【書評】アイデアのヒント【斬新なアイデアの生みだし方】

インターネットの普及による情報の氾濫。
その中でも、ときどき、私たちは目の覚めるような「斬新なアイデア」に出会うことがあります。
そのような素晴らしいアイデアは一体どのようにして生み出されているのでしょうか。

今回紹介する「アイデアのヒント」は、そんな「斬新なアイデア」の生みだし方を手ほどきしてくれる本です。
日常的にアイデアを出す必要のある人が、どのようにして新しいアイデアを生み出しているかを知ることが出来ます。

どんな本なのか

本書は、アメリカの大手広告代理店で数多くメジャー企業の広告を担当した、ジャック・フォスター氏によるものです。
スズキ、マツダ、ユニバーサルスタジオなどの広告を生み出した著者によって、分かりやすく「アイデアのヒント」がまとめられています。
本書に挙げられているアイデアのひらめき方は、広告に携わる人以外にも、有益なものとなっています。
特に「アイデアを出すのが苦手」という人におすすめしたい本です。

アイデアとは何か

仕事でも日常生活でも、私たちは時々「アイデアを出さなければならない」という状況に陥ります。
この「アイデア」とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。
その問いの答えとして著者が気に入っているとする説明が、
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
というものです。
これは名著「アイデアの作り方」の著者ジェームス・ウェブ・ヤングによるもので、2つの理由から、著者はこの説明を気に入っているとしています。

まずは1つめの理由です。

わたしがこの説明を特に気に入っているのには、二つの理由がある。
第一に、ここにはアイデアを得る方法が明示されている。
アイデアを手に入れるのは、新しい料理のレシピを作るようなものだと教えてくれているのだ。
すでに知っている材料を、これまでとは違った方法で組み合わせるだけ。
アイデアを得るというのは、こんなに単純なことなのだ。
(27ページ 第1章 アイデアって何だろう より引用)

そしてさらに、2つめの理由を次のように述べています。

わたしがヤングの説明を気に入っている第二の理由は、アイデアを得るためのカギだとわたし自身が確信していること、つまり「材料を組み合わせる」という点をずばり突いているからだ。実のところ、わたしがこれまでに読んだアイデアについての本はすべて、組み合わせる、関係づける、並べる、統合する、結合する、といったことに触れていた。
(28ページ 第1章 アイデアって何だろう より引用)

ヤングと著者の説明によると、アイデアを生むために大切なのは、組み合わせの問題と言えそうです。
「アイデアとはゼロから作りだすものではない」と考えるだけで少し気が楽になるのは、きっと私だけではないでしょう。

既存の要素を集める方法

そして著者は、アイデアを出すため必要な「既存の要素」の集め方として、次の2つを挙げています。

  1. 型にはまった生活から抜け出そう
  2. 「見る」ことを学ぼう

新しい情報を得るためには、決まりきった行動から自力で抜け出し、意識して様々なものに目を向けなければならないと本書では述べられています。
そのためには、まず、これまでにしたことがないこと、嫌いなこと、苦手なことをすることで、膠着状態から抜け出せるのだとしています。
さらに既存の要素を集めるためには、漠然と「見る」のではなく、意識して「見る」ことが重要なようです。
そのために、毎日「何か」を見て、ノートなどに記録しておくことを著者は勧めています。

確かに、普段と違う行動を取ると、見慣れたものに対しても思わぬ発見をすることがあります。
それを記録することが、既存の要素を集めることにつながり、アイデアを生むヒントにつなげることが出来るようです。

アイデアが浮かんだあとは

せっかく生み出したのなら、やはりそのアイデアは何かに活かしたいものです。
第14章では、

  • いま始めよう
  • 本気になろう
  • 締め切りを作ろう
  • やるべきことをリストアップしよう
  • アイデアを買ってくれる人がいないなら自分で売り出そう

など、アイデアが浮かんだあとの行動についてのアドバイスが多数掲載されています。

「何もしないのはアイデアがないのと同じ」だと著者は述べています。
確かに、誰にも伝えず、何も変えないのであれば、アイデアを生み出す必要があるとは言えないでしょう。
そして思いついたアイデアを活かすことは、また次のアイデアを生む活力となってくれるかもしれません。

終わりに

アイデアのヒントを手に入れるためには、決まり切った生活から抜け出し、注意深く周囲を見て、それらを根気よく組み合わせていく必要がありそうです。
行動自体の難易度は高くないようですが、日々それを継続していくということは少し難しいようにも感じます。
しかし本書の内容どおり、小さな積み重ねを続けることによって斬新なアイデアを手に入れることが出来るなら、ぜひ試してみたいものです。

(文:朔)