自分らしい文章の書き方は、スタンスを決めるところから始めよう

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引っ越しの荷造りがキライな出版プロデューサー西浦です。荷解きはどんどん部屋が広くなるから楽しいのですが、荷造りはやればやるほど段ボールが積み上がり、生活しづらくなっていくという悲しみしか生まない作業ですね。はぁ。。。

さて、本を書くときに文章の上手い下手は誰しも気になるもの。しかし、案外忘れがちなのが文章の『自分らしさ』です。ぶっちゃけほぼ100%の原稿は、編集さんによってちゃんと「読みやすい文章」にブラッシュアップしてもらえます。だから下手すぎる場合を除いて、そこまで文章の上手い下手は気にしないで大丈夫です。

 

しかし、文章に「自分らしさ」「雰囲気」を練り込むのは、やはり自分の仕事です。(一部、憑依系の編集さんもいますが、これは例外)ですので、自分らしい文章の書き方について考えていきましょう。

 

『自分らしい文章』とは、著者の人柄がにじみ出るような文章ではないでしょうか。場合によってはくだけすぎたり、丁寧すぎたりと「読みにくい」ときもあるが、「あの人らしいなぁ」と感じる文章です。

まだまだ研究中の分野ではありますが、現時点で有効だったり重要だと思っているポイントについてまとめます。

使わない言葉を決める

「いつも特定の言葉を使う」ことで自分らしさを主張するのは、かえってあざといなと感じられます。狙ってる感というか。

でも逆に「使わない言葉」を決めると、自然と自分らしさが出てきます。

 

例えば僕の例だと、人に対して「使う、させる」という言葉を使わないと決めています。

  • 「俳優使って、本格的な再現ドラマを作ろう」
  • 「ライター入れて、取材で書こう」

相手が年下や部下だったりすれば日本語としてはおかしくはないのでしょうが、好きな言葉の使い方ではありません。

なので僕の場合は年下や身内に対しても「してもらう」という表現を使っています。

 

こういった「使わない言葉」は、実は文章だけでなく、その人の生き方も反映していたりします。

つまり言葉を「使わない」ことで、同じ考え方の人たちに共感してもらえるのです。

逆に文章を読んでいて「なんとなく嫌だ」と感じることがあるとしたら、ひょっとしたらあなたが使わない言葉を相手が使っているのかもしれません。

 

どっちつかずは書かない(委ねるのはOK)

基本的に文章は「言い切る」方が良いです。メッセージが明確になりますし、一文も短くなります。まさに読みやすい文章ですね。

ただ性格的に「読者に対して強制はしたくない」とか「判断は自分でするべき」「多様性を大事にしたい」という著者もいます。

 

この場合「言い切る」のに抵抗が出ると思うのですが、「言い切らない文章」は何を言いたいのか分からない文章になりがちです。

すると「はっきりしないのは自信がないから」と読者に映るので避けたいですね。

そういうときは「言い切って」そして「委ねる」書き方をするとあなたらしい文章になると思います。

 

例1)言い切って委ねる文章
言い切ると「自信がある、わかりやすいという印象」を与える。そのうえで委ねると「優しい、強制的でないという印象」も与えられる。だから好みにあう書き方をしよう。

(選択肢それぞれのメリットを言い切って、選択そのものを委ねる。)

例2)言い切ってない文章(わかりづらい)
言い切ったらいいかというと、考え方の合わない人は反発しますし、かといって言い切らないでいると自信がないと映ってしまう。
(1より短いのに、だから結局何なの?って感じになってしまう)

例3)言い切ってない文章(自信がない)
言い切ると自信があるというように思われることが多いように思います。

(たぶん読んでてイライラするのでは?)

 

本質、原因、仕組みに関する考え方は慎重に

世の中のいろんな物事の『本質や原因』に対する、自分のスタンスは、ちゃんと意識しておきましょう。

その場のノリで書いてしまうと「あれ?この人ってこういう考え方をする人だったっけ?」と読者が敏感に反応します。けっこうその人らしさが出やすい部分なのです。

 

例えば、

  • 戦争がなくならない理由は?

について「自分と違う価値観を認めないから」なのか「差別」なのか「恐怖」なのか「政治の一形態」なのか「陰謀」なのかといった理由に、あなたが何を選ぶかです。

「戦争のような重たい話書かないから、別にいいよ!」と思うかもしれません。しかしその「理由」の方について書くときについポロっと出してしまう可能性があるのです。

どういうことかと言うと「価値観の違いを認め合って生きることが大切だ」ということを伝える文章の中で「戦争も、価値観を認め合えないからなくならないのです」とついつい書いてしまうことがあるんですね。

このついついが怖い。「価値観の違いを認めよう」という文脈が、「戦争の理由」という重たいことをついつい書いてしまったことで「戦争は価値観の違いを認め合いないからだ」という文脈として読み取れるようになってしまうのです。

 

「世の中はこうやって動いている」ということをみんな何となくそれぞれに信じていて、その比重も人によってちがいます。

成功の理由も精神論とするか、スピリチュアルとするか、やり方などノウハウにするか、クリエイティブ至上主義か、とかいろんな種類がありますね。

同じ考え方の人からは賛同されますが、逆からは敬遠されます。内心バカにされたりすることも。

 

個人の内面を重視する人、社会の仕組みを重視する人、いろいろ居ていいので、あなたが何を選ぶか(書くか)はあなたの自由です。

ですがどんな考えにも同意者と反対者がいるので、発言することで敵と味方を両方得ることになるでしょう。だから発言するときは慎重に「自分らしい」方を考えてから選んでください。

 

専門外の領域は基本的にふれない

専門外の領域について偉そうな書き方をするのはやめましょう。この時ばかりは言い切りは逆効果です。

なぜかというと「専門分野の信頼度にも悪影響が出てしまう」からです。

 

たとえば僕が出版の目線で、映画のことを批評したとしましょう(わりと偉そうに、言い切る感じで)。

その文章がてんで的外れだった場合、映画の分野に詳しい人たちから「こいつ全然大したことないな~」「ってことは出版で書いていることも大したことないんじゃ?」と思われてしまいます。

 

「他分野で〇〇があったらしいけど、出版に置き換えたら××なことができるかもしれないね!」というくらいのトーンならいいと思います。

逆だと恥をかくだけでなく、本当は的を得ているはずの専門分野にも傷をつけることになりかねません。

 

どんな文章も書くも書かないもあなたの自由ですが、書いた後には責任が伴います。誰でもどんな文章でも書いていいからこそ「自分らしい」文章やスタンスはなんなのか整理しておくと良いでしょう。

 

増刷率90% 平均部数48,000部の出版プロデューサー。

奈良県出身 同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。膨大な点数を扱いつつ、新人著者の売り伸ばしや仕掛け販売に注力。上原愛加のプリンセスレッスン(シリーズ100万部突破)などの売り伸ばしに成功する。その後、出版プロデューサーとして2010年に独立。

『血流がすべて解決する』(22万部)『奇跡の営業』(6.3万部)など主にデビュー作をプロデュースし、ベストセラーへと導く。

業界では数少ない、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。

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Written by

西浦 孝次

増刷率90%。平均部数44,000部。 「血流がすべて解決する」(18万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をベストセラーにプロデュースするのが得意。 おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。好きな食べ物は炒飯。