に徹して、いかにお客さんを輝かせるかにフォーカスする仕事。あくまで主役はお客さんなので、自分が主役になるのはすごく苦手。アピール力もないし、本が売れる自信がない」ということでした。

実はこの、「本を出版することに関して自信を持てない」というのはすごく大事な通過儀礼なのです。

 

はじめてやることに不安があるのは当然です。

しかも今は出版不況と言われ、基本的に本は売れないとされている時代です。

さらに畳みかけるように、西浦という出版プロデューサーからは

「出版は今までの積み重ねがすべてですよ」

「売るための準備が大事です、何もしなかったら絶対売れません」

「売れない本は、困ってる読者に届かないから意味がないですね」

「本を売るのは著者です」

「早ければ発売1週間で勝負ついちゃうんですよ」

 

と会うたびに脅されているのですから、ビビらない方がおかしい(笑)

 

むしろ不安になるのは「読者に届けられるよう『自分が』やらなくてはならない」と真摯に考えているからで「まあ、できる範囲でやればいいか」と軽く考えていない証拠です。

「俺は本を出して有名なるんだ!本が売れまくったらどうしよう♫印税いくらもらえるんだろう?」

とのん気な人はあまりに危機感がないかなと感じます。

 

中にはこういう緊張感や不安も笑顔で乗り切る、心臓に毛が生えたタイプもいますが、それはごく一部だと思います。

本来はこの不安を感じないで出版なんて目指すべきではないのです。

良い企画は自分でも不安になるくらいインパクトがある

ちょっと本筋からはズレますが、この「著者の不安」というのは個人的には吉兆としてとらえています。

良い企画ができると著者というのは少し不安になるものなんです。

「ここまで情報を出しちゃっていいのか」とか

「こんなこと言っちゃって同業者から反感を買うんじゃ」とか

つまり、自分や類書の「コンフォートゾーン」から飛び出る企画になっているから不安になるんですね。

逆にいうと不安がない本は「ふつう」というか、予定調和の範囲内なので、新規性やインパクトに欠けているのです。

 

主役は読者

著者が送ってくれたメッセージには「自分の仕事は華やかではない、むしろ黒子に徹していかにお客さんを輝かせるかにフォーカスする仕事。あくまで主役はお客さん」だから、著者になるのに向いていないかも?ということも書かれていました。

むしろ僕は「だからいいんですよ!」とお答えしたんですね。

たしかに自分は主役じゃなくて、目立たない仕事という人の方が多いと思うのです。お客さんが目立つ、お客さんを輝かせるのが仕事だというような。

でも、そういう意味では著者も主役ではないと思うんですよ。多くの仕事で、お客さんが主役であるように、出版でも読者が主役なんです。

そこで自分が主役になっちゃう人の本は、どうしても読者を置いてけぼりにしてしまって「オレすごいだろう」っていう自慢のように感じられたりするものですね。

 

『自分が主役じゃない』という自覚は、僕も今回のやりとりで気づかせてもらったのですが、著者にとって、とても大事な資質なのかもしれません。

 

 

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Written by

西浦 孝次

増刷率90%。平均部数44,000部。 「血流がすべて解決する」(18万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をベストセラーにプロデュースするのが得意。 おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。好きな食べ物は炒飯。