成功する著者2パターンと、失敗する著者の16条件【編集者、書店員のホンネ】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

本来、アイキャッチ画像は「記事を読みたくなる画像」のはずが、字が汚すぎて「何書いてあるか気になる・・・!」っていう知的好奇心の強い方しかキャッチできていない出版プロデューサーの西浦です。ようこそ知の探究者たち。

本を書くなら、やっぱり著者として成功したいですよね。でも、著者としての成功って何でしょう?

僕は出版業界に12年ほどおりますが、たくさんの著者を見てきて本当にいろんなタイプの方がいるなと感じます。そしてうっすらと「成功する著者と失敗する著者の違い」というものが見えてきた気もします。

せっかくだからこの「成功する著者の条件、失敗する著者の条件」について一度、業界の勉強会「出版右肩上がりの会」のメンバーにも協力してもらい、集合知としてまとめてみました。

 

この記事は

  • 著者として成功したい
  • 著者にはどんな成功パターンがあるのか知りたい
  • 本を書く時に、著者として注意しなくてはならないことを知りたい

といった方のお役立てると思います。

 

参加者

  • 出版社の書籍編集者9名(若手~編集長・局長まで)
  • 出版社の販売担当1名
  • 書店員3名
  • 西浦(出版プロデューサー)

の14名です。

※「出版右肩上がりの会」が書籍の会のため、書籍のメンバーばかりになっております。

 

2つの成功パターン

  1. 一発屋で終わらない「長く生き残れる著者」
  2. 大ベストセラー作家「仕事のステージがあがった著者」

の2つに分かれるようです。

・長く生き残れる著者

  • 伝えたいことが伝わって、かつ黒字の著者
  • 伝えたいことはそんなに変わらないが、本に応じて伝え方・アプローチを変えられる著者
  • 伝えたい時に伝えたい内容の本を出せる著者
  • ヒットのあと、いろんな出版社から本を乱発して寿命を縮めない著者
  • ヒットしたものの半年後に消える本ではなく、3年後も棚に残り、年に2~3冊各店で回転し続ける本を出した著者

・仕事のステージが上がった著者

  • ベストセラーになったことで、本業でのステージが上がった著者(コンサルになったり)
  • 大ベストセラーを出したことで、社会の価値観を変えた著者
  • 他の本やメディアに引用され、専門外の方にも言葉や考え方が認知されていった著者。

面白かったのが売れた部数よりも活躍できる期間の長い著者について、先にたくさんの意見が出たことです。てっきり成功って何万部から?10万部?みたいな話になるかと思いきや、著者として活躍できる期間や自由度を重視しているようです。

みんな長くこの業界で仕事をしているだけあって、一発屋のような売れ方はたくさん見てきたのでしょう。1回売れても調子に乗るのはやめましょう。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざのように、売れたからこそ謙虚に行きたいものです。

それとは別に、やはり「ベストセラーのインパクト」は存在するようで、売れたことで著者のステージが上がるパターンが分かりやすい例ですね。ただ、次も同じように売れるかどうかは分からないので、見切り発車で独立等はお勧めしません。

何よりベストセラー最大の魅力は、社会に変化をもたらし得るという点でしょうか。婚活や断捨離など、ベストセラーにより人の行動や社会の仕組みを、少しでも変えられた本はやはり成功だと認められているようです。また特定のクラスターでのみ有効だった言葉が、ベストセラーにより一般化することもあるようです。特にベストセラーからロングセラーになった場合に引用が増えるようです。

・メディア適正

また、成功の一要因として「メディアに出られるかどうか」を気にしている人たちが多かったです。

つまり

  • オーラがある
  • ちゃんとしゃべれる
  • 言葉にオリジナリティがある
  • イケメン・美人(ただしジャンルによるので詳しくは後述)

など、ちゃんと人前に出せるということですね。やはり著者自身が最高のPR担当ですから、これらは重要になってきます。

その意味でペンネームはNGだったり、たとえペンネームでも副業証明をもらうなどちゃんと会社や周りに配慮して出版するのが必須条件となります。ペンネームだと、SNSでも友達0の状態からスタートですからね、影響力の面でも厳しいでしょう。

・押しの強い人が売れる?

