【書評】ベストセラーコード【売れる作品を書くヒント】

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「自分の書いた本がベストセラーになる」

なんとも魅惑的な響きです。
もしもベストセラーを世に送り出すことができたら、想像するだけで素晴らしいことですね。

世の中には数えきれないほどの本がありますが、その全てがベストセラーになるわけではありません。
しかし、その一方で、次から次にベストセラーを生む作家もいます。
これには何か理由があるのでしょうか。
今回は、そんな疑問を解き明かしてくれる本、

ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム
を紹介します。

目次

どんな本なのか

ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』は、フリージャーナリストのジョディ・アーチャーと、テキスト・マイニングの第一人者として知られるネブラスカ大学英文学準教授マシュー・ジョッカーズによる書籍です。
コンピューター・モデルに原稿を読ませヒットした作品の特徴を調べた結果を、本書により知ることができます。
調査対象は、

  • 使用する単語
  • タイトル
  • プロット

など多岐に渡り、日本語で本を書く際にも活かすことができそうな内容となっています。
「いつかベストセラーを世に送り出したい」そんな夢を持つかたに、ぜひおすすめしたい本です。

ベストセラーを書くためのヒント

第1章には、まず、本書を読む上での注意点が記されているため、以下に引用します。

本書を一度、あるいは二度読めばベストセラー小説が書けるようになる、というつもりは毛頭ない、これはハウツーの本ではないからだ。
たしかに、ベストセラー小説を書きたい人にとっては見逃せないだろうと思うヒントが本書のなかにはたくさんあるし、もし自分がその立場だったら、編集者に原稿を渡すまえにかならずコンピューターで分析するようになるだろう。しかし本書の特徴のひとつは、書くスキルは教えることはできないとする昔からの見解に新しい視点を加えたところにある。
(44ページ 第1章ベストセラーメーター ―テキスト・マイニングは出版を変えるか より引用)

残念ながら、読んだだけで簡単にベストセラー小説が書けるようになるわけではなさそうですが、読み進めていくと実際に使えそうなヒントだらけだということが良く分かります。

本書は翻訳されたものであり、調査の対象になっているのは、スティーブン・キングやダン・ブラウンなど海外の作家のみです。
そのため単語自体については日本語に活かすことはできませんが、それ以外は見逃せないヒントだらけです。

ベストセラーが持つ共通のパターン

コンピューターは80パーセント以上の確率で「その本がベストセラーになるか」を当てることができるようです。
これはつまり、ベストセラーとなる本には法則性があるということを意味していると考えられます。
そして、ベストセラー作家と呼ばれる人たちは、それぞれの著作の中で、無意識にヒットの条件を満たしているということになります。
そこで、本書で取り上げられているベストセラーの特徴から、「タイトル」について見ていきましょう。

小説などを書く際に、タイトルは非常に重要であり、本書では「ときには1000万ドルの価値がある」としています。
そしてベストセラーのタイトルには、以下のような種類があると述べています。

  1. 場所を表すタイトル
    物語が展開する『場所』がタイトルとなっている
    例:「シャッター・アイランド」
  2. 出来事を表すタイトル
    その出来事がプロットの中心になっている
    例:「巨人たちの落日」
  3. 物を表すタイトル
    何かを特定する言葉が加わって特定の物を表す
    例:「ダ・ヴィンチ・コード」
  4. 読者に疑問を持たせるタイトル
    平易な単語を2つ並べ、疑問を持たせる
    例:「真夜中の記憶」
  5. 単語1つのタイトル
    例:「法律事務所」

効果的なタイトルを付けて、読者の想像をかきたてることは重要です。
著作のタイトルを考える際には、参考にしてみてはいかがでしょうか。

ベストセラーを解析する

もちろんタイトルだけ良くても、最後まで読んでもらえるとは限りません。
書き出し、プロット、登場人物など、物語を魅力的にするために必要な要素は多数あります。
それらの選びかたや、キャラクター設定などについても本書では言及されています。
どんな登場人物が、どういう進行で、何をすれば読者を引きつけ、リアリズムを出すことができるのか。
創作に行き詰ったら、様々な角度からベストセラーを解析した本書を繰り返し読めば、ヒントが見つかるかもしれません。

さらに、本書を楽しむことができるのは、自ら創作をする人ばかりではありません。
読書好きのかたにはおなじみの作家が多数登場するため、好んで海外の文学作品を読まれるかたにもおすすめです。

終わりに

本書によると、ウィリアム・ゴールディングによる「蠅の王」は、出版社に「21回断られた」のだそうです。
それがベストセラーとなるなんて、実に夢のある話です。

もしも温めているストーリーがあるのなら、ぜひ、この『ベストセラーコード「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』を参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

参考リンク
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