ずる賢い、押しが強い、など強かな印象の著者が、結果的に売れているという面もあるようです。先に「謙虚でいこう」と書いた手前、矛盾しているのは重々承知しているのですが、おそらくはどちらも真実なのだと思います。「言葉にオリジナリティがある」というキーワードもあがったように、著者には「オリジナリティ」がなくては成功できません。

オリジナリティが強くなればなるほど、他人に合わせようとか、空気を読むようなことはしなくなります。する必要もないでしょうし。

長く生き残っていくには謙虚な姿勢が必要だとは思いますが、それ以上に強かさと謙虚さとを両立させた人が「長く、売れ続けていく」のではないでしょうか。この相反する2つの要素は1人の中で両立させることが可能です。そういう人が著者としてこの世界で大きなことを成し遂げるのでしょう。

失敗する著者

今度はこれはないなー、という意見の出た「失敗する著者」の条件を紹介します。

・累計部数は多いものの売れてないハリボテ著者

著者累計部数を本の帯や講演会、ブログなどいろんなところで謳う著者がいますが、悪い習慣かもしれません。本を多く出せば累計部数が増えていくのは当たり前のこと。1本だけ大ヒットで他が一切売れてなかったりしても、ベストセラー作家のように感じます。それならまだましで、ほとんど売れてない人も累計100万部で150冊出してるなんてことがありえます。

・他の有名編集者のインタビューURLや動画などを送ってくる著者

『この編集さんはこう言ってますけど・・・?』というような文脈で自分の担当編集者に送り付けてくるケース。たいていは編集者の方が著者より早くそのインタビューを読んでたりするし、なんなら当事者から直接聞いていたりする。そのうえで今作はそういうやり方をしない方が良いという判断をしていたりします。

にもかかわらずそういうことをされると編集者も人の子ですから「じゃあ、その編集さんに作ってもらえばいいんじゃないですかね?」と感じてしまうのも無理はない。止めておきましょう。

・TVに出て炎上する著者

TVに出るなどして知名度は上がったものの、発言や態度が原因で炎上してしまい、逆に売上が落ちてしまうパターンもあります。TV等の露出はたしかにありがたいですし、瞬間風速的に売れることもありますが、その効果は通常1週間ももたないものです。短期間に3回以上出演するなどしないと爆発的なヒットにはつながりにくいので、変に炎上させて売上ダウンにつながるようなことはせず、謙虚に行きましょう。

・有名だが、それが逆に足を引っ張る著者

超有名人になるとファンもいる代わりにアンチがいて、ある程度のステージから上に上がるのに大変苦労したりします。ですが今回はそういう話ではなく、「出版業界内で名前が知られている」くらいの人です。他社から出ている本の売れ行きが悪かったりすると、新刊についても「どうせ売れないでしょ?入荷少なくていいよ」と書店さんから注文を貰えなかったりします。その結果その新刊がヒットしても、書店さんに在庫がなくて売り損じてしまいます。有名になると売れなかったときの印象も強く残り、他の本に影響がでますから気を付けましょう。

・別視点:そもそもビジネス書の場合、著者名の要因は小さい

著者個人の名前より、会社名の方がネームバリューがあるケースが多いです。ただ、会社が大きすぎると読者も実感が沸かないようで、会社の大きさよりも話題になってる感を重視している書店さんが多かったです。人となりなどはその次の要因として、面白かったりいい人だったりすると良いようです。

・人気はあるが馬鹿にされている著者

人気のある著者でも大きく分けて2種類います。つまり「馬鹿にされて人気の著者」と「憧れられて人気の著者」です。どちらも人気があることには変わりないのですが、本が売れるのは圧倒的に後者です。人気の種類もよく考えましょう。

・美人だが、軽そうな印象の著者

本の内容と本来は関係ないはずですが、特に健康書などイケメンや美人の本は売れやすい傾向にあるようです。イケメンの先生は問題なく良い影響が出ますが、美人の女医さんの場合「清潔感」がないとマイナスに働くこともあるそうです。非常に微妙なニュアンスで、判断は難しいです。

とりあえず茶髪の女性著者は気を付けた方が良さそうです(でもショートなら大丈夫だとか)。

・天狗になる著者

1冊ベストセラーを出しただけで天狗になる著者がいます。むしろ多いです、僕もたくさん知っています。本人はその気がなくても周りからそう見えてしまうこともあるでしょう。ベストセラーを出したことで周りから「調子乗ってるんじゃない?」という嫌な見方をされることもあるでしょうから、意識して「調子乗らない感」を出した方が良いでしょう。

ベストセラーを出していても、担当編集者から裏で「売れなくなったら次回作はもういいかな」と言われてしまっている人もいます。売れてるからつながっている関係というのは個人的には寂しいですね。

あなたが売れたのは理由は何でしょう?その過程で助けてくれた人への感謝を忘れていませんか?あなたは忘れても、相手は覚えているものです。その後の対応も見られています。人を大事にしましょう、あなたに厳しい意見を言う人こそ大事にしましょう。

・亜種:初版条件が厳しい著者

天狗の一例ですが、事例も多く代表格と言えます。「初刷15,000部以上で、発売2週間以内に全国紙で広告を打つこと」など、書く前の条件が厳しい人がいるのです。

以前、出版社の販売部にいたころ、編集者から『著者から初刷20,000以上って言われたんだけど、西浦君どうかな?』と言われ、たしかに有名な著者ではありましたがテーマ的にそこまでの市場があるとは思えなかったので「うちでは初刷2万は無理ですね」とお伝えしたことがあります。

著者名だけで売れる作家なんていません。どんな大ベストセラー作家でも「売れる本」と「売れない本」があります。にもかかわらず、自分のネームバリューに対して初刷条件を付けるのは天狗ととられても仕方ないですし、作家の名前だけで初刷を増減する出版社ならむしろ避けるべきです。

新人でも企画が良ければ初刷15,000部ってこともあります。条件ではなく、出版社が刷りたくなるような企画を用意しましょう。

・番外:変な話を引き寄せる著者

天狗が原因かわかりませんが、売れると怪しい話を引き寄せる人もいます。有名になれば光が強くなる分、良いものも悪いものもたくさん呼び寄せるのでしょうか。以前聞いて「へー!」と思ったのは、怪しい話を持ってきた当人は、相手をだましてやろうとか利用してやろうとは思っておらず、親切で動いているケースもあるそうです。人で見ていても外れるということですね、十分お気をつけください。

・編集者の意見を全く聞かない著者

企画について対等の立場で意見を戦わせるのは良いのです。ここで「編集者の意見を全く聞かない著者」と呼んでいるのは編集者を対等だと思っていない人です。

『デザイナーさん、あの人に依頼したんですか?』のように、編集者に任せるべき領域にも口を出してくる。意見として求められれば「こういうデザインが良い」「○●な人向けにデザインしてほしい」というようなことはお伝えして問題ないですが、相手への敬意をもって接しましょう。

・即レスを深夜でも求める著者

著者の中には執筆時間が夜型の人もいますし、深夜の方もいます。書きやすい時間に書いていただくのが良いのですが、深夜でも早朝でも気にせず、編集者に即レスを求める人はやはり困りものです。編集者がみんな夜型ではないということをわかってやってください。

・気に入らないと白紙に戻す著者

まったく意見を聞かないどころか、拒否する著者です。『それなら私は降ります!やめます!』と言ってくる人がいます。これは著者に限らないのですが、「だったら辞める」を話し合いの条件として提示する人がいますよね。でもそれは話し合いでも交渉でもなく脅しです。これを言われた側は「話し合う余地なし」として従うか、「関係を続ける余地なし」としてオールナッシングにするしかなくなります。

対等な関係で根気よく話し合いをして、どうしても折り合いがつかないなら、その時は降りても良いと思います。相手が「もう仕方ないな」と思ってくれるくらいまで、真摯に話し合う姿勢を持ちたいですね。

・全部お任せの著者

上2つとは正反対ですが、全部お任せの著者も嫌ですね。ちょっとわがままだなと思われました?でも編集者に限らず、仕事のパートナーとは「共に作る」というスタンスを持ってほしいものではないでしょうか。また、僕の場合「西浦さんの書けというものを書きます」と言われることもあるのですが、これは完全にNGです。書きたいものや、本を一緒に良いものにしていきたいという意志がなく「ただ本を出したいだけ」「本を書いたという事実が欲しいだけ」と受け取られてしまいます。

・裏方への愛がない著者

本づくりには多くの人が関わってきます。著者も全員には会えなくとも、例えばライターさんなど裏方の人にお会いする機会はあるはず。その時に裏方や関係者への愛情があるかないかは、やはり気になります。本は編集者という制作リーダーと、営業部という販売リーダーを中心とした、出版社、編プロ、デザイン会社、印刷会社、取次、書店など多くの会社、人を巻き込んだ一大プロジェクトです。

これだけ多くの方のおかげであなたの本が出来て、一生会わないかもしれない人たちのおかで読者の手に届いたんだということを忘れないでください。

・他社の悪口を言う著者

以前出した本について、その担当編集者や会社を悪く言う著者はやっぱり嫌われます。「ああ、自分も何か気に入らないことがあったら、こうして言われるんだろうなぁ」と思うからです。出版業界というのはすごく狭い業界で、編集同士、営業同士が繋がっているなんていうのは当たり前ですし、業界内他社への転職も非常に多いです。目の前の方が悪口を言った会社に以前いらした方かもしれないし、その会社へ後に転職されるかもしれません。十分気を付けましょう。

・勝手に書店に行く著者

本を売りたい一心で、アポも取らずに勝手に書店に行く著者さんです。これ、良くある話ですが、基本的には完全にNGです。いきなり職場に訪問販売に来られているのと同じですからやめましょう。

もちろん書店さんに通うことは本来はプラスになることです。ただやり方を間違えるとマイナス効果です。書店訪問をして、怒られないための注意点を守って訪問させていただきましょう。

・亜種:勝手にPOP自作して送り付ける著者

中にはPOPを自作して、出版社や書店に送り付ける人がいます。サイズやデザイン、キャッチコピーなど、どの視点から見ても現場で効果がないどころかマイナスになりかねない(やたら大きくて、後ろの本を隠してしまうとか)ことも多く、たいていゴミ箱行きです。熱意が空回りしている状態なので控えましょう。

・情報共有のルールを守れない著者

発売前に本の情報をツイートしたり、メディアに出るという連絡が一日前だったり、情報共有のルールを守れていない著者です。販売戦略の一環として、段階的に情報を公開したり、読者を巻き込むような仕掛けをすることは賛成です。しかし、それらは場当たり的にやるのではなく、ちゃんと関係者と相談して進めないと混乱を来すだけです。

また、メディア出演はたしかに直前だったりしますから、その場合は仕方ないにせよ、話が来たらすぐ共有する姿勢が大事です。全国区で大きく露出するような話はもちろん、一部地域での露出であってもモノによって営業部に共有して書店さんへ情報を流すようなこともします。せっかくメディアに出させていただいたのに、書店さんや出版社に在庫がなければその反響を活かせません。情報共有のルールは必ず守りましょう。

・Amazonにやたら過敏な著者

もう著者あるあるの定番中の定番ですが、amazonの在庫にやたら過剰反応する著者です。どれだけ事前にamazonのシステムを説明しても、いざ在庫切れを起こすとパニックになってしまいます。amazonは確かに在庫の有無が一目瞭然で、著者本人だけでなく、周りの人からも言われたりするのでしょう。気持ちは分かります。

しかし一度冷静になってほしいのですが、書店はamazonだけではありません。全国にたくさんの書店があり、それぞれの本屋さんごとに売れる本の構成は変わります。amazonで一番売れる本もあるでしょうが、あなたの本を常にキープしていて欲しい書店ランキングで、amazonが常に1位とは限りません。全国の書店で考えれば在庫のない書店などたくさんあります。

すべての書店さんに在庫を持ってもらうのが著者としては理想ですが、出版社からすれば大量の在庫をいきなり刷るのはリスクでしかありません(本は買い切りでなく、委託なので返品されるのです)。発売日から段階的に在庫は増えていくものですから、逆に言えば書店さんによっては戦略的在庫切れも大いにあり得ます。

売れているのに、売れている店で在庫切れになったら大問題ですが、そうでないなら戦略的に考えて冷静に対処しましょう。

でも、売れたら忘れる

ここまで成功と失敗の条件を紹介してきました。たくさんの「失敗する著者の条件」を書いてきましたが、それでも「売れたら、そんな苦労も全部忘れさせてもらえる」とみんな言っていました(笑)現金な人たちだなぁと思われたかもしれませんが、現金というよりもっとシビアなのかもしれません。なぜなら「売れてるなら許される」というのは、言い換えれば「売れなくなったら、それまで」という意味でもあります。

出版業界の特に書籍は、広告やアニメ・ゲームといったメディア化の収益は無く、純粋にその本の売り上げのみで勝負しています。部数や消化率、ランキングなど、すべて数字で評価されるシビアな世界ですから「結果をだすこと」を最優先に求められています。

結果を出せる著者が成功する著者の条件であり、結果を出せない著者が「失敗する著者の条件」を満たしてしまうと後がなくなるのだと思います。

本の出版をお考えの方へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

Written by

西浦 孝次

増刷率90%。平均部数44,000部。 「血流がすべて解決する」(18万部)「奇跡の営業」(6.3万部)などデビュー作をベストセラーにプロデュースするのが得意。 おそらく業界で唯一、出版社マーケティング部出身の出版プロデューサー。好きな食べ物は炒飯